レース展望 東西王座とは ファンサービス テレビ放送予定 参考データ 優勝者の横顔

注目の出場選手

 昨年末のKERINグランプリ05は無念の落車に終わった佐藤慎太郎だが、06年の初戦・高松GIIIでは準優勝と周囲の不安を一掃してみせた。佐藤にとっての東王座戦は最近3大会は優出なしと相性がいいとは言えないが、今開催と同じ伊東温泉競輪場で開催された第1回大会では準優勝と好成績を残している。その鋭い差し脚と的確な位置取りは短走路の当地での勝機は十分にあり、その動向には十分注意したいところ。
佐藤慎太郎
佐藤慎太郎(福島)
 
関東勢VS北日本の争いか
 
 やはり、注目は関東勢だろう。グランプリ出場組の武田豊樹、神山雄一郎、後閑信一に加え、手島慶介と兵藤一也らが揃った布陣は他地区にとっても脅威に映るはずだ。グランプリ出場組の3名は連係実績、相性ともに抜群なだけに、連係時は上位独占は一考したい。

 戦力的に見ても関東と双璧をなすほど充実しているのが北日本勢だ。近況、充実の一途を辿っている先導役・山崎芳仁を擁し、伏見俊昭、岡部芳幸の福島両者に齋藤登志信、有坂直樹と上位選手が勢揃いし、好勝負に期待が懸かるところ。とくに、岡部は過去4回の同大会で3度の優勝を飾っている、「東王座男」。その相性の良さは群を抜いており、4度目の優勝も十分にあり得る。

 南関東は総合力的には劣勢な感は否めないところではあるが、勢いある海老根恵太や高木隆弘を中心に虎視眈々と逆転を狙う。とくに、高木は地元戦では並々ならぬ覚悟で臨んでくる選手だけに、必勝を期してくるはずで、警戒したい。
神山雄一郎
神山雄一郎(栃木)
海老根恵太
海老根恵太(千葉)
   
レース展望
 
海老根恵太の本格化で地元勢に追い風が吹く
 
 第5回東王座戦が伊東温泉競輪場で開催される。東王座戦は毎回、北日本と関東の2大勢力の激突が中心だが、今年は南関東の躍進が大いに期待できる。
 東王座戦は北日本、関東、南関東の3地区対抗戦だが、これまでの大会を見ているとやはり北日本と関東の真っ向からの激突がメインで、昨年の大会では南関東の選手は優出すらできなかった。しかし、今年は風向きが変わって、地元・南関東に追い風が吹きそうな気配がある。
 
 
 先の競輪祭では新鋭・海老根恵太が準優勝と大健闘、佐々木龍也も決勝戦では番手を守り切れなかったが、勝ち上がりは3連勝と好調ぶりを見せつけていた。加えて関東勢は競輪祭での優出がなかったし、北日本勢もいまひとつの状態で、南関東勢に大きなチャンスが巡ってきそうだ。
 海老根はヤンググランプリを制してからグングンと力をつけてきて、今や南関東一の先行選手にまで成長した。成績の上昇とともに捲りを多用するようになり、一時は伸び悩みの罠にはまっていた時もあったが、秋口から先行主体の走りに戻すことによって伸び悩みも解消され、全日本選抜競輪ではGI初優出を達成、競輪祭では初タイトルにあと一歩のところまで迫った。今回はもちろん海老根のビック初制覇に期待がかかる。
海老根恵太
海老根恵太(千葉)
   
 地元代表は新田康仁だ。1カ月の欠場明けの競輪祭ではやや精彩がなく、東王座戦までの立て直しは難しそうだが、萩原孝之や石橋慎太郎らの積極的な若手との連係があればチャンスが出てくるし、地元ファンの声援に後押しされての勝ち上がりも十分にあり得る。
新田康仁
新田康仁(静岡)
   
 
ヤンググランプリ覇者の山崎芳仁が海老根恵太に続いて大化けする
再び連係がギクシャクし始めた岡部と佐藤
 
 北日本は相変わらずの機動力の充実ぶりだが、肝心のエースの・伏見俊昭がやや低調で、仕掛けどころで後手を踏まされて捲り不発になったり、脚を余らせたまま惨敗するケースが目立っている。脚力的にはほぼ戻っていると見ていいが、悪い時のイメージをいまだに引きずったままなのか、思い切りよく飛び出していく勇気を出せずにいるようだ。競輪祭の準決勝では、小嶋敬二を叩きに行っていたが、仕掛けのタイミングが好調時の時よりもツーテンポほど遅く、結局は叩き切れずに終わっている。
 ただ、ここ数年の伏見の成績を見てみると、毎年競輪祭では調子が良くなく、ライバルの小嶋敬二や村上義弘のいない東王座戦で逃げまくって調子を取り戻していくというパターンになっているので、今年も伏見の積極的な走りが期待できる。
伏見俊昭
伏見俊昭(福島)
   
