『全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪レポート』 初日編

配信日:5月26日

 青森競輪場で「全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪(FII)」が、5月26日に幕を開けた。2日間の短期決戦の今シリーズは、初日から熱戦が展開された。メインの優秀では、吉澤純平、吉田敏洋、佐藤慎太郎がそれぞれ白星を飾った。27日の最終日には、優秀を勝ち上がった9選手による「スーパープロピストレーサー賞」が行われる。
 本場では開催中の2日間ともに、オリジナルグッズ(最終日はオリジナルクリアファイル)を先着で500人にプレゼント、自転車4台をトラックに搭載した次世代バーチャル自転車ゲーム「サイクルスピリッツ体験コーナー」、「VR3(ブイアールキューブ)体験コーナー」、「キッズ広場&お子様プレゼント」など、様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。また、27日の最終日には、「仮面ライダービルド」のショーなども予定されています。ぜひ、青森競輪場へ足をお運びください。

開会式
開会式
サイクルスピリッツ
サイクルスピリッツ
田名部生来 じゃんけん&トークショー
田名部生来 じゃんけん&トークショー
プロレスリング ZERO-ONE
プロレスリング ZERO-ONE

<1R>

佐々木豪選手
佐々木豪選手
 佐々木豪(写真)を警戒しながら、赤板の2コーナーから押さえて出た谷口明正が主導権を握る。すかさず巻き返した佐々木だったが、谷口がペースを上げると7番手に出戻り態勢を整える。最終1コーナーから再度踏み上げた佐々木が、ゴール寸前で前団をとらえて1着。
 「思ったより6番(谷口)の方がフカしてたんで、相手にしてしまうと自分もダメになってしまうとちょっと落ち着いた。道中、バンクも軽かったし、しっかりと回して最後は届きました。(仕掛けて)行こう、行こうとしているんですけど、思いと体が一致しない。(中4日で)フワフワしてる感じがあって、足に張りがなかった。これで張りが出てくるんじゃないかなって」
 逃げた谷口マークの高橋和也は、最終2コーナーから番手発進。長島大介に一度は出られたものの、内から盛り返して2着。
 「谷口さんがあんなに行ってくれるとは思わなかった。谷口さんのおかげです。ただ、長島君がすぐに横に来てたんで、慌てて内に踏んで行った。最後は内に行き過ぎて直線は伸びなかった」

<2R>

稲毛健太選手
稲毛健太選手
 佐藤幸治、山賀雅仁、根本哲吏の順で出て、前受けだった稲毛健太(写真)に打鐘で反撃のタイミングが回ってくる。稲毛が素早い反応で、最終ホーム過ぎに主導権を奪い逃げる。直線で追い詰める中井太祐を稲毛が振り切って1着。
 「最悪、詰まったら引くよりも、内かなと。それに根本さんがあのままムチャ駆けするのかなっていうのもあって、嫌な展開ではありました。まぁ、なんとかです。(状態は)変わらないです」
 「向こう(稲毛)がしっかり踏めてましたね」とは、番手から稲毛を交わせず2着の中井太祐
 「番手は慣れてないんで、余裕がなくて必死でした。ただ、こうやって番手を回らせてもらうといろいろ勉強になります」
 近畿コンビにソツなく続いた西村光太は、3着にホッと一息つく。
 「ちぎれんでよかった。前回の京王閣から1週間で1000キロ以上乗ってきた。京王閣はひどかったけど、(初日は)久しぶりに余裕があった」

<3R>

松岡健介選手
松岡健介選手
 中団から合わせて出てきた嶋津拓弥の動きを制して打鐘から金子幸央が先頭に立つが、そこをすかさず中井俊亮が仕掛けて4コーナーから主導権を奪う。番手の松岡健介(写真)は2コーナーから徐々に車間を切って後続をけん制。ゴール寸前で計ったように中井をとらえて、近畿ワンツーを決めた。
 「久々の1着。よかったです。みんな脚を使ってたし、僕もちょっとずつ空けて。でも中井の頑張りに尽きます。余裕はあったし、2人で決まる展開だった。決まってよかったです」
 逃げた中井俊亮は末よく2着に粘った。
 「前(金子)も踏んでたけど、上手く叩けて残れたんでよかったです。出てからは自分の持つペースで。脚の感じ的にはいいと思います」
 3番手に入った金子幸央だったが、松岡の絶妙な車間の切り方に身動きが取れず。
 「中井君に出られたけど、引いて3番手で立て直そうと思ってた。でも(松岡の動きで)車間を空けようと思っても空かなくてキツかった。苦しかったですね。しっかり前々に踏めてるんで、(状態は)いいと思う」

