ワールドカップ第3戦カリ大会レポート
 
配信日:12月16日
 
 
■12月13日(最終日) 天候 晴どきどき曇一時雷雨 気温27℃ 観客2800人

 カリ大会もすでに最終日。日本チームは残すところスプリントのみだ。
 朝からはじまった予選に石倉龍二、石口慶多が出場。
 予選の200mTTには32人がエントリー。16人が本戦の1/8決勝に勝ち上がるため、半分はここであしきりにあう計算だ。
 11番出走の石倉は11″384で31位、19番出走の石口は11″087で27位となり、日本のワールドカップ第3戦はここで終了。興味は、ケビン・シローのずば抜けた走りに移ることとなってしまった。
石倉のスプリント予選(200mTT)
石倉のスプリント予選(200mTT)
石口のスプリント予選
石口のスプリント予選




 
 200mTTを9″950で1位通過したケビン・シローは、本戦に入っても昨日のケイリンでの降着判定のうっぷんをはらすように別格の走りで勝ち上がっていく。

 夕方のセッションに入り、観客は大入り満員。しかも、ラテンの血なのか、その歓声は場内の実況を完全にかき消してしまうほどだ。特に地元ライダーへの声援は筋金入りで、耳を手で覆いたくなるほど。
ケビン・シローは9″950。ハロンタイムだけでも今大会、圧倒的
ケビン・シローは9″950。
ハロンタイムだけでも今大会、圧倒的



 
 さてスプリント1/2決勝は、ミカエル・ブルガンとのフランス人対決。もう一方は、ステファン・ニムケとロベルト・フォルステマンのドイツ人対決。
 ここでもシローは大先輩ブルガンをあっさりと2タテで下し、勝ち上がってきたニムケと決勝戦となったが昨日の1キロTTウィナーも、ケイリンでの欲求不満に荒ぶる若武者に手がつけられない。
 シローが、横綱相撲でニムケを制し優勝。
 COFIDISの赤いジャージを着た大柄な若者が「今大会スプリント系種目ナンバーワンライダー」だということを会場全体に印象付けた。
誰もシローを止められない
誰もシローを止められない


 
 満場の観客と大歓声。ラテンアメリカ、コロンビアでここまでトラック競技が盛り上がっているということに正直驚きを覚えた。
 もちろん、ロードレースなどでは、コロンビア国籍の強い選手もいるが、トラックはこれまでそれほど強い印象がなかった。
 まず理解しなくてはならないのは、南米には遠征費などの関係でヨーロッパやアジアの大会には出てこないが、それなりの力を持った選手が多くいるということ。COFIDISを含むフランス、ドイツなどを除けば、確かに超強力な選手の出場はなかったとはいえ、例えばスプリント系種目で言うと1キロTTは1′3″台でなければ5本の指には入れないし、スプリント予選の200mハロンは10″4台はゴロゴロいるのだ。

 そんななかで、開催国コロンビアが男女あわせて7つのメダルを獲得したことは賞賛すべきであるし、南米のトラック競技者たちを大きく勇気づけたにちがいない。
 南米には、貧しい環境のなかで、なんとか自分の競技レベルを上げようと努力する選手の姿がある。最新の設備、最新のスポーツサイエンスを用いて極限までのパフォーマンスを実現するアスリートたちがいる一方で、ワンルームの部屋に家族4人が住み、さび付いたクロモリのフレームで練習し、超一流選手に近いパフォーマンスを実現しようとする選手たちのハングリーさがあることを思い知った。
 そういった意味で、そのバックグラウンドを知る地元ファンの声援の熱さが、妙に納得できたカリ大会だった。
今大会最優秀国コロンビア。もともと強い中長距離に加え、ケイリンなど短距離でも活躍
今大会最優秀国コロンビア。
もともと強い中長距離に加え、
ケイリンなど短距離でも活躍


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