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レース展望

 今年2月にリニューアルオープンした松山競輪場の「瀬戸風バンク」で初めてのビッグレースが開催される。小嶋敬二の寛仁親王牌優勝をきっかけに勢いを取り戻した中部勢、ふるさとダービー豊橋で中部2段駆けを粉砕した北日本勢、そして武田豊樹率いる関東勢の3大地区の三つ巴の戦いが中心だが、地元開催に燃える四国勢の頑張りも見逃せないシリーズとなるだろう。
 
完全に勢いをとりもどした中部勢が王国再建を目指す
先行意欲満々の小嶋敬二が中部勢を引っ張る
 
 かつては輪界を席巻していた中部王国もここ1年ばかりは鳴りを潜めていた感があったが、小嶋敬二と金子貴志の2大大砲に引っ張られて完全に勢いをとりもどした。選手層の厚さと機動力の豊富さも相変わらずで、今回も中部勢がシリーズの主導権を握っていくのはまずまちがいない。
 
 小嶋敬二は寛仁親王牌を優勝したあとはやや疲れが出たのか、四日市記念を欠場して小田原記念では優出を逃しているが、ふるさとダービー豊橋では再び連日の先行策に打ってでてきっちり優出を果たしている。決勝戦での金子貴志を連れての早駆けには賛否両論あるが、寛仁親王牌の逃げ切り優勝や豊橋の勝ち上がり戦での先行には20代の頃に戻ったような勢いと積極性がある。寛仁親王牌の優勝インタビューで、「なにをやっても勝てないと思う選手が現れないかぎり先行で頑張っていきたい」と語っていたのは嘘ではないようだ。
 機動力の面では北日本勢も中部勢に負けず劣らず充実しており、実際にふるさとダービー豊橋の決勝戦では小嶋-金子の2段駆けを粉砕しているが、積極性では北日本の選手のだれよりも小嶋のほうがはるかに上だし、今をときめく武田豊樹が相手でも小嶋は寛仁親王牌のときと同様に真っ向からの先行勝負を挑み続けていくだろう。小嶋が先導役を務めるかぎり、中部の選手たちは展開面で常に有利に戦えるだろう。
小嶋敬二(石川)
   
 金子貴志はふるさとダービー豊橋の決勝戦は慣れない番手回りと地元のプレッシャーに押しつぶされた印象があるが、勝ち上がり戦はまったく危なげない走りで絶好調を維持している。
 中部の注目選手はなんといっても山田裕仁だ。8月の松戸記念の初日特選は先行して山口富生とワンツー、次場所の函館記念の二次予選も先行して山口幸二とワンツーを決めるなど近況は思い切った先行策が多い。先行できるということは確実に調子が上がってきている証拠で、帝王・山田の復活の日は近いと見ていいだろう。
金子貴志(愛知)
   
 
北日本は若手の自力型も好調で、機動力の充実度は全国一番
北日本のエース・伏見俊昭が待望の復活優勝
 
 北日本では伏見俊昭の復活優勝が明るいニュースだ。伏見はふるさとダービー弥彦と寛仁親王牌で連続して二次予選敗退を喫したが、7月の四日市記念で今年2度目の記念優勝を飾っている。勝ち上がり戦では矢口啓一郎が強烈な捲りを連発、決勝戦でも矢口が一番人気に推されていたが、伏見は矢口を内に閉じ込める巧みな走りでまんまと逃げ切ってみせた。今はまだ復調途中で、小嶋敬二や武田豊樹を相手に真っ向勝負ができる状態ではないが、四日市記念のときと同様に、数々の修羅場をくぐりぬけてきた経験と実績に裏打ちされた巧みな走りで勝ち上がりのチャンスをつかんでくるだろう。
伏見俊昭(福島)
   
 齋藤登志信は持ち味の自在な攻めのスタイルがようやく完成の域に近づいてきたようで、寛仁親王牌に続いてふるさとダービー豊橋でも優出と好調だ。寛仁親王牌の準決勝では太田真一―神山雄一郎の関東ラインや渡部哲男を相手に突っ張り先行に出てまんまと逃げ切り、ふるさとダービー豊橋の準決勝では4番手からの追い込みで逃げる小嶋敬二をとらえて差し切っている。まさになんでもできる万能型で、今回も勝ち上がり戦での一発が期待できる。
   
 山崎芳仁、佐々木雄一、渡邉一成らの若手も徹底先行で好調で、機動力の充実度では中部を上回っており、岡部芳幸や佐藤慎太郎らは勝ち上がり戦で目標選びに苦労する心配はまずない。ふるさとダービー豊橋でも岡部は松崎伊佐央や齋藤登志信を目標に勝ち上がって優勝しており、今回も優出はもちろん優勝まで十分に狙っていける。
岡部芳幸(福島)
 武田豊樹は8月の松戸記念で通算4度目の記念優勝を飾っているが、近況はやや期待はずれのレースが続いている。松戸記念の決勝はほぼ先行一車の組み合わせで、後続のもつれを尻目にまんまと逃げ切ることができたが、7月の地元・取手記念の決勝では荒井崇博に主導権を握られ、6番手になった武田はまったく見せ場なく終わっている。8月の函館記念決勝も荒井に逃げ切られ、武田は3番手から仕掛けられずに終わっている。勝ち上がりのレースでは武田らしい豪快な逃げを披露していて調子自体にはまったく問題がないので、ここ一番で積極的に仕掛けられるかどうかが課題だ。とくに近況は小嶋敬二や金子貴志らの中部勢との対戦で後手を踏まされるケースが目立っているので奮起を期待したい。
武田豊樹(茨城)
   
