『全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪レポート』 最終日編

配信日:5月26日

 高知競輪場で開催された「2024年度全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪」が、5月26日に最終日が行われた。メインの「スーパープロピストレーサー賞」は、犬伏湧也が主導権。番手から追い込んだ清水裕友が、直線で抜け出して「スーパープロピストレーサー賞」を制し、賞金396万円(副賞含む)を獲得した。5月27日には年に一度の全プロ競技大会、「第71回全日本プロ選手権自転車競技大会」が、同じ高知競輪場を舞台に行われる。なお、27日の競技大会の車券発売はありません。

SPR賞出場選手特別紹介
SPR賞出場選手特別紹介
SPR賞1番車、松浦悠士選手
SPR賞1番車、松浦悠士選手
SPR賞2番車、深谷知広選手
SPR賞2番車、深谷知広選手
SPR賞3番車、脇本雄太選手
SPR賞3番車、脇本雄太選手
SPR賞4番車、犬伏湧也選手
SPR賞4番車、犬伏湧也選手
SPR賞5番車、松谷秀幸選手
SPR賞5番車、松谷秀幸選手
SPR賞6番車、荒井崇博選手
SPR賞6番車、荒井崇博選手
SPR賞7番車、清水裕友選手
SPR賞7番車、清水裕友選手
SPR賞8番車、和田健太郎選手
SPR賞8番車、和田健太郎選手
SPR賞9番車、寺崎浩平選手
SPR賞9番車、寺崎浩平選手

スーパープロピストレーサー賞 レース経過

 号砲が鳴ると深谷知広が飛び出して誘導員を追う。深谷-松谷秀幸-和田健太郎の南関勢が前を固め、犬伏湧也-清水裕友-松浦悠士の中四国勢は中団から。単騎の荒井崇博がこの後ろ。寺崎浩平-脇本雄太が後攻め。
 赤板1コーナー過ぎから寺崎がゆっくりと上昇すると、福井勢後位に荒井が切り替える。打鐘で寺崎が深谷を押さえて先頭に立つが、すかさず犬伏が前を叩いて中四国3車が出切る。最終ホーム手前で主導権を握った犬伏のカカリは良く、隊列はバックでも一本棒の状態が続く。2センターで7番手の深谷が仕掛けるもスピードは鈍く、4番手確保の寺崎が踏み出したのも2センターから。犬伏後位を回った清水が直線で抜け出してV。清水の後ろを回っていた松浦が伸びを欠くなか、3コーナー6番手から内を突いた荒井が直線で鋭く伸びて2着。直線で外を踏んだ寺崎は荒井のブロックもあって3着まで。









<2R>

雨谷一樹選手
雨谷一樹選手
 簗田一輝、畑段嵐士の順番で切って出ると、中途半端に踏んだ堀江省吾は岡山勢にかぶって包まれる。最終ホームで晝田宗一郎が踏み込んで主導権も、柏野智典は離れる。2番手以下をちぎって駆ける晝田を目標に、堀江が2コーナー手前から仕掛ける。直線の入口で堀江がまくり切り、3番手の雨谷一樹(写真)が外を突き抜けた。昨年の全プロ競技大会のスプリント種目チャンプの雨谷が、翌日の競技を見据えながら振り返る。
 「自分は末木(浩二)君と連結を外さないようにと思ってました。(ラインの)2人のおかげで1着が取れた。(堀江が仕掛けた時は)スピードが良かったんで、行けると思いました。自分も余裕があったんで、若干、早めに踏ませてもらった。状態としては全プロに向けて練習をやってきた。昨日(初日)は重たかったけど、今日の方が全然軽い。4月くらいからスプリントの練習をずっとやってきた。去年(スプリントで)優勝ができたんで、自分にプレッシャーをかけながらやってきた。去年の優勝に恥じないように頑張りたい」
 番手の末木浩二は2着。昨年の全プロ競技大会では菊池岳仁、中島詩音とともにチームスプリント種目を制した。
 「(堀江は)ちょっと迷っている感じもありましたね。でも、展開的に向いたんで、あとは落ち着いて仕掛ければ行けるかなと。自分は最近のなかでは良かったし、ちょっとずつ良くなっている。4月に練習中に追い込んでいて左ヒザを痛めた。もうヒザは完全に大丈夫だし、(競技のチームスプリントの)練習もしてきました」

