09-10ワールド・カップ第4戦 北京大会
配信日:1月26日
■1月23日(土)開催2日目 天候:晴れ 気温-2度
2日目となる北京でのワールド・カップ第4戦。寒いことは寒いが晴れ間が広がることが多く、見た目は気持ちの良い日が続く。殺風景な感じだけでなく、このヴェロドローム内はところどころ壊れている感じで、出来て2年ちょっとしか経っていないとはとても思えないのはどうしてだろうか・・・
さて、2日目の今日は男子団体追抜きに続いて男子ケイリンが行われる。エントリーは28名。全て7名×4ヒートで2着までが勝ち上がりとなる。日本からはワールド・カップ初出場の浅井康太が出場。合宿でも木製250トラックに慣れていない様子が見られたようだが、これをものともせずに戦うことが出来るかどうか。
第1ヒートはクチンスキー(ポーランド)、ルカ・チェーチ(イタリア)、ラプシナウ(ベラルーシ)、レヴィ(コフィディス・ドイツ)、スミス(カナダ)、ボジェ(フランス)、グレゴリック(スロヴェニア)で周回。結局そのままクチンスキーが逃げる展開でレヴィが2番手、その後ろを内チェーチ、外ボジェで併走。最終周回に入るところでクチンスキーが全力で踏みだすが、バック・ストレッチでレヴィが捲り、ボジェも3コーナーから追い込む。1着は捲ったレヴィ、追い込んだボジェが最後クチンスキーを交わして2着で2回戦へ。
第2ヒートはジェニス(ウクライナ)、オクネフ(ロシア)、タン(マックス・サクセス・プロ・サイクリング 中国)、トムソン(南アフリカ)、アワン(バイク・テクノロジー・オーストラリア マレーシア)、ザフェイリス・ボリカキス(ギリシャ)、プタクニク(チェコ)で周回を重ねるが、捌いたアワンが1着、2着にはボリカキスで、この2人が2回戦へと進んだ。
第3ヒートに日本の浅井が出走。スタート位置は内からエリス(チーム・ジャイコ オーストラリア)、ボリショフ(モスコー・トラック・チーム ロシア)、浅井、ジャン・レイ(中国)、ヌグ(マレーシア)、ワトキンス(アメリカ)、アスクラヴァ(ジョージア)の順。残り2周となったところでジャンが踏みこんで先手を奪い先行態勢となるところ、その後ろにヌグが続く。ヌグは更に踏み込み3コーナーで前に出切っての先行。その後ろにジャン、エリスと続く。浅井はその後ろ、4番手で最終のホーム・ストレッチを通過する。先行するヌグをめぐって外からジャン、ボリショフ、浅井と追いすがるところ、空いた内をスルスルとワトキンスが。しかしヌグの内側に差し込むまで突っ込み、結果ヌグと接触し落車。その自転車が行く手を阻み、浅井、ボリショフも乗り上げて落車。浅井は動けない。スタッフが駆け寄り様子を見るが浅井はいっこうに動かない。最終的には担架に乗せられてトラック内へと動かされることとなった。落車のきっかけを作ったワトキンスは失格。逃げ切る形となったヌグが1着。2着はエリス。浅井の容態が気になる。
第4ヒートはクゥイアトコフスキ(チームGDH)、ニブレット(オーストラリア)、アロンソ(スペイン)、デーラー(ドイツ)、ヴァン・ヴェルトホーヴェン(ニュージーランド)、ハーク(オランダ)、エステバン(チーム・カタルーニャ)の並び。残り2周で仕掛けたニブレットがバックで完全に先手を取り、その後ろにヴァン・ヴェルトホーヴェンで最終周回へ。ニブレットの後ろがヴァン・ヴェルトホーヴェン、アロンソ、デーラーの3者併走となるが、アロンソがやや後退。結局ニブレットが押し切り1着。内で我慢したヴァン・ヴェルトホーヴェンが2着で2回戦へ。
ケイリン出走前に集中する浅井
周回中の浅井
気になる浅井だが、全く動けなかったところを見ると敗者復活戦は乗ることが出来ないと思っていたところ、なんと浅井が出走との情報が。そのガッツに期待したいところだが状態はどうなのか。
