レース展望 高松宮記念杯競輪とは ファンサービス テレビ放送予定 参考データ 優勝者の横顔

レース展望
 
 
  第60回高松宮記念杯競輪が大津びわこ競輪場で開催される。3月・岸和田でダービー王に輝いた武田豊樹と復調気配の平原康多を擁する関東ラインに勢いがあるが、復活なった小嶋敬二率いる中部勢も強力で、王者・山崎芳仁の巻き返しにも期待が集まる。
昨年の高松宮記念杯(大津びわこ)決勝ゴール。④渡邉晴智が直線伸びてGⅠ連覇達成。2着⑦新田康仁で静岡ワンツー決着。
昨年の高松宮記念杯(大津びわこ)決勝ゴール。
(4)渡邉晴智が直線伸びてGⅠ連覇達成。2着(7)新田康仁で静岡ワンツー決着。
 
武田豊樹が勢いに乗って突っ走る!
好調・海老根恵太を目標に渡邉晴智が連覇を狙う
 
 武田豊樹は岸和田の日本選手権を優勝してようやく無冠の大器のレッテルを返上した。直後の3月・いわき平記念ではさすがに疲れが出たのか決勝進出を逃したが、共同通信社杯・春一番の準決勝では平原康多との連係で1着通過。続く4月・西武園記念の決勝では関東ラインの3番手を固めて地元・平原の優勝に貢献と、安定感ある走りを見せている。武田が今もっとも勢いのある選手であることは間違いなく、2度目のGⅠ優勝が大いに期待できる。
武田豊樹
武田豊樹(茨城・88期)
 
 平原は日本選手権で落車に見舞われて途中欠場するなど冬場は良くなかったが、共同通信社杯では一次予選と二次予選は逃げて2着、準決勝が捲って2着で武田とワンツーと本来の機動力を取り戻した。次場所の西武園記念でも地元のプレッシャーをはねとばす連日の力強い走りで勝ち上がり、決勝では小嶋敬二の先行を捲って西武園記念初優勝を達成している。今回も武田と巧く連係して関東ラインでの上位独占を狙ってくるが、もちろん武田に続いての平原のGI初優勝も十分だ。
 
 昨年の本大会の覇者・渡邉晴智も間違いなく優勝候補の一角に名乗りを挙げてくるだろう。今年は競輪祭こそ準決勝で敗れたが、東王座戦が決勝3着、日本選手権が決勝7着と相変わらずの安定した走りを見せている。
  そして何よりも南関東勢には海老根恵太という心強い味方がいる。海老根は2月の東王座戦でGII優勝を達成した。日本選手権では決勝3着と近況の充実ぶりは目覚ましく、西武園記念でも決勝進出こそ逃したが、順位決定Bで渡邉ときっちりワンツーを決めている。
渡邉晴智
渡邉晴智(静岡・73期)
 
小嶋敬二が3度目の優勝を目指す!
中部勢が層の厚さでライバルたちを圧倒する
 
 小嶋敬二の怪物パワーが戻ってきた。小嶋は昨年後半から長らく低迷していたが、敗者戦ながら日本選手権で2勝を挙げて復活の手がかりを掴み、次場所の松山では昨年8月の高松以来の記念優勝を逃げ切りで達成。続く名古屋記念は決勝3着、共同通信社杯は二次予選Aでまさかの敗退となったが、残り3走はオール1着、4月・西武園記念も当然のように決勝進出と波に乗っており、03年と07年に2度の優勝実績がある相性のいい本大会で3度目の優勝を目指す。
小嶋敬二
小嶋敬二(石川・74期)
 
 五輪メダリストの永井清史が本業の競輪で、ついに価値ある結果を残した。五輪から帰国後の永井は落車や失格などが続き、ファンの期待に応えることができなかったが、共同通信社杯の決勝戦では練習仲間の浅井康太を目標に、慣れない番手戦ながらもしっかりとチャンスをものにしてGII初優勝を飾った。この優勝が大きな自信となり、今後は世界レベルのスピードを見せつけての大活躍が期待できるだろう。
永井清史
永井清史(岐阜・88期)
 
 初めてのビッグレースの決勝戦で、伏見俊昭、平原康多、石丸寛之らの強豪の巻き返しを許さない完璧な走りで大役をこなした浅井も素晴らしく、改めて中部勢の層の厚さを実感させられた。今回も浅井康太、柴崎淳らの若手機動型が大挙して勝ち上がってくれば、強い絆の強力ラインを形成して、レースの流れを完全に支配してしまうだろう。
 
 王者・山崎芳仁の巻き返しはあるのか?
 競輪祭のあとはビッグレースでの決勝進出がなく、本調子とは言えない状態が続いているが、大津びわこは500バンクなので、7、8番手に置かれる展開になってもじっくり構えて自分のペースで仕掛けていけば、山崎の4回転パワーで頭に突き抜けることができるはずだ。今大会から王者復権の走りが見られる可能性が高いし、一度4回転パワーに火がつけばあっというまに頂点に返り咲いてくるだろう。
 
 山崎の不振を尻目に絶好調の走りを見せているのが伏見俊昭だ。日本選手権までは北日本ラインの番手回りが多く、山崎と黄金タッグを組んでいたが、近況は伏見自身の自力駆けで勝ち星を量産している。3月の地元・いわき平記念の決勝戦は平原康多の先行を捲って優勝、次場所の川崎記念が決勝2着、共同通信社杯も3連勝の勝ち上がりで決勝3着と健闘しており、今回もライン的に恵まれない組み合わせとなったとしても自力勝負での一発が狙える。
伏見俊昭
伏見俊昭(福島・75期)
 
