2011-12ワールド・カップ第1戦アスタナ大会
 
配信日:11月8日
 
 
11月5日(土)開催2日目 天候:曇り 気温5度


 2日目を迎えたワールド・カップ第1戦。朝方は引き続き寒いが夜になって若干気温が上がるとの予報。今日は朝の9時に競技が開始、終了は夜9時過ぎとなかなか内容の詰まった1日となる。
 
 
 2日目は男子に続いて女子のオムニアムがスタート。日本からは昨年はスプリント系の種目に出場していた加瀬が全日本自転車競技選手権大会トラック・レースでの結果も踏まえてオムニアムに出場。男子より2人少ない28人がエントリーとなったがこちらも予選のポイント・レースからのスタート、下位2人がそれぞれ本戦から除外、ここは少なくともクリアしたいところ。加瀬は1組目に登場、40周10kmで4回あるスプリントの第2スプリントに参加して2位通過3ポイントを獲得。その後の第3スプリントを終えて5位タイと当確、あとはゴールすれば良いだけであったが最後の2センター付近で接触落車。ゴールすることはなかったが結果的に3ポイント7位で予選を通過したが結局チームは大事を取って加瀬に本戦には参加させずここで加瀬の今回のオムニアムは終了してしまった。非常にもったいない結果であると同時に怪我の状態が心配される。

 男子ケイリンがこの2日目の男子のメイン・イベント。日本からは2組目に中川、4組目にCCTの新田が出場。32人出場で各組5名又は6名での対戦で1着のみが2回戦に勝ち上がる狭き門である。
 1組目は残り2周で4番手から前に出たニセイン(トリニダード・トバゴ)が残り1周で更に先行しようとするところを4番手からザイデンベッヒャーが一気に出てバック・ストレッチで捲り切りそのまま先頭でゴール、これに付いていったチャン・ミャオ(中国)が2着。
 2組目は内からマッシー(アメリカ)、ヴェローチェ(カナダ)、中川、ポリンスキー(ロシア)、ホイ(イギリス)のスタート順、ホイと同組は厳しいところだが中川にも良いところを見せて欲しい。スタートを上手く出たヴェローチェがペーサーの後ろ、マッシー、中川、ホイと続き、最後方がポリンスキーの体制。ペーサー退避で中川が3番手から先頭へ。これに続いたホイが残り2周で先頭、マッシーが続いて中川の外を並走、中川は被される形で内に閉じ込められる。2センター付近で更に被されるような形になったところで、トラック内側の部分でハンドルが取られた形になり、車体が外へ動きマッシーの後輪に接触、更に外に飛んでポリンスキーの後輪に接触して更に外へ飛ばされた中川は4コーナー上部のトラックの外壁に激しく激突、トラック上を上から下へ滑り落ちる形になってしまった。レースはホイがそのまま選考して押し切り1着。そのまま流れ込んだマッシーが2着も中川の落車の原因を作ったとして失格。中川の容態が気にかかる。

久々のワールド・カップ参戦の中川
久々のワールド・カップ参戦の中川

担架で運ばれる中川 この後も乗るとはナイス・ガッツ
担架で運ばれる中川
この後も乗るとはナイス・ガッツ

 3組目は先行するマスキアラン(スペイン)の番手にいたヴォリカキス(ギリシャ)が外を被されるも最終3コーナーから踏み出し、直線で2着となったマスキアランを差しきって1着。
 4組目は内から新田、クベエフ(ロシア)、ヴァハター(TMV、ドイツ)、パーキンス(JAY、オーストラリア)、ヴィノクロフ(ウクライナ)のスタート。内からスタートを切った新田がペーサーの後位へ、パーキンス、クベエフ、ヴァハター、ヴィノクロフと続く。ペーサー退避でヴィノクロフが先頭、新田は2番手、残り2周を切って進出のパーキンスがバック・ストレッチで先頭、ヴァハターが続き、新田は5番手に。新田は大外から捲ろうとするも大外からでは不利。終始余裕の体制のパーキンスが楽々と逃げ切り1着、そのまま流れ込んだヴァハター2着。
 5組目は残り1週半となるバック・ストレッチで4番手から進出したレヴィがけん制を受け外々を走らされる不利を克服して最終2コーナーで捲り切る。勢い衰えずにそのまま1着でゴールへ。離されるもレヴィを追ったカネロン・ヴェラ(ヴェネズエラ)が2着。
 最終6組は4番手並走から残り2周で先頭に立ったボリショフが後続を見据えながらそのまま先行、番手に入っていたアワン(マレーシア)の追撃を交わして1着、アワン2着。

