2011-12ワールド・カップ4戦ロンドン大会

配信日:2月21日
2月16日(木)開催前日 天候:晴れのち曇り 気温8度
  カザフスタンのアスタナで幕明けとなった今シーズン、2011-12シーズンのワールド・カップもあっという間に最終戦。最終戦はそう、本番までついに半年を切ったオリンピックの開催地、ロンドンでの大会となる。この第4戦は今シーズンの最終戦であると同時にロンドン・プリペアーズ・シリーズと銘打たれたオリンピックのテスト・イベント。本番を想定してのザ・ロンドン2012・オーガナイジング・コミッティー、主催者となるLOCOGによる大会の運営となる。場所はメイン会場となるオリンピック・スタジアムを擁するオリンピック・パーク内のヴェロドローム。まだまだ周辺設備や道路など本番に向けて急いで工事中といった雰囲気に溢れている公園内にあって、このヴェロドロームは他の施設に先駆けて昨年2月に完成。昨年のマンチェスター大会の直後にイギリス・チームの初練習に併せて公開された。トラック周りの席に併せていわゆる2階にも席を配置、発表では総席数6,000となっている。前回の北京の会場のように高い天井、というわけではなく、センター部分は2階の最上席と変わらない高さほどの天井となっており、空調の効率等も意識したのではと思わせる造り。外観には木を配しての木目調、なかなかスタイリッシュな外見の持ち主だ。トラックは最近比較的多い直線を長く取り、コーナー部分のカントが立っているスタイルではなく、円に近く、直線がさほど長くなく、コーナー部分がやや寝ている印象を与えるもの。ライダー達には走りやすいという印象を与えているトラックのようだ。
いよいよ半年後のロンドン・オリンピックメイン会場。周辺状況が間に合うのか不安。
いよいよ半年後のロンドン・オリンピックメイン会場。 周辺状況が間に合うのか不安。
ヴェロドローム外観。外向けの木目調がスタイリッシュ。
ヴェロドローム外観。
外向けの木目調がスタイリッシュ。
 そのオリンピック会場での1戦、当然主催者だけでなく、どのチーム、どのライダーにとってもプレ・オリンピック。今までのラウンドとは比べ物にならない有力選手達が集い、本番へ向けて、そこでの成功をイメージし、感触を確かめる姿が見られる。まだまだ最後までオリンピックの出場権をかけて激しい戦いを繰り広げるチームたちもあるが、ほぼ目処が立ったという国もやはりあったことから、強豪国の参加がところどころ減っていた今シーズンにあっては文句無く、ベストのメンバーでの争いとなり、トラック・サイクリングの人気が高いイギリスでの開催もあって盛り上がること間違いなし。かなりのパフォーマンスを見せてもらうことが出来るだろう。地元イギリスの英雄、クリス・ホイが初戦のアスタナ以来のワールド・カップ出場。照準を完全にここに合わせての参戦だろう。出場するのは49カ国のナショナル・チーム、トラック・チームの16チームと併せて参加チームは65、エントリー選手は男子201、女子123の合計324名、全てにおいて今シーズン最大の数字となった。

会場最上部からの眺め。
会場最上部からの眺め。
 今回の日本チームの出場選手、本番のオリンピックの出場枠をチーム・スプリントによりスプリント、ケイリンを含めたスプリント系3種目においてほぼ手中にしていると言っていい男子スプリント系は今シーズンフル出場の雨谷一樹、アジア選手権からの連戦となる中川誠一郎、渡邉一成の3人に、今回は前回の渡邉に変わってトラック・チームのシクロ・チャンネル・トーキョー(CCT)から一人、新田祐大がこちらもアジア選手権からの連戦で出場。これにエンデュランス系で第1戦のアスタナ以来、こちらもアジア選手権組の盛一大が出場で男子5名、女子も全員アジア選手権からの連戦で、スプリント系に前回同様に石井寛子と前田佳代乃、エンデュランスで田畑真紀の3名、男女合計で8名での参加となった。
