『全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪レポート』 前検日編

配信日:5月23日

 青森競輪場で選手強化支援競輪「2025年度全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪」が、5月24、25日の2日間の短期決戦で開催される。FIIシリーズではあるもののS級S班8人をはじめ、輪界のトップ選手たちが集まり、スピードバトルが繰り広げられる。また、26日にはケイリン、スプリント、1㎞TT種目などの競技大会も同じ青森競輪場を舞台に実施され興味は尽きない。5月23日の前検日は、青森バンクの感触を確かめる選手も多く、翌日からの戦いに選手それぞれが調整を行った。
 開催中の毎日、先着500名様に「バイセンオリジナルコーヒー」をプレゼント。オレンジテント縁日、キッチンカーの出店、サイクルタイムトライアル、もりんちゃんフワフワ遊具などが予定されています。また、5月24日の初日には、「ハリウッドザコシショウ、ヒロ・オクムラ」のお笑いライブ、ガールズケイリン選手のトークショーなども行われます。青森競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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後藤大輝選手
後藤大輝選手
 直近の3場所で6勝の固め打ち。前回の宇都宮記念でも2勝をマークした後藤大輝(写真)は、デビュー3年にして青森初登場。
 「前回の宇都宮は500バンクに慣れてなくて、坂井(洋)さんとかにアドバイスをもらったりして、日にちが解決した感じですね。それで最終日に1着が取れた。終わってから気持ちを切り替えてきました。青森は初めてですし、いいメンバーがそろっている。それに(初日は)1番車をもらえたので、気持ちを入れて頑張りたいです」
 菊池岳仁は前回の岐阜FIで初日に落車に見舞われ、そこから中8日。26日の競技大会を見据えながら、トレーニングを重ねた。
 「前回の岐阜の落車は、打撲と擦過傷ですね。そこまで(怪我は)ひどくなくて、体は大丈夫だった。けど、フレームがダメになって3月の大垣で使っていたフレームを今回は使います。競技の方の練習ばかりで鉄のフレームに乗っていないので、その辺がどうかですね」

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宿口陽一選手
宿口陽一選手
 同県の先輩、平原康多の引退表明が報道され、その姿を目標に追いかけてきた宿口陽一(写真)は、様々な思いを巡らせながら口を開く。
 「平原さんから引退の言葉を聞いた時は、さみしさがこみあげてきた。競輪選手の前に人として当たり前のことを正してくれる先輩でした。背中を追っかけてきたけど、果てしなく遠かった。いまの自分は(埼玉の)精神的な立場じゃない。やることをやって(みんなを)引きあげていければ。(初日は)末木(浩二)君とは(連係は)何度もありますし、いつも頑張ってくれます」
 前回の岐阜FIを221着。決勝は三谷竜生のまくりが阻まれるも、直線で突き抜けた椎木尾拓哉は、トレーニングの成果が出たようだ。
 「(前々回の)ダービー(日本選手権)が終わってから、福井に行って脇本(雄太)君たちと一緒に練習させてもらいました。前回の岐阜は疲れもあったんですけど、優勝できたので良かったです。(初日の)村田(祐樹)君とは何度か連係したことはありますし、強いの走っているので2人で頑張りたい」

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根田空史選手
根田空史選手
 前々回の日本選手権は一息だった根田空史(写真)は、フレームを変更した前回の福井FIを224着。上々の手ごたえを得た。
 「前回の福井は、フレームを換えていきました。新車ではないんですけど、練習では結構、使っていた。レースで使うのは初めてだったんですけど、感触が良かった。それで今回も、そのままいきます。状態面も前回と変わらず来られていると思います」
 前回の玉野記念では、2日目に落車の太田竜馬。左鎖骨骨折の怪我を負い、今シリーズは約2カ月半ぶりの実戦復帰。
 「左鎖骨を骨折して休んでいました。結構しんどかったですね。しっかり休んでから練習を再開して、やっと体が動くようになってきました。スピード自体はコケる前とそこまで変わらないかなっていうところまで戻ったと思うんですけど。スタートだったり、(低速からの)立ち上げだったりは、どうしても力んでしまうんで、そこだけは不安ですかね」

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大槻寛徳選手
大槻寛徳選手
 前々回の日本選手権でも白星を挙げた大槻寛徳(写真)は、前回の玉野FIでも初日特選を制して2連対を遂げた。
 「ダービー(日本選手権)は自分のなかで、比較的いい感覚で走れましたね。前回の玉野は展開かなって。でも、そこまで悪い感じはしなかったですね。青森を走るのはかなり久々ですね。たぶん決勝に乗ったFIシリーズ以来だと思うんですけど、その時も(高橋)晋也と連係して頑張ってくれた気がします。(初日に連係する高橋との)相性もいいと思う」
 直近は試行錯誤をしながら成績をまとめてはいる久米良は、今シリーズもセッティングを変更して初日を迎える。
 「前回の平塚は、その前の函館よりもマシだった。けど、乗り方が良くなかったなって思ったので、今回はセッティングを変えてみます。ハンドルからハンドルステムとかいろいろとパーツも換えた。前々回の函館は回すイメージでペダリングをしたけど、脚がたまらなかった。前回はもう少し踏み込むイメージだったんですけど、踏みすぎてしまった。今回はうまいこと修正できるように」