 東王座戦では岡部芳幸が3度も優勝しているが、いずれも伏見後位からの抜け出しでの優勝なのだから、東王座戦では毎年、伏見率いる北日本勢がシリーズの主導権を握ってきたことがよく分かる。伏見が1年のうちで最も積極的な走りを見せてくれるシリーズといってもいい。
 
 北日本では山崎芳仁、渡邉一成、成田和也らの80期代の若手選手の走りも楽しみだ。とくに山崎は競輪祭では準決勝で先行して7着に敗れるも佐藤慎太郎の優出に大きく貢献しているし、4日目特選では佐々木則幸を相手に堂々と逃げ切っている。また昨年末のヤンググランプリで圧倒的な脚力の差を見せつけて優勝している。海老根恵太もヤンググランプリを優勝してから急成長を遂げており、山崎もそろそろ大化けがありそうだ。
山崎芳仁
山崎芳仁(福島)
   
 ただ、ひとつ気になるのは佐藤慎太郎と岡部芳幸の連係が再びギクシャクし始めたことだ。競輪祭の決勝戦では自在型の岡部が追い込み型の佐藤の後ろ回りを選択して、佐藤が3人いた北日本ラインの先頭を走ることになった。岡部が後ろ回りを選択した真意がファンには分かりづらいし、佐藤も納得ずくの前回りではなかった。
岡部芳幸
岡部芳幸(福島)
   
 山崎芳仁や渡邉一成らの若手の成長を見据えて、完全な追い込み型への転向を考えているのか、例年通りに北日本勢が決勝戦に大挙して乗ってしまった時には並びはどうするのか、興味の尽きない4日間となるだろう。
 
 関東は武田豊樹の失速が響いて、競輪祭ではひとりも優出できなかった。現在の武田を見ていると、超大物ルーキーと呼ばれながらもなかなかタイトルが獲れなかった頃の神山雄一郎のイメージとダブるところがある。武田の場合は年齢的な焦りもあるので、余計に気持ちと体の歯車が噛み合っていない感じだ。
 それでも、一度でいいから本来の武田らしいパワー先行で押し切れるレースがあれば、それをキッカケにして再び上昇気流に乗ることができるはずだ。そのためにも今回は1走目の走りが何よりも重要で、初日から積極的な力強い走りができれば、そのままトントン拍子で勝ち上がっていくことができるだろう。
武田豊樹
武田豊樹(茨城)
   
   
競輪祭で4日間逃げまくった平原康多が台風の目だ
神山が武田の番手を死守して優勝を狙う
 
 関東のエース・神山雄一郎は、競輪祭の準決勝では目標にした伏見俊昭と共倒れで優出を逃してしまった。さすがの神山も、かつてのようにどんな展開でも勝利を狙えるというわけにはいかなくなり、勝敗が目標や展開に大きく左右されるようになってきた。
 もちろん、栃茨ラインの武田豊樹が本来の力強さを取り戻せれば、神山にも大きなチャンスが訪れるし、昨年もオールスター競輪を制覇しているように、ビッグレースで優勝を狙える脚は十分にある。
 3地区対抗の東王座戦では組み合わせによっては関東の選手同士での競り合いもあるが、レース巧者で名高い神山だけに目標さえしっかりしていれば順調に勝ち上がっていけるだろう。競輪祭の二次予選でも、先行した武田をできるだけ残そうとして、渡邉晴智に交わされてしまったが、武田をきっちり交わしての2着で、武田をしっかり3着に残している。 
神山雄一郎
神山雄一郎(栃木)
 
