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レース展望

 三重県の松阪競輪場で5年ぶり2回目のふるさとダービーが開催される。近況の勢いから、佐藤友和、伏見俊昭らを擁する北日本が一歩リードの印象だが、平原康多が先導役を務める関東もいつも通りに層が厚く、荒井崇博が引っ張る九州の台頭も十分に考えられる。もちろん、地元・中部も必勝態勢で臨んでくるはずで、大本命不在の波乱含みのシリーズとなるだろう。

勢いで勝る北日本が機動力を生かして上位独占を狙う!
平原康多の番手から関東の選手が勝ち上がる
 02年に開催されたふるさとダービー松阪は、小嶋敬二が地元地区でビッグレース初優勝を飾った記念すべき大会であった。今回も本来ならば小嶋が大本命となるところだが、長期欠場中で出場するかはまだ分からず、出場となっても体調面やレース勘などで不安が残る。
  となれば、シリーズの中心となるのはやはり、近況の勢いで勝る北日本になるだろう。オールスターで活躍した佐藤友和、伏見俊昭、渡邉一成らが顔を揃え、機動力は抜群だ。
  佐藤友和は高松宮記念杯、寛仁親王牌、オールスターと連続で優出しており、大舞台の勝ち上がり戦であっても決して臆することなく、持てる力を存分に発揮している。
  オールスターの準決勝Aでは絶妙のカマシで後続を千切ってスピードの違いを見せつけており、今回も順当に勝ち上がっていくだろう。
  伏見俊昭も勝ち上がりに関しては全く不安はない。昨年までの低迷期を脱して今年は完全復活の年となった。オールスターの予選2は菊地圭尚を目標に1着、準決勝Aは渡邉一成を目標に1着で勝ち上がっているが、近況の伏見は北日本の若手が目標の時はほとんど負け知らずといってよく、今回も渡邉一成や松崎伊佐央と連携なら連勝での勝ち上がりが十分にありうる。
  ただ、伏見は賞金獲得額でグランプリ出場をほぼ手中にしているので、今回は北日本ラインの援護する走りも十分に考えられ、その場合には渡邉や松崎の優出や佐藤友和の初優勝が狙えるだろう。
  関東も平原康多が徹底先行を貫いて好調を維持しており、機動力に関しては北日本に決して遅れをとらない。
  オールスターでは平原自身は準決勝Bで惜しくも2着に敗れたが、飯嶋則之の初タイトル獲得は準決勝Bでの平原の突っ張り先行があったからこそといってもいい。予選1では平原目標に後閑信一が1着、予選2では諸橋愛が1着になっている。今回も後閑信
一や手島慶介が平原と連携できれば、勝ち上がりのチャンスが大きく膨らむ。

佐藤友和選手


伏見俊昭選手


平原康多選手

 
捲り好調の荒井崇博が今度こそのビッグ制覇を決める!
前回準優勝の岩見潤が再び地元戦で力走する
  中部の浮沈は一にも二にも小嶋敬二の仕上がり具合にかかっているが、仮に出場した小嶋が本調子でなかったとしても、吉田敏洋や竹田和幸らが地元開催のビッグレースだけに、いつも以上に思い切りのいい走りを見せて中部ラインを引っ張ってくれそうだ。
 追い込み型では濱口高彰が好調だ。9月の岐阜記念の決勝では、地元戦ながら単騎という苦しい組み合わせになってしまったが、望月永悟の捲りにうまく切り替えてゴール前できっちり差しており、7月のサマーナイトフェスティバル優勝に続く金星を挙げている。今回も中部勢が機動力の面で苦戦を強いられることになっても、濱口は円熟の捌きで勝ち上がりのチャンスを掴んでくるだろう。
 松阪がホームバンクの海田和裕と岩見潤の走りにも注目したい。
 海田は近況はビッグレースでの目立った活躍はないが、今でも捲り脚は健在で、仕掛けどころを心得たホームバンクでなら格上相手のレースでも捲り一発が期待できる。
 岩見は02年の大会では小嶋敬二の捲りを好追しての準優勝だった。近況も調子は良く、オールスターでは準決勝に進めなかったが、予選2では先手ラインの4番手を追走から直線で鋭く伸びて2着に食い込んでいる。今回もバンクを知り尽くしているという利点があるので、濱口高彰と同様にラインや展開に関係なく直線強襲の一発が狙える。
 機動力不足が悩みの種になりそうな中部とは逆に、お隣の近畿は稲垣裕之、松岡健介、中村一将と、粋のいい若手が3人も顔を揃えている。
  稲垣裕之はオールスターで落車して次場所の青森記念では本調子を欠いていたが、それでも持ち味の徹底先行ぶりに変わりはなく、4日間のうち3走できっちり主導権を取りきっている。今回ももちろん連日の先行策で見せ場を作ってくれるだろう。
 今回の優勝候補のひとりに挙げられるのが荒井崇博だ。荒井は今年は高松宮記念杯と寛仁親王牌で優出しており、オールスターでは残念ながら準決勝に勝ち上がれなかったが、次場所の青森記念では得意の捲りで3連勝で勝ち上がり、決勝では5月の平塚記念の時と同様に師匠の原司を連れて逃げて、原の2度目の記念優勝に貢献している。
 今回も荒井の優勝はもちろん、荒井の仕掛けに乗っての合志正臣や大塚健一郎の逆転も期待できるだろう。