<6R>

松岡貴久選手
松岡貴久選手
 打鐘4コーナーで仕掛けた小林泰正が、皿屋豊を叩いて最終ホーム過ぎに主導権を奪う。しかしながら、小林ラインを追いかけた東矢圭吾の巻き返しも早く、2コーナーでは東日本勢に襲い掛かる。成田和也のけん制を乗り越えた東矢が3コーナーでまくり切り、松岡貴久(写真)の追走。松岡は切り替えた成田らとの間合いを取って追い込んだ。
 「(東矢が仕掛けた)タイミングは悪くなかった。ただ、脚でねじ伏せた感じですね。若いからいいんじゃないですか(笑)。自分は余裕がほとんどなくて、成田さんをしのいで、(小林)泰正も小突いてきたんで。(東矢を)残したかったけど、ワンツーを決める余裕がなかった。東矢との力の差を感じました」
 目標の小林が東矢にまくられて、成田和也は熊本コンビにスイッチ。直線ではじわじわと伸びて2着に入った。
 「スタートだけであとは小林に任せてました。合わせられるかなと思ったけど、(東矢の)スピードが良かった。自分も(切り替えてから)思ったほど進まなかった。(調子の方は)だんだん良くはなっていると思います。(持病の腰の具合も)安定している感じです」

<8R>

吉澤純平選手
吉澤純平選手
 打鐘3コーナーで渡邉雄太が先頭に立ち、5番手の松本貴治は後方の河端朋之を警戒しながらタイミングを計る。松本は4コーナーで仕掛けて、渡邉を叩いて先行策。河端もすかさず反撃に出て、両者で踏み合いになる。河端ラインを追いかけた佐々木悠葵が、最終バック過ぎからまくる。大外を踏み上げた佐々木悠が、前団をごっそりのみ込む。佐々木悠マークの吉澤純平(写真)が、ゴール前で差し切った。
 「(佐々木悠は)もう(最終)バックでは行っちゃう感じだったし、あそこで離れないようにと思っていた。うまく(河端ラインに)切り替えて、後手を踏まないように走ってくれた。自分はチェーンを換えて、軽くなりました。昨日(初日)失敗している分、緊張はした。(ここに来る前の)練習の感じが良かったんで、(結果が出て)気持ち的に楽になりました」
 松本に合わされた河端が浮いて、最終2センターでそのあおりもあった佐々木悠葵だったが、前団をまくりで仕留めた。
 「今日(最終日)は絶対に(周回中は)前でと思ってました。河端さんに前を取られると(河端の)得意パターンになっちゃうので。松本さん(ライン)のところに(追って)いきたかったけど、挟まってしまった。それで安全にいきました。(河端が行った)その上を行けたのはすごい良かった。いつもだったら行けてないかなと。キツかった。でも、のみ込めると思ったんで、あとはゴール勝負だなと」

<10R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 九州勢を送り出した前受けの眞杉匠(写真)は、打鐘過ぎに3番手で松井宏佑と併走。眞杉にフタをした松井は、外併走から4コーナーで踏み込む。松井が叩いて先行策。嘉永泰斗が番手に飛び付いて後位がもつれる。その上を山口拳矢が仕掛ける。眞杉は、最終1センター過ぎに浅井康太を弾いてまくる。山口は中団まで。逃げる松井の後ろは嘉永が奪い、そこに眞杉が迫る。番手から嘉永が外に持ち出しかけると、直線の入口で押し込んだ眞杉が抜け出した。
 「先行の組み立てを考えていたんで、うまくいかなかった部分はあります。昨日(初日)の反省を生かしてと思ったけど良くなかった。(まくりの)出は相当、悪かった。(セッティングを)変えました。良かったころと比べると無意識に変わっていたんで、そこを修正した。体の使い方が悪くなっていたんで、それでセッティングを出してしまっていた。高松宮記念杯までにもっとマッチさせたい」
 眞杉のまくりを追走した平原康多は、直線で1輪差まで詰めての2着。眞杉の動きを称えて、汗をぬぐう。
 「松井が行ってくれなかったんで、(眞杉は)先行ができなかった。遅めになったけど、いい進みをしていた。(眞杉の動きに)付いていくのも大変だけど、眞杉らしいレースだった。自分は(調子が)悪かったら付いてもいけてない。もうちょっと戻していきたい」

