全国盲導犬総合育成訓練センターについて(日本自転車振興会の補助事業)
 
配信日:1月17日
 

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【盲導犬の現状】

(1) 盲導犬の需要
現在、日本全国で活躍している盲導犬は957頭(2005年3月末)。それに対して、盲導犬を今すぐ必要とする視覚障害者は、4,700人、将来希望する方を含めると7,800人いる。

(2) 盲導犬の供給
盲導犬の年間育成頭数は、日本の盲導犬育成9団体の頭数全てを合わせても、年間約120頭にすぎない。
そのうち約半数は、既利用者の代替犬(盲導犬は10歳前後で引退となるので、利用者には二代目、三代目の盲導犬が必要となる。)となるので、新たに盲導犬を使用することができるようになる視覚障害者は、年間約60人にしかすぎない。

(3) 引退犬の余生
盲導犬は10歳で引退した後、ボランティアに引き取られ、余生を過ごすことになるが、病気にかかっていたり、介護が必要であったりする犬は引き取り手が少ない。

【日本自転車振興会の補助事業】

日本自転車振興会では、良質な盲導犬の育成を支援するため、以下の補助を行なってきた。

(1) 育成・訓練施設の整備事業への補助
日本自転車振興会では、昭和62年度の(財)関西盲導犬協会の総合訓練センター整備を皮切りに全国の盲導犬育成・訓練施設の整備に補助を行なってきた。(別表:「日本自転車振興会 盲導犬訓練施設整備補助一覧」参照)
※補助施設の(財)日本盲導犬協会神奈川訓練センターでは、日本初となる盲導犬訓練士学校を2004年4月に開校し、盲導犬訓練士の養成に取り組んでいる。

(2) 盲導犬の遺伝学的な研究等への補助
盲導犬に適した資質は遺伝によるところが大きいため、遺伝性疾患や遺伝子等の研究が必要となるが、日本自転車振興会ではこの分野でも補助を行なってきた。

【全国盲導犬総合育成訓練センターについて】

(1) 事業者 (財)日本盲導犬協会

(2) 施設所在地 静岡県富士宮市

(3) 延床面積 3,050.6㎡(建築面積 2,964.6㎡ 敷地面積  19,867㎡)

(4) 総事業費 549,210千円
【一期工事】平成17年度日本自転車振興会補助事業
事業費 277,214千円 補助金内定額 216,320千円
(宿泊棟、分娩棟、親子棟、子犬棟、訓練犬棟、管理・交流棟の一部)を整備
【二期工事】平成18年度日本自転車振興会補助要望
事業費 271,996千円 補助金要望額 181,390千円 
(老犬棟、医療研究棟、隔離犬棟、トレーニング棟、管理・交流棟の一部)を整備予定

(5) 概要  
この施設では、慢性的な盲導犬育成頭数不足を改革するために、以下の機能を持たせる。

盲導犬の訓練
2008年度(平成20年度)には、年間50頭の育成を目指す。

人工授精設備の整備及び研究
優秀な繁殖犬の確保するために、国内外のネットワークを活用して繁殖犬を広く確保するとともに、人工授精の整備や研究により、移動による繁殖犬の負担を軽減し、優秀な盲導犬の資質を守る。

盲導犬の遺伝学的な研究
日本自転車振興会の補助金により大きく前進した、遺伝性疾患や遺伝子研究の拠点を「全国盲導犬総合育成訓練センター(仮称)」に置く。更に遺伝子的研究を総合的に行うことによって、最終的な盲導犬作出率の向上を目指す。

候補犬の出産
年間50頭の盲導犬を育成するためには、年間150~180頭の子犬を出産する必要があり、母犬が安心して出産し、子育てできる衛生的で機能的な繁殖・子育て体制で臨む。

国内盲導犬育成体制への貢献
施設の機能や研究成果は、盲導犬育成事業全体に開かれたものとし、繁殖犬の人工授精・遺伝子研究などの研究成果を国内の盲導犬育成団体が活用し、全国盲導犬施設連合会を通じて、盲導犬育成体制の向上に貢献する。

引退犬の養生(老犬棟)
盲導犬は10歳で引退した後、ボランティアに引き取られ、余生を過ごすことになるが、今後、育成頭数の増加に伴い、引退犬の頭数増加が予測されるなか、盲導犬の一生に責任をもつために、家庭的な環境(老犬棟)を整え、引退した盲導犬がゆったりくつろぎながら過ごす施設とする。※他の盲導犬育成団体の引退犬の受入れも行う。

犬とのふれあい、盲導犬を理解する施設
実際に盲導犬にふれあいながら、子どもから大人まで、盲導犬や視覚障害について楽しみながら理解を深めてことができる体制にする。

国際交流の拠点
国際盲導犬連盟(本部:イギリス)のもと、韓国・台湾の盲導犬施設や中国などアジア各国とも交流し、この施設は盲導犬を通じた国際交流、アジアの拠点を目指す。