ワールドカップ第3戦カリ大会 レポート
 
配信日:12月16日
 
 
■12月12日(2日目) 天候 晴ときどき曇り 気温23℃  観客1500人

 晴れ。雲は多いが太陽がしっかりと顔をのぞかせている。 しかし、ベロドロームのなかは風が吹き抜け、非常にさわやかだ。
 今日、前半のセッションでは石倉龍二が決勝進出を目指してケイリンに出場する。
 臨んだ第1回戦、石倉は外枠からペーサーの後ろをとりに行くも、内枠スタートの選手に阻まれ、5番手。周回はTOSHIBAチームのジェイソン・ニブレット、バルバドスのバリー・フォルデ、その後ろを内にカラピー・レイノ・デ・ナバラチームのホアン・ペラルタ、外にキューバのアレハンドロ・マイナットが並走、石倉、そしてベネズエラのアンゲル・プルガー。
 残り5周回でマイナットがあきらめて車を下げ、プルガーがそれを迎え入れる。石倉は4番手。ペーサーが回避したあとのホームからマイナットが前方へ。それを見たニブレットがスピードを上げ、どこにも入れないと見たマイナットは再び最後尾へ下がる。
バックでプルガーが捲くり。しかし捲くりきれずに大外からの入線を狙う。
 最終4コーナーで先頭は依然としてニブレット。石倉は内から少しでも上位に入ろうと車体を入れる場所を探すが、ニブレット、ペラルタできっちり内もしまっており、そのままゴール。石倉は5着入線。
 ペラルタが最終スプリントでインからゴールするためブルーバンドを走行したとして、降格となるも石倉は4着。敗者復活まわりになった。
石倉のケイリン。なかなか先行させてもらえなかった
石倉のケイリン。
なかなか先行させてもらえなかった

 
 気を取り直して挑んだ敗者復活戦。
石倉はまたも一番外枠からペーサーの後ろをとろうと勢いよくでるが、うまく奪取することができず、下がって最後尾へ。
 トリニダードトバゴのハシーム・マクリーン、カラピーチームのペラルタ、キューバのマイナット、スペインのホセ・アントニオ・エスクレド、石倉で周回していく。残り3周、石倉がエスクレドを切るようなかたちで少し上昇するが、エスクレドが外にハンドルを切って前にださない。石倉はエスクレドがあけた内へそのまま入る形に。
 変わってエスクレドが前に上がっていく。そのエスクレドを追うようにも見えた石倉だったが、少し出遅れたかエスクレドから置いていかれた状態になる。なんとか巻き返そうと残り2周のホームから外を捲くろうとするが、コーナーでは遠心力でふくらんだかたちで失速。
 残り1周からはスピードの上がった前方の選手になすすべもなく末着。残念ながら、セカンドラウンド進出はならなかった。


  石倉のコメント
 「はじめから、先行したいという気持ちが強かったです。自分は先行しかないと思ったので、出に行ったんですが、あわされて、内に入ることになっちゃいました。スペインの選手(エスクレドのこと)が、先行する選手だと知らなかったので・・・とにかくスピードもレベルも別の競技みたいだと思いました。周回はギアを1枚あげたので、ラクにつけたんですが、そのあとはもう・・・でもすごくいい経験になりました。ありがとうございました」


 日本人のいないセカンドラウンドでは、他の選手よりも力が一段格上と思われるCOFIDISのケビン・シローがペーサー退避直前に、後方から車を上げてきたロシアのバレンティン・サウイツキーを前に出すまいとペーサーに半車身ほど差し込んでしまい、サウイツキーとともに降着処分をうけてファイナルに残れない波乱。
決勝は地元カリ出身のレオナルド・ナルバエスが直線での伸びのある走りを活かしシローのいないラッキーもあって、優勝。
 鳴り止むことのない拍手を一身に浴びた。
地元レオナルド・ナルバエスはケイリン優勝
地元レオナルド・ナルバエスは
ケイリン優勝


 続いて1kmタイムトライアルには我妻敏が出場。自己ベストとなる1′5秒台を目指して出場したが、タイムは1′8″199で15位。
 世界の壁は、厚かった。1位は久しぶりに1キロTTに出場してきたドイツのステファン・ニムケで1′1″590。
 若手の選手の登竜門ともいえるキロTTだが、やはりニムケのような大御所は久しぶりに登場してもきっちりと素晴らしいタイムを出してくる。やはり「すべてのスプリント種目の基本は1キロにあり」と言って差し支えなさそうだ。
我妻の1キロ。8秒は残念だった
我妻の1キロ。8秒は残念だった

  我妻のコメント
 「スタンディング(スタート)が失敗しちゃって・・・自分は、はじめにタイムをかせいで、あとをコーナーを使ってスピードを維持するタイプなので、 最初で失敗すると、厳しかったです。やはりバンクに慣れていないせいかコーナーもうまく使えなくて、ロスが多かったです。 今回は、こんな舞台に連れてきてもらって、本当に勉強になりました。この経験を次のシーズンに活かせるように頑張りたいと思います」


 最後は昨日のリベンジをかけて柴田がスクラッチに出場。
はじめから速い展開となったスクラッチファイナルは、集団が縦に伸び先頭から最後尾までほぼ半周連なっている状態。
 柴田は最後尾につける。残り50周でベルギーやチリの選手などが逃げをうち、早々とラップ。
 その後残り35周あたりから、遅れて2ラップされる選手やさらにラップを狙う選手などが入り乱れて、混戦に。
 残り32周から後方集団にいた柴田が抜け出て、2周かけて前方集団に追いついた。
 柴田は苦しそうながらもその集団に食らいついている。
 その後、カナダのザシャリー・ベルが単独で抜け出してラップ達成。
 残り15周で今度は柴田の集団がラップ。
 これが効を奏し柴田はまだワンラップされたのみで2ラップした4名を除く大多数と周回数は同じで踏ん張っているように見えた。
 が、なぜか電光掲示板には“Kazuki SHIBATA=DNF”(Did Not Finish)が告げられ、コミッセールが柴田に競走からはずれるように指示している。
 しかし、柴田はそれに従わずに走り続けゴール。1着はカナダのベル。

 レース終了後、コミッセールと各国のコーチがいろいろ議論をしているように見えたが、コミュニケに出た最終リザルトでは柴田は18位。
 「レースからはずれろ」との指示は何だったのか。通常スクラッチでは最も多くの選手が属するメイン集団からラップされると競走を終えるよう指示される。しかし、柴田は数人の速い選手からラップはされたもののメイン集団からはラップされていなかったはず。このような誤指示がレースに与えた影響を考えると非常に残念だ。
 柴田は根性で走り続けたものの、指示に従っていれば、完走できたのに着位がもらえなかった可能性もある。
 ワールドカップのようなレベルが高く、付与されるポイントの大きな大会ではこのようなミスは絶対にないようにしてほしいものだ。
柴田のスクラッチ
柴田のスクラッチ

柴田は最後まで果敢に走った結果着位を得た
柴田は最後まで果敢に
走った結果着位を得た

 明日は、早くも最終日。なかなか上のレースに進めない日本チームだが、一矢を報いることができることを祈りたい。




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