 エントリー、初日のチーム・スプリントはいつもどおり、1走には雨谷、今回は従来のメンバーに戻り第2走者に渡邉、第3走者にはCCTチームで新田が出場ということもあり、中川という布陣。第1走者の雨谷は「走った感じ、コーナーもきつくなくて良いですね。ベストが出ているメルボルンにちょっと似た感じのところもあるので期待したいですね。欲を言えば17秒中盤、何とかしたいんですけどね。まあ、常に自己ベスト目指して、というのはあるんですが、本番の場所でもあるし、何とか決めたいですね。今回もこのチーム・スプリントだけなので頑張ります。」第2走者を務める渡邉は直前のアジア選手権ではスプリントで中国のチャン・ミャオ、マレーシアのアワンに共に2-0で連勝して金メダル、チーム・スプリントは第2走者で中国に敗れての銀メダル、ケイリンでは先行押し切りを狙ったものの、マレーシアのヌグ、アワンに差されての銅メダルとメダルは3色、少し悔しい思いをした渡邉。「マレーシアから戻って、ロンドン、やっぱり飛行機はしんどかったですけどね。でも体調を崩しちゃったとかそういうのはありませんよ。ただハロンのようなタイム勝負できっちりタイムを狙えるような調整はしてないですからね。今回は3つ、チーム・スプリントもそうですが、やっぱり気持ち的に何か、と言われればケイリン、ここはメンバーが揃ってきついのはきついんですけど無理なく走りやすいトラックなんで頑張りたいですね。」アジア選手権に引き続き第3走者を務めるのは中川「やっぱりちょっとロンドンまでの移動は長かったですね。ちょっと時差ボケてる気がします。もう最終戦なんですよね。久し振りのワールド・カップ・シーズン、正直昔はみんなこんな強かったかなあ・・・という感じで・・・自分の力の無さを感じますね。チーム・スプリントはスタートとか失敗しないように、やっぱり緊張しますね。アジア選手権の333mのトラックとは違って走る距離は短くなるんでその分は助かるんですけれど。後はスプリント、10秒1台は出さないと予選落ちですもんね。そんな感じですよね・・・ほとんど日本記録じゃないですか・・・厳しいのは分かっていますが頑張ります。」
事前のアジア選手権でスプリント優勝でガッツポーズの渡邉
事前のアジア選手権でスプリント優勝で
ガッツポーズの渡邉
アジア選手権スプリント表彰台
アジア選手権スプリント表彰台
  2日目のケイリンは渡邉とCCTチームからの新田。新田も渡邉同様アジア選手権はチーム・スプリントで銀、渡邉と同乗し金メダルを目指したケイリンで4着となってからのここロンドン。新田は「疲れはそうですね、やっぱりあるっちゃありますよね。でも昨日は爆睡でしたよ。そんなに悪いってほどでもないと思いますよ。それに僕は今回明日1日間が空きますしね。しっかり疲れを取りたいと思います。でもなんか走っていて良く分からないですね。コーナーも広くてなめらかに走れるんですけど、練習中に失敗したかな?という感じだったほうがタイムが良かったりしたんで。ちょっとそのあたりなんだか掴めていない感じですね。アジア選手権のケイリンは一成さんとどっちかが、と考えていたのが逆に良くなかった、結果に結びつかなかった、という感じですかね。相手は強いですけど世界選手権の出場枠もあるのでここでケイリン、頑張ります。」新田は3日目のスプリントにも出場となる。

 エンデュランスの盛もアジア選手権から。「クアラルンプールから一度日本に帰ってからロンドンだったんですけど、クアラルンプールから直接だと良かったかなあ、とは思いますね。僕、このあとまたすぐにツール・ド・ランカウイ、マレーシアなんですよ。まあ、負荷をかけたトレーニングはしてますし、ロードはレース中ずっと一生懸命、という訳でもないんで・・・まあ、今までもやってきてますしね。でも乗り込み量は決定的に足りないですよね。トラックもオリンピックがかかって・・・となればやっぱり調整して照準を合わせないといけないですからね。そういう意味では出てくるんでしょうけどヴィヴィアーニ(イタリア)なんてすごいですよね。