ワールドカップ第2戦北京大会レポート
 
配信日:12月12日
 
 
■12月17日(最終日) 天候 曇り 気温2℃ 観客2500人

 2週連続したワールドカップ、2戦目の北京大会もいよいよ最終日。
朝から、スプリントの200mTT予選が行われた。日本からは渡邉一成、北津留翼が出場。
例によってはじめは10″6以上のタイムが続出。27人走って誰も10″6を切れないという凡走が続くが、28番目のオランダ、ティム・ヴェルドが10″362をマーク。トラックに大きな問題がないことを証明する。その後も、目を見張るタイムがなかなか出てこない。イギリスのマットクランプトンが10″429。大きな問題はないと思える一方で、北京のバンクは200のタイムトライアルに関してはあまりタイムの出るトラックではないのだということも認識できる。47番出走で北津留が登場。10″558。日本チームピットにもため息がもれる。
2人あけて渡邉がバンクに上がってくる。タイムは10″386。「よし!」の声が日本関係者達から漏れる。
その後は、ホイ、ボス、ブルガン、ニムケなどが出てきて、10″1台のオンパレード。
この選手たちにかかれば、「ラオシャンベロドロームはタイムが出にくい」などの議論が無用に思えてくる。
結局、渡邉は13位で予選を通過。北津留はの27位で2大会続けて予選通過を逃すこととなった。

北津留タイムトライアル。本来であればこの写真しかないのはおかしい
北津留タイムトライアル。本来であればこの写真しかないのはおかしい



予選通過した渡邉が1/8決勝であたることとなったのは、今大会好調のミカエル・ブルガン。
インスタートの渡邉が先行、スローペースで1周目を周回。2周目に入りスピードは上がるが、お互いにらみ合いの状態が続く。残り1周のホームから渡邉がスパート。
ブルガンも、待っていましたとばかりにスピードを上げる。バックの直線で渡邉はブルガンに前を許し、そのまま。
クオーターファイナルへ駒をすすめることが出来なかった。
続いて、9-12位に入るべく、クオーターファイナルBに出場。
相手はオランダのヴェルド。先行した渡邉は超スローから、バックでスタンディングばりの停止、そのあともトリッキーな動きを
繰り返す。しかし、2周1コーナーで、上に上がった際に、ふいに内をついたヴェルドがそのままスパート。
ふいをつかれた渡邉は追うのが精一杯で、ヴェルドに先着を許し、ここで終了。着位をもらうことはできなかった。

渡邉のコメント
「久しぶりに250でスプリントが出来ました。順位はダメでしたけど、収穫のあった2レースだったと思います。
250で戦える技術を、もう時間はないんですけど、あせらずにやしなっていきたいと思います。
ヴェルドとの試合は、いろいろやってみたんですけど、やっぱり小細工しないで勝てる脚がほしいですね。
これからタスマニアに行って、次のロサンゼルス大会までにもトレーニングの時間がありますから、がんばってみます」

渡邉のレースを分析する北津留。先日の断髪式の結果、坊主頭に
渡邉のレースを分析する北津留。
先日の断髪式の結果、坊主頭に




 シドニー大会で初出場を果たしたばかりのマディソン。飯島誠、盛一大のコンビが再度世界に挑戦する。
予選は第1スプリントから前々の位置をキープ。イギリス、チームFOCUS、100%MEチームなどとともに逃げ、早々に1ポイントゲット。
第3スプリントでは飯島がエンジン回転数をあげ、タッチした盛がそれを引き継ぐが、他のチームの選手がタッチにかぶり、5位入線で惜しくもポイントがとれず。
ポイントのない日本は残り15周から、盛がダッシュをかけ、後続を引き離すが、吸収。
残り5周、再び盛が出たところをオーストラリア、ベルギーなどが追走。飯島が引き継ぎ、逃げを続ける。タッチのタイミングで
順位を下げるも1ポイントゲット。総合2ポイント9位で決勝進出。
スタート前の盛
スタート前の盛