   
渡部哲男が記念に続いて地元ファンの期待に応える
豊橋でビッグ初優出を達成した海老根恵太
 
 南関東では海老根恵太がふるさとダービー豊橋で待望のビッグ初優出を達成した。二次予選は7番手からの捲りで3着と薄氷を踏む思いの勝ち上がりだったが、準決勝は2着で通過、決勝戦も中団からの捲りであわやというところまで迫っていた。今年は5月の別府記念で記念初優勝、FIも優勝が3回と好調で、豊橋での優出をきっかけにさらなる飛躍が期待できる。
 ふるさとダービー豊橋では丸山啓一の頑張りも光っていた。二次予選では捲りで新藤敦とワンツーを決めて新藤の優出にひと役買い、準決勝では2車の短いラインながら思い切った先行策で見せ場をつくっている。 
海老根恵太(千葉)
 
 地元ファンの期待を背負うのが渡部哲男だ。3月の新バンク初の松山記念では準決勝が逃げ切り、決勝戦は5番手からの捲りでうれしい記念初優勝を飾っている。8月の松山FIでも逃げ切って優勝と地元選手の貫禄を見せつけている。ビッグレースでの優出はまだないが、寛仁親王牌では二次予選を1着で通過して準決勝まで勝ち上がっており、地元戦の今回も地の利を生かしての勝ち上がりを大いに期待したい。
渡部哲男(愛媛)
   
 四国の追い込み勢では小倉竜二が好調だ。ふるさとダービー豊橋は2カ月近くの欠場明けで優出こそはならなかったが、二次予選では佐々木則幸の捲りを差してワンツーを決めている。今回も地元の渡部をうまく援護してのワンツーを決めてくるだろう。
小倉竜二(徳島)
   
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オーソドックスな400バンクで追い込みが断然有利
中コースがあけば直線で一気に突き抜けられる
松山バンクの特徴
 市街地の城址公園内にあった旧・松山競輪場は500バンクだったが、今年2月に郊外のスポーツ公園内に移転して400バンクに生まれ変わった。
 オーソドックスな400バンクで戦法的には有利・不利はないとされているが、川沿いにあるうえにバック側に建物がないので、風の影響をかなり受けやすい。また、フェンスがアクリル板で風が吹き抜けないので、風の強い日はどこも向かい風になって重くなるという。
 3月に開催された記念の決まり手を見てみよう。全44レースのうち1着の決まり手は逃げが4回、捲りが8回、差しが32回、2着の決まり手は逃げが11回、捲りが5回、差しが19回、マーク9回となっている。
 追い込みが断然有利だが、逃げもそこそこ粘り込んでいる。ただ、冬場開催でバンクが重かったせいか、ほかの400バンクと比べると捲りの成功率がやや低めになっている。カントが緩めなので、脚力がしっかりしていないとコーナーで外にふくらみやすいし、スピードにも乗りにくいようだ。むしろ捲りよりも、中団待機でじっくり脚をためて直線に入ってからの一気の追い込みのほうがよく決まっていた。
 直線では中コースがよく伸びるようだ。中コースがうまくあけば、5、6番手からでも直線だけで一気に突き抜けることができる。
 3月の記念では中塚記生が6番手から、長谷俊昭が5番手から中コースを伸びて1着になっていたし、中団以降の選手が2着に突っ込んできて好配当になったレースも多かった 。

 周長は400m、最大カントは34度01分48秒、見なし直線は58.6m。追い込み有利だが、直線は見た目よりも短く感じるので先行もそこそこ戦える。捲りは早めに仕掛けたほうがよく、遅めの仕掛けでは3角に入ってから外にふくらみやすい。カントが緩いので競りはイン有利だが、風の強い日はインの選手が遅れ気味になる。




内林久徳が絶妙の捌きを見せて2連覇を達成
共同通信社杯の思い出
 内林久徳はだれもが認めるトップクラスの脚力の持ち主だったが、事故点に苦しめられることが多く、タイトルにはなかなか手が届かなかった。しかし、99年の35歳のときに第11回共同通信社杯競輪でビッグレース初優勝を飾ると、00年には同大会2連覇を達成して名実ともにトップスターの仲間入りを果たした。並びは太田真一-神山雄一郎-井上貴照、金古将人-斉藤正剛-有坂直樹、金山栄治-内林久徳-出口眞浩の3分戦。赤板で金山がゆっくり上昇して先行位に入るが、打鐘で金古がスパートして主導権を握る。4番手に入った金山が2角から捲るが、斉藤にブロックされて不発。すると内林は斉藤のインに切り込んで金古の番手を奪取する。太田を捨てた神山が大外から迫ってくるが、最後の直線は内林が一気に伸びて優勝、神山後位から伸びた井上が2着に入り、神山は3着だった。




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