敗者復活戦の第1ヒートは力強く捲ったドイツのデーラー、第2ヒートは番手から抜け出したオクネフが1着で2回戦進出決定。
敗者復活戦も第3ヒートに出走の浅井。スタート位置は内からトムソン、浅井、チェーチ、ジャン、ハーク。スタート後の周回も枠なりでトムソン、浅井、チェーチ、ジャン、ハークの順。前との車間をあける浅井、ペーサー退避時には前を行くトムソンとの差は5車身以上で更に浅井と後ろのチェーチとの差も4車身以上。けん制しながら、前との車間を空け続ける浅井。最終周回に入る直線から加速し、残り一周のところでトムソンを交わし先行。懸命に逃げる。後ろからチェーチが迫り、3コーナーで並ばれかけるがそこでもう一踏み。最後まで追いすがられるものの1/2輪ほどしのぎ1着。2回戦進出をものにした。この時ホーム・スタンドに陣取り観戦していた日本選手が慣れない浅井に対し「車間あけろ!」とのアドバイス。浅井もチラッとスタンドを見るなどの反応があり、選手同士のコミュニケーションでワールド・カップ初勝利をものにした。第4ヒートはスミスが残り1周半から先行し1着で2回戦へ進むこととなった。
コメント(浅井)
:「オールスターで肋軟骨を骨折していた影響があって、落車した後、息が出来なくて・・・ただ落車はしたけれど1回走って少し感じをつかめていたので・・・スタンドから前との車間をあけろという(渡邉の)アドバイスが聞こえて対応出来たのが良かったです。敗者復活戦は気が張っていたのでいけましたけど、痛みが今になって出てきましたけど頑張ります。」
続く2回戦の第1ヒート。先頭で周回を重ねたレヴィが先行態勢に入ろうというところ、ヴォリカキスがこれを追い、残り2周の第3コーナーで交わして先行。レヴィはその後ろにはまる。残り1周となるところ後方からデーラーが発進、2コーナーでヴォリカキスを捲り切り先頭へ。デーラーの後ろにレヴィが飛びつきスピードを上げる。そのままデーラーのスピードは緩まず1着。流れに乗ったレヴィが2着。3着には後方から追い上げたヴァン・ヴェルトホーヴェンが入ったが、最後のスプリントで自分の走るべきラインを守らなかった、つまり斜行での降格処分を取られて4着入線のヌグが決勝進出となった。
落車でウエアが・・・
そして第2ヒート。最内からのスタートとなった浅井、その外にエリス、アワン、ボジェ、ニブレット、オクネフとなる。スタート良く前を取ったのはエリス、外でアワンに並ばれる形になった浅井だったが、注意を表すコミッセールの笛が鳴り、外のアワンが3番手に下がる。その後ろにボジェ、ニブレット、オクネフが続く。ペーサーが退避しても並びは変わらなかったが残り2周を切って1コーナーからニブレットが加速、3コーナーで先頭に立ち、逃げる。これにエリスが続き、浅井も追う。浅井の外をアワンが行き、その外からボジェも行こうと動き出したところ、浅井が突然外へすーっと動く形で接触が起き、後方のボジェ、オクネフが外のフェンスにぶつかり落車。浅井はバランスを崩したものの落車は逃れたが遅れをとり4着入線。逃げたニブレット1着。その後ろのエリスが2着で、浅井と接触したアワンは離れての3着。レース終了後間もなく、浅井の失格が場内に告げられた。浅井が前を追おうとやや外に持ち出した際にアワンと接触し、ハンドルが絡まりそれが外に動く結果になったように見え、失格止む無しか、というところであった。しかし実態はアワンが外を並走した際にやや閉められる形になりその際にハンドルが絡み通常のレーンに戻ろうとしたらハンドルが絡んだままで外に大きく動くことになってしまったとのことで、これをコミッセールにアピールしたところ、浅井の失格は取消され4着となり、浅井の7-12位決定戦の出場が可能となった。その後、落車の原因はアワンの走行によるものとの見解が示され、3着のアワンが降格、浅井が3位に繰り上がり、決勝進出となった。しかし今度はアワン側のアピールにより、結局アワン、浅井ともに降格処分はなくなり、アワンが決勝、浅井が7-12位決定戦へと回ることとなったが、決勝へ向けて準備をしていた日本チームがこれを知ったのは7-12位決定戦が始まる際に電光掲示板に出走選手の名前が出され、その中に浅井の名前があった時だったということ。二転三転となったようだが、場内には特段知らされることなく、バタバタとした結果、このような状況となったようだ。