  平原康多がヤンググランプリでの準優勝のあと、地元の大宮記念でも準優勝と好調だ。決勝戦では関東同士の矢口啓一郎と別線だったが、先行した矢口ラインの3番手をうまく取り切って、矢口を捲り切っている。競輪祭では一次予選は先行して7着まで沈んでしまったが、2日目選抜は逃げ切り、3日目特選は松岡彰洋や三宅達也を相手に逃げて2着、4日目特別優秀は小嶋敬二を相手に逃げて3着とレース内容は申し分なく、平原の先行に乗って藤原憲征と小橋正義がそれぞれ勝ち星をあげている。今回も海老根恵太や山崎芳仁といっしょに東王座戦を大いに盛りあげてくれそうだ。
平原康多
平原康多(埼玉)
 
  毎年、東王座戦は伏見俊昭率いる北日本が優勢で、優勝者も伏見ラインから抜け出した岡部芳幸が3度も優勝している。
 しかし、今年は平原をはじめとして海老根や山崎らの若手の活躍が大いにありそうで、ひょっとすると昨年の西王座戦のように決勝戦は20代の選手ばかりになる可能性もないとはいえない。
 
  関東では手島慶介も好調だ。昨年11月の地元・前橋記念で完全優勝を達成、全日本選抜競輪では準決勝まで勝ち上がっている。競輪祭は二次予選で敗れたが、一次予選と3日目特選で得意の捲りで2勝している。東王座戦は関東の選手が多過ぎるので不利な番手を強いられるケースが多くなるが、ここも得意の捲りで勝ち星をあげてくるだろう。
手島慶介
手島慶介(群馬)
 
   
PAGE TOP

岡部芳幸が地元バンクで連覇を達成
東王座の思い出
 第2回東王座戦では北日本から6人が優出、そのうち3人が地元の福島勢で、北日本は3人ずつの別線勝負となった。並びは伏見俊昭-金古将人-岡部芳幸、齋藤登志信-有坂直樹-松井一良、栗田雅也-松永晃典-神山雄一郎の3分戦。赤板から栗田がゆっくり上昇して打鐘から先行態勢に入ると、齋藤もすかさず踏み上げるが、栗田が突っ張る。齋藤は4番手まで下げ、伏見は7番手。最終バックから捲った伏見が並びかけると、神山が張り気味に仕掛け、神山が内に戻ったところでインを突いてきた金古と接触、金古、松永、栗田の3人が落車。伏見後位から直線強襲の岡部が東王座戦連覇を達成、伏見が2着、3着の神山が失格で、有坂が繰り上がりの3着だった。

第2回東王座戦優勝 岡部芳幸


短走路だが、どんな戦法でも力を発揮できる
伊東バンクの特徴
 333バンクだが、直線が長いので400バンクの感覚に近く、どんな戦法の選手でも存分に力を発揮できる。
 以前は2コーナーのあたりが走りづらい走路だったが、98年に改修してからは走りやすいバンクになり、コーナーも軽く回れるようになったので、自力型ばかりではなく、追い込み型からも好評で、外からも競りやすくなった。333バンクだが、内外互角の激しい競り合いがよく見られる。
 先行有利が基本で、打鐘で先頭に立っていないと苦しく、捲りも3角前にハナに立っている必要があるが、直線は力さえあればどのコースもよく伸びるので、遅めの捲り追い込みになっても十分に勝負になる。
 333バンクにも関わらず、交わしの交わしといった直線での逆転劇もよく見られる。とくに4コーナーから中バンクによく伸びるコースがあるので、捲りに乗ってきた選手が外から伸びたり、目標の選手が捲り不発になっても、そのまま中バンクから伸びてくるケースも少なくない。
 伊東温泉といえば、94年に吉岡稔真が18連勝を達成したバンクとして記憶しているファンも多いだろうが、17連勝目の準決勝では大ピンチの7番手からの捲りが届いており、333だが、力さえあれば後方からの巻き返しも十分可能なバンクとなっている。
 また99年に開催されたふるさとダービーの決勝戦では、主導権を握った齋藤登志信-高木隆弘の3番手から中を割った鈴木誠がシャープに伸びて優勝しており、400バンクに近い感覚で直線での逆転劇を期待できる。

 周長は333m、最大カントは34度41分09秒、見なし直線は46.6m。山の中腹にあって特別観覧席も高いので、海や山からの風の影響はほとんどない。ただ、冬はバック向かい風が多くなり、周囲の建物にはねかえって複雑に吹くこともある。直線での逆転劇がしばしば見られるが、基本的にはやはり主導権を取ったラインのスジ決着が多い。

伊東バンク


PAGE TOP