ワールドカップ第2戦メルボルン大会レポート
 
配信日:11月26日
 
 
■11月22日(最終日) 天候 雨 気温10℃ 観客3200人

  ついに太陽を見ることなく最終日。朝には雹までふる気候で、会う関係者は皆「クレイジーだ」と言い合っている。前半のセッションでは、オープニングとなるマディソンの参加があまりなく、予選がキャンセルになったため、レースはスプリントの200mTT予選からスタート。

 
200mTTの成田
200mTTの成田
200mTTの渡邉
200mTTの渡邉


 日本代表、4番出走の成田和也はタイム10.787で7番目までは首位に立っていたもののその後は次々と成田よりよいタイムが出て順位を下げてしまい、16位まで通過のところ19位で無念の予選落ち。
 久しぶりのスプリントだっただけに、まだ勘が戻っていないのか残念な結果となった。
「もっと、出るはずなんですけどね。うーん、自分ではもっと出ると思っていたんですけどね」と繰り返し、さすがにくやしそう。

もっと出るはずなのになぜ。悔しそうな成田
もっと出るはずなのになぜ。
悔しそうな成田



 
 もう一方の渡邉一成は29人中27番出走。「外にふくらんで失敗した」とは言っていたが、それでも10.443で7位通過。
10位で通過したドイツのミハエル・ザイデンベッヒャーと1/8決勝を戦うこととなった。
スプリントは予選通過時のタイムを一番時計から順番に並べ、16位まで通過の場合、1位と16位、2位と15位という形で対戦させる。
 日本人選手は、どちらかというと下から数えたほうが早いほうに入ることが多いのだが今回の渡邉は相手よりタイムが上。
もちろんタイムがいいことがそのまま強いことにはならないのがスプリントという競技ではあるが、気持ち的にはやはりラクだ。そのザイデンベッヒャー戦、スローペースで先行する渡邉の内側に急に切り込んだザイデンベッヒャーに渡邉が接触してしまい落車。レースは再走となる。落車の影響が心配な渡邉だったが、どうやら大きな問題はなさそうだ。
 再走の走りも1回目のリプレイかと思うような同じ展開。2周目1コーナー過ぎにザイデンベッヒャーが先行する渡邉の内に切り込んで先行。追う渡邉は最終バックからもがきをいれ、ザイデンベッヒャーに追いすがる。
しかし、ザイデンベッヒャーも粘り、勝負は直線へ。ほぼ同時のゴールに見えたが、場内のアナウンスは「ワタナベ」を連呼している。しかし、写真判定後、ザイデンベッヒャーの勝利が告げられる。
 さらにその後、最終ストレートでブルーバンド(トラックの内側にひかれた青色の帯。通常、故意に走行してはならない)を走行したとして降格がとられ、渡邉の勝利が再度告げられるという、観客にとっては「いったいどっちが勝ったんだ?」という声が聞こえてきそうな勝負だった。
ゴール直前。たしかにザイデンベッヒャーがブルーバンドを走行している
ゴール直前。たしかにザイデンベッヒャーがブルーバンドを走行している
ゴールのスロー。ほんの少しだけザイデンベッヒャーが先着か?
ゴールのスロー。ほんの少しだけ
ザイデンベッヒャーが先着か?




  ゴタゴタはしたが、渡邉は予想どおりこの勝負をものにし、1/4決勝へ。
相手は地元オーストラリアのスプリンター、シェーン・パーキンス。
1本目は先行するパーキンスを追って、スピードをあげるが、パーキンスも渡邉のスピードアップにうまく対応し、なかなか差が縮まらずに1本。2本目はインスタートから渡邉が先行。うしろの様子を見ながら、スパートをかけるがピタリとつけたパーキンスは最終バックでコシを上げてダッシュ。渡邉も必死にこらえてスピードを維持しようとするが最終直線で捕らえられ2本を連取されて決勝への望みはここで絶たれた。



 1/4決勝で負けたものの間で、5-8位を争う5-8位決定戦、メンバーは渡邉のほかにマレーシアのジョサイア・ヌグ・オン・ラム、中国のウェン・ハオ・リ。4人で走るはずだが、1/8決勝で1回、1/4決勝は降格措置の1回と同じ種目で警告を2回受けたペナルティでマレーシアのアジズルハスニ・アワンが除外となっている。
 ヌグ、渡邉、リで並んだ2周目、渡邉が出ようか出まいかためらったように見え、少し外に出たところにリが車を入れる。
 渡邉は3番手に。そうしているうちに最終周回に入り、ヌグがトップギアに入る。十分にスピードが上がった隊列に変化をもたらすには、渡邉は疲れすぎていたと見え、そのままの順番でゴール。渡邉は総合7位となった。
5-8位決定戦。内からヌグ、渡邉、リ
5-8位決定戦。内からヌグ、渡邉、リ


  オーストラリア人同士、フランス人同士の対決となった準決勝を今回渡邉を破ったパーキンス、そしてマンチェスターで渡邉を苦しめたフランスのミカエル・ダルメイダがそれぞれ勝ち上がり、決勝。
 地元の声援を背負ったパーキンスは、ダルメイダを寄せつけず2本を連取。優勝とともにワールドカップリーダージャージをものにした。

スプリント決勝。パーキンスはダルメイダをあっさりと下した
スプリント決勝。
パーキンスはダルメイダを
あっさりと下した



 渡邉のコメント
 (「一応、マンチェスターより順位を上げたということになるが?」と声をかけると)「いやぁ、自分的には納得してないですね。パーキンスには3回やったら1回は勝てると思うんですけど・・・落っこちて(1/8決勝のザイデンベッヒャー戦での落車のこと)内側広筋(大腿部の内側のほうの筋肉)が痛くてなんか力が入らないです・・・まぁ、言い訳ですね。次の(自分が出場する)ワールドカップまで2ヶ月あるので、しっかり練習をやって出直します」
落車で作った傷の絆創膏が痛々しい。「全然大丈夫です」と気丈だったが、内側に向かって倒れたため衝撃は大きかったはず
落車で作った傷の絆創膏が痛々しい。
「全然大丈夫です」と気丈だったが、
内側に向かって倒れたため
衝撃は大きかったはず



 今回、オーストラリア勢は金メダル5、銀メダル6、銅メダル4と合計で15のメダルを獲得。マンチェスターでのイギリス勢にはかなわないものの現在総合力ではイギリスに次いでナンバー2であるところをアピールした。北半球、南半球それぞれで英連邦が快進撃を進めている。
 この勢力図は簡単には変わりそうにないが、異変は歴史のあるヨーロッパの伝統国の復権からはじまるのかそれともニューワールドが立ち上がるのか。出場国やメンバーがかなり変わりそうな予感のする次回コロンビア・カリ大会では興味深いサプライズがあることを楽しみにしたい。
地元メルボルン生まれのシェーン・パーキンスの優勝に会場も大盛り上がり
地元メルボルン生まれのシェーン・パーキンスの優勝に会場も大盛り上がり



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