<11R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 前団に構えた北井佑季は赤板2コーナーから誘導との距離を取り始めて、新山響平の反撃に備える。打鐘を迎えても新山は動かず、2センターから仕掛ける。北井もダッシュを利かせて合わせてペースを上げて最終周回へ。北井に突っ張られた新山が、ラインのアシストで4番手に入る。引いて態勢を整えていた三谷竜生(写真)は、7番手から2コーナーでまくりを打つ。逃げた北井の番手で引きつけていた郡司を、三谷がゴール寸前でとらえた。
 「後ろよりも前か中団の方が良かったので出てみてっていう感じでしたけど。どっちのラインが前でも突っ張りはあるかなって思っていた。あまりにも新山君が遅すぎたので、北井君も出させないだろうなって。(後方に下げたところは)変にあそこでこだわって(佐藤)慎太郎さんとやり合ってゴチャゴチャしてもあれなので。しっかり行けるタイミングをつくれるようにと」
 北井の強烈な踏み出しに最終ホーム過ぎは出遅れた郡司浩平は、そのままの車間をキープして詰めながら追い込むも2着。
 「前を取って(北井は)突っ張れれば、突っ張ってっていう感じだったと思うんですけど。新山君が遅かったので一発狙いにきているなっていう感じでした。ちょっと自分は余計なことをしてしまった。踏み出しで口が空いてしまったんですけど。変に(車間を)詰めるよりは、調整しながら最後に交わしにいければと思った。(最終)バックもものすごく伸びていましたし、これは誰も来られないなっていう感じでした。最後は外を張るというよりは、必死に交わしにいったので脚負けですね」

<12R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 中四国勢は思惑通りに、中団からレースを進める。打鐘過ぎに寺崎浩平が深谷知広を押さえる。犬伏湧也はそこを迷わず叩きに出て主導権を握る。寺崎が下げて、犬伏ラインの3車が最終ホームで出切る。4番手に寺崎が収まり、単騎の荒井崇博は近畿勢の後ろの6番手。深谷知広は動けず7番手でレースが流れる。犬伏がリズム良く駆けて、隊列は一本棒のままバックを通過。3コーナー過ぎに荒井が内を突く。深谷もようやく外を踏んで、寺崎も追い込み直線へ。番手絶好の清水裕友(写真)が抜かりなく抜け出して、「スーパープロピストレーサー賞」を初めて制した。
 「すごくうれしいですね。犬伏君が先行してくれたんで、なんとか1着を取ることができた。ただ、松浦(悠士)さんと決められなかった反省は残りますね。(番手で展開が向いたが)後ろに強い選手がいっぱいいたんで、いつ飛んでくるかソワソワしました。(今シリーズは連勝で)1着が2回取れて、こういうメンバーですごく収穫になりました。(今年はここまで)動けていたけど勝ち切ることができないレースも多くて、ここを勝ち切れたんで良かった」
 単騎の荒井崇博は。打鐘過ぎに出た近畿勢に切り替える。結果的にはそこを中四国勢が出て6番手にはなったが、脇本雄太をすくって直線半ばでは寺崎を弾きながら伸びて2着に入った。
 「(後ろから押さえた寺崎が誘導を)切れると思ってたんで(近畿ラインに切り替えた)。(深谷は)モガき合いになると思って前を取ったと思うし、脚をためて一発狙いかなって。本当は外を踏みたかったんだけどね。(脇本をすくったあとに)寺崎に踏まれたので、あたって中(のコース)しかなかった。コケ過ぎていたんでね。練習じゃ別に大丈夫だけど、レースになると集中し切れていない感じだった。やっとそれがなくなってきた」
 4番手確保から一撃にかけた寺崎浩平は、追い込み勝負で3着。脇本雄太とのタッグだっただけに内容を反省する。
 「犬伏君が前受けすると思っていたので混乱したんですけど。(打鐘のところは深谷に突っ張られないように)ちょっと強めに踏んで切った。でも、中途半端でしたね。脚の感触的には(中四国勢を)出して4番手でもいけるかなっていうのはあったんですけど。脇本さんを連れてするレースじゃなかったですし、結果もそうですけど内容も重視していかないとなって」

次回のグレードレースは、大阪・関西万博協賛 前橋競輪場開設74周年記念「三山王冠争奪戦」が、6月1日~4日の日程で開催されます。
今シリーズは清水裕友、深谷知広、佐藤慎太郎のSS班3名をはじめ、ダービー王・平原康多、グランドスラマー・新田祐大らの健脚が参戦。
無風のドームバンクで繰り広げられるスピードバトルから目が離せません。
また、最終日第9レースにて「レインボーカップA級ファイナル」が一発勝負で争われます。こちらも注目です。

5月19日時点の出場予定選手データを分析した、前橋競輪「三山王冠争奪戦」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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