<4R>

佐藤博紀選手
佐藤博紀選手
 伊藤裕貴が切ったうえを永井清史が打鐘から叩いて主導権を握る。すかさず巻き返した久米康平だったが、外に浮いて不発に。8番手まで下げた佐藤博紀(写真)は2コーナーからまくると、好回転で前団を飲み込んだ。
 「行けたからいいけど、上じゃあれはダメですね。引くなら早めに引いて態勢を整えるべきだった。後ろの河野(通孝)さんに悪いことをした。行くときはどうかな?と思ったけど、そのまま乗って行ったんで思ったよりも出ましたね」
 先に動いて3番手を確保した伊藤裕貴だったが久米の動きでかぶってしまったところを佐藤に行かれてしまう。2センターでようやく単独になると直線鋭く追い込んだ。
 「後ろ攻めから考えようと思ってました。永井さんのかかりもよかったし、ペースもよかった。でも2コーナーから行くべきでしたね。見栄えはあんまりよくなかったけど、組み立て自体は悪くなかった」
 永井の逃げに乗った坂上忠克が展開を生かして3着に。
 「(後ろが伊藤で)一応、中部ラインになってましたね。僕は恵まれただけです。それしかない。2日目も恵まれます。今からお祈りの準備をしてきます(笑)」

<5R>

西川親幸選手
西川親幸選手
 赤板ホームから石塚輪太郎が先行態勢に入ると、打鐘から佐藤悦夫が追い上げて石塚の番手を奪う。佐藤の動きに続いた飯野祐太がホームから巻き返すが、佐藤のブロックで失速。止めた佐藤もバックから石塚との口が空きはじめる。飯野の動きを追った堀内俊介が2コーナーまくりで石塚を飲み込んだが、競り負けた西岡正一後位からバックで自力に転じた西川親幸(写真)が堀内に追いつき、そのまま逆転した。
 「バックが向かいで自分だけが脚を使っていなかった。想像以上(の伸び)でした。前が重なっていたので追い上げようと思った。点数稼ぎに必死ですよ」
 堀内俊介は飯野後位にスイッチして2コーナーからまくり出るもゴール前で西川の強襲に屈した。
 「競技の方の練習をしているせいなのか最近ずっと重くて。でも重かったけど、それなりに進んでくれた。内容が悪いのは修正しないといけないですね。最後はまさか西川さんが来ているとは思ってもいなかったですね」
 援軍を失う形となり4着に沈んだ石塚輪太郎だが兆しが見えた様子。
 「4着になったけど、久々にいいレースができたと思う。少し前まではギアで悩んで自分のスタイルを崩していたけど、やっと方向性が見えました。あとは純粋に脚力を付ければ、もっと大きな舞台でも戦えると思う」

<6R>

取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 打鐘手前で出た坂本貴史に取鳥雄吾が襲い掛かる。坂本も外にけん制しながら踏み込むが、スピードの違いで取鳥が叩いて先行策。内から盛り返した天田裕輝が中団に入り、中四国ラインの3車が出切る。逃げる取鳥との車間を空けた池田憲昭が、直線で余裕をもって交わした。
 「(別線が)ドンのドンっていっての形だった。取鳥の力だったら、誰が本気で駆けてしまっていても行ってしまうんで。変に動くより取鳥が出し切れるようにと思ってました。自分は来る前にギックリ腰をやってしまったけど、(番手で)余裕がありました。ギックリ腰は慣れているんで」
 別線をクギ付けにした取鳥雄吾(写真)が、内容のあるレースで2着に粘り込んだ。
 「中団から(出ていって)突っ張ってもいいかなっていうのもあったけど、ノリさん(池田)が落ち着いてやろうってことだった。だからフタをされても(坂本が)切ったたところをすかさず行こうと。2着までがノルマと思っていた。ただ、あそこまでいったら、もうアタマっていうのはあった。めちゃくちゃキツかった」

