第1回サマーナイトフェスティバル
レース展望 サマーナイトフェスティバルとは テレビ放送予定 優勝者の横顔
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 本年度から新設された「サマーナイトフェスティバル」が川崎競輪場で開催される。上半期の選考期間中(1月~4月)のGI、GII、GIII、FI開催の優勝者を一同に集め、9R・2日制のナイター開催で実施される大会だ。初日予選の1着選手9名だけが翌日の決勝戦に進めるという厳しい勝ち上がりで、1発勝負のレースに近い緊張感にあふれた熱戦ががくりひろげられるだろう。
 
上半期の優勝者たちが集う真夏の夜の祭典
1着権利を巡るスター選手の攻防戦は必見だ
 
 S級開催の優勝者を一同に集めただけに豪華メンバーのそろい踏みとなったが、近況の活躍ぶりから考えると、優勝候補の筆頭はやはり武田豊樹か。4月の西武園記念では堂々の逃げ切りで3度目の記念優勝を達成、高松宮記念杯決勝では500バンクで果敢に主導権を握って2着に粘り、ふるさとダービー弥彦決勝でも稲垣裕之との壮絶なもがき合いに打ち勝って主導権を握り6着と、ビッグレースのタイトルはまだないが常に武田を中心にレースが動いているのはまちがいない。今回も神山雄一郎、兵藤一也らの相性良好の関東勢との連係でレースを引っ張っていくだろう。
 だが、初日予選は1着選手だけが勝ち上がりの厳しい条件なので波乱の余地は十分だ。とくに自力選手の場合は早めに行きすぎると後ろから交わされるし、狙いすぎるとタイミングを逸してしまう恐れがあるので仕掛けどころがむずかしい。
 
武田豊樹(茨城・88期)
 1着権利のレースといえば記念の準決勝Cがあるが、すんなりした展開で実力者が順当に勝ち切れているレースは少ない。4月の当所記念の準決勝Cは村上義弘と伏見俊昭の対決という豪華な組み合わせだったが、中田博之の先行を目標に2角から早めに番手捲りを打った村上は末脚を欠いて3着、伏見は終始7番手のままで仕掛けのタイミングがつかめずに5着、4番手から捲り追い込んだ平原康多をゴール前で差し切った小林大介が1着という波乱の結末だった。
 今回の初日予選も1着権利を巡るトップスターたちの攻防戦が予期せぬ波乱や展開のもつれを呼びそうで、真夏の夜の祭典にふさわしい激戦の連続となるだろう。
 
粘りがついてきた吉岡の捲り
先行策も多い山田は脚力的には完全に戻っている
 
 1着権利のレースは自力選手も追い込み選手も仕掛けどころがむずかしいので、戦歴豊富で捌きの巧みなベテラン選手や、近況の成績がいまいちでも、ここぞというときに一発が期待できる勝負強い選手を主力に推したい。
 吉岡稔真は松戸ダービーで優出するなど順調に復調してきている。記念では優勝から遠ざかっているが、勝ち上がりのレースでは必ず1回は得意の捲りで1着が取れているし、6月の富山記念の準決勝では久しぶりの逃げ切りが見られた。位置取りに関しては相変わらず7番手が多く、車間の大きくあいた8番手というレースもしばしばだが、全盛時を彷彿とさせるスピードのいい捲りは魅力的だ。
 近況の吉岡のいいところは捲りに粘りがついてきたことだ。ちょっと前の吉岡なら4角までに捲り切れないとあっさり飛んでいたが、今の吉岡は捲り切れなくてもアウトでじっと我慢して、直線に入ってからもうひと伸びできるようになってきている。川崎は直線で外に伸びるコースがあるので、吉岡にかぎらず、粘りっこい捲りの打てる選手にはもってこいのバンクなのである。
吉岡稔真(福岡・65期)
   