 上位1着と失格の1名をを除いて行われる敗者復活戦。こちらも1位のみが2回戦へと勝ち上がる。心配された中川はなんと敗者復活戦にも出場。大きなクラッシュの後の出場というガッツで周囲を驚かせた。その中川は4組目、新田は2組目での出場。
 まずは2組目、内からポリンスキー(ロシア)、フランチェスコ・チェチ(イタリア)、新田、ナルヴァエス・ロメロ(コロンビア)でのスタート。相手関係に恵まれた感があり、新田にはここを突破して欲しい。道中はチェチ、新田、ポリンスキー、ナルヴァエスの並び。前を行くチェチとの車間を空けて後ろをけん制する新田。ペーサーが退避しても隊列は変わらず。なおも後続を意識して動かない新田だったが、いよいよ残り1周となるホーム・ストレッチで前を追い出す。2コーナーでスピードを上げて3コーナーでチェチを交わし切り、あとはゴールに飛び込むだけ。きっちりと1着で2回戦へと勝ち上がった。
 続いて4組目、外壁に激突するクラッシュをものともせずに敗者復活戦にチャレンジしてきた中川。内からニセイン、ヴァハター、テクリンスキー(ポーランド)、中川、ハアク(オランダ)の順でのスタート。周回中はハアク、ニセイン、ヴァハター、テクリンスキー、中川という並び。残り2周でテクリンスキーが上昇、中川も上がる様子を見せるがハアクも突っ張る。外をあきらめて内を突いた中川はハアクの番手まで上昇。直線で外に出しハアクを捕らえようと猛追するが直線が短く差し切れず。惜しくも2着に終わった。
 その他、1組目は、残り2周で先頭、そのまま先行したチャン・ミャオがヴィノクロフの追撃を抑えて2回戦へ。3組目は残り1周半から動いて先頭に立ったマスキアランが逃げ切って1着。5組目はスタート後ペーサーの後ろを取ったダルメイダがそのまま流し、最後の1周でペース・アップ。そのまま逃げ切って1着。6組目もヌグが同様に押し切って同国のアワンを退け、これで2回戦のメンバーが決定した。

コメント:新田「いやあ、なんとかなんとかです。昨日メンバーを見せられたんですけど、1回戦は相手を見てどうなるかと・・・敗者復活戦はメンバーが楽だったんですけど、他の選手がどんな感じで動くのか分からなくて。前は行くなら行ってくれという感じで、ほぼ後ろの選手だけ気にしていました。やっぱりオリンピックに向かって結果を出していかないと切られてしまうので・・・正直ほっとしています。2回戦は1着上がりから3着上がりになって枠は広がるので、1着目指して3着に・・・なんてなってくれれば良いんですけどね。相手は強くなりますけど浅井さんのようにメダル・・・なんてなれば良いですね。」
 