岩見潤選手


稲垣裕之選手


荒井崇博選手

 
捲り有利の松阪で、石丸寛之が本領発揮の活躍を見せる!
渡邉晴智の直線一気の中割り強襲が侮れない
 松阪は400バンクにしてはカントがきつめの高速バンクで、捲りの得意な選手の活躍が期待できるが、捲りといえばやはり石丸寛之だろう。
  石丸はオールスターの準決勝は8番手に置かれて不発に終わってしまったが、予選1と2は捲りの2連勝で、最終日の順位決定も捲りの1着で締めくくっている。
  次場所の青森記念も前半の2日間はややもたついたが、準決勝Bは五十嵐力の先行をきれいに捲っている。
  石丸の捲りは最近流行のカマシではなく、徐々に加速していく昔ながらのオーソドックスな捲りなのでマーク選手とのワンツー決着も多く、ときには対戦相手の裏をかいて一気に先行してしまうこともあるので、石丸を目標に中四国の選手の勝ち上がりも期待できる。
  石丸とは対照的なカマシによる捲りを得意にしているのが三ツ石康洋だ。三ツ石の捲りは文字どおりの一か八かの奇襲戦法に近いので成績は安定しないが、ツボにはまった時の破壊力は抜群だ。今回もきつめのカントをうまく利用して一気にスピードに乗って
しまえば、連勝での勝ち上がりも十分に狙える。
  松阪はきつめのカントを利用しての捲り追い込みや直線での中割り強襲も有効なので、展開不利と思われるような追い込み選手の直線一気の突っ込みにも注意が必要だ。
  8月の松阪FⅠの準決勝では、武井大介を目標の渡邉晴智が内藤敦に競り込まれ、宮越孝治-坂上忠克の中部ラインにカマされてと苦しい展開になったが、貫禄で内藤を捌き、武井の巻き返しにスピードをもらって直線では宮越と坂上の中を一気に突き抜けて1着となっている。
  渡邉の取った真ん中のコースが松阪バンクでは一番伸びるコースであり、FⅠ戦だったとはいえ、渡邉と松阪バンクの相性はかなり良好と見ていいだろう。渡邉はオールスターでは準決勝Aで敗れたが、次場所の青森記念では勝ち上がり戦で2勝と調子はよく、
今回も直線一気の強襲が期待できるだろう。

石丸寛之選手


渡邉晴智選手


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小嶋敬二が完全優勝でビックレース初制覇!
 02年のふるさとダービー松阪の決勝では、地元・中部から4人が勝ち上がり別線勝負となった。前受けが一丸安貴―山口幸二―小倉竜二、中団に小嶋敬二―岩見潤―前田拓也、後方に山内大作―新藤敦―稲村成浩で周回。打鐘から山内が上昇して小嶋を抑えにいき、打鐘4コーナーから山内がスパートすると、一丸は突っ張って両者で主導権争いとなる。最終1コーナーで山内が先頭に立つが、一丸も番手で懸命に粘って前団がもつれ、小嶋にとっては絶好の捲り展開となる。並走の3番手から稲村が先捲りを打つが、1センター過ぎから仕掛けた小嶋があっさりと前団を飲み込んでしまい、3コーナーで先頭に立ってそのままゴールイン、上がり11秒0の大会1番時計でビッグレース初優勝を飾った。2着には番手の岩見が入り、3着は3番手の前田を捌いて岩見に続いた小倉だった。



カントがきつく、2角からの捲りが決まりやすい
追い込みもカントを使っての中割りがよく伸びる
 松阪競輪場はクセのない走りやすい走路だが、400バンクとしてはカントがきつめで、名古屋競輪場に似た高速バンクとなっている。
  直線の長さは標準的なのでどんな戦法でも十分に力を発揮できるが、やはりきついカントを利用した捲りが決まりやすい。
  02年に開催されたふるさとダービー松阪の決まり手を見てみると、全44レースのうち1着は逃げが5回、捲りが16回、差しが23回、2着は逃げが5回、捲りが7回、差しが13回、マークが19回で、約半数のレースで捲りが連絡みを果たしている。
  捲りは2コーナーからの発進が決まりやすいが、展開次第では先行の緩むポイントを待って3コーナーからカントを使って仕掛けると、直線でよく伸びる。
  追い込みもカントを使って惰力をつけ、直線で中に切り込んでいけばよく伸びる。脚をためておけば5、6番手からでも頭に突き抜けることができるので、混戦模様のレースなら中割りの巧みな追い込み選手が狙い目となる。  

 周長は400m、最大カントは34度25分29秒、見なし直線距離は43.0m。夏は先行向きのバック追い風が多いが、冬はバック向かい風で捲りやすくなる。直線で伸びるのは、カントをうまく利用して真ん中を突き抜けるコース。競りは基本的にイン有利だが、風の強い日はインが重くなって逆に不利になる。



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