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レース展望

 第62回日本選手権競輪が岸和田競輪場で開催される。1月の競輪祭を驚異的な4回転パワーで制した山崎芳仁が今回も文句なしの優勝候補の筆頭で、打倒・山崎を目指す強豪たちの走りが浪切バンクを熱く燃え上がらせるだろう。


王者・山崎芳仁に死角はない!
日本選手権制覇でグランドスラムに王手をかける
 競輪祭の決勝戦では地元の北津留翼が井上昌己を連れてグングン逃げ、誰もがバック8番手に置かれた山崎芳仁の不発を予期したが、次の瞬間には4回転パワーが爆発。上がり10秒7の驚異的なスピードで優勝をさらっていってしまった。
  山崎は07年のオールスターからGⅠの決勝戦を一度も外しておらず、安定度も群を抜いている。現在の山崎には死角らしい死角は見当たらず、日本選手権を初制覇して残り2つとなったグランドスラムに王手をかけてくるだろう。
 果たして現在の山崎の勢いに待ったをかけられる選手はいるのか、どの選手がどんな走りや作戦で王者・山崎に土をつけるのかが今回の一番の見どころだ。
  迎え撃つ地元・近畿勢は稲垣裕之、村上義弘、金山栄治らの近況好調な機動力型を目標に勝ち上がりを目指す。05年に岸和田で開催された全日本選抜では、大阪の前田拓也が市田佳寿浩を目標に準決勝を突破しており(決勝戦では落車のアクシデントに見舞われたが)、今回も決勝進出を最低ノルマに並々ならぬ意気込みで臨んでくるだろう。
  稲垣は競輪祭の準決勝では山崎の捲りに屈して惜しくも4着と敗れたが、稲垣の先行を目標に山内卓也が3着で決勝進出を果たしている。二次予選も渡部哲男と濱田浩司の愛媛コンビに海老根恵太と強敵揃いだったが、見事に逃げ切り、山口幸二とワンツーを決めており体調は万全だ。
  直前の和歌山記念の決勝戦でも九州勢を連れて果敢に先行、武田豊樹を8番手に置く走りで2着に粘り込んでおり、今回も持ち味の徹底先行で強さを発揮してくるだろう。
山崎芳仁(福島・88期)
山崎芳仁(福島・88期)
 
稲垣裕之(京都・86期)
稲垣裕之(京都・86期)
 
九州王国復活ののろしが上がる!
中部勢が充実の機動力で北日本勢撃破を目指す
 山田裕仁率いる中部勢は選手層の厚さを武器に王者・山崎芳仁に立ち向かう。
  競輪祭決勝では山田がベテランらしい捌きで中団を確保、山田の捲りに乗った山内卓也が伸びて「あわや優勝か」と思わせる一瞬があった。それを叩き潰した山崎の捲りはやはり驚異的だが、今回も中部勢優勝の可能性は十分に高いはずだ。
  小嶋敬二、永井清史、金子貴志、浅井康太、柴崎淳と機動力の充実ぶりは北日本勢にヒケを取らないし、競輪祭で山田が優出できたのも柴崎や金子や小嶋の積極的な仕掛けがあったからこそだ。
  今回も山口幸二、濱口高彰、加藤慎平らが機動力型をしっかり援護して、北日本勢に負けないラインの強さを発揮してくるだろう。
  選手層の厚さなら関東勢も負けてはいない。平原康多と武田豊樹の2強に、1月・大宮で記念初優勝を飾った矢口啓一郎、小林大介、藤田竜矢、志村大賀と粒揃い。追い込み型もベテランらしい巧さを見せる神山雄一郎を始め、兵藤一也、後閑信一、小橋正義と多士済々だ。
  平原は競輪祭では準決勝で4着と敗れたが、二次予選では逃げ切っており、直前の地元・大宮記念でもきっちり優出と調子は悪くない。昨年も競輪祭では優出を逃しているが、その後のGIとGIIで連続優出を重ねており、今年もしっかりと巻き返しを図ってくるだろう。
  武田も競輪祭では準決勝で敗れているが、小嶋敬二や井上昌己らを相手に果敢に先行しての4着でレース内容は良かった。
  武田は昨年11月のふるさとダービー広島でGII初制覇を達成したが、直後の全日本選抜の準決勝で凡走してしまったのを深く反省したのか、近況は見違えるほど仕掛けが積極的になっている。
  年末のSSカップみのりでも神山を引き連れての先行で、2着に粘り込んでおり、今回も必ずや関東勢躍進の原動力になってくれるだろう。
  勢いの良さなら井上昌己と北津留翼を擁する九州勢だ。グランプリや競輪祭での活躍をそのままに再び大暴れしてくれそうだ。
  北津留は年末のヤンググランプリでは見せ場を作れずに終わってしまったが、地元・競輪祭はまさに名誉挽回の格好の舞台となった。準決勝では平原康多、佐藤友和、村上義弘らの強豪相手に堂々の逃げ切りでGI2度目の優出を決めている(決勝は先行して7着)。
  井上昌己は永井清史-小嶋敬二の中部ライン追走からの直線強襲でグランプリを初優勝、初の賞金王にも輝いた。競輪祭でも持ち味の鋭い回転力と巧みな位置取りをフルに発揮して優出、グランプリ覇者の貫禄を見せつけた。
  今や自在型としては輪界ナンバーワンの技術の持ち主といってよく、今回も展開に応じた多彩な攻めで優勝を狙っていくだろう。
山田裕仁(岐阜・61期)
山田裕仁(岐阜・61期)
 
