10-11ワールド・カップ第2戦 カリ大会
 
配信日:12月28日
 
 
■12月18日(土)開催3日目 天候:雨のちくもり 気温18度

   
   
 大会最終日も止みはしたものの朝から雨。3日間、毎日雨が降り、晴れ間はわずかと余り天気には恵まれなかった大会期間中であった。本日は男子スプリント、女子ケイリンといった種目で開催は締められることとなる。
地元コロンビア勢に大声援
地元コロンビア勢に大声援
   
   
 まずは男子スプリント、ナショナル・チームからは前回メルボルンでなんとシロー(フランス)を破りメダルが期待されたものの惜しくも4位だった北津留翼が、トラック・チームのシクロ・チャンネル・トーキョーから新田祐大と柴崎淳が出場、まずはフライング200mのタイム・トライアルに挑む。47人のエントリーとなった男子スプリント、予選で16位以内に入らないと本選の出場権は得られない狭き門だが、1人でも多く進んでおきたいところ。柴崎は8番目、新田は35番目、出場者の中では今シーズン最もスプリントでの成績が良い北津留はなんと最終47番目での出走。柴崎は10秒817と平凡なタイムでこの時点、8人中4位の成績、新田は10秒486と35人中9位、残り12人を見ると微妙なところか。最後に登場の北津留は10秒226で5位、予選通過が決定。新田は残念ながら0秒004及ばず17位で予選落ち。柴崎は35位という成績。予選1位は10秒042でシロー、2位が10秒105でホイ(イギリス)3位にボジェ(フランス)、4位にペルヴィス(コフィディス、フランス)と上位4人のうち3人をフランス勢が占め、本選となった。
スプリント予選の柴崎はタイムを上げたい
スプリント予選の柴崎はタイムを上げたい
   
0秒004差で本選行きを逃した新田
0秒004差で本選行きを逃した新田
しっかりと5位で予選通過の北津留
しっかりと5位で予選通過の北津留
             
   
   
コメント 新田:「ハロン、苦手なんですよね。なんとかそこそこ出して本選1回ぐらい走りたかったんですけどね。アジア大会もハロンのタイムは大したことなかったんですよ。本選出ないことにはどうしようもないんで・・・北京はキロもあるみたいなんでチーム・スプリントと併せて頑張りたいと思います。」
   
   
 その本選1/8決勝、北津留は昨日渡邉の敗者復活戦でパンク、落車したワトキンス(アウチ・プロ・サイクリング、アメリカ)との対戦。外からスタートの北津留は後方から。ゆっくりとしたスタートも残り2周となって徐々にスピードが上がり、残り1周となって外から北津留が先行体制に入る。3コーナーに入るところでは5車身ほどの差が開き、直線に入るところでワトキンスはあきらめる。まずは北津留、完勝で1/4決勝へと駒を進める。1/4決勝、相手はペルヴィス、ここから2本先取で勝ち上がりとなる。1本目は外からスタートの北津留。残り2周となってややスピード・アップ残り1周となる前、2センターで内を突いて先手を取り、残り1周を切った1センターで山おろしを掛けるような形で先行。ペルヴィスの追撃を振り切り押し切って1本先取。2本目は内からスタートの北津留、前からじっくりと行くものの残り1周半となる前の2コーナーでペルヴィスに先手を取られ、ペルヴィス、ホームから駆けだして先行。北津留もバック・ストレッチで加速、ペルヴィスに襲いかかるも差し切れずに1対1で決定戦へ。3本目の決定戦、北津留は外からのスタート。後方から攻める形となってレースが進むが残り1周となるホーム・ストレッチで外から北津留が踏み出して仕掛けると内でペルヴィスも踏み、先手の取り合いとなる。しかし2コーナーを過ぎてバックで出切った北津留、ペルヴィスは2センターであきらめ、2対1で軍配は北津留に、これで前回に続いて準決勝進出となった。

ペルヴィスを2-1で破って準決勝へ
ペルヴィスを2-1で破って準決勝へ

ペルヴィス戦後ホルダーを務めた渡邉と。
ペルヴィス戦後ホルダーを務めた渡邉と。
   
   
コメント 北津留:「いやあ、まぐれで勝てました。2本目はまさかの後追いになっちゃったんで・・・いけるかなと思ったんですけど、どんどん相手も伸びて・・・まあ、力は相手のほうが上なんで・・・でも3本目はもう思い切って行ったらまあイメージ通りにというか・・・次は相手が2枚も力が上なんで、まあそんな相手ですが頑張ります。」
   
