競輪の歴史に残る名レース。感動と興奮が今、蘇る。
兄弟(村上義弘・博幸)の絆が生んだ感動のドラマ
第63回日本選手権競輪 決勝
2010/03/07(松戸競輪場)
出走表
村上 義弘 | 京都 | 73期 | 「魂の先行」完全復活 | |
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伏見 俊昭 | 福島 | 75期 | GPチャンピオンに2度輝いた北のエース | |
加藤 慎平 | 岐阜 | 81期 | 岐阜の練習グループ「闘心会」の総帥 | |
坂本 亮馬 | 福岡 | 90期 | 旋風を巻き起こす九州の若武者 | |
村上 博幸 | 京都 | 86期 | 兄・義弘の背中を見てここまで成長 | |
松坂 英司 | 神奈川 | 82期 | 神奈川にこのひとあり! | |
山口 幸二 | 岐阜 | 62期 | 中部を代表するベテランマーカー | |
井上 昌己 | 長崎 | 86期 | アテネオリンピック 銀メダリスト | |
山崎 芳仁 | 福島 | 88期 | 「4回転モンスター」の異名を持つ |
ライン構成
北日本・南関東ライン 九州ライン 近畿・兄弟ライン 中部ライン
レース展開
2010年3月7日、松戸競輪場。16時30分、スタートの号砲が鳴る。前を取ったのは、山崎・伏見の福島コンビ。残り2周の手前から坂本・井上昌己の九州勢が上昇、山崎を押える。山崎が下げ、坂本が先頭に立ちスローペースに持ち込む。
残り1周半、打鐘の手前から村上義弘が先行策に打って出る。弟村上博幸に加藤慎平・山口幸二の岐阜勢も続き近畿・中部勢が主導権を握る。坂本は5番手、山崎は7番手。村上義弘の先行に坂本・山崎は仕掛けられない。
最後の直線は、村上兄弟のマッチレース。粘る兄義弘をゴール寸前、弟博幸が交わし優勝。兄も2着に粘り、兄弟でのワン・ツーフィニッシュの決着となった。
GI決勝の大舞台で、村上義弘が選んだ作戦は「先行」。
ファンから「魂の走り」と絶賛される気持ちのこもったレースに他のラインはなすすべもなかった。
その兄の背中をみて「いつか追いつき、追い越したい」という弟がこの大舞台で全く臆することなく、最後はしっかり直線で兄を追い込んだ。
村上兄弟の苦労を知る多くのファンが、ゴール直後から表彰式が終了するまで、雨の降りしきる松戸バンクで、二人にエールを送り続けた。
西の横綱(吉岡稔真)・東の横綱
(神山雄一郎)の頂上決戦
KEIRINグランプリ 95
1995/12/30(立川競輪場)
出走表
吉岡 稔真 | 福岡 | 65期 | 「F1先行」と称えられる「西の横綱」 | |
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小橋 正義 | 岡山 | 59期 | 鬼脚2世の異名を持つガッツマーカー | |
高橋 光宏 | 群馬 | 56期 | 関東屈指の鋭いキメ脚が武器 | |
滝澤 正光 | 千葉 | 43期 | 「怪物」いまだ健在をアピール | |
児玉 広志 | 香川 | 66期 | トリッキーな動きでチャンスメイク | |
三宅 伸 | 岡山 | 64期 | 岡山が誇る大型先行 | |
井上 茂徳 | 佐賀 | 41期 | 厳しい捌きと直線一気の「元祖鬼脚」 | |
松本 整 | 京都 | 45期 | 自在な立ち回りをみせる近畿のエース | |
神山 雄一郎 | 栃木 | 61期 | 常に威風堂々「東の横綱」 |
ライン構成
岡山ライン 関東ライン 九州ライン 単騎 単騎 単騎
レース展開
1995年12月30日、立川競輪場。
4万人の観客が見つめる中、レースは始まった。
残り2周前から各選手が動きを見せ、最終ホームから神山がスパート。立ち遅れた吉岡が8番手から捲る。中団からは三宅伸も捲って出る。吉岡は三宅に絡まれながらも、神山に迫る。ゴール前は逃げた神山と捲った吉岡の力勝負。
逃げ粘る神山を吉岡が捕えた。優勝は吉岡稔真。
東西両横綱の力勝負にファンは酔いしれ、ゴール後はスタンドから「吉岡コール」が沸きあがった。