<7R>

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 後攻めから前に出た横山尚則を松浦悠士が切ると、そこを渡邉雄太が叩いて打鐘先行。5番手に下げた横山が最終ホームで巻き返すも松浦のけん制で不発に。最終バック手前からまくり上げた松浦は4コーナーで前団を飲み込んだが、渡邉マークの和田健太郎(写真)が阿竹智史をドカしながら中割り鋭く突き抜けた。
 「雄太が頑張ってくれましたよ。松浦君の仕掛けに対する僕の反応が少し悪かった。最後は伸びて1着を取れたけど、それは雄太が他のラインを削ってくれたおかげなので」
 2着の松浦悠士だが、位置を取って、さばいて、まくりと持ち味を存分に発揮したレースに納得の表情。
 「組み立てはイメージ通りでしたね。記念を獲った雄太をまくり切れているのだから悪くないでしょう」
 中川誠一郎が不発の展開から内、外俊敏に立ち回った大塚健一郎は4着でダイナミックステージへ駒を進めた。
 「誠一郎はたまたまダメだったけど、いつもまくってくれているから。初速にも離れず付いていけているし、状態は問題ないと思います」

<8R>

北野武史選手
北野武史選手
 後ろ攻めから早坂秀悟にフタをした根田空史は打鐘過ぎから前に出ると、すかさず踏んで来た早坂を出させずハイピッチで駆ける。これで前受けから3番手に入った柴崎淳に絶好かと思われたがバックまくりは不発に。柴崎の仕掛けに口が空いた北野武史(写真)だったが、岡村潤が柴崎をけん制して空いたコースを鋭く割った。
 「何となくラッキーしました。ちょっと口が空いて恥ずかしかったけど。小松崎(大地)が狙ってそうな雰囲気だったのでチョンとやったときに柴崎に行かれた。最後に中を行けたのはラッキーだけです。でも脚は悪くないと思う」
 中団確保から直線で外を回した井上昌己が2着に突っ込んだ。
 「北野さんが離れて3コーナーでバック踏んじゃった。なかなか1着取れないね。突き抜けそうな展開だったけど、アタマまで伸びないのは何か悪いんでしょうね」
 逃げた根田空史は3着に粘った。
 「無印なんで、やってやりました。早坂さんは前からと思ったら違ったんで、早めにフタをした。引かれたらキツかったけど、そのまま内にいてくれたので展開も向きましたね。4コーナーで柴崎さんを合わせて夢を見ました。今回から新車。サイズは変わらないけど、へたってない分踏み出しが楽ですね」

<9R>

和田圭選手
和田圭選手
 山田久徳が動いたうえを和田真久留が打鐘で叩いて前に出るが、そこを強引に新山響平が仕掛けて最終ホームから主導権を奪う。1センターから山田が巻き返すが、これをけん制しながら直線で踏み込んだ和田圭(写真)が1着でゴールした。
 「最低限の仕事はできたと思うけど、まだまだ技術が足りない。もっとうまくやれたと思うし新山君を残せたと思う。1着を取ったけどその辺が反省点ですね」
 バック8番手から山田の仕掛けに続く形で大外を踏んだ松岡貴久が2着に強襲した。
 「三谷(将太)君の動きを見てから仕掛けてしまったし、ホームでも行けるタイミングがあった。スタートで動かなかった時点で後方になることは予想できていたので、行けるところで行かないとダメですね。ただ脚はうまく溜められたと思う」
 地元開催で気合が入っていた新山響平だが、最後の最後に末を欠いた。
 「パワー系の練習を取り入れてから脚の疲労がなかなか取れなくなってすごく重たいことが多くなっている。でもそのなかで自分の形に持っていけたのは悪くないので、プラスにとらえたい」
 新山に叩かれた和田真久留は踏むタイミングが遅れたことを悔しがる。
 「自分が新山君に挑まなければ、完全に新山君のペースになってしまう。打鐘までは理想の形でビジョンを見ながら踏んでいたのに気が付いたら新山君が巻き返しにきていて。あとワンテンポかツーテンポ早く踏み上げていれば合わせることができていたと思う。そのミスだけですね」