 岸和田の日本選手権で地元ファンを大いに沸かせた村上義弘。再び近畿地区でのGI戦となればいやがうえにも期待が高まる。日本選手権のあとの村上は4月・川崎記念で完全優勝を達成、共同通信社杯では準決勝4着と敗れたが、一次予選は逃げて3着、二次予選は捲って1着と力強い走りを見せており、今回も地元ファンの期待を裏切らない走りを見せてくれるはずだ。
村上義弘
村上義弘(京都・73期)
 
井上昌己がレース巧者ぶりを発揮して勝ち上がる!
積極的な走りで好調をキープする三宅達也
 
 井上昌己は地元開催の共同通信社杯では残念ながら優勝はならなかったが、勝ち上がりは3連勝と文句なしの走りを見せていた。特に準決勝はバック7番手の展開になりながら、慌てず騒がずの直線強襲で頭に突き抜けている。レースの流れがよく見えており、仕掛けどころのタイミングもばっちりで、今もっとも乗れている男と言っても過言でない。今回も展開的にピンチを招くシーンがあっても、最後はしっかりとコースを選んで鋭い伸びを見せつけてくるだろう。
井上昌己
井上昌己(長崎・86期)
 
 中四国勢では三宅達也が積極的な仕掛けで好調だ。2月・奈良記念では海老根恵太の先行を最終ホーム7番手からの仕掛けできれいに捲り切り、うれしい記念初優勝を達成した。近況の三宅はダッシュ力を生かしたカマシによる早めの仕掛けが一番のセールスポイントで、捲りに回されても巻き返しが早いので後手を踏まされることは少ないし、2車の短いラインでも一気に飛び出して主導権を握ってしまうこともよくあるので、三宅の番手で展開的に恵まれる選手も多い。
三宅達也
三宅達也(岡山・79期)
 
 石丸寛之の一発も侮れない。近況は成績にムラがあるが調子自体は悪くなく、昨年の全日本選抜で岡山ワンツーを決めた頃のスピードが戻ってきている。共同通信社杯の準決勝では伏見俊昭にうまく合わされたが踏み出した瞬間のスピードはよく、伏見に絡まれながらも3着に食い込んで決勝進出。次場所の西武園記念では決勝進出を逃しているが、初日特選では平原康多の先行を捲り切ってお馴染みの三宅伸とワンツーを決めている。
 
  92期の新鋭・木暮安由の走りにも注目が集まる。3月・名古屋記念で完全優勝で記念初優勝を達成した木暮は、大きな期待を背に受けてビッグレース初出場の共同通信社杯に臨んだが、一次予選が4着、二次予選が失格で途中欠場と試練のスタートとなってしまった。しかし、脚力や競走センスは新人離れしたものを持っているだけに、共同通信社杯での試練を糧としてGⅠ初出場の今回は大活躍が期待できる。
 
 
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高松宮記念杯の想い出
バック9番手からの大捲りで金子真也が初タイトル
 スタートで山田裕仁-出口眞浩が飛び出すが、残りの7人は牽制し合い、2周目ホーム過ぎに太田真一-金子真也が3番手、その後位に神山雄一郎-中村淳、後方に金山栄治-児玉広志-小倉竜二の並びで落ち着く。打鐘3角から金山が上昇開始、最終ホームで金山ラインが主導権を取ると、神山が太田ラインから切り替えて続く。太田もインを上昇して児玉の内で粘る。金山後位のもつれを見ながら最終2角から7番手の山田が仕掛け、山田の捲りに合わせて神山も捲り、太田から離れた金子は最後尾の9番手。最終4角では金山の番手から踏み出す児玉、3番手から両者の中を割ろうとする太田、神山との捲り合戦に勝った山田のマッチレースと思われたが、9番手から山田の動きに乗って捲り追い込んできた金子が大外を一気に伸び、2着の太田を2車身引き離す圧勝劇で初優勝を飾った。

第51回/平成12年6月4日決勝
第51回/平成12年6月4日決勝



追い込み有利だが、逃げの連絡みも多い
 長走路だが、戦法による有利・不利はない
  大津びわこは500mバンクだが、感覚的には400mバンクに近い走路で、先行が特に不利ということはない。02年のバンク改修によって従来よりも直線が20㎝短くなり、コーナーのカントが1度きつくなって、先行が残りやすくなっただけでなく、捲りも外に浮きにくいスピードバンクへと生まれ変わっている。
 昨年の大会の決まり手を見てみると、全47レースのうち1着は逃げが4回、捲りが11回、差しが32回、2着は逃げが6回、捲りが12回、差しが21回、マークが8回となっている。
 先行が逃げ粘っているし、捲りもよく決まっているが、ここで注目したいのは2着の決まり手のマークが8回と他の競輪場でのGI戦と比べるとかなり少ないところだ。
 02年の改修で「びわこ道」と呼ばれていた直線中央あたりのよく伸びるコースがなくなってしまったが、2コーナーから巧く山降ろしをかけていけばコースに関係なく伸びることができるので、ゴール前での逆転劇や後方からの直線強襲の出現率は相変わらず高い。ちなみに先手ラインの選手が1着になったのは21回で、1着、2着のスジ決着は24回となっている。


バック追い風の日が多い
 周長は500m、最大カントは25度00分14秒、見なし直線距離は63.3m。特観席などの周囲の建物の影響でバンク内では風が回ることが多いが、高松宮記念杯の頃はバック追い風になって先行有利になりやすい。400バンクに近いので、先行型はホーム手前から早めに仕掛けても十分に粘れる。競りはバックで内から風を受け重くなるので、必ずしもイン有利とはいえない。(バンクレコード:13秒10岡部芳幸、03/6/2)

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