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世界選スプリント・ケイリンの2冠を達成!
世界で一番速い男テオ・ボスの走りを見逃すな! |
間違いなく、現在「世界一」の強さを誇るテオ・ボス(オランダ)。その強烈な踏み出し、トップスピード、そして持久力。どれを取っても非の打ち所がない。先日行われた世界選手権(フランス・ボルドー)では、スプリントとケイリンの2冠を達成している。スプリントでは一本も相手に取られることなく完全優勝、ケイリンでは残り2周から一気にスパートし後続を10車身離したぶっちぎりの優勝と、見ていて寒気がするほどの別次元の強さだった。この世界選手権でのスプリントとケイリンの2冠は2003年のローラン・ガネ(フランス)以来の記録となるが、その年のガネは国際競輪でもワールドステージを制するなど大活躍をしている。
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その同じ2003年にボスは国際競輪に初参加している。当時の成績は1着がわずかに3回。来日した8名の外国人選手の中で結果的に下から2番目の獲得賞金額と、とても活躍したとは言えない成績だった。当時は線も細く、その走りもどこか頼りない部分があると感じられた。
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しかし、アテネ五輪スプリント銀メダル、2005年世界選手権1kmT.T金メダルの勲章を手に再来日を果たした昨年は別人のような強さを発揮した。着外は国際選抜(ワールドグランプリ初日)のわずかに1回のみ。勝率64%、連対率85%と驚異的な成績を残している。先手を取れば後続の仕掛けに併せて踏み出し、自分のペースに持ち込み逃げ切り。捲りにまわれば別次元のスピードで一気に前団を飲み込むなど、どこにも死角は見当たらなかった。唯一着外になった国際選抜は、内に封じ込められている間に小嶋敬二が先に仕掛けたレース。「競輪」の展開に持ち込むことが、日本勢に与えられたテオ・ボスに対抗する唯一の作戦だったのだ。
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「日本が大好き」とインタビューでも答え、3回目の国際競輪への参加と、日本、そして競輪への対応に何の不安もない。オランダの「若き皇帝」は、今年はどこまで勝ち続けられるのか。最強の歴史に、今年新たな1ページが加えられることになるだろう。
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インターナショナルケイリンイベント連覇!
実績十分のミカエル・ブルガン日本初来襲! |
ここ数年の国際競輪では、フランスからはローラン・ガネだけが参加していたため、日本の競輪ファンにはミカエル・ブルガンの名前には馴染みがないかもしれない。しかしこのブルガン、自転車競技ではすでに十分な実績を残している。先日行われた世界選手権(フランス・ボルドー)でもチームスプリントで優勝しているが、この時のブルガンは第2走者として出走し、初周の遅れを挽回してさらに差を広げるなど、フランスチーム優勝の立役者であったことは間違いない。フランスナショナルチームのコーチも「最近は絶好調で手が付けられない」と語っていたように、現在のコンディションに不安はない。
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元々短距離を得意としており、レースセンスは抜群。その証拠に、世界の超一流選手を集め行われる「インターナショナルケイリンイベント」をここ2年連覇している。今年2月に行われた決勝は、今回の国際競輪に参加しているテオ・ボス、グレイク・マクリーン、ジョサイア・ヌグ、ライアン・ベイリーなどの強豪揃いの中、最終ホームから先行し、テオ・ボスをまくり不発にして優勝。この結果だけでも、ブルガンの実力がわかるはずだ。
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唯一の不安材料としては、国際競輪に初参加するという点。ブルガン自身は「日本に行ったら競輪のテクニックを学びたい。」 と語っているが、輝かしい競技の勲章を手に来日しても「競輪」に慣れないまま帰国を迎える選手が今までもいたことは事実だ。脚力や駆け引きなど「ケイリン」の実力は十分にあることは証明されている分、どれだけ「競輪」に対応できるかが勝負のカギを握る。「外国人キラー」の選手と対戦するレースにはぜひ注目したい。
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昨年の国際競輪初参加で「競輪」に開眼!
今年は初戦から勝ちまくるエスクレド! |
ホセ・アントニオ・エスクレド(スペイン)は昨年国際競輪に初出場した。最初の2場所は1着が2回あるものの決勝戦への勝ち上がりに失敗している。「最初はとまどい戦術をかなり迷ってしまった。日本勢のリアクションが分からなかった。」と本人が語っている通り、前半戦の走りにひきつけられるものはなかった。
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しかし、エスクレドは前半の戦いでまさに勝てる「戦術」を見出したのだ。その「戦術」とは、打鐘で先頭に立ってペースを落とし、後続の仕掛けに併せて先行するというもの。後ろが日本勢というケースがほとんどで、その状況の中1着を取るために編み出した戦法のようだ。これが後半戦は見事にはまり、6連続連対を果たした。また日本の環境に慣れたのか、後半は「コンディションが上がっている」と本人も語っている通り、競輪に「開眼」したころから本来の実力を発揮している。
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今年はその経験を活かし、初戦から実力を発揮してくることは確実だ。今年の世界選手権でもケイリンでテオ・ボスに次ぐ2着に入るなどコンディションも問題ないはず。とにかく打鍾後にエスクレドを前に出させたらそこでレースは終わってしまう。そこをいかに抑えるかが勝敗を分けるのは、競輪選手も分かっているはず。赤板からの攻防は、激しいものになりそうだ。
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全員実績十分の外国勢からも目が離せない! |
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クレイグ・マクリーン(イギリス)は3回目の来日になる。過去2回の来日時には活躍したとは言いがたい。しかしこのマクリーンの競技の実績は十分で、今年の世界選手権でもスプリントで決勝まで勝ち上がりテオ・ボスに次ぐ銀メダル、ケイリンでも4位。実力は十分なだけに、日本の環境、そして「競輪」に対応できるかどうかで評価は大きく変わってくるだろう。
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ライアン・ベイリー(オーストラリア)はアテネオリンピックでケイリン、スプリントのダブル金メダルという凄まじい勲章を手に昨年来日したが、結果的には大きく期待を裏切る成績だった。これは来日直前に落車し、本来の力を発揮できなかったから。今年は競走訓練でも好タイムを連発し、気配は絶好。台風の目になりそうだ。
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ジョサイア・ヌグ(マレーシア)は昨年アジアから初の国際競輪への参加だったが、まくり・追い込みの自在性を持った走りで大活躍した。その走りに力強さはあまり感じられなかったが、バンクの内・外を使い分け、最終バックで常に好位置につけているのは外国勢には珍しいタイプ。しかし今年の世界選手権ではスプリントで予選落ち、ケイリンでは敗者復活戦敗退と完全に調子を崩していた。2ヶ月でどこまで調整できるか、実際の走りで見極めたいところだ。
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ダミアン・ジェリンスキ(ポーランド)は今回初出場。「競輪はまったくの初めてで、どんな感じか戸惑うけど興味がある。コーチや友達に聞いて、ケイリンとは違うし難しいのも知ってるけど、すごく楽しみだね。」と今年の世界選で語っている通り、本人は未知の競輪に対して少し不安を感じているようだ。その不安が的中するのか、それとも大化けするか。初戦の走りに注目だ。
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アンドレイ・ビノクロフ(ウクライナ)は2年ぶりの出場。前回参加時は、競輪競走に慣れた後半に実力を発揮している。今回は経験ある分、競走への適応は早そうだ。
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イバン・ブルバ(チェコ)は昨年に引き続きの登場。昨年は落車の影響か、後半見せ場がなかったが、落車するまでは全て3着以内に入っていた。今年の世界選手権では活躍できなかったが、国際競輪の実績を見ると注意が必要。
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