2011-12ワールド・カップ第1戦アスタナ大会
配信日:11月8日
11月4日(金)開催初日 天候:曇り 気温2度
雲天の中、風吹きすさぶアスタナ。気温より更に寒さを感じる天気を感じさせないヴェロドロームの中。熱い戦いが繰り広げられるだろう、ワールド・カップ第1戦の初日がいよいよ始まることとなる。各チーム、オリンピック種目には主力級を投入すべく、メンバーを揃えてきている。
初日はまずは男子のオムニアムで幕開け。日本からは昨年も第1戦には出場した盛一大が出場。30人がエントリーしたため、2組15人ずつに分かれてのまずは予選のポイント・レース。15人中12位以内に入らなければ、本戦1種目目のフライング・ラップに参加することなく、戦いを終えてしまうこととなる。盛は1組目に登場、60周15km、6回のスプリントで争われる。
スプリントでのポイント争いを含めて何度か逃げる形が出来たものの、結局は集団に逃げが吸収されてしまうということがいくつか続いた後、3回目のスプリントへ盛も参加、ここで2位で通過して3ポイントを獲得する。ここで1位通過5ポイント獲得のハンセン(デンマーク)、3位通過のチョ(韓国)、4位通過のラタイチェク(ポーランド)に盛を加えた4人がそのまま逃げ始めて集団を突き放していく。残り23周の時点では2人がレースから脱落、一人に勝てば予選通過という状況となる。残り22周で後ろから追ってきたクォク(香港)が逃げ集団に加わって集団は5人へ。リソウスキ(ベラルーシ)もこの集団を追う。結局残り16周のところでこの5人が集団をラップして20ポイント、盛はこの時点で予選通過が当確。結局リソウスキを含めた6人がラップして成績上位に、盛は4回目のスプリント4位通過での1ポイントを加えた23ポイントで5位で予選通過の危なげないスタートとなった。
コメント:盛
「前日に吉井コーチに予選のメンバーを見せられて、メンバー、揃ってるじゃないですか。えーマジですか、こんなメンバーですかと。しかもよりによって厳しい組に入ってるし・・・まあ、結果的には通過しましたけど、内心穏やかではなくて必死でしたよ。」
数種目挟んで始まった1種目目のフライング・ラップ、盛は24人の本戦出場者の6番目でスタート、13秒566の12位と上位半分以内の結果。この種目は出る度に好タイムを出すクランシー(イギリス)の12秒839がトップ・タイムで1種目目を終えた。
オムニアム予選の盛 結果的に楽に予選通過
フライング・ラップに進化が
また2種目を挟んで2種目目はポイント・レース。盛の得意とするゲーム系の競技で成績を上げておきたいところだ。距離は30km、120周、12回のスプリントでの戦い。ポイント争いの逃げなど、いくつか集団から何人かが抜け出る場面や、前、後ろの2つに分断されたりという流れの中、結局は集団で走行という形が続くところ、2度の1位通過で13ポイントとヴィヴィアーニ(イタリア)がリードする中、オムニアム世界チャンピオンのフライバーグ(オーストラリア)がハンセン(デンマーク)とともに残り67周で集団から飛び出る。しばらくしてアーヴァイン(アイルランド)、エロリアーガ(セスパ-エウスカディ、スペイン)もこれを追うが、6回目のスプリント後に前の2人がラップ。追った2人にチョ(韓国)とイナラン(トルコ)が加わり4人の逃げへ。これにペレス(アルゼンチン)、クルーゲ(ドイツ)、ヴィヴィアーニ(イタリア)が加わり7人へと発展。残り50周で7人がラップ。そんな中残り51周で単独で集団を抜け出たクォクが第7スプリントで5ポイントを獲得した後に結局はラップ。このクォクを追って盛も集団を飛び出し、フライバーグ、リソウスキ(ベラルーシ)、トゥイチエフ(ウズベキスタン)の4人で前を追い残り41周でラップするも、場内の電光掲示板にポイントは加算されない。目まぐるしい展開でやや分かりにくいレース内容の中、残り12周からスプリント勝負か、盛はクルーゲと共に集団を抜け出る。スプリントを2位通過で3ポイントを挙げたところに、追ってきてポイントを獲得したエロリアーガ、イナランが加わって4人での逃げ。集団が分断され分かりにくくなるも残り8周で盛はこの日2回目となるはずのラップ。場内表示は23ポイント、9位の表示。レース後の抗議が認められて最終的には43ポイント、4位の好成績で2種目目を終えた。
コメント:盛
