2011-12ワールド・カップ第1戦アスタナ大会
配信日:11月8日
11月6日(日)開催最終日 天候:曇り時々吹雪 気温-10度
3日目、最終日をを迎えたワールド・カップ第1戦。繰り広げられる熱戦とは裏腹にヴェロドロームの外はこれまでにない寒さ。風も強まった中で雪が降り始め、吹雪となっている。外など何分も出ていられないような寒さでこんなときに屋内のヴェロドロームはありがたいが昨日に比べて場内も心なしか寒めになっているように感じるのは気のせいか・・・しかしながら最後まで気迫あふれる熱戦を期待したい。
最終日は男子スプリントがメイン。16名の本戦枠に53人がエントリー3分の2以上が切り捨てられてしまうという厳しい戦い。日本勢は2番目にシクロ・チャンネル・トーキョー(CCT)の渡邉、5番目に雨谷、9番目に日本チームの中川、13番目に河端が出場となる。トップ・バッターは渡邉、こちらも伊豆市に出来た新しい伊豆ベロドロームでの全日本自転車競技選手権大会トラック・レースで200mフライング・タイム・トライアル10秒174の日本記録を出しており、期待がかかる。その渡邉の記録は日本記録には0秒005及ばなかったものの、ワールド・カップ、世界選手権での本人初の10秒1台となる10秒179。幸先の良いスタートだ。続く雨谷は記録が伸びず10秒668の47位、中川は10秒299と10秒3を切るタイムで予選突破を感じさせた。初出場の河端も10秒304とまずまずのタイムで後半に出てくる強豪がどんなタイムを出してくるのか。しかし、ただでさえ53人と人数が揃った中でビッグ・ネームの名も連なり、更には16名の予選通過者という厳しい現実。渡邉の出した10秒1台を出す選手がぞくぞく。渡邉は予選通過をある程度のところで決めたが、その後は渡邉を上回るタイムばかり、結局シロー(フランス)の9秒938を筆頭にホイ(イギリス)の9秒971など9秒台が3人、10秒0台が4人、10秒1台が7人で、予選通過のボーダー・タイムが10秒249という厳しい内容となり、残念ながら期待された中川が21位、河端が23位で3人が予選落ちとなってしまった。
10秒1台に突入した渡邉
課題は本戦の戦いか
今大会のレベルの高さに阻まれた中川
ガッツに期待
河端も今後に期待が持てるタイム
コメント:渡邉
「疲れが出て調子が悪かったトラック・パーティーの時ですら10秒2台が出たので、ここにきてやっとやってきたことが実になってきたのかなあと感じます。初日のチーム・スプリントでも13秒0台が出たように重いギアをかけてこれているし。それにしてもメンバーは揃っているにしても厳しいですね。今までのタイムじゃ簡単に予選落ちですもんね。」
フェルステマン、
エンダースと同じドイツ勢、
同じタイプに負けてしまった渡邉
1/8決勝での渡邉の相手は予選3位通過のフェルステマン(ドイツ)。渡邉は外からのスタート。先手を奪ったフェルステマンは残り1周前3コーナーからスピードを上げる、4コーナーから上げて並びかける渡邉だがその動きに併せる余裕。最終1コーナーで渡邉はやや外に膨れてしまうロス。再度踏むも3コーナーから突放されて勝負あった。1/4決勝Bへ回りエンダース(ドイツ)と対戦することとなった。
その1/4決勝Bは内からのスタート。道中でエンダースが前へ出て前エンダース、後ろ渡邉の体制。中バンクの上でお互いけん制しながらの展開で最終周回前の4コーナーから渡邉が山おろしをかけながら踏み込んでいく。合わされたところで一瞬渡邉は踏むのを止め、2コーナー過ぎから再度踏み込んでいくも差は縮まらず、これで渡邉のスプリントは15位で終了となってしまった。
1/4決勝では実力者シロー(フランス)が1本先取した後にドミトリエフに2本連取されて敗退となり、そのドミトリエフは準決勝でパーキンスを2-0で破って勢いに乗って決勝に進出。フェルステマンとの準決勝を2、3本目連取で勝ち上がったサー・クリス・ホイとの対戦となった。1本目はドミトリエフが前から、トラックを上に下に動きながら後方から並んでいくホイ。交わす勢いも3、4コーナーで合わせて踏ん張るドミトリエフ、直線再度の猛追をしのぎきったかどうか、というところ、写真判定で屈してしまう。2本目は前からホイ。2週目2コーナーから徐々にスピーど・アップも最終周回となるホームでもまだやや余裕の体制。前々で運んだホイが最終2コーナーから更に踏み込むと、ドミトリエフも猛追するが、こうなってはホイ、最後はドミトリエフも諦め2-0のストレートでホイがドミトリエフを下した。3-4位決定戦もパーキンスがフェルステマンをストレートで下し、3位となった。
上り調子のドミトリエフとホイ
結局は2-0でホイもドミトリエフも好調
ロンドンもホイの独壇場となるかどうか?
