ワールドカップ第4戦マンチェスター大会レポート
 
配信日:2月27日
 
 
■2月24日(2日目) 天候 雨 気温8℃  観客3600人

 
 2日目の今日、始めはスプリント予選200mTTから。日本からは、渡邉一成、永井清史の2人が出走した。これまでの実績を加味して決められる出走順は36人出走中渡邉が26番、永井が31番目。36番目はもちろんテオ・ボスだ。10″6、10″7台の平凡なタイムが始めから続出する中、渡邉が10″440、永井が10″365と、日本人選手に今回絶対クリアすべき目標としてマニエ監督から設定されていた10″4台を二人ともクリアした。このあとは、アルノー・トゥルナン、ミカエル・ブルガン、クリス・ホイなど「手のつけようのない」とでも表現したくなるような選手たちが出てきて順位は下がってしまうが、最終的に永井が9位、渡邉は12位で予選を通過。
スプリントに出走する永井、渡邉
<スプリントに出走する永井、渡邉>




 最下位16位で予選通過をしたドイツのミハエル・ザイデンベッヒャーのタイムが10″538。
10″5台では予選通過は微妙ということになり、マニエ監督の設定した10″4台は、まさにドンピシャの数字だったといえる。




 程なく始まった1/8ファイナル、永井はイギリスの次世代チームのタレント候補筆頭、ジェイソン・ケニーとの対戦となった。1周目3コーナーで永井が早くも前に出る。ケニーも後ろからプレッシャーを与え、早めに駆けさせることを狙っているが、永井はそれには乗らず、後ろに注意しながらも自分のタイミングで少しずつスピードを上げて行く。3周目すでに上がっているスピードをついにトップに入れ、そのままダッシュ。追いすがるケニーを振り切って、先着。才能豊かなイギリスの19歳をきっちりと料理して1/4決勝に駒を進めた。
永井VSケニー
<永井VSケニー>



 ここで、大きな番狂わせが起きた。予選1位通過のテオ・ボスが1/8ファイナルでザイデンベッヒャーの後輪に接触し、落車。レースを棄権することとなった。このことにより、永井は1/4ファイナルでは予選をギリギリで通過したザイデンベッヒャーとあたることになり、上位進出に大きく弾みがついた。

 そのザイデンベッヒャー戦、永井は後ろからの周回。1周目4コーナーでザイデンベッヒャーが外に上がったところで前に出て2周目から先行。後ろを見ながら、ザイデンベッヒャーの動きにあわせてスムースにスピードアップ。スパートしたと言うよりは、徐々にトップスピードに持っていったような走りで、全く相手を寄せ付けず、あっさりとまず1本。

 2本目は、ザイデンベッヒャーが前に出て逃げ切りを狙うも、ラスト1周、バックであっさりとまくって2本。格の差を見せつけた。これで、セミファイナルに進出が決定。





 一方、渡邉の1/8ファイナルはオーストラリアのマークフレンチとの対戦。スローペースで始まった競走だが、1周目の3コーナーで渡邉が前に出てからはペースが一転。かなり早いペースとなる。ラスト1周、後ろを見ながら渡邉が踏み込んだのが2コーナー。フレンチはそれに合わせて加速。一時は渡邉が逃げ切るかのようにも見えたが、まさに最後の最後、ギリギリのところで差され、9位以下を決定する1/4Bファイナルに回ることとなった。
渡邉VSフレンチ
<渡邉VSフレンチ>



 その1/4Bはオーストラリアのライアン・ベイリーとの戦い。シドニー大会でベイリーと対戦し勝ったことのある渡邉にはベイリーとの戦いに、いいイメージが残っているはずだ。後攻めになった渡邉。比較的早いスピードで回っていくベイリーを淡々と追っていく。ラスト1周バックで一気にしかける渡邉。抵抗するベイリーにしばらく外を回らされるものの、
最終直線ではしっかりと捕らえ、先着。セミファイナルBへ進出が決定。この後、渡邉はケニー、オーストラリアAISチームのスコット・サンダーランドと当たるが、蓄積した疲労からか、星を取ることはできず、総合で12位となった。
渡邉VSサンダーランド
<渡邉VSサンダーランド>



