KEIRIN SIDE STORY

 誰もいない整備場。整然と並ぶ自転車が穏やかな光を浴び、まもなくウォーミングアップに訪れる選手を心待ちにしている。
 ここは競輪場。20 代前半から50 代の選手がファンの期待を背負い勝利を目指す舞台だ。醍醐味の一つは、ベテラン選手の老練の走りと若手選手の気鋭の走りが織りなす勝負の行方。さまざまな思いが交錯する舞台裏を写真で紡ぎます。
2019年2月 川崎競輪場
「それをやることがどれだけ苦しい事か」
デビュー当時の思いが現在の自分を築き上げた。
「競輪選手になった当初、
どれだけ高い位置に上り詰めるかという目標が、
いまこうしていられる要因なのかなと思う」
ひたむきに続けた師匠との練習が実り特別競輪出場。
「三年弱で出られたかな。
朝晩必ず師匠と何も考えず練習した。がむしゃらでした」
今も昔も手抜きなしの闘い。
「それをやることがどれだけ苦しい事か、よくやったなと。
昨年3月の落車が尾を引いてすごくしんどいです。
だから、一戦一戦大事にしないといけないと思っています」
徳丸 佳克
兵庫 46期
58歳 A級3班
「不満足というか焦りの気持ちです」
高校で始めた自転車競技、先頭で風をきる走りに魅せられた。
「上位選手が先頭で走る姿はスピード感も違うしカッコいい。
努力した分だけ見返りがあって、
凄くやりがいを見出せそうだったので競輪選手を選びました」
カッコ良さへの道のりは?
「デビューして半年経ったというのに駆け引きも下手だし、
脚力的向上も見られない。不満足というか焦りの気持ちです。
まだ、結果は出ていないけど楽しくやりがいを感じている。
気持ちを切らさず、常に向上心を持ってやっていきたいです」
栗本 尚宗
千葉 113期
24歳 A級3班
「自転車乗るのが楽しくて」
縁あって入った高校の自転車部から競輪選手への狭き門。
「選手への憧れはちょっとあったんですけど、
12,3倍の競争率で簡単に入れる感じじゃなかったです」
2年のブランクを経て再チャレンジした。
「サラリーマンに嫌気がさしていて、
"夢を追いかける"じゃないですけど脱サラしました。
自転車乗るのが楽しくて、苦ではなかったです」
あっという間に過ぎた日々。
「競走と練習、何も考えずに突っ走ってきた感じです。
30代からは競輪も自転車も楽しみながらですね」
竹野 行登
鹿児島 64期
51歳 A級3班