女子のケイリンも石井、前田の2名が出場。38人のエントリーがあり、6組に別れて各1着が2回戦行きの切符を手にする。1回戦石井は1組目内から3番目の位置からスタート。石井は主張して位置を譲らず、道中2番手からレースを進める。残り2周で5番手から上がってきたバラノヴァ(ロシア)に切り替えようかというところ切り替えられず3番手の追走。結局終始3番手で流れ込み敗者復活戦へ。5組目の前田は内3番目からのスタートも道中は5番手からの形。ペーサー退避時に6番手が前を窺おうとするのに前田も併せて外から上がろうとするが外々から位置を上げられず6番手。そのまま後方でなにも出来ない状態となり、最後1人を交わしての5着で敗者復活戦へ。
敗者復活戦は石井が3組目で内から4番手の位置からスタートで道中も4番手。ペーサー退避後に一気に踏み込み先頭に踊り出る。そこから更に踏んで先行態勢に入る。しかし少し仕掛けが早すぎたか、残り1周の時点でつかまり、先団とは離れてしまい結局は5着での入線。前田は6組目最内スタートを利用してペーサーの後ろの位置を取りきる。しかし道中でたの選手と並走しスプリンターズ・レーンに進入していたリー(香港が)途中で失格となり再発走となった。しかし2回目のスタートでも上手く出た前田は再度ペーサー後位。ペーサーの退避から後方から上がってきたグニデンコ(ロシア)が前に入り前田は2番手。3番手からヴァーニッシュ(イギリス)が来て先頭に立つと残り1周半で前田は3番手から仕掛けていく。残り1周からヴァーニッシュと並走になるも2コーナーで突っ張られて後退。結局内側から追い抜いて降格が出たために4着でレースを終えた。2名共に敗者復活戦での敗退となったが、レースを作ろう、先行しようという姿勢が現れていたレースであった。
経験から何かをつかんで欲しい。
女子ケイリンこちらは石井
前田も動きを見せた女子ケイリン
38人での戦いを勝ち抜いてきた6人による決勝戦はペーサーの後ろに位置したフォーゲル(ドイツ)の後ろにメアーズ(オーストラリア)という体制だったが、残り2周で3番手からサンチェスが仕掛け、フォーゲルの後ろに入る。4番手からはシュリカ(ウクライナ)が仕掛け、残り1周でサンチェスの外を並走するところ、バックストレチで満を持してサンチェスが発進前を行くフォーゲルを交わしゴール前で勝利を確信してガッツ・ポーズ。2着に粘ったフォーゲル、3着に流れ込んだグニデンコ。
女子競輪決勝
ゴール前からガッツ・ポーズの
サンチェスが優勝
今大会のワールド・カップはドイツに
落車が相次ぎ怪我なども気になる日本勢ではあるがとりあえず、今シーズンの第1戦が終了となった。タイム的な成長が見られたのは事実であるが、オリンピックに向けて、各チームがレベル・アップし好タイムをそして質の高いレースをしてきていることを感じさせられる大会であった。
コメント:松本監督
「シーズン第1戦が終わって、いける、という部分とまだまだだな、という部分が出たなと思っています。男子のケイリンについては言うほど差はない。いずれ自分で展開を作って勝てるという風にもっていけると思います。確かにパワーでは差があるけれど、レースの作り方とかは競輪選手にしてみればそんなに難しくはない。いけると思いますよ。逆に女子はまだまだ、ちょっと時間がかかるかな、というのが正直なところですね。とにかくこの木製の250mトラックというのは、日本選手にとってはまだまだ特殊なバンクなのでとにかく乗り込んで、体に染み込むくらいにのって慣れてもらわないと。まだまだ慣れ、という部分に不満を感じています。」
次回は12月1日から3日、南米コロンビアのカリでの4年連続での開催となる。競輪の競輪祭が開催されることから男子スプリント勢の主力は欠ける事となるが、新規加入のメンバー、エンデュランス勢、女子の成長にも今後に繋がる部分として期待したい。
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