 
2回戦へ進んだ新田 今後どういうレースが出来るかが課題
2回戦へ進んだ新田
今後どういうレースが出来るかが課題
 決勝進出を目指して、続く2回戦、新田は2組目に出場。1組目、ペーサー後位のパーキンスを残り2周でベティッヒャーが押さえて先行、パーキンスが番手だったが5番手からすかさずドミトリエフが巻き返し残り1周半のバック・ストレッチで先頭。その後ドミトリエフの外を番手からのマスキアラン、ベティッヒャー、パーキンスで踏み合いとなるが不発。内をするすると突いて直線ドミトリエフの外に出し差し切ったヌグが1着。こちらも内を突いて直線伸びたハアクが3着で決勝へ。
 2組目は内からダルメイダ、ヴォリカキス、ホイ、チャン、レヴィ、新田での並びでスタートやはり2回戦、かなり骨っぽいメンバー。内から良いスタートを切ったダルメイダの更に外から前に出てペーサーの後ろを取ろうとした新田だったが、発走のピストルが早かったこともあって、この時点でペーサーは選手達のかなり後ろの位置。発走がやり直しに。再発走でも前を狙った新田だったがあきらめて後方へ下げ、ダルメイダ、ヴォリカキス、ホイ、レヴィ、チャン、新田の並びに。残り3周から新田は後方から追い上げて、前の選手もこれに反応。しかし外から新田は駆け上がり先頭へ、ヴォリカキスが新田の番手へ、一緒に反応したホイは外から新田を交わしにかかる。ここで踏んでホイの番手に入りたい新田だったが切り替えたヴォリカキスにその位置を取られ、苦しい展開。残念ながら踏み切れずに最下位でのゴール。そのまま逃げて押し切ろうというホイだったがヴォリカキスの後ろから直線良く伸びたレヴィが1着、交わされたホイが2着、ホイの番手から直線追い込んだヴォリカキスは差せずに3着。新田の決勝戦進出はならなかった。

 7-12位決定戦に回った新田、ここでもペーサーの後ろを奪取も、退避後ダルメイダが新田の前に入り先手、残り1周半からは3番手のベティッヒャーが飛び出し、新田はこれに飛びつきたいところだったがやや遅れる。結局はベティッヒャーがここから押し切り1着、番手を回ったマスキアランが2着、パーキンス見せ場なく3着、新田は5着で結果11位で競技を終えた。

優勝はギリシャのヴォリカキス ホイをわずかに押さえた
優勝はギリシャのヴォリカキス
ホイをわずかに押さえた
 決勝戦はペーサーの後ろからそのままスムーズに先頭となったドミトリエフをがそのままペースを上げて先行する展開。周回中から番手のヴォリカキスは車間を空けて後続をけん制、いつ前に行くのか、と見られたホイは結局最終2コーナーからの捲り追い込み体制。外を踏むきつい展開で伸びてきたが、番手から直線でドミトリエフを差し切ったヴォリカキスが1着でゴール、追い込み届かず2着にホイ、先行しよい粘りを見せたドミトリエフが3着だった。ヴォリカキスの後ろから最後はホイと並んで差し切りを狙ったヌグが4着、決勝は見せ場なく5番手から外を追い込んだレヴィが5着、最後内を回ったハアクは力負けで6着でこの競技が終了した。
 昨日は10位で競技を終え、出来ればオリンピックへのポイントが余分に加算される12位以内に入りたい盛、今日は残りの3種目まずは4km個人追抜。7組目、世界チャンピオンのフライバーグ(オーストラリア)と対戦した盛のタイムは4分42秒268で17位。
 
 
目標一桁に届かなかった盛だが以前よりTT系のタイムを上げている。
目標一桁に届かなかった盛だが
以前よりTT系のタイムを上げている。
5種目目スクラッチは、ゲーム系に活路を見出したい盛としてはなんとか順位を確保したい種目。60周、15kmのスクラッチでは開始早々残り51周から単独で逃げたリソウスキ(ベラルーシ)が残り46週のところでラップ、一歩抜きん出る。残り35週のところで盛も行こうかという姿勢を見せるが抜け出すことはなく、残り29周でフライバーグが単独で逃げる。残り23周でハンセン(デンマーク)が前を行くフライバーグを追い集団を飛び出し、その後からチョ(韓国)がこれを追って発進。チョの勢いが良く、ハンセンと組まずそのまま追い越してフライバーグを追う。その後チョはフライバーグをも交わして単独でラップを目指そうとするも、結局は戻ってフライバーグと共にラップを目指すことに。集団との差が縮まったり、広がったりとなっていた二人だったが、ようやく残り7周でラップ、3人が頭ひとつ抜け出る形となったが、早くにラップして余力のあったリソウスキが1着、フライバーグ、チョと続いた。盛は残念ながら見せ場がなく、15着と上位入選はならなかった。
 