 ポイントレースでは既に世界選枠がある日本、もうひとつの枠を確保すべく投入された盛一大の予選。盛は第2スプリント、早くも逃げに加わり、スプリント周回は2着で通過。3ポイントゲット。第4スプリントでは、遅れた4人が先頭集団にラップされる。盛は第2集団ながらも、まだ元気。第5スプリントでは集団は再び一つに。その大集団の中でラップされるライダーが出てくるが、盛はラップしているほうのライダー。その後もポイントを重ねることはなかったが、最終的には、初めに取った3ポイントが効いて、9位で予選を通過した。
ローラーでクールダウンする盛
<ローラーでクールダウンする盛>



 夕刻になり、永井のスプリント、セミファイナルが始まった。今回、非常に調子のよいアルノー・トゥルナンとの対戦。1本目は永井が先行。最終周のホームで永井がスパート。合わせてトゥルナンがすぐに前にかぶせる。勝負はほぼそこでついてしまった感があり、逃げるトゥルナンを追走するのが精一杯。1本とられてしまった。続く2本目、ある意味同系の永井とトゥルナン。お互い、同じような作戦で勝ちたいはず。後ろを走っていたトゥルナンは、2周目バックで前に出て、スパート。先ほどと同じような展開になってしまい、ここで2本。3-4位決定戦に回ることになった永井の相手はフランスのミカエル・ブルガン。

 1本目も2本目も永井は逃げて勝とうとするが、1本目は最終4コーナー、2本目は最後までブルガンを苦しめるが、少しの差でかわされ、永井のメダルは消えてしまった。しかし、トゥルナン、ブルガン、そしてイギリスのクリス・ホイという、この4人の中に残ったことは、日本にとって、非常に喜ばしいことであり、永井が自信を高められたことも含めて、今後につながる戦いとなったはずだ。
永井VSトゥルナン
<永井VSトゥルナン>



 スプリント決勝は、鳥肌のたつような戦いだった。先行するトゥルナン。スピードをあげたトゥルナンが一瞬スプリンターレーンをはずしたすきに、ホイがねじ込むように身体をいれ、そのままほぼ1周、肩がぶつかりあうようなもがき合い。
しかし、最後はトゥルナンが先着し、1本。2本目も先行するホイを最後に捕らえ2本連取。
スプリントでの新旧1km王者対決は、トゥルナンに軍配があがった。






ポイントレース決勝

 第1スプリントから逃げ→吸収が繰り返されるが、盛は様子見。第4スプリントではギリシャのロー二ス・タモリディスとアイルランドのデビッド・オローリンが2人で集団をラップ。
第5スプリント、ついに盛が動く。フランスのアンディ・フリッキンジャーと協力し、しばらくリードするが、吸収されてしまう。第7スプリントで再び盛がアタック。それに数名が乗り、スプリント周回では、ポイント奪取のためのスプリントになるが、盛は3位通過でまず2ポイントゲット。その勢いを使って盛を含む5人はそのまま、前方の大集団に襲いかかる。ラップ達成で、盛は暫定9位にジャンプアップ。
ポイントレース、アタックをしかけようとする盛
<ポイントレース、アタックをしかけようとする盛>



 残り20周の第10スプリントでは、盛を含む10人での大スプリントが1周の間繰り広げられるが、もがき合いの中なんとか4位をキープし、さらに1ポイントを積んだ。最終スプリント、盛は依然としてアグレッシブだ。最終バックでは4番手だったが、最後のひと踏ん張りで3着になだれ込み、2ポイントを獲得。最後まで持ち前の攻撃的な走りを維持し、総合7位に入った。




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