2011-12ワールド・カップ第1戦アスタナ大会
 
配信日:11月8日
 
 
■11月3日(木)開催前日 天候:曇り 気温3度


 いよいよ来年のロンドン・オリンピックまで9ヶ月と迫った2011年11月、ここに来てまた新たなシーズン、オリンピック・モードに入ったといえる2011-12トラック・サイクリング・シーズンが幕を開ける。今シーズンのオープニングの舞台はワールド・カップの開催は初めてとなる中央アジア、旧ソビエト連邦に属していたカザフスタンの首都アスタナ。今シーズンの開催は昨年同様シーズンに4回の開催。今シーズンは第1戦のここアスタナの後は、昨年同様の開催となる第2戦コロンビア・カリ(12月)、こちらも同じく第3戦中国・北京(1月)、第4戦に場所をマンチェスターから移し、プレ・オリンピック・イベントとしてオリンピック会場で開催されるイギリス・ロンドン(2月)と、新たな開催地を2つ加えての開催となる。シーズンを締めくくる大一番の世界選手権は4月に入ってからの開催となり、場所が世界選手権、ワールド・カップを開催しているオーストラリアのメルボルンとなり、これがロンドン・オリンピック前に世界が集う最後の大会となり、本番の出場国が決まることとなる意味のある大会となる。今シーズンは昨シーズンに引き続いてのUCI・オリンピック・トラック・ランキングによるロンドン・オリンピックの出場権争いにおけるポイント加算という意味で重要な大会、特に当落線上のチームには大事な1戦1戦となっていくところだが、逆に昨年である程度のオリンピック出場の目処がついている国は開催地を絞って出場してくることが予想される。
バイテレク アスタナのシンボルのタワー カザフは独立20周年
バイテレク アスタナのシンボルのタワー
カザフは独立20周年
タワー内のガラス越しに見たアスタナの街並み
タワー内のガラス越しに見た
アスタナの街並み
 
 
 第1戦となる今大会の参加数はナショナル・チーム45、トラック・チーム15で参加チームが60、男子199名、女子109名で参加者数が308名、昨年の最終戦マンチェスターにライダー数では劣るものの、チーム数60は同数、昨年の第1戦、メルボルンに比べるとチーム数で11、ライダー数で25上回る規模の大きな大会となった。 とりわけ、場所柄か、ロシアの選手、チームの数が目立ち、当然普段はそんなに多くは参戦することのなかった地元カザフスタンがトラック・チームを含めて参加することとなった。他の競合国もベスト・メンバーとまでは言わないものの、主力選手が続々と参戦しており、オリンピック・イヤーに向けての各国の状況がとても気になるところだ。
 といった状況の大会の会場となるのが2010年、昨年に完成したというサリアルカ・ヴェロドローム。1万人規模の収容力を誇り、中にはホテルもあるという建物。アイススケートリンクなどと同じスポーツ・コンプレックス・エリアに立てられた存在感のあるヴェロドロームで将来的には世界選手権も開かれる予定で、自転車競技だけでなく他のスポーツ・イベントや文化的イベントにも使用されるようだ。
会場のサリアルカ・ヴェロドローム
会場のサリアルカ・ヴェロドローム
ヴェロドローム内部
ヴェロドローム内部
翌日開会式の舞
翌日開会式の舞
 
 
 今回のワールド・カップは松本整総監督体制となって始めての大会となる。世界選手権まで続くこのトラック・シーズンについて松本監督は、「世界選手権までの今シーズンは正直に言って、挑戦、というところですね。世界というのがどのレベルで、日本というのがどのレベルなのか、僕が思っている、考えていることがどれだけやれるのか、というのを見て、やっていくところになると思います。その後、ロンドンまでどうやっていくか。時間は少ないけれど効果的にやっていきたいと思います。」と話した。今回の日本勢の出場選手は、男子スプリント系の渡邊一成、新田祐大、雨谷一樹が昨年に続いて今年もUCIに登録したトラック・チームのシクロ・チャンネル・トーキョー(CCT)での出場。ナショナル・チームとしての出場が2006年のモスクワ大会以来となる中川誠一郎、2009年のメルボルン以来の坂本貴史、初出場の河端朋之、そしてエンデュランス系の盛一大で男子は7名。女子はスプリント系ではワールド・カップ初の挑戦となる石井寛子に前田佳代乃、エンデュランス系が昨年カリ以来の田畑真紀、昨年スプリント系でマンチェスターに出場した加瀬加奈子、世界選手権出場経験はあるものの、ワールド・カップは初の上野みなみの5名。初めて走ることとなるこのアスタナのトラックを新田は「ちょっと他と比べてバンクが寝ている感じですかね。コーナーで引き込まれる、という感じはないんですけど、ちょっとそういうのに慣れてきていたのでそういう意味では少し走りづらいですかね・・・伊豆のトラックとはちょっと違いますね。」とのコメント。見た目にも直線が短くカントが浅い感じがするトラックで結果を出すことが出来るかどうか。
 