突然出走を告げられての7-12位決定戦となった浅井。落車もあった関係でこのレースに出走したのは4人となった。最内にエステバン、その外に浅井、ヴァン・ヴェルトホーヴェン、ヴォリカキスのスタート順。号砲が鳴り、浅井はスタート良くペーサーの後ろに位置し、エステバン、ヴァン・ヴェルトホーヴェン、ヴォリカキスとなる。ペーサー退避時、浅井の後方はけん制状態となり浅井と後続の差は5車身以上離れる。残り1周半となって浅井の後ろにヴォリカキスがあがり、車間もつまり、浅井もペースを上げる形になり、そのまま先行態勢となる、段々とスピードを上げる浅井を先頭に、残り1周の鐘が鳴らされる。ヴォリカキスがスピードを上げ3コーナーで迫ってくるが、浅井に余力があるのはありあり。再度突き放し、1車身以上の差で1着となり、初出場の今回、7位で競走を終えた。
決勝はエリス、レヴィ、ニブレット、デーラー、アワン、ヌグの順で周回。ペーサーが退避するタイミングでアワンがスピード・アップして上がっていき、その後ろからヌグも上昇。アワンはスピードを緩めるが、ヌグはそのままスピードを上げ、4コーナーで先頭となり、そのまま残り2周回となり、並びはヌグ、エリス、アワンの状態。その後ろからレヴィも位置を上げていき、残り1周をヌグ、エリス、レヴィの順で通過する。最終1コーナーからエリスがヌグを捲りに行き、続くレヴィの内側にアワンが入り込みエリスに続こうとする。バック・ストレッチでエリスが先頭に立ち、アワンの動きか、ややレヴィが失速するような形になる。アワンは更にエリスの外に進路を取り、捲り追いこみ。アワンが前を交わして1着でゴール。アワンの動きに合わせたニブレットもエリスを交わして2着。エリスが3着となった。しかしこのレース後もアワンのレヴィに対する走行にコフィディス・チームが執拗にコミッセールにアピール。最終結果はなかなか出てこなかったが到達どおりで決定することとなり、アワンが優勝し今季のワールド・カップ・リーダーを確定させた。
ケイリン優勝はアワン。
左にニブレット、右にエリスのオージー勢
コメント(浅井)
:「2回戦はあー、また俺落ちるんかい、と思ったんですけど・・・完全にハンドルがからんじゃいましたね。でも(失格じゃなくて)もう1走出来て良かったです。4人だったんで、なんだよスプリントかよ、やったことないぞって思いましたけど、前にいて気づいたら先行する形になったんですけど、正直楽でした。競輪で先行するより楽でした。まだ2周くらいいけるぞ、なんて。感じをつかめた気がするし、また次に繋げられると思うので頑張ります。」
本日もうひとつのスプリント系種目は1kmタイム・トライアル。エントリーは30名と最近にしては多い数字となり、日本の新田祐大は15組中14番目にバック・ストレッチからのスタートとなった。新田がスタートする時点で2秒台を出しているのが中国のジャン・ミャオとドイツのアイラース。目標の2秒台をクリアすれば表彰台はすぐそこだ。スタート後最初の250メートルの入りは18秒920で全体の7位。以降の1周毎のスプリット・タイムは33秒200・10位(ラップ・タイム 14秒280・17位)、48秒049・12位(14秒849・9位)、ゴールは1分3秒724(15秒675・5位)のタイムで7位であった。レース前からあまり歯切れの良い話は聞けなかったが、コンディションを上げて、世界選手権での自己ベスト、そして2秒台の数字を是非見たいと思う。優勝はスプリント系のタイム競技で今回強さを見せている中国のジャン・ミャオで1分2秒173のタイムだった。