   
 準決勝は予選トップ・タイムで実力は折り紙つきだがなんと前回に負かしてしまったシローが相手。前回に引き続く結果でメダルを確定させたいところ。1本目は外の北津留、後ろからの戦い。序盤から中バンク上でのけん制となるが、残り1周前の2センターで北津留は内を突いて先行するもののホームから一気に踏んだシローにあっさりと捕えられ、大差で一本目を落とす。内スタートの2本目、2センターでスピードを上げた北津留が残り1周のホームで更にスピードを上げて先行。バックで猛然とスピードを上げるシローに北津留も合わせて踏ん張るが直線で最後にシローに差し切られ、残念ながら前回の再現には至らなかった。もう一つの準決勝はホイとボジェの対戦だったが2戦目はスタンディングになるなど、息詰まるような戦い。最後の1センターで山おろし気味に先行するボジェに猛然と追いこむホイ、最後は写真判定になったがホイの差し切りがちとなり、1本目もボジェの先行を差したホイがシローと同じく2本連取で決勝行きを決めた。
シロー戦、メルボルンの再現はならなかった・・・
シロー戦、メルボルンの再現はならなかった・・・

世界チャンピオンボジェとの対戦
世界チャンピオンボジェとの対戦
   
   
 メダルが欲しい北津留だが3-4位決定戦も相手は厳しい戦いとなるボジェ。1本目、内からスタートの北津留も1周目2センターでボジェが前へ、残り1周のホームからボジェが駆け出し、バックで北津留がぐっとスピードを上げ、直線猛追するも1/2輪届かず1本目を落とす。今度は外からの北津留、残り1周半からペースが上がり、ボジェが先行しようとするところ、ホームで外から一気に北津留、ボジェより頭ひとつ抜けたものの、コーナー部分、内で粘られ出切れない。結局粘ったボジェに押し切られ、残念ながら2-0、大物食いとはならず、前回に引き続き4位でこの種目を終えた。
 決勝は内からのシローが先行し1センターで山おろしを掛けようというところ空けた内をすくわれそうになるも先行し、約1車身押し切って1本先取。2本目は内スタートのホイが2周目3コーナーからスピードを上げて行こうとするもホームで外から一気にシロー、やや接触があったもののあっという間にスピードを上げたシロー、逆にアピールの意味もあったのか、1センターでは止めてしまったホイ、結局降格などはなく、2本連取でシローがここカリでのスプリントを制してワールド・カップ・リーダーとなった。
スプリントはシロー
スプリントはシロー
   
   
 昨日に引き続き行われる女子オムニアム、ポイント・レースでは4位と健闘したもののエリミネイションの降格などで初日を終えて42ポイント、全種目1位の首位、ハマー(アウチ・プロ・サイクリング、アメリカ)との差が39ポイントの17位(現在20名が競技中)と厳しい戦いとなっている田畑、今日は3kmの個人追抜からのスタート。17位ということで2組目ホーム・ストレッチ側からのスタート、メヒアス・ガルシア(キューバ)との対戦となったが、3分42秒515の相手に大きく遅れて3分47秒132のタイムでゴールも前回の3分55秒827を大きく上回るタイム。そして、なんと15年以上も破られていなかった3kmの日本記録、1994年にアメリカ合衆国、コロラド・スプリングスで橋本聖子によって記録された3分47秒969を0秒837上回り、日本新記録の樹立となった。
オムニウム田畑のタイム・トライアル
オムニウム田畑のタイム・トライアル
1位となったのはこれが4種目目となるハマーでタイムは3分32秒947。5種目目の40周、10kmのスクラッチ、田畑は残り22周から集団を飛び出したハマーら2人を追って、残り18周で集団を飛び出す。後ろから来たマチャコヴァ(チェコ)ら2人に合流しようとするものの2人に引き離されてしまう。2人は残り15周で逃げに合流し4人での逃げ。田畑は残り14周で集団へと戻る。ベッカーら2人が更に逃げグループに加わり残り11周で6人での逃げ。ここに残り8周でシャラコヴァ(ベラルーシ)が加わり、残り4周でシャラコヴァがここから飛び出し、マチャコヴァら2人が追うが追い付かない。逃げていたグループは吸収され、後はシャラコヴァが勝つか、集団が追い付くか。結局シャラコヴァは集団の追撃を振り切って1位でゴール、最後は集団の円筒を引っ張ったハマーが最後に差されて初めて1位の座を獲得できなかったものの4位。田畑は集団で11位でゴールとなった。最終種目の500mタイム・トライアル、14位で最終種目を迎えた田畑は個人追抜と同じメヒアス・ガルシアとの対戦で37秒495のタイム。こちらもメルボルンでの38秒196のタイムを伸ばして競技を終えた。驚異の強さを見せたハマーがこの時点で合計8ポイント、2位24ポイントのウィッテンにセーフティー・リードといえる差をつけての対戦となり、ハマーは36秒287でウィッテンに0秒101遅れを取ったものの、この種目ハマー7位、ウィッテン6位で終え、結局ハマーが合計15ポイント、2位ウィッテンに15ポイント差を付けて1位となった。3位は最後差を詰めてきたシャラコヴァで31ポイント。田畑は合計80ポイントで14位の成績で終了となった。次の北京は完全な屋内であることから、タイム競技でどのようなタイムを出すことが出来るか、またゲーム競技で慣れと同時に相手との関係で良い走りをさせてもらえるのか、次回がまた楽しみとなった。
   