<10R>

吉澤純平選手
吉澤純平選手
 別線の動きを冷静に見極めてサッと下げた吉澤純平(写真)が、赤板の2コーナーから踏み込んで先行策に出る。諸橋愛がわずかに遅れると、古性優作が番手に飛び付く。逃げる吉澤後位を古性が踏み勝って続く。ロングまくりの山田英明を古性がけん制。直線でもうひと踏ん張りした吉澤が、後続をシャットアウトして押し切った。
 「(仕掛けたのが)早めだったんで、(古性が)飛び付くとは思わなかった。自分も見えなかったし、(後ろでは)諸橋さんが全部やってくれているんだと思った。古性も脚を使ってた。それにヒデさん(山田)は古性がやってくれた。自分はいっぱいで残れる感じはなかった。距離を踏めたし、(積極的な仕掛けに)迷いはなかった。力を出し切って、結果がついてきたんでよかった」
 山田ラインにかぶって仕掛けが遅れた浅井康太は、最終3コーナーからようやく踏み出す。直線ではシャープな伸びで2着に届いたが、組み立てを反省する。
 「内容はすごく悪いけど。脚はすごく伸びている。小倉(竜二)さんと接触したんで、そこから態勢を立て直して踏んだ。1着に来られるくらいの伸びはあった」
 「力の違いを感じました」とは、吉澤の番手を奪うも、直線で伸びを欠いた古性優作
 「しっかり駆けるか、3番手でと思ってた。飛び付くつもりはなかった。でも、遅かったんで。(最終)3コーナーは踏みたかったけど、タテに踏めなかった。(山田を)もっていって差しにはいったんですけど…。(動きは)悪くはないと思う」
 最終バック9番手から浅井を追った金子貴志だったが、6着が精いっぱい。
 「しょうがないですね、展開も厳しかった。(調子は)悪くないと思うけど、初日(の展開)じゃわからない」

<11R>

吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 6番手から先に動いた三谷竜生を竹内雄作が打鐘前の2コーナーで叩いて先頭に立つ。木暮安由が俊敏に追い上げ3番手をキープし、三谷は5番手、原田研太朗は7番手に置かれてしまう。最終2コーナーから三谷がまくり、さらに外を原田も踏み上げるが伸び切れない。竹内マークで絶好となった吉田敏洋(写真)が直線鋭く抜け出した。
 「雄作はどんどんよくなっているんじゃない? 本人も手応えを感じているはず。でも最後は完全に僕のミス。後ろを見て前を見たら雄作に差し込んでしまったので。僕にもうちょっと技量があれば決められたのかな。(感じとしては)前回と変わらず。そこそこ走れてるかな」
 3番手をキープした木暮安由が竹内マークから抜け出した吉田に続いて2着。
 「3番手を取れたし、中村さんの援護もあっての2着。吉田さんの動きを気にし過ぎて仕掛け遅れたかな。脚の状態は問題ないです」
 ダービー王、三谷竜生は5番手からのまくりが伸びずに5着に終わった。
 「木暮さんが前にいるのも分かって仕掛けて出切れていないので…。調子は悪くないと思うけど、行けていないのだから修正しないと」

<12R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 中団の太田竜馬にフタをして稲垣裕之が打鐘から主導権を握る。これでスンナリ中団を取った平原康多は2コーナーまくり。村上博幸のけん制を乗り越えると、続いた佐藤慎太郎(写真)がゴール前で逆転した。
 「平原を差せたのは自信になるね。一番強い選手でしょうから。平原は上手いし、強い。平原の存在があるから、あんな動きに成ったんだと思う。平原が今まで積み上げてきたものが生きたレースだったね。番手と3番手じゃ違うし、番手を回してくれた成田にも感謝ですね」
 2着の平原康多は呼吸を整えながらレースを振り返る。
 「すんなり中団だけど自分の体が緊張からか呼吸が荒くて整わなかった。でも、あの位置を回ってまくり追い込みじゃかっこつかないんで行きました。慎太郎さんに抜かれたことに不満はないし、ラインで決まってよかったです」
 3着は同着。村上にからまれながらも、これをしのいだ成田和也が選考順位で太田竜馬を上回り「スーパープロピストレーサー賞」に勝ち上がった。
 「からまれたのは流れのなかでなんで。でも悪くないですね。最後も踏み勝てたし。同着かあ…。内しか見てなかったけど、太田君の勢いが違いましたね」
 平原の仕掛けに続く形で外を回した太田竜馬だったが3着同着。成田をとらえることはできなかった。
 「届いたと思ったけど、一緒(同着)だったですね。ああなったらあれしかないと思ったし、脚の感じはいつもよりはよかった」