コメント(新田)
:「気持ちだけ先にいくだけで全然でした・・・全開で踏めてる感じがなかったです。ところどころ抜けてる感じでしたし。今季はまあ、コンスタントに1分3秒台を出せてはいますが、目標はそこではないんで・・・でも結果がでませんね。出さないと、まずは2秒台を。また頑張ります。」
1キロ新田のスタート
次こそ2秒台
今日のエンデュランス系種目は男子スクラッチ。飯島誠がこの種目に出場する。予選は40周、10kmに16人がエントリー。12人が決勝進出で飯島は第1ヒートに登場。レースは淡々と流れる中、残り29周で飯島が単独で仕掛ける。しばらくは一人で逃げる体制となるが、しばらくしてエスコバル(カタルーニャ・スペイン)が追いかける形となる。エスコバルは残り26周で飯島を交わすが残り25周から飯島と2人での逃げとなる。後続も徐々に仕掛ける形、というより6人が遅れをとっている展開。残り18周のところで飯島とエスコバルがラップ、残り13周でも集団がラップする状況で、結局ラップされた4人は途中で降ろされてしまう。この時点でアクシデントがない限り予選突破となる。多少スピードが上がったもののレースは終了。飯島は5位通過で決勝へと進んだ。
コメント(飯島)
:「とりあえず一人で行ってみてどうしようか考えようと思って逃げたら強い奴が来てくれたんで良かったです。でもきつかったですよ。前回のトラックは11月のワールド・カップだったんで、ちょっと間が空いた分きつかったです。練習とはやっぱり違いますね。次も頑張ります。」
アップする飯島
スクラッチ飯島
決勝は60周、15km、予選を勝ち上がった24名での争いとなった。レースはなかなか仕掛けようとする動きを皆出せず、残り36周で、予選で飯島と逃げたエスコバルが少し動きを見せるも集団へ戻り、残り35周でポイント・レース優勝のベルが仕掛けるも吸収され、となかなか動き出せない。残り14周となったところで、再度エスコバルが単独で仕掛けるも残り10周というところで止めて集団に戻り、最後のスプリントでの決着の様相が高まる。ところどころ、仕掛けようという動きがでるものの、大きな動きはなく、残り8周となるところでモールド(イギリス)が単独で飛び出す。残り5周となって続いてペトロフスキー(カチューシャ)が、遅れてバグドナス(リトアニア)が追う。残り4周となり一気にスピード・アップ。先に逃げていたモールドは失速し集団に飲み込まれ、残り3周の時点でバグドナスが先頭に立つ。飯島も徐々に徐々に順位を上げ、残り3周の時点で3番手、残り1周でなんと2番手まで順位を上げる。しかし最終周回のスプリント勝負、それまでに足を使ってしまった影響か、周りのキレに屈する形となり、見せ場はあったものの最終的なゴールの順位は9着であった。残り3周から2周にかけて飛び出して逃げ切ったベルがポイント・レースに続き2冠に輝いた。
見せ場はたっぷりだったが・・・
コメント(飯島)
:「見せ場だけじゃ駄目なんですよ。結果を出さないと。カナダのやつが行ったときに一緒にいけるようじゃないと。勝負所の前で前にいたかったんだけど外、外を回されて後ろにさげられて・・・結果4周踏みっぱなしでいっぱいでした。足がいりますね、スピード、筋力アップですね。まだまだ課題が多いです。」
明日はいよいよ最終日。男子スプリント、マディソンが控えているが、満足のいく結果を残して欲しいと思う。
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