6種目中4種目制覇で優勝のハマー
6種目中4種目制覇で優勝のハマー
敗者復活戦では逃げた前田のケイリン
敗者復活戦では逃げた前田のケイリン
   
   
 女子のケイリンはスプリントに引き続き前田佳代乃が出場。31人がエントリーし、6ヒートで争われることとなり1着のみが勝ち上がる厳しい争い。前田はヒート5に登場。ムスタパ(マレーシア)の後ろ、2番手で周回を重ねた前田だったが、ペーサーの退避を狙って上がってきたカサス・ロイゲ(スペイン)によって上がったスピードにやや付いていけずに最高峰5番手となって残り1周半、その後もやや離される形となり結局5番手のままでの入線。勝ったのはここでは格上、ローズモンド(チーム・ジャイコ、オーストラリア)。続く敗者復活戦、積極的に動いてみたい前田は2組目、4人での争い。大外内から4番手でのスタートとなった前田、最後尾で周回を重ねる。ペーサー退避を狙って前田、外を上がって前に出る。
先行争いの中冷静なレース運びのペンドルトン
先行争いの中冷静なレース運びのペンドルトン
思い切って先行体制に入った前田だったが残り1周半を切って3コーナーでキュフ(フランス)に交わされ、更には残り1周でストレルトソヴァ(ロシア)にも交わされ、この2人での争いとなり前田は大きく離される。レースはキュフがそのまま押し切り2回戦進出。前田は3着も大きく離された。2ヒートともに落車があり、中国2選手がそれぞれ失格となった2回戦を勝ち上がってきた6人、スタートは内からペンドルトン(イギリス)、シュリカ(ウクライナ)、キュフ、フォーゲル(ドイツ)、クレア(フランス)、ローズモンドの順。外2番手からスタートを切ったクレアが先頭、ペンドルトン、シュリカ、キュフ、フォーゲル、ローズモンドで周回。残り3周となったところでペーサー退避時に前を取ろうと4番手のキュフが動くと合わせてシュリカも上昇、バック・ストレッチでは5番手フォーゲルも尻を上げて踏み出すと一旦前へ出て引かない内のキュフとフォーゲルで激しい先行争い、残り2周でフォーゲルが先手を奪う。フォーゲル、キュフの3番手にいたクレアが残り1周半となるバック・ストレッチから発進、残り1周で先頭に立ち押し切りにかかる。先行争いの中、一旦は最後方に車を下げたペンドルトンも徐々に外から進出。最終1コーナーでは2番手に上がりそのままクレアの外を踏み続け2センターで並びかけ、直線で差し切り。激しい先行争いの中でさすが、レース運びの上手さを見せた。2位は粘ったクレア、3位キュフ、4位ローズモンド、5位フォーゲル、6位シュリカ。
   
   
 男子団体追抜はビューリー、ゴフ、ライアン、サージェントのニュージーランドが大声援をおくるコロンビアの観客たちに途中からため息をつかせるような走りで予選の4分3秒500から4分0秒637とタイムを上げてコロンビアに6秒以上の差を付けて、女子に引き続いて優勝。3-4位決定戦は予選のタイムから8秒以上と大きくタイムを落としてしまった予選3位のデンマークをこちらは予選のタイムより上げてきたスペインが破って3位の座を手にした。
女子ポイント・レースのブロンジーニ
女子ポイント・レースのブロンジーニ
   
   
 女子のポイント・レースは今年のロード・レース世界選手権覇者で2009年のポイント・レース世界チャンピオンのブロンジーニが昨年に引き続きここカリでのポイント・レースを制した。
      
   
   


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