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小川真太郎選手
小川真太郎選手
 一次予選敗退も2勝を挙げた前回の平塚記念では新たな気づきもあった小川真太郎(写真)は、さらなる上積みも見込めそうだ。
 「脚の状態が良くなってきたなかで、もうひとつなにか欲しいなって思っていた。それが前回の平塚でみえて、終わってからいろいろと考えながら練習してつかめた。練習ではめちゃくちゃ良くなったから楽しみです。(初日に連係する)石原(颯)君はめちゃくちゃ強いし、みんな離れているので、まずは追走のところを集中したい」
 前々回の日本選手権での2勝を含めて、直近の4場所で9勝の白星ラッシュ。前回の川崎FIでは連勝での優出も、石原颯は決勝で失格を喫した。
 「前回は決勝で失格してしまって申し訳なかったんですけど、感触自体は良かったと思います。ダービー(日本選手権)も良かったですし、そこまで疲れも残らず走れたと思います。(昨年から大幅に勝利数が増えているが)寺崎(浩平)さんのおかげです。ちょうど2年くらい前に自分が調子を落としてしまっていた時に、寺崎さんから聞いた練習メニューを取り入れるようになった。そこからだと思いますね。すべては同期の寺崎さんのおかげです」

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取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 3場所前の当所FIでは、6番手まくりでV奪取の取鳥雄吾(写真)は、その後、日本選手権、川崎FIを経て今シリーズを迎える。前回の川崎ではGIの疲れもあったようだが…。
 「前回の川崎は良くなかったですね。ダービー(日本選手権)の疲れなのかなんなのか…。初日は体も重くて、道中からしんどかったですね。なんとか決勝に乗れたのは良かったんですけど。青森は1着も多いですし、イメージはいいですね」
 柏野智典は、前々回の日本選手権で一、二次予選を連勝。しかしながら、続く前回の宇都宮記念は、3日目に失格を喫した。
 「状態自体は、良くなってきています。(初日に連係する取鳥)雄吾は出脚が強烈ですから。仕掛けるところが打鐘なのか、最終ホームなのかわからないけど、そこでしっかりと付け切れるように。離れてしまうとそれだけでラインとして迷惑が掛かってしまう」

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山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 息子の歩夢(125期)がS級デビューも、最終日の決勝では落車の憂き目。同期の成田和也との連係にも感慨深いものがあった山崎芳仁(写真)の自身のコンディションはどうか。
 「(歩夢は)頑張っていたので良かったと思う。いいレースをしていたんじゃないんですかね。(成田和也との連係は)新鮮さを感じた。決勝はもう少し早めの仕掛けだったら落車しなかったんじゃないかな。まあ一筋縄ではいかないのが(歩夢の)持ち味ですから(笑)。自分はダービー(日本選手権)が終わって体調を崩して、まずは体調を治すところから初めた。それでそのあとに練習しました」
 一昨年9月の当所、共同通信社杯ではビッグ初優出。当バンクとも相性がいい佐々木豪が、細切れ戦の初日のメンバーを見据える。
 「(前回の)ダービー(日本選手権)が終わってからは疲れがでましたけど、いまは大丈夫です。青森は1着が多いっすね。たしか共同通信社杯で決勝にも乗れました。初日は細切れ戦なので、行けるところでしっかり行けるように」

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嘉永泰斗選手
嘉永泰斗選手
 前回の宇都宮記念の準決ではまくりで新山響平らをのみ込んで好配当を演出した嘉永泰斗(写真)は、そこから中4日とタイトなスケジュール。
 「前回の宇都宮から中4日なので上積みはないですけど、ここ最近はやっと良くなってきていると思います。でも、目先のレースで結果を追いすぎてもダメだと思う。来月は高松宮記念杯もありますけど、いまはオールスターで結果を出せるようにと思っている。長い目で見て、上げていけるようにと」
 前回の宇都宮記念を2321着。決勝はタッグを組んだ清水裕友が先行策。番手からチャンスをモノにした小原太樹は、リズムも良好だ。
 「宇都宮記念の決勝は展開が向いたし、清水君のおかげです。展開がいい時にちゃんと勝つのが大事ですから。(状態も)引き続き悪くないかなと。競技の方をメインで練習してきたけど、どっちも結果を出せるように走りたい」

