ワールドカップ第1戦マンチェスター大会レポート
 
配信日:11月7日
 
 
■10月30日(開催前日) 天候:くもり 気温:7度
 
 2008年10月、北京オリンピックの興奮がおさまったころ、トラックサイクリングのニューシーズンの幕開けはオリンピックで大旋風を巻き起こしたイギリスチームの本拠地マンチェスター。今年からワールドカップはこれまでの全4戦から全5戦に増えている。残りの4戦を紹介しておくと、11月オーストラリア・メルボルン、12月コロンビア・カリ、1月中国・北京、2月デンマーク・コペンハーゲン。そして3月の世界選手権はポーランド、ワルシャワ郊外のプルシュコウとなる。5戦に増えたワールドカップ。ワールドカップへの参加が世界選手権の国ごとの参加枠に関っていることはご存知だろうか。各ワールドカップの平均参加人数を2倍して、1を加え、整数に切り上げた数がその国における世界選の参加資格数となるが、第1戦のみは参加義務のない大会、つまり平均参加人数を割りだす要素に加えなくてもよい大会となる。もちろん、参加した場合には平均を割りだす分子にも分母にも加えることになるが、参加しなかった場合には分母に加えなくてよい。したがって、参加しなかった場合でも平均が下がることのない大会という位置づけだ。


 この大会への参加はもちろん個人のUCIポイントには影響するものの、出なくとも世界選出場に大きな影響が出ないとなれば国としての参加のモチベーションは低いと予想される。さらにオリンピックのすぐ後のシーズンである。観客の注目がどれほど集まるのかと考えてしまうが、やはりその条件に耐えられるのは、トラック競技王国の首都とも言っていいマンチェスターしかなかったということなのだろう。


 参加を見てみるとチーム数はナショナルチーム31、トレードチーム20で51。男子153名、女子63名で全216名の選手が参加する。オリンピック前年の昨年の参加数と比較すると、見劣りは否めないが、それでもトレードチームが20も参加していることなどがトラックサイクリングが、興行的にも盛り上がってきていることを示している。


 日本チームは今回スプリント種目のみの参加。渡邉一成がケイリン、スプリント、チームスプリント、成田和也と新田祐大がチームスプリントに出場する。北京オリンピック出場で実績を積み、日本におけるインターナショナルレース出場選手の顔になってきた渡邉、久しぶりに国際舞台に戻ってきた成田、新田の活躍に期待したい。


 そして、昨年はここでワールドカップが開催されなかった関係でコペンハーゲンでの開催となったが、ほぼマンチェスターで定着しつつあるJKAインターナショナルケイリンイベント。こちらにはワールドカップ参加の3人に加え、稲垣裕之、中川誠一郎が参加する。これまで開催は4回を数え、今回が5回目となるがケイリン発祥国として満足できる成績を残せていないこのイベント。競輪を職業とする侍ライダーたちの意地を見せて欲しい。


 大会前日の今日は明日に出走を控える渡邉を除いて4人の選手が練習を行った。4人とも板張り250mトラックに慣れている選手なので、マンチェスターのトラックに対してのとまどいは感じられない。稲垣と新田は28日まで国内競輪を走ってそのままこちらへ来た形だが、表情は明るく久しぶりの板張りトラックを楽しんでいるようだった。


 トラック競技だけでなく、ロードレース、BMXなど全ての自転車競技で世界制覇を目論むイギリス。今回は、何度イギリス国歌を聞くことになるのだろう。そして、そのイギリスの快進撃をどれだけ他の国が食い止めるか。このような断定的な言い方はあまりしたくないが、こう言わざるを得ない。トラック競技世界は今、イギリスを中心に回っている。日本選手が、王者にひとあわふかせるシーンを是非見たいものだ。

練習の合間に談笑する選手たち
練習の合間に談笑する選手たち

日本の競輪でも実績を上げはじめた新田
日本の競輪でも実績を上げはじめた新田

稲垣・中川も久しぶりの板張りトラックの感触を楽しむ
稲垣・中川も久しぶりの板張り
トラックの感触を楽しむ


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