 
 そして今大会で変わったのが団体追い抜きの予選。オリンピック出場権争いのためのUCI・オリンピック・トラック・ランキングのポイントがかかる大会にワールド・カップがなったことから、昨年から全戦でオムニアムを行なうことになり、オリンピックの種目となっていないものは4戦のうちの1戦しか行なわないこととなったのだが、たった1度のレースに勝ってワールド・カップ・リーダーというのはおかしいのではないか、との意見によって今シーズンは1戦から2戦へと開催数を増やすことに。ただでさえ3日間のスケジュールが厳しい中でどのような方策を取るのか、といったところ、「開催前日に男女の団体追抜の予選をやってしまおう。」ということになり、3日間から4日間に開催日数を増やすのではなく、前日に予選をやる、という分かったような分からないような。ということで日本チームも前日からこの女子団体追抜の予選を戦うことに。
 エントリーは、その女子の団体追抜に田畑、加瀬、上野、初日の男子チーム・スプリントにCCTチームは雨谷、渡邉、新田の順で、ナショナル・チームは河端、中川、坂本、女子チームスプリントに前田、石井の順、女子ポイント・レースに田畑、500mタイム・トライアルに前田、初日・2日目のオムニアム男子に盛、2日目のケイリンに新田、中川、女子スプリントに石井、前田、2日目・3日目となる女子オムニアムに加瀬、3日目の男子スプリントに渡邉、雨谷、中川、河端、女子ケイリンに石井、前田という布陣となる。
 早速その前日に行なわれた女子団体追抜、日本は17組出場中の先頭を切ってスタート。静岡県伊豆市に新たに出来た伊豆ベロドロームのこけら落としとして開催された全日本自転車競技選手権大会トラック・レースで日本新記録を出した3人のメンバーでの戦いで、内から加瀬、田畑、上野の順でスタート、スピードを徐々に上げて周回を重ね、その後スピードを落とさずにどこまで持ちこたえられるかという3人、残り1周で上野が2人から千切れ、1人遅れてゴールすることとなったが結果は3分34秒704、自分たちの持つ日本記録3分37秒116を2秒強縮めての日本記録更新となった。
女子団体追抜予選のスタート
女子団体追抜予選のスタート
田畑-上野-加瀬のトレイン
田畑-上野-加瀬のトレイン
 
 
コメント:加瀬「(日本記録が出て)とりあえず良いスタートが切れて良かったです。走っていて楽しかったです。ね、楽しかったよね。(と、隣にいた上野に)まだ3人で併せるのも3回目、シーズンも始まったばかりなので更に良い記録を目指せていけるんじゃないかなと、自分自身も楽しみです。良い記録、結果を目指してどんどん伸びていけるメンバーだと思っています。」

コメント:上野「トラックパーティーのときに風邪をひいちゃったんですが、回復してきている中でのレースだったんですが・・・日本記録というよりも、私がもっと脚をつけなきゃいけないですよね。足を引っぱっちゃっているのでとにかく脚を付けて頑張らなきゃいけないと思っています。」

 スタートでのフライングが相次いだこのレース、結果2組が記録がないまま終わり、日本は15チームが完走した中で10位の結果。トップ・タイムはオランダの3分23秒539で日本よりも15秒近くも早いタイム。これに3分25秒209で続いた中国が金メダルを賭けて明日オランダとの対戦。3位ドイツと4位ロシアのトラック・チームのルスヴェロが銅メダルを明日争うこととなる。明日初日からいよいよ本格的な戦いが始まる。
   
   

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