 
 最後の1kmタイムトライアルは6組目ロシアのサヴィトスキーとの対戦で1分6秒737のタイムこの種目17位の成績だった。この種目、1分2秒185のずば抜けたタイムを出したクランシー(イギリス)が1位、逆転での銀メダルを目指したヴィヴィアーニが1分3秒658で2位、総合で大差をつけていたクルーゲが1分3秒771と危なげないタイムで3位、総合成績を24ポイントとし、2位のチョに10ポイントの差を付けて総合優勝をかざった。ヴィヴィアーニはチョにあと2ポイントの36ポイントまで迫ったが総合3位。盛は最終成績を81ポイントとし総合14位で2日間の競技を終えた。
優勝は差を付けてのクルーゲ 韓国チョも出れば活躍 ヴィヴィアーニもトラック・パーティーの疲れを見せず
優勝は差を付けてのクルーゲ 韓国チョも出れば活躍
ヴィヴィアーニもトラック・パーティーの疲れを見せず
 
 
 女子のメイン・イベントはスプリント。ワールド・カップは本戦出場が16名と少ないところに40人がエントリー。日本勢は4番目に石井、23番目に前だがフライング200mタイム・トライアルに挑戦したが、石井が12秒095、前田が12秒135でそれぞれ32、33位で本戦出場ボーダーの11秒323には及ばず予選で姿を消した。予選の一番時計は10秒793のパナリナ(ベラルーシ)だった。

 予選で5番目のタイムでやや精細を欠いたメアーズ(オーストラリア)だったが、しっかりと勝ち上がって1/2決勝へ。ここで予選1番時計のパナリナとメアーズの対戦で事実上の決勝戦という感じ。1本目は内にメアーズ、外パナリナ。ゆっくりとした流れがずっと続き、両者にらみ合い。最終周回に入るホーム・ストレッチでようやく加速するも、外を踏むパナリナの勢いが良く、2コーナーではメアーズを捲り切る感じ。その後も安全にスプリンター・レーンには入らず進んでの圧勝。充実している様を見せた。 2本目はパナリナが内からのスタート。今度は先ほどとは違ってやや早めでの周回。2週目2センターでメアーズが内を突き前へと出る。残り1周を切り、1センターでは中バンクを使ってうまくけん制、パナリナを前へ出さず日メアーズが逃げ切り1対1のタイにして3本目へ。3本目も内スタートはパナリナ。3本目も2本目のようにやや早めの周回最終周回に入る4コーナーからヨーイ・ドンでそれぞれ踏み出し、2コーナーで更に加速したメアーズが前へ出るも内の有利さをいかしてパナリナも粘る。最後は直線でメアーズが差しきって決勝へ。一方のシュリカ(ウクライナ)とクルペシカイテ(リトアニア)の対戦は2-0でシュリカでシュリカ-メアーズの対戦となった。

 昨シーズンから急成長を見せているシュリカがベテランメアーズとどう戦うかが注目された1本目シュリカが内からスタート。1周目バックで両者ややスタンディングの体制、ホームに戻ってきても10秒ほどスタンディングを見せた後にスピードがアップ。最終周回前の4コーナーでメアーズがスピードを上げるも内で併せるシュリカ。最終バックに入ってメアーズは更にスピードを上げるがシュリカも踏んで併せる。結局は内外の有利さを生かしてシュリカが内で粘り勝ちで1本先取。今度はメアーズが内からスタート。今度もまた最終周回に入る4コーナーからの踏み合いとなったが外から発進したシュリカがメアーズの外を2コーナーで捲り切り、突き放して勝利。2-0でメアーズを下し、成長著しい充実振りを見せつけ、目が放せない存在となった。3-4位決定戦は、クルペシカイテに1本目を取られ、メアーズに負けて心が折れたのか、と思わせたパナリナが2、3本目を連取して銅メダル獲得となった。

メアーズを破ったウクライナ・シュリカ
メアーズを破ったウクライナ・シュリカ
観客に応えるシュリカ この強さ、急上昇中
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女子スプリント表彰 女子スプリント系も世代交代?
女子スプリント表彰 女子スプリント系も世代交代?
   
   

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