09-10ワールド・カップ第4戦 北京大会
 
配信日:1月26日
 
 
■1月24日(日)開催3日目 天候:晴れ 気温-5度 

 北京でのワールド・カップも最終日。今日も風が強いものの晴れ間が広がる天候。個人的で恐縮だが、お昼に頂いている吉野家の牛丼が非常に嬉しい。競技場のロビーはいつからかフェンシング場となっているようで、練習にいそしむ子供たちが・・・上手く利用されていくことを願う。

自転車競技場でフェンシング
自転車競技場でフェンシング
      
 
 
 さて、最終日の今日はまずは男子スプリントの予選でスタート。フライング・スタートの200mタイム・トライアルでエントリー56名のうち3名が出場せず、53人中16位までが予選通過。オリンピックでオムニウムが採用されることから、これに向けての対策とみられるが、エンデュランス系のライダーの登録もあり、人数が多い中での予選となった。他の種目でも見られるが、他チームはオムニウム対策に早くも入っている様子がうかがえる。その欠場選手の中に、残念ながら深谷の名前も含まれてしまった。前日の夜から体調が悪くなったようで、当日の朝で37度3分、その後も熱が上がってしまう状況で会場に姿を見せることもなく、残念ながら欠場となった。第1戦マンチェスターでは腰痛で、そして今回とシーズン2度目の当日欠場、ここまで来ての欠場は悔やまれる。そのほか2人は落車事故のアメリカのワトキンスとフランスのボジェ。ボジェも会場で笑顔も見られたように大事にはいたっていないようだ。
   
   

 ただ一人出場することになった渡邉は53人中41番目の出走。渡邉の前に走ったライダーで気になるタイムを出したのは、今大会、スプリント陣の活躍が目覚ましい中国のジャン・レイが10秒183、ジャン・ミャオが10秒325、それにペルヴィス(コフィディス・フランス)の10秒294、後は10秒3台でもドーキンス(ニュージーランド)と渡邉の力なら上位通過出来そうな様相の中渡邉の出走となったが、まさかの10秒553というタイム。10秒3台は、悪くても10秒4台は・・・と思っていたが予想外に残念なタイムになってしまった。この後のメンバーの名前を見ていると予選通過が危ぶまれる状況。結局予選通過ラインは10秒540。渡邉は18位で予選通過を逃し、2007年シドニー以来のワールド・カップ予選落ちとなってしまった。

渡邉のスプリント予選。こんなはずでは・・・
渡邉のスプリント予選。
こんなはずでは・・・
 
 
コメント(渡邉):「全然ダメでした。悔しいです。予選落ちは久し振りです。拾われてでも良いから本選にあがっちゃえば、上位相手でも前から逃げ切れるイメージがあったんですけどね。北京は言っているようにタイムを出す奴がいる代わりに駄目なやつも多いトラックですけど、また北京にやられちゃった感じです。また仕切りなおして世界選に向けて頑張ります。頑張ります、って言ってるだけじゃもう駄目な状況ですし、年齢的にも今年27ですからしっかり結果を出さなきゃいけないんですよね。結果を出して、それで周囲に注目されて自転車競技を盛り上げていけたらと思います。」
 
 
 エンデュランス系は、今日はマディソンが行われるが、なんとこちらもアクシデント。盛が背中に原因不明の痛みを訴えて出走を取り消すこととなってしまった。マディソンはUCIランキングで現在世界選手権の出場権をとれていない状況で、今回こちらに意識の比重を置いていたエンデュランス陣であったが、残念ながらマディソンでの世界選の出場は断念せざるを得なくなった。こういったアクシデントも考えられることから、今後は出場権についてもあらかじめしっかりとした意識、計画をたてていく必要があるだろう。
 
 
コメント(飯島):「世界選の出場権を取りにここに来たので残念ですが、今はまだ無理をする時期じゃないんで仕方ないです。この後は所属チームに戻ってトレーニングして、また合宿があるのでそこできっちり仕上げてと、世界選に向けて取り組んでいきたいと思います。」
 
 
コメント(盛):「朝起きたら背中に違和感、痛みがあって・・・何か原因がはっきりしているならともかく、思い当たることがないんで・・・筋断裂かなにかしているんじゃないか、ということなんでドクターストップがかかりました。こういうのは一番やってはいけないことなんで、もっと自己管理を徹底しないといけないですよね。国の代表として権利を取るためにここにいるわけですから。ましてや今回一人でのレースじゃないわけですからね。申し訳なく思います。この後ツール・ド・ランカウイ、合宿、世界選と続くので、まずはしっかりと治してからまた頑張っていきたいと思います。」
 
 
 残念ながらここで日本勢の今回のワールド・カップは幕を閉じてしまった。
 男子スプリントは、結局予選はそのままジャン・レイが10秒183で唯一の10秒1代、ダルメイダ(フランス)の10秒267に差をつけて1位通過となったが、これは女子にも言えるが、今回の中国はタイムでは驚かされるものの、いわゆるテクニック的なものではまだ少し劣る印象を与えていた。しかしながらこのあたりもすぐに身につけてしまい、本当の強豪国へとなっていくのであろうか。日本も真剣に強化策を考えていかないとどんどんと世界はおろかアジアにも置いていかれてしまうだろう 。
   
   

 スプリントの優勝は伏兵、ニュージーランドのドーキンスがダルメイダを2対0で下してワールド・カップ初優勝を果たした。ドーキンスは若干20歳のまだまだ伸び盛りの若手。今回なんと全くの土付かず。準々決勝では中国のジャン・ミャオを、準決勝ではレヴィを、そして決勝ではダルメイダを全て2対0で下して嬉しい金メダル獲得となった。ニュージーランドはエンデュランス系では以前から強さを見せていたが、最近ではスプリント系でも強さを見せてきている。ドーキンス以外にもまだまだ良い素材の選手がおり、これからどんどんと強豪国となってきそうな感じである。

男子スプリント優勝は伏兵ドーキンス。まだまだ強くなるか・・・
男子スプリント優勝は伏兵ドーキンス。
まだまだ強くなるか・・・
      
   
   

 女子ケイリンは地元のエース、グオ・シャンがスプリントに続き優勝。中国の強さに花を添えた。
 今回の国別の優勝は中国。中国の強さは触れてきたが、このほか、マディソンで香港のトラック・チームが優勝、香港は女子ケイリン決勝でも表彰台、マレーシアは男子ケイリン優勝と女子ケイリンでも決勝進出と他のアジア勢の活躍も多く見られている。女子ケイリンもオリンピック種目採用となっていることから、日本選手が出場する姿も見てみたいし、とにかくアジアからも遅れていってしまうことが危惧されるので、進むべき道をしっかりと考えて対応していくことの必要性を大きく感じた大会であった。

優勝はお馴染み中国グオ・シャン。アジアでの日本の位置は・・・
優勝はお馴染み中国グオ・シャン。
アジアでの日本の位置は・・・
            
   
   
 ワールド・カップ4戦を終えての国別のトップはドイツだった。全4戦を終えて、次は2カ月おいてのデンマーク・コペンハーゲンでの世界選手権。今シーズンのチャンピオン決定戦で少しでも次のステップへと進む日本チームの姿を見たいものである。
今シーズン、総合優勝はドイツ
今シーズン、総合優勝はドイツ
             
   
   


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