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松井宏佑選手
松井宏佑選手
 前々回の日本選手権ではファイナルに進出した松井宏佑(写真)だが、続くホームの平塚記念は初日に落車。10日以上空いたが、状態は気がかりだ。
 「平塚の落車は擦過傷がひどかったけど治った。自転車がダメになってしまったので、3月の平塚FIとウィナーズカップの1走目で使っていたやつを使う。練習はある程度できました」
 今シリーズは地元地区だけに気持ちも入る守澤太志は、日本選手権も上々の手ごたえ。続く前回の川崎FIでも232着と上昇カーブを描いている。
 「やっと体の状態が良くなってきました。ダービー(日本選手権)も悪くなかった。前回の川崎でもセッティングは毎日いじってはいたんですけど、いい方向には向いていると思います。(初日の)松井君とは何度も連係がありますし、強いのも知っている。抜いたことはありますけど、離れてしまったことも何度もある。集中して付いていけるように」

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吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 前回の日本選手権で2度目のタイトルを獲得した吉田拓矢(写真)は、それ以来、2週間以上空いたローテーション。リラックスムードでこう口を開く。
 「(日本選手権は)脚の状態とかが良かったんで、チャンスが巡ってきた。(決勝は)全面的に眞杉(匠)に任せていたんで、眞杉が勝てるようにと。(そのあとは)しっかりと練習ができたんで、状態としては問題ないです」
 昨年は連勝でスーパープロピストレーサー賞を制した清水裕友は、そのスーパープロピストレーサー賞でタッグを組んだ犬伏湧也と初日から連係。舞台は高知から青森に変わるが、期待は膨らむ。
 「(前回の宇都宮記念は)今年一番良かったと思います。(決勝は)どこかで腹をくくって駆けようと思っていた。良くなってきた、体の方だと思います。ただ、(前回のあとは)体調を崩して風邪を引いて、(練習では)思うように乗れなかった」
 前回の日本選手権では一度も確定板にあがることがなかった窓場千加頼は、近況をこう振り返る。
 「(日本選手権では)4走全部、見せ場も内容もなくて、悔しい思いだった。(6月の)高松宮記念杯に向けてトレーニングをやっている。(近況は)春先に換えた自転車とシューズがGIに向かなかった。それも進化していくために必要だし、そこは修正していきたい。(今回も自転車とかを)いじりながらやっていきたい」

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新山響平選手
新山響平選手
 前回の宇都宮記念ではシリーズ2勝も、準決は森田一郎の抵抗もあって僅差の4着。新山響平(写真)は、地元の今シリーズにそこから中4日。
 「(前回は)内容もわりとこだわってやって、やりたいように走った。けど、結果が出なくて悔しいですね。(準決は)雨だったのでもあってダッシュが鈍かった。カマシにいった時に出られると思って回していたら合わせられた。(そのあとは)練習をやれるだけ詰め込んでやったんで、少し疲れがある。けど、体は動いていると思います。こういうメンバーで地元で走れる機会はなかなかないんで、地元のファンの方にいいところを見せたい」
 郡司浩平は、前回の平塚記念を4111着。今年4度目の記念を制して、ハイレベルなパフォーマンスで勝ち星を重ねているだけに、ここでの立ち回りにも熱い視線が注がれる。
 「(前回の決勝は)深谷(知広)さんに任せて、(深谷が)気持ちのこもったレースをしてくれた。後ろみんなにチャンスがある走りをしてくれた。それに尽きます。ダービー(日本選手権)があって地元記念も続いて、(そのあとに)一息ついたところもあった。(調子は)良くも悪くもなく普通。まだ調子を上げていく段階ではないですね」
 4月の高知記念の初日に落車した森田優弥は、右鎖骨を骨折。そこから1カ月半以上のブランクで、今シリーズに復帰する。
 「(練習は)1、2週間くらいですね。高知が新車だったんで、(それで落車したんで)今回は戻した。(怪我はしたけど)いろいろ得るものがあって良かった」

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深谷知広選手
深谷知広選手
 前回の平塚記念をオール2着で勝ち上がった深谷知広(写真)は、決勝では南関ライン4車の先頭を務めて敢然と風を切った。地元ワンツーに大きく貢献したパワー先行でインパクトを与えた。
 「(前回は)なんとか走り切れたって感じですね。(ヒザの痛みも含めて、体の方は)注意を払って、レースまでに支障がないように仕上げられたかなと。(そのあとも)体調的にはあんまり変わらない。まあまあの練習はできたかなと。(青森は)相性もいいし、あとは自分次第かなと」
 2月の全日本選抜では、脇本雄太とのワンツーで準V。前回の日本選手権では初戴冠も期待された寺崎浩平だったが、4走で未勝利に終わった。
 「(日本選手権は)全然、良くなかった。(体調も内容も)どっちもですね。(そのあとは)しっかり練習してきました。状態は悪くないと思うし、数値も悪くない。あとは気持ちとか、ちょっとの調整だと思います」
 坂井洋は、前回の地元、宇都宮記念を6213着。決勝進出も優勝に届かなかっただけに、納得のいくシリーズではなかった。
 「(前回は)感触は良かったけど、結果が…。(そのあとは)練習はいつも通りやってきたけど、疲労からか1回、風邪を引いてしまった。(体調は)回復はしたけど、(競技のために)カーボンをメインに乗っていたんで、(感触の方が)わからない感じですね」