 吉岡とは正反対で神山雄一郎は近況は自力勝負で苦しいところがあるが、位置取りは相変わらず巧みだ。ふるさとダービー弥彦では番手勝負も堂に入ってきているところを見せつけていた。1着権利のレースならば神山のイン粘り策も十分に考えられるだろう。
 1着権利のレースでは終始一本棒という展開は考えにくいし、展開がもつれればもつれるほど神山にとっては捌きの腕の見せどころになる。近況の調子を考えると吉岡のような切れ味のいいロング捲りは期待できないかもしれないが、好位置を取って捲り追い込み気味に仕掛けていけば勝機は十分だ。
神山雄一郎(栃木・61期)
   
 山田裕仁はようやく調子を取り戻してきた。高松宮記念杯では勝ち星はなかったが、一次予選と二次予選は山田らしいスピードのある捲りの2連発で勝ち上がり、優出も果たしている。なぜか最近は先行勝負も多く、ふるさとダービー弥彦の初日特選は逃げて6着、次場所の小松島記念の初日特選も逃げて9着になっているが、その思い切りのよさは、山田本人も脚力が十分に戻ってきているのを自覚している証拠と見てよさそうだ。今の山田なら1着権利のレースでも、慌てず騒がずにじっくりとタイミングを見計らって捲りで決着をつけてくるだろう。
山田裕仁(岐阜・61期)
 
 三宅達也の捲り一発も侮れない。ふるさとダービー弥彦の初日特選は山田裕仁の逃げを捲って2着、2日目伊夜日子賞も武田豊樹、岡部芳幸、小野俊之と豪華メンバーが相手だったが吉田敏洋の逃げを捲って2着になっている。さすがに準決は甘くなくて3連発目は決まらなかったが、好調ぶりを強く印象づけた。ただ、三宅のには自ら捌いて混戦を誘うという技がないので、どうしても展開次第という条件がついてまわる。
三宅達也(岡山・79期)
 
 齋藤登志信は近況の成績はやや物足りないが、展開無用の勝負強さは健在だ。齋藤の場合は展開に応じてどんな戦法でも器用に使いわけることができるのが強みで、先行型の番手につけたときでも、8番手におかれたときでも、インで粘ったときでも、持てる力を存分に発揮して勝ち切ることができる。器用さが災いして自ら墓穴を掘るときもあるが、展開不利に思えるようなレースのときでも決して軽視できない選手だ。
齋藤登志信(山形・80期)
 
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小川圭二に直線強襲の差し脚が戻る
混戦ならベテラン勢の巧みな捌きが生きてくる
 
 新田康仁はビッグレースでは常に伏兵的な存在になってしまうが、主役クラスをまとめて粉砕できる底力を持っている。ふるさとダービー武雄温泉の2日目武雄温泉桜門賞では、伏見俊昭や荒井崇博に反撃のチャンスを与えないテクニカルな先行でみごとに逃げ切っている。高松宮記念杯では二次予選であっさり敗退と成績がまとまらないのが難点だが、次場所の宇都宮ではFIながら今年2回目の優勝と好調を維持している。
 
新田康仁(静岡・74期)
 今期2班の手島慶介も伏兵的な存在だが、FIでは捲りが冴えわたって無敵に近い状態が続いており、6月の函館FIで今年6回目の優勝を数えている。高松宮記念杯でも二次予選を1着で通過と好調だったが、さすがに準決勝の壁は厚かったようで、好位置をまわりながら直線では伸びきれなかった。得意の捲りももがける距離が長くないので、トップクラスの選手が相手だと苦しい。それでも今回も、同格クラスが相手の組み合わせになれば、余裕で1着が狙っていけるだろう。
 捲りならば石丸寛之がスペシャリストだ。7番手からのロング捲りも切れ味がよく、近況は格上クラスが相手のレースでもじっくり脚をためて狙いすました一発が打てるほど調子がいい。調子がよすぎて、思い切った先行策に出てしまうこともしばしばある。4月の当所記念では優出を逃しているが、1着1回、2着1回でバンクとの相性もよさそうだ。6月の福井記念では連日豪快な捲りを決めて優出、決勝は8番手におかれる展開になってしまったが最後の最後に大外を踏んで3着に食い込んでいる。
 
