小嶋敬二は今年初戦の高松GIIIでは準決勝敗退と精彩を欠いたが、先行力が現在の競輪界でも傑出していることは誰もが認めるところだろう。しかも、今開催は東王座戦同様、短走路の奈良競輪場での開催で、先行選手有利と言える。また、昨年はビッグレースで抜群の安定感を発揮、コンスタントに優出していた事実も見逃せない。小嶋の持ち味でもあるパワー溢れる豪快なレース運びで他を圧倒してしまう可能性が高そうだ。 |
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小嶋敬二(石川) |
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タレント豊富な中部勢が中心 |
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各地区に強豪がひしめき混戦模様の西王座戦だが、主力を担うのは現在、乗りに乗っている中部勢だ。その中心は先述の小嶋と12月に全日本選抜とKEIRINグランプリ05を連覇、一躍スターダムにのし上がった加藤慎平。その加藤と先述の小嶋を軸に、金子貴志や山内卓也、山口幸二らで好結束すれば、その牙城を崩すのは容易ではない。
この中部勢に対抗する急先鋒は九州勢。ただ、小野俊之、合志正臣と追い込み型は揃ったが、先行型が手薄で、特別選抜クラスでは吉岡稔真と荒井崇博だけという点が心配される。しかし、個々の実力は争覇級であることは間違いない。
四国勢は佐々木則幸が浮沈の鍵を握っており、連係が濃厚な小倉竜二は競輪祭に続くビッグ連覇に期待が懸かる。
近畿からは村上義弘が参戦。昨年は不振が続いていたが、12月の広島GIIIでは迫力満点の先行逃げ切りで優勝を飾り、復活を強烈にアピールしている。地元・近畿地区での開催とあって、必勝を期してくるはず。 |
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加藤慎平(岐阜) |
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村上義弘(京都) |
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競輪祭に続いて世代交代が加速する |
短走路が舞台で今年も勝ち上がり戦は波乱の予感 |
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第5回西王座戦が奈良競輪場で開催される。昨年の大会は決勝進出者がすべて20代のフレッシュな組み合わせとなり、山内卓也がビッグ初優勝を飾ったが、今年も自力型有利の短走路が舞台だけに若手選手の大活躍が期待できる。 |
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今年の競輪祭も例年通りの波乱の勝ち上がりとなり、決勝戦は新鋭・海老根恵太のほぼ先行一車の組み合わせとなった。優勝は吉岡稔真の捲りに乗った小倉竜二だったが、吉岡も小倉も万全の状態だったとは言い難く、西日本勢で本当に好調だったと言えるのは加藤慎平ぐらいだろう。決勝戦は仕掛けのタイミングが早すぎたのが最大の敗因で、経験不足を露呈してしまったが、今最も乗れている選手であることは間違いなく、もちろん今回も優勝候補のひとりに数えられる。 |
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加藤慎平(岐阜) |
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冬場はトップレーサーたちといえども体調管理が難しく、1月の競輪祭と3月末の日本選手権競輪の狭間に開催される東西王座戦では、万全の状態でレースに臨める選手は少ないと考えたほうがいい。昨年の西王座戦の決勝戦は20代の選手ばかりになってしまったし、それ以前の大会の決勝戦でも、小嶋敬二や村上義弘や山田裕仁が順当に勝ち上がってはいるが、優勝者は伏兵的な存在の選手たちばかりである。 |
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自力型の連絡みも少なく、小嶋にしても村上にしても西王座戦の決勝戦では3着が最高である。歴代の優勝者は先手ラインの番手か3番手の選手、あるいは中団から脚をためての大外強襲で、捲りのラインは不利になっている。そして今回は333バンクの奈良が舞台なので、先手ラインがますます有利になるだろう。
小嶋や村上や吉岡らのビッグネームたちが競輪祭の時と同様に調子があまり良くなく、後手を踏まされる展開が多くなれば、昨年同様に決勝戦は若手選手たちの多い組み合わせとなるだろう。 |
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吉岡稔真(福岡) |
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村上義弘が地元で完全復活を目指す |
いきなり失速した小嶋敬二の立て直しに注目 |
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昨年後半の競輪界をリードしてきた小嶋敬二が、競輪祭ではいきなり失速してしまった。初日特選こそ捲って2着だったが、残り3走は(7)(6)6の成績。その3走とも、山崎芳仁、石毛克幸、平原康多らの若手に叩かれて巻き返せずとレース内容も良くない。自力型は一度歯車が狂うと復調には時間がかかるので、競輪祭からわずか3週間後の西王座戦に向けて不安の残る結果となってしまった。333バンクで若手が積極的な走りを見せれば、再び小嶋不発の恐れが高くなってしまう。短期間で小嶋がどこまで立て直してこれるかが西王座戦の見どころのひとつになるだろう。 |