この鳴り止まないコールに、年末に無冠を返上、最後の最後にビッグタイトルを手にした吉岡が応え、ファンと選手が一体となった。
ミスター競輪(中野浩一)が初代チャンピオンに輝く
KEIRINグランプリ 85
1985/12/30(立川競輪場)
出走表
中野 浩一 | 福岡 | 35期 | 世界選手権V10を誇る「ミスター競輪」 | |
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尾崎 雅彦 | 東京 | 39期 | 華麗な捌きとスピードでファンを魅了 | |
滝澤 正光 | 千葉 | 43期 | 無限ともいえるパワーでねじ伏せる | |
佐々木 昭彦 | 佐賀 | 43期 | 「九州第3の男」が飛躍する | |
山口 健治 | 東京 | 38期 | 打倒!九州!「フラワー軍団」の司令塔 | |
伊藤 豊明 | 愛媛 | 41期 | 得意のゲリラ戦法で間隙を突く | |
井上 茂徳 | 佐賀 | 41期 | テクニックと切れ味はまさに「鬼脚」 | |
高橋 健二 | 愛知 | 30期 | 中部の御大、まだまだ健在 | |
清嶋 彰一 | 東京 | 40期 | ローリング先行で他を翻弄 |
ライン構成
東京ライン 九州ライン 南関東+四国ライン 単騎
レース展開
記念すべき第1回は、1985年12月30日、立川競輪場で開催された。
レースは、清嶋、尾崎、山口のフラワーラインが先制。
途中で一旦仕掛けた中野は尾崎に捌かれる。この時点で、「中野敗れる、フラワーラインの勝利か」、と誰もが思った。
しかし、周回中うまく4番手に付けていた佐々木が中野を迎え入れ、中野は4番手で体制を立て直し再反撃の機会を探る。
そして最終回、バックストレッチから猛然と得意の捲りを放ち、世界のスプリント力を魅せつける。最後の直線でもラインの佐々木、井上の追撃を振り切って優勝。
暮れなずむ立川バンクで、スポットライトを浴びた、初代グランプリ王者の称号を勝ち得た中野浩一がウイニングランでファンの喝采を浴びるシーンは、永く競輪ファンの記憶にとどまることになった。
アテネオリンピック銀メダリスト(井上昌己)が魅せた世界の脚
第49回オールスター競輪 決勝
2006/09/06(花月園競輪場)
出走表
武田 豊樹 | 茨城 | 88期 | スケート界から転身したスーパースター | |
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高木 隆弘 | 神奈川 | 64期 | 南関東屈指のファイター | |
佐藤 慎太郎 | 福島 | 78期 | 動けるマーカーとして新境地を切り開く | |
井上 昌己 | 長崎 | 86期 | アテネオリンピック銀メダリスト | |
市田 佳寿浩 | 福井 | 76期 | 近畿を代表する頭脳派レーサー | |
諸橋 愛 | 新潟 | 79期 | 直線でのキメ脚勝負に真価を発揮 | |
佐々木 龍也 | 神奈川 | 57期 | 41歳、衰えを知らない神奈川の鉄人 | |
白戸 淳太郎 | 神奈川 | 74期 | 的確な位置取り、捲りも放つ自在派 | |
手島 慶介 | 群馬 | 75期 | 変幻自在、縦横無尽に駆け回る |
ライン構成
近畿+南関東ライン 九州+南関東ライン 関東ライン 単騎 単騎
レース展開
2006年9月6日。49回大会は花月園競輪場(神奈川県:2010年3月廃止)で開催された。
レースは終始、武田を軸に進行していく。手島が武田マークを取りきるやいなや佐藤が追い上げ手島と併走。
そして、先行体制に入った武田が、最終ホーム手前で一旦ペースを緩める。そこを井上が一気にカマし先頭に踊り出る。
虚を衝かれた武田は後退を余儀なくされ最終バックは7番手。井上のペースは落ちず、直線では高木隆弘とのマッチレース。高木の猛追を振り切って井上が悲願のGI初優勝を遂げた。
雨に煙る花月園バンクで、オリンピックメダリストが競輪でも頂点に立ち、仲間の胴上げに高々と舞った日だった。