「(ダウン時にコーラを手にして)レース後にコーラも何だかとは思うんですが、みんな水(硬水)にやられてちょっと体調おかしくしているみたいです。僕は初めに、ん、と思ったんでそこからコーラに変えてます。いつもはフライング・ラップ辺りは18位、19位とかそんな感じですけど、今回は12位なんで。これでポイント・レースで抗議したのが認められればポイントも上位に入るんで、エリミネイションで失敗しなければひょっとしたら前半は一桁で終われるんじゃないですかね。個人的にはそれで今回は100点って感じ、正直そんなところなんですけどね。ポイントレースはちょっとごちゃごちゃした展開になって良く分かんなかったですね。走っていても自分が先頭なのか自信がなかったり、どこが先頭なのか分かんなかったりで。今回はかなりきつかったです。皆必死でしたよ。オリンピック出場を西谷さんと争うのは少し微妙なところなんですけれど、僕の場合はゲームの競技でしっかり結果を出していかないと評価されないと思うので、そういう意味でもそんなこと言ってないで残りも頑張りたいと思います。」
そんな前半1桁折り返しのために良い成績を残したいエリミネイション、オランダ、アペルドールンの世界選手権では集団からうまく抜け出て上位の可能性があったところを落車でニュートラル状態に戻されて残念ながら痛い目にあってしまった種目。盛は中団から前団の内で周回を重ね上手く立ち回るが、除外されても降りない選手が出たところでコミッセールがニュートラル状態へ、そこで落車が発生、ニュートラル延長、自転車の故障が発生、更にニュートラル延長、またニュートラル中に激しい位置取り合戦が繰り広げられたりなどというところに、コミッセールの運営の不備も加わって落ち着かない状況に。競技が再開ししばらくし、内目を回っていた盛は前が下がって来るところ不利を受けながらやや外へ行かされてつつまれる状態に。結局除外対象となってアナウンスされるも、場内の電光掲示には除外対象は韓国との表示が。ここでも運営の不備がみられ、気まずさの残るレースとなった。最後はヴィヴィアーニを退けたコッカール(フランス)がこの種目1位で盛は16位。総合も10位と落として初日終了となった。
休憩前の前半の部では他に男女のチーム・スプリントの予選が開催。男子は予定通りシクロ・チャンネル・トーキョー(CCT)で雨谷、渡邉、新田、日本チームで河端、中川、坂本が出場。19チームがエントリーの中、日本チームは対戦相手なくホームから、CCTは2組目中国との対戦でバックからのスタートとなった。1組目日本はスタートの河端が18秒604、第2走者の中川が13秒287と繋ぎ第3走者の坂本が14秒102とトータル45秒993のタイム。チャン・ミャオ以外はフ・ケ、リ・ミンと従来顔を見せることのなかった新メンバーで挑んできたオリンピック・ランキングでアジア1、2位を争う中国と対戦となったCCTチームは、第1走者雨谷が18秒005、第2走者渡邉が13秒040、第3走者新田が13秒560と44秒605、この3人で併せた大会での結果でベストの記録を出すこととなった。続く3組目にはオーストラリアのチーム・ジャイコ(JAY)が登場。エリス、パーキンス、サンダーランドの布陣が多かったチームだが、今回はパーキンスを第1走者に、サンダーランド、若手のグレッツアーというメンバーで出した記録が43秒589、CCTを1秒以上も上回ってきた。6組目にはただ一人スカイ・トラック・サイクリングで登録してきたホイを欠くイギリス、昨年はマンチェスターでのインターナショナル・ケイリンのイベント以外ワールド・カップには参加することのなかったエドガーが第1走者を務め、第2走者は不動の1走だったケニーが、そして第3走者にシドニー・オリンピックの1kmタイム・トライアル金メダリスト、チーム・スプリントでは銀メダル獲得で昨年は団体追い抜きに出場したクアリーが出場。どのようなタイムが出てくるのか興味津々といったところだが、44秒326。7組目には普段は2走のシローを第1走者に、ブルガンを2走、3走にダルメイダを配したフランス・チーム。こちらも順番はともかく、布陣としてはなかなかのものだが結果は43秒914。44秒は切ってきたがJAYは下回った。最後から2組目はドイツが出場。チーム・エルドガス.2012(ERD)と2分して、トラック・チーム、ナショナル・チーム、それぞれベスト・メンバーとは言えないドイツ勢がどんなタイムを出してくるのか。ドイツ・チームは最近はフェルステマンを抜いて1走エースとなっているエンダースにベルゲマン、ニムケの順。こちらはフランスを上回ってきたがベルゲマンがブレーキとなった感じで43秒873。一方のERDは最終10組目での登場。かつては1走エースのフェルステマン、レヴィ、アイラースといった布陣は43秒416のトップ・タイム、JAYを上回ってきた。結果、後半の部で争われる決勝はERDとJAY、銅メダルを賭けた争いはドイツ対フランスとなった。44秒605とチームとしてはまずまずの44秒605を出した日本勢だったが43秒台が5チームの中では順位を上げることができず、CCTが9位、日本は16位という結果でこの種目を終えた。