 追い込み選手では小川圭二の展開不問の直線強襲に一発の魅力がある。小川はしばらく低迷していて、4月の当所記念でも優出を逃していたが、5月の宇都宮記念あたりから本来の差し脚が戻ってきた。宇都宮の決勝では神山雄一郎の捲り追い込みに4分の3車輪及ばなかったが、最終4角4番手の展開から先手ラインの稲垣裕之―山口富生の中を割って2着、7月の小松島記念決勝では三ツ石康洋―小倉竜二の3番手からの追い込みで優勝を飾っている。今回も目標不在で3、4番手回りのケースが考えられるが、最終4角で中団位置があれば大外強襲の突き抜けが十分に期待できる。
小川圭二(徳島・68期)
   
 佐藤慎太郎も近況は目標に恵まれたレースばかりではないが、さすがの底力で窮地を脱して安定した成績を維持している。ふるさとダービー武雄温泉は小野俊之の1着失格での繰り上がり優勝だったが、単騎の戦いから先手ラインの3番手に追い上げて2着入線と佐藤らしい俊敏な動きが光るレースだった。高松宮記念杯の準決勝も目標不在の組み合わせだったが、バック5番手の展開から捲り気味に仕掛けて2着に突っ込み優出を果たしている。今回は北日本のエースの伏見俊昭が不在で、機動力の面では関東や中部が優勢だが、番手勝負も視野に入れた強気の攻めでチャンスをつかんでくるだろう。
佐藤慎太郎(福島・78期)
 
 鈴木誠は松戸ダービーでの優勝のあとも5月の別府記念が準優勝、6月の福井記念も準優勝とダービー王にふさわしい走りを続けている。とくに福井記念決勝は目標の山内大作が不発の展開になったが、バック5番手の位置からベテランらしい冷静なコース取りで2着に食い込んでいる。今回も1着権利の厳しい勝ち上がりで混戦の連続が予想されるので、鈴木誠をはじめとするベテラン勢が巧みな捌きとコース取りで上位に食い込んでくるシーンが数多く見られるにちがいない。
鈴木誠(千葉・55期)
 
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中団以下からの大外強襲がよく決まる
やや遅めの2角からの捲りは止められやすい
 オーソドックスな400バンクで、走路もクセがなくて走りやすく、どんな戦法でも力を出し切れる。
 先行は4角から仕掛けて1角までに抜け出したほうがいい。カマシも1角までにハナを切るタイミングで仕掛けると、あとは流してけっこう粘れるし、バックで加速すると早捲りを封じることができる。
 捲りは1センターから仕掛けて3角かかる前に捲り切っておいたほうがいい。2角からの捲りだとスピードに乗り切れずに3角で止められてしまうことが多い。遅めの仕掛けになるのなら、直線で外によく伸びるコースがあるので、脚をためて捲り追い込み気味に仕掛けていったほうがいい。
 4月の記念の2日目9Rでは高谷雅彦が先行、4番手から村上義弘が捲るが、2角過ぎからの仕掛けだったので、3角で高谷の番手の金古将人に止められてしまう。ところが、村上の番手にいた濱口高彰が直線に入ってから外のコースを鋭く伸びて1着、そして7番手にいた友定祐己が濱口のさらに外のコースを伸びてきて2着になっている。
 川崎の外のコースは本当によく伸びる。同じく記念の初日2Rでは、伊藤大志が先行、ゴール前で番手の白川裕也が抜け出すかに、5番手にいた佐藤成人が外を伸びてきて1着、白川は2着、7番手にいた笹野井丈晴が一番外を伸びてきて3着に入り、2車単で12370円、3連単で132820円の大穴になっている。先手ラインの番手の選手と中団から大外を強襲してきた選手のスジ違いの絡みが、川崎では典型的な高配当のパターンになっている。
 カントがやや浅いので競り合いはイン有利で、イン粘りも有効だが、直線は内々のコースが案外伸びないので、やはり中団以下で脚をためて外コースを突っ込んできた選手に交わされてしまうことが多い。

 周長は400m、最大カントは32度10分14秒、見なし直線は58.0m。夏場はバック向かい風が多いが、ナイター開催時には風向きがくるくる変わることもある。競りはイン有利だが、風の強い日はインが重くなるので、アウトの選手が競り勝つこともある。

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