平原康多(埼玉・87期)
平原康多(埼玉・87期)
 
武田豊樹(茨城・88期)
武田豊樹(茨城・88期)
 
井上昌己(長崎・86期)
井上昌己(長崎・86期)
 
石丸と渡部の中四国勢が優勝争いに食い込む!
海老根が破壊力抜群の捲りで勝ち上がりを目指す
 南関東勢では海老根恵太の破壊力が侮れない。競輪祭では二次予選敗退と物足りない成績に終わったが、昨年12月の全日本選抜決勝では結果は3着だったが山崎芳仁の先行を捲り切っている。
  次場所の佐世保記念は捲りで準優勝、年明けの大宮記念では優出を逃したが、2日目優秀では平原康多、伏見俊昭、浅井康太らを捲りで撃破している。現在は展開に注文がつく状態だが、ツボにはまった時のスビードは見逃せず、優勝候補の一角に名乗りを挙げてくることも十分に期待できる。
  中四国勢ではやはり捲りのスペシャリスト・石丸寛之の初タイトルに期待したい。昨年の全日本選抜では山崎の先行を捲り切った海老根のさらに上を捲り切って三宅伸とワンツーを決め、岡山勢の久しぶりのタイトル獲得に大きく貢献した。
  年末のSSカップみのりで落車した影響で、海老根と同様に競輪祭は二次予選敗退と物足りない成績に終わったが、3日目特選は捲って1着、4日目特別優秀では平原康多、稲垣裕之らを相手に逃げて2着に粘り込み、紫原政文とワンツーを決めており、石丸らしいスピードが戻ってきた。
  石丸は決して捲り一辺倒ではなく、決まり手は捲りでもホーム手前からの早めの巻き返しも多い。今回も岡山勢との連係なら一気の主導権取りもありえるし、石丸を目標に岡山勢から再び優勝者が出現する可能性も十分だ。
  渡部哲男も好調だ。今年はS級S班から降格してしまったが、その悔しさをぶつけるかのように年頭の立川記念で優勝をもぎとっている。勝ち上がり戦も申し分のない走りで、ともに捲りで梶應弘樹と四国ワンツーを決めている。
  競輪祭では二次予選で敗れているが、一次予選では矢口啓一郎の先行を捲って室井健一とワンツー、3日目特選も吉田敏洋の先行を捲って小倉竜二とワンツーを決めている。
  今回も小倉や室井や香川雄介らの援護を受け、得意の大捲りで四国ワンツーを狙ってくるだろう。
海老根恵太(千葉・86期)
海老根恵太(千葉・86期)
 
渡部哲男(愛媛・84期)
渡部哲男(愛媛・84期)
 
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直線は長いが、先行も十分に粘れる

クセのない走路で、戦法による有利・不利はない

 岸和田は直線が長めで先行不利のバンクといわれていたが、02年にバンクの滑り止めのウォークトップを手塗りにしてから軽いスピードバンクに変わっており、追い込み有利から先行も粘れるバンクへと生まれ変わっている。
  捲りもカントがきついバンクなので、2角から早めに仕掛けても3、4角を粘りきれば捲り追い込みで一気に抜け出すことができる。
  05年に開催された第21回全日本選抜の決まり手を見てみると、全47レースのうち1着は逃げが6回、捲りが14回、差しが27回、2着は逃げが9回、捲りが6回、差しが17回、マークが15回となっており、戦法による有利・不利は全くない。ちなみに先手ラインの選手が1着になったレースは20回だった。
  追い込み選手にとっても走りやすいバンクで、直線のコースではインも中も大外もよく伸びる。ゴール前でインに切れ込んだり、中バンクだけが伸びたりというようなクセはない。
  そのためかラインでのワンツー決着が多く、05年の全日本選抜の時も30レースがスジで決着しており、GⅠ戦にしてはかなり珍しいケースとなっている。

ゴール



浜風と山風の影響を受けやすい
 周長は400m、最大カントは30度56分00秒、見なし直線距離は56.7m。通称は浪切バンク。北西の大阪湾からの浜風と、南東の和泉葛城山からの山風によって風の影響を受けやすいバンクだ。通常は浜風でバック追い風の日が多く、先行はその風に乗って粘り込むことができるが、天候が悪くなると山風に変わってバック向かい風になることもある。

岸和田バンク




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