チーム・スプリント日本チームの
河端-中川-坂本
CCTチームの雨谷-渡邉-新田の
チーム・スプリント
コメント:渡邉
「自分としてはなかなか超えられなかった13秒1の壁を越えて13秒0台が出てきたんで、その点は少し手応えをつかめました。ギアを1枚上げたんですけど、この感じだともう1枚あげられそうなんで、そうすればまたタイムの方は上げていけると思いますよ。いい方向に向かってきていると思います。他はやっぱり1走が18秒台ってことはないんで、雨谷はやれると思うんで、頑張ってもう少し上げてきてくれればもう少し上のレベルが目指せるんじゃないかと思います。」
コメント:新田
「一成さんに先頭交代したときにぐっとスピードが上がった感じがして、千切れそうになるのを必死で踏みました。自分に先頭が代わる頃に落ちた感じがしたのでまた踏み返したんですけれど・・・でも45秒は超えてるなと思っていたら44秒5台だったので思ったよりはタイムが良かったという感じです。周りを見ても43秒台がいっぱい出ているし、やっぱり皆オリンピックに向けて仕上げてきているんだなあという感じが強かったです。それを考えると本当にまだまだですね。」
夜の決勝では共に予選でのタイムを下回ったが、ERDが43秒474で43秒661のJAYを予選の順位どおり下して金メダル、3、4位決定戦はフランスが最後逆転して43秒757で43秒825のドイツを下して銅メダル獲得となった。
タイム的には上げてきたが
周りが強い
優勝のチーム・エルドガス.
2012はドイツのチーム
続いて女子のチーム・スプリント、18チームが出場となったこの種目、日本は石井、前田での出場。対戦相手はカニス、ヒイゲナーのオランダで9組中4組目での発走。第1走者に前田、第2走者に石井で望んだ日本は33秒972で終えたオランダの後塵を拝し、35秒414というタイムとなった。予選は世界記録保持者のメアーズ、マクロックのオーストラリアが33秒026で1位通過、33秒492で通過したウクライナと決勝で対戦。決勝ではオーストラリアが32秒938と世界記録の32秒923に迫るタイムでウクライナを下して優勝。予選で3位のイギリスと4位のドイツとの3位決定戦はドイツが33秒388で33秒588のイギリスを逆転し、銅メダル獲得となった。
女子チーム・スプリント
前田、石井
女子チームS 優勝はオーストラリア
マクロック、メアーズ
夜の部では女子の500mタイムトライアルの決勝と女子のポイント・レースの決勝が行われ、それぞれ前田、田畑が出場した。500mでは前田は第1組目での出走。対戦相手のグエラ(キューバ)が出走せずに前田は単独でのトライアル。結果は35秒492、15人中11位の成績でトップ・タイムは世界チャンピオンのパナリナ(ベラルーシ)で33秒472、2位に33秒950のクレア(フランス)、3位に34秒172でヴェルテ(ドイツ)が続いた。
前田の500mTT
世界チャンピオンのパナリナが優勝
残念ながら落車の田畑
一方のポイント・レースは当初予定された予選がなく22人全員が決勝戦に出場。20km、80周での戦いとなった。田畑は序盤から前を追う姿勢を見せ、吸収されてしまうものの、第1スプリントから積極的に絡み4位通過1ポイント獲得。その後もしばし前々に位置し、第3スプリントでもポイントを狙うがスプリント力では分が悪く5位通過でポイントなし。更に集団を抜け出した3人を追い4人での逃げとなって結局その後は吸収されてしまうが第4スプリントで再度4位通過で1ポイント加算。しかし残り37周あたりのバック・ストレッチで田畑が落車、残念ながら再乗することはなく、その時点で棄権となってしまった。田畑の落車直後に集団を飛び出したワン(香港)、そしてそれを追ってカールトン(カナダ)が抜け出すと集団が大きく広がり、その集団から結局マチャコヴァ(チェコ)、チェッチーニ(イタリア)、ナ(韓国)、ポルスポール(ベルギー)、ポール(ドイツ)が抜け出して7人で先頭集団を形成。これが残り22周でラップし、優勝争いはこの7人に。最後ゴールで2位入線し追い上げたポールだったが、前半のポイントの貯金を生かしてナが1ポイント差の31ポイントで逃げ切って優勝。5位まで1ポイント差の接線であった。
女子ポイント優勝は韓国のナ 2位ドイツのポール 3位にチェッチーナ
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