ワールドカップ第1戦マンチェスター大会レポート
 
配信日:11月7日
 
 
10月31日(初日) 天候 晴れ 気温4℃ 観客3000人

 オリンピックの直後のワールドカップは興味を集めないのではないかという懸念はマンチェスターに関しては杞憂だったようだ。席はすべてソールドアウト。観衆の熱狂も変わらないどころか、さらに増している。観覧ゾーンの一角に大変なひとだかりが出来ていると思えば、クリス・ホイのサイン会。今回、クリス・ホイはケガのため出場していない。このケガのため日本のワールドグランプリにも出場できなかったのは記憶にあたらしいところ。その分、いろんなイベントにひっぱりだこで忙しくしているようだ。




 
 今日は、日本人選手の種目は、渡邉一成の出場するケイリンのみ。1回戦、渡邉の組はドイツのセバスチャン・ドーラー、イタリアのルカ・チェチ、ウクライナのアンドレイ・ヴィノクロフ、南アフリカのトレードチーム、ウィリートラックディベロップメントのクリスチャン・スミスというメンバー。新顔が多く、ヴィノクロフにさえ気をつければ1着通過も可能に思われた。ちなみに今回は1回戦の勝ち上がりは1着のみ。2着以下は敗者復活にまわり、逆にこれまで1着のみしか勝ちあがれなかった敗復は2着まで残れるようになった。1回戦通過を厳しくして敗復にも有力ライダーが走ることにより、すべての競走に注目を集めようという意図か。


 さて周回はペーサーの後ろにヴィノクロフ、ドーラー、スミス、チェチ、そして最後尾に渡邉。残り3周のホームから渡邉が前に出ようとするも、渡邉の前輪がドーラーの後輪にかかったぐらいのタイミングでドーラーが大きく車体を横に振り渡邉を牽制。それをよけるため外に振れスピードが落ちたのを見てドーラーが前へ出る。渡邉はそれを追う形に。依然として先頭はヴィノクロフ。残り2周、ドーラーが先頭に立ち、渡邉は内のヴィノクロフと並走しながら、それを追う。さらに追い上げ、バックで並ぼうとする渡邉をドーラーが再度牽制。勢いを消されたためドーラーの後ろに入ろうとするもそこにはヴィノクロフ、チェチと続いていた。渡邉は「これでは1着はムリ」とあきらめた形で後退し5着。敗者復活に回ることとなった。


 上位進出のためには落とせない敗者復活戦。渡邉の組は他にフランスのトレードチーム、コフィディスのフランソワ・ペルヴィス、スイスのセドリック・ストーラー、トリニダードトバゴのクリストファー・セリエ、スペインのトレードチーム、セスパ・ユースカディのホデイ・マスキアラン、南アフリカのガディ・チャイド、スペインのトレードチーム、カタルーニャのイトマー・エステバンで7車立ての競走。渡邉は首尾よくペーサーの後ろを奪取。チャイド、セリエ、ストローラー、ペルヴィス、マスキアラン、エステバンと続く。残り2周半でペーサー退避と同時に渡邉の後ろにいたチャイドが渡邉を交わして前に出る。渡邉はチャイドを行かせながら、後ろを見やり、ペルヴィスが来るのを待っているような素振りを見せる。残り一週半のバックでペルヴィスがダッシュするのを見て渡邉も速度を上げ、まず前を走るチャイドを交わし、先頭に立つ。チャイドが渡邉について行けず、後ろがあいたと見たペルヴィスは渡邉の後ろにはまる。残り1周、渡邉は逃げ体制。ペルヴィスの後ろにはマスキアランがうまくはまっている。4コーナーの立ち上がりで渡邉はまだ先頭。死力を尽くしてもがいている。しかし、最後で力尽きペルヴィスに差され、その後ろのマスキアランと微妙な勝負。結果は、ごく僅差でマスキアランが勝っており、悔しい3着で第2ラウンド進出を逃した。
今シーズン初戦。引き締まった表情に決意がうかがわれる
今シーズン初戦。引き締まった表情に決意がうかがわれる

ヴィノクロフにさえ注意すればと思ったが・・・
ヴィノクロフにさえ注意すればと思ったが・・・




もっと走りたかった。悔しさがにじむ
もっと走りたかった。悔しさがにじむ
ペルヴィス、ケニーなど主力が若手に移ってきた
ペルヴィス、ケニーなど主力が若手に移ってきた


 


渡邉のコメント
 「1回戦は、ドイツの選手にすごくはられちゃって・・・ (「それだけ名前が売れてマークされているということでは?」と聞くと) 僕なんかマークするほどじゃないんですけどね(笑)。並んでるときに身体と身体であたるのはどうってことないんですけど、前輪が差した状態で、振られるのはやばいですよ。1回戦は仕方ないとして、敗復は思ったとおりの展開になりました。でも、ペルヴィスが来たのは見えたんですけど、その後ろのマスキアランまでは見えませんでした。この展開で、2着に残れないのは悔しいですね。もう少し、練習していたらなんて、考えちゃいます。身体も動いていたんでケイリンはもう少しいけるんじゃないかと思ってたんですけどね。2回走って終わりっていうのは、今回はやっちゃいけないですねぇ。明日はスプリントですが、ハロンの練習も全然出来ていないので、実は今回スプリントのほうが心配です。でも、とにかく頑張んなきゃいけないですね」



 ケイリンの決勝は、ペルヴィス、イギリス、スカイ+HDチームのジェイソン・ケニー、ポーランドのカミル・クチンスキー、ギリシャのクリストス・ボリカキス、ロシアのデニス・ドミトリエフ、そしてオランダのテアン・ムルダー。先行するケニーをラスト1周半、中段から前に出て残り1周でペルヴィスが先頭、一度前を取られたケニーが最終バックから再度抜き返しにかかるデッドヒートだったが、最終的にはペルヴィスが逃げ残り、ケイリン種目で今シーズンはじめてワールドカップ・リーダージャージに袖を通した。

ケイリン優勝ペルヴィス。もう「1キロTTだけの選手」とは言わせない
ケイリン優勝ペルヴィス。もう「1キロTTだけの選手」とは言わせない
   



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