 
果敢に先頭に出るのだが・・・
果敢に先頭に出るのだが・・・
日本チームのタッチにもう不安はない
日本チームのタッチにもう不安はない



  初出走から2回目で早くも決勝進出を果たし、勢いに乗る日本チーム。
その決勝の周回数は160周。
初手は先頭から数名のところを維持しようとしている。しかし、集団のスピードは速く、最初から壮絶なスプリント合戦が繰り広げられる。
周回は重なっていくが、なかなかゴールスプリントには加われない。
そうしているうちに速いスピードのなかからも抜け出したウクライナチームがラップを達成。
第4スプリントでは日本チームは後方に置かれる。前に出ようとすると、集団がふくらみ、大外を回らされることが多くなっている。
残り80周もあるにもかかわらず、ペースは上がり続け、日本チームは集団にくらいついていくのがやっとの雰囲気だ。
残り60周にかかり、時折集団が緩む場面も見られるが、前に出るよりは、休むことにそれをあてなくてはならず、日本チームは、なかなか前へ出られない。
残り50周、再度、盛が前へ出ようと試みるが、また外を回らされ、消耗してしまう。
果敢にポイントもとりに行こうとするのだが、惜しいところでゲットできない状況。
残り29周、集団のスピードはまた上がり、縦に長くなりはじめる。もはやこのスピードで前に出るのは難しく、追走が精一杯。
消耗しきった体力のなかで、懸命に前を狙う気持ちを見せる日本チーム。
残り2周、最後の力を振り絞って飯島が猛烈に追い上げを開始、それを引き継いだ盛もそれに呼応するように必死にもがきつづけるが、結局、最終スプリントでもポイントはとらせてもらえず、15位という結果となった。
飯島のコメント
「決勝にのれたという事で、大きな一歩だったと思います。目標は完走することだったので、そこは達成できました。
一歩一歩確実にステップアップしていけばいいと思います。このスピード自体は想定内でした。ただ、メイン集団についていくのが精一杯で、その後が続かなかったです。必要だと思うのは、回復力とトップスピードですね。トップスピードがあれば、点数が取れると思います」
盛のコメント
「完走はできたし、少しずつ上には行っているんですけど、ステップアップの幅が小さすぎますね。
スピードが速いので、全然行けないです。これが、ワールドクラスですね。攻め切れていないのが悔しいです。
決勝ではアタックすらさせてもらえない。厳しいですね。次はしっかり調整して、何とか一ケタの入賞を狙いたいです」
2人はことあと、12月21日から香港で行われるロードのステージレースに出場。その後、盛は愛三工業のオーストラリア合宿から次のLA大会へ、飯島は新年5日からマレーシアでのロードレースに出場し、LA大会とかなりのハードスケジュールだ。
レースの合間に上手に休養し、LA大会での目標達成を果たすことを楽しみにしたい。
死力を尽くした飯島は、一時的に腰がおかしくなり、柳マッサーのマッサージをうける
死力を尽くした飯島は、一時的に腰がおかしくなり、柳マッサーのマッサージをうける順位はどうあれ、出し切った2人にマニエ監督も満足そう
順位はどうあれ、出し切った2人に
マニエ監督も満足そう


 



 
 オリンピックのプレイベントとして行われたワールドカップ北京大会。率直な感想としては、「世界はますます仕上がってきている」である。
日本チームも、もちろん上へ行っているのだが、世界も止まってはいないということ。
もっと、スピードを上げて追わなければ、差はなかなか縮まっていかない。しかし、まだ日本のレベルが超トップレベルに達していないだけに上への余地があるわけで、急速なブレークスルーが期待できる。
LA大会まで、年を越して1ヶ月ちょっとある。チーム全員が思っていることだと思うが、何としてもここで間に合わせたい。
今年の除夜の鐘は、のんびり聞いてはいられない。来年の除夜の鐘を最高の気持ちで聞くために。
 




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