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小嶋敬二(石川) |
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小嶋と同様に昨年は中部の先導役として大活躍だった金子貴志も、1カ月の欠場明けの競輪祭では精彩を欠いていた。それでも敗者戦では金子らしいカマシ先行と粘り込みを見せていたので、早期の立て直しが期待できる。
中部は選手層が厚いので、仮に小嶋や金子の立て直しが間に合わなかったとしても、好調の波に乗っている加藤慎平や昨年末の岐阜記念で活躍した吉田敏洋らに引っ張られて、西日本の主軸の座は揺らぐことはないだろう。 |
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地元・近畿勢は復調気配の村上義弘を中心に必勝態勢で臨む。昨年2月の奈良記念では、京都同士の稲垣裕之と伊藤保文が敢えて別線勝負を選択、おかげで稲垣の番手を回ることができた奈良の大井啓世が稲垣の先行に乗ってホームバンクで記念初優勝を飾っている。近畿勢の中からなんとしても優勝者を出したいという思いが見事に結実したレースだったと言える。今回も村上を中心に近畿勢が一致団結して、小嶋率いる中部勢や吉岡率いる九州勢に立ち向かっていくだろう。 |
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村上義弘(京都) |
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村上はまだ完全とは言えないが、昨年暮れの広島記念では、記念すべき300勝目を記念優勝で飾っている。競輪祭では準決勝で7着と敗れたが、初日特選は逃げて2着、2日目ダイヤモンドレースは捲って2着と調子の良さを力強くアピールしていた。特に初日特選は新鋭の山崎芳仁を相手に主導権取りの見本を見せつけるような素晴らしいレースだった。復調途中とは言え、やはり先行日本一の称号にふさわしい選手は村上しかいないと言っていいだろう。
地元勢の追い込み型では残念ながら大井啓世は落車続きのために体調面に不安を残すが、競輪祭で初日特選とダイヤモンドレースを連勝した前田拓也が好調で、第2回の西王座戦の覇者の伊藤保文、ベテランの差し脚が光る郡山久二や酒井耕介らも決して侮れない存在だ。 |
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ファンの大声援を受けて吉岡稔真が勝ち上がる |
一発の魅力を秘めた中・四国の選手たち |
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西王座戦は毎年、小嶋敬二と村上義弘の2大先行の対決がメインにシリーズが動いていく。昨年は2人とも不調にあえいでいたので決勝戦は20代の選手ばかりの顔ぶれとなったが、今年は再び復調途中の村上と小嶋の対決が見どころになるだろう。 |
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この2人の対決が激化すれば、三宅達也や石丸寛之などの一発の魅力を秘めた中・四国の選手たちが間隙を縫って浮上してくる。
三宅達也は競輪祭では一次予選で無念の事故棄権となってしまったが、2日目選抜では捲って2着と調子はいい。安定性はイマイチだが、捲りの破壊力は天下一品だ。昨年11月の、奈良と同じ333バンクの防府記念では、準決Aで村上義弘の逃げを捲って快勝している。三宅の場合は好調そうに見える時でも3連発目の捲りが不発というパターンが多くなっているので深追いはできないが、今回も前半2日間の一次や二次予選などでは三宅の捲り一発が十分に狙っていける。 |
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三宅達也(岡山) |
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新鋭の三ツ石康洋も大ギアから繰り出される豪快な捲りに一発の魅力を秘めている。大ギアゆえに展開に左右される面が大きいが、競輪祭ではGI初勝利をあげており、今回も勝ち上がり戦での一発が期待できる。 |
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三ツ石康洋(徳島) |
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追い込み型ではやはり競輪祭で2回目のGI制覇を達成した小倉竜二に一発の魅力がある。GI決勝は01年の全日本選抜以来の5回目で2回の優勝というのだから、数少ないチャンスをきっちりと活かしきれる脚力とレース巧者ぶりは並大抵のものではない。 |
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小倉竜二(徳島) |
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九州では荒井崇博が好調だ。競輪祭では準決勝で敗れたが、二次予選は逃げて2着、4日目特選は伏見俊昭の逃げを豪快に捲って勝ち星をあげており、調子は上々だ。
吉岡稔真は競輪祭で優出を果たしたが、決して好調とは言える状態ではなく、まさに気力を振り絞っての勝ち上がりだった。今回も体調的にいって楽な勝ち上がりにはなりそうにもないが、吉岡人気は今も絶大で、ファンの熱い声援が吉岡を決勝戦へと導いてくれそうだ。 |
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荒井崇博(佐賀) |
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