どうやって調整とかしてるのか興味ありますよね。そう、やっぱりここロンドンはメンバー揃ってますよね。さっきクルーゲ(ドイツ)もいましたし、そうですか、揃ってますか・・・なんとか、まずはしっかり予選。ここ通過しないと始まらないですもんね。しっかり走りたいと思います。」盛はアジア選手権では仮想オムニアムといった形、出だしの1kmタイム・トライアルは5位、スクラッチは6位もポイント・レースで序盤からポイントを重ね更にはラップありと圧勝で金メダル。同僚で先輩の西谷に託したオムニアムが7位とオリンピック・ポイントをさほど稼ぐことが出来ず、オリンピック出場権争いが依然厳しいオムニアム、得意のゲーム系をまとめてタイム・トライアル系をカバーして少しでも上の順位、ポイントを取りたいところ。オリンピックへの争いはまだまだ厳しい状況が続く。

 一方の女子は初日のチーム・スプリント、2日目のスプリント、3日目のケイリンにそれぞれ石井、前田が出場、アジア選手権のスプリント予選のフライング・タイム・トライアルで自己ベストを出した前田は「調子自体は変わらずです。トラックも広くて走りやすいですね。このまま調子に乗って自己ベスト、また更新できるといいんですけどね。」今現在、女子の種目では最もオリンピック出場に近いスプリント、アジアのライバル、マレーシアに成績では劣ったものの出場選手数が上回った結果、より多くのポイントを加算出来、差をつけることとなったアジア選手権。他国の結果次第という部分は否めないが出場権獲得に望みをつなげていって欲しい。
 アジア選手権で加瀬加奈子が6位、ポイントを大きく加算することに失敗、オリンピック出場に向けてはどこかで出場ポイント以外の加算が欲しいオムニアム。ここには田畑真紀が出場。今期は第2戦のカリ以来のオムニアム出場となる。
 その田畑は今シーズン、この前日に行なって翌日の決勝戦、3-4位決定戦の出場選手を決める団体追抜の予選に出場。今回は他にエンデュランス系の選手の出場はないもののスプリント形出場の石井、前田とトレインを組んでの参加となった。この3人は1組目、対戦相手なしで単独でホーム・ストレッチからスタート。田畑、前田、石井の並びでスタートした3人だが、通常は行なう先頭交替を行なわずに田畑が終始前で引っ張る形。どうやら世界選手権に向けてのポイントを確実に稼ぐための出場の様子。結局最後まで田畑が先頭を引き続けた日本チームのタイムは仕方がないものの4分13秒408と当然ながら日本記録の3分34秒704を大きく下回るタイム。出場国15チームの中、ベラルーシが自転車の規格の規定で失格となったのを除いた14位。13位のタイム3分30秒975から40秒以上遅れてのタイムでこの競技を終えることとなった。観客の大声援を受けての走りとなったイギリスだったが3分21秒370とカナダの3分20秒785には及ばなかったものの、明日初日の決勝戦へ駒を進めることとなった。3位決定戦はオーストラリアとニュージーランド。一方の男子はこちらも大声援を受けて周回を重ねたイギリスが3分58秒446のトップ・タイムを出したものの最後から2番目に登場した強豪ぞろいのオーストラリアに3分57秒885とタイムを上回られたもののこちらも2位で決勝戦へ進出。こちらは最終日、3日目に決勝とニュージーランド、ベルギーで争われる3位決定戦が行なわれる。いよいよ始まったプレ・オリンピック、いつにない激しいワールド・カップでの争いに期待しないわけにはいかない。明日からの各国チームのパフォーマンスが楽しみだ。
アジア選手権ポイント・レース優勝の盛「強い奴はオムニアムに出てますからね。」
アジア選手権ポイント・レース優勝の盛「強い奴はオムニアムに出てますからね。」
予想しなかった女子団体追抜への出場
予想しなかった女子団体追抜への出場
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