オリンピック会場を使用しての今シーズン最終戦、ロンドン大会は今日が開幕日。まだまだ突貫工事、夜を徹しての作業で開催の準備を進めるオリンピック・パーク内のヴェロドロームでの開催となる。正直なところ、会場、大きな建物は外から見れば出来ているように見えるものの、公園内の道路やその他細々としたものはまだまだ出来上がっていない。というか、半年後にこれで間に合うのか・・・といった印象を正直受けてしまうような状況。とはいえ、プレ・オリンピック。本番を想定しての開催運営がされている中での戦いとなる。初日とは言っても昨日の大会前日の夜のセッションでは既に男女の団体追抜の決勝が行なわれている。このセッションは前日ということもあってこの種目のみの開催だったが、言い方は悪いが団体追抜のみでもヴェロドロームとしては規模の大きいこの会場のお客さんの入りは良好。ちらほらの空席は見えるものの、前日から最終日に渡って発売直後にチケットは既にソールド・アウトという状況。多くのお客さんの中での走りはライダーにとっても気持ちが入るものとなるだろう。

スタートが決まった雨谷も
2走渡邉は残念だった。

チーム・スプリント優勝のドイツ。
変則メンバーでも優勝。 |
初日、スプリント系のメインは男女のチーム・スプリント。男子は17チームの出場となり、日本は2組目、ホームからの発走となり、今回若手で挑んできたチェコとの対戦となった。出場選手は予定通り、第1走者に雨谷一樹、第2走者に渡邉一成、第3走者に中川誠一郎の順。今シーズンのワールド・カップ、4戦全戦出場となり、今回もこのチーム・スプリントのみの出走となる雨谷のスタート・ダッシュに期待がかかる中、日本チームがスタート、この雨谷スタート後後続の渡邉-中川を引き離すスタート。最近は有力チームはとにかく後ろが千切れてでも1走がガンガン踏んでとにかく後ろを前へ前へ追わせるようなスタイルが増えているが、ここは離れすぎてしまったか、と感じさせるような走り。で、1走雨谷がホーム・ストレッチで離脱、1周目のタイムが17秒728の自己ベスト更新のタイム。雨谷のスタートの良さに渡邉が離されてしまったのか、とも思われた渡邉の2周目のタイムは13秒316。初戦アスタナで13秒040をマークした渡邉としては物足りないタイム。最後を託された中川は13秒747でタイムは44秒791。雨谷が自己ベストで入ったものの、それを活かしきれず、今期最高の第1戦アスタナの44秒605をも上回ることが出来ず、少し残念なタイムとなった。日本チームはもちろんこの時点では1位だったものの強豪国はまだまだこれから。地元のイギリスが第4組ホーム・ストレッチからの出走。相手は今期世界新を出しているドイツからのトラック・チーム、チーム・エアドガス.2012だが記録を樹立したメンバーは入っていない。このイギリス、久々にチーム・スプリントに出場は日本でもお馴染みのエドガーでこれが第1走、第2走にずっと1走を務めていたケニー、第3走に最近は2走を務め久々に3走となったサー・クリス・ホイ。この3人のタイムが43秒876でこの時点でトップ。5組目にはオーストラリアがパーキンス、サンダーランド、グレッツアーの順での走りでイギリスを上回る43秒896。7組目にはフランス、ドーピング関連の規定違反で昨年のチーム・スプリント、スプリントでの世界選手権優勝を剥奪されたボジェが今期ワールド・カップ初出場で第1走、シロー、ダルメイダと剥奪されてしまったものの、昨年オランダ・アペルドールンでの世界選手権で1位となったベスト・メンバーでの出走。タイムは43秒606でオーストラリアを超えてきてのベスト・タイム。最終組に世界記録を持つドイツがエンダース、普段は1走のフェルステマンが第2走、普段は第3走のレヴィーが第3走と変則的なメンバー。各国オリンピックを睨んで色々と試しているのか、それとも手の内(?)を見せたくないのか、撹乱作戦か。この3人でのタイムは43秒650とフランスには及ばなかったものの第2位のタイム。夜のセッションで行なわれる決勝戦はフランス対ドイツ、3-4位決定戦にはオーストラリア、かろうじてメダルのチャンスが残った地元イギリスで争われることとなった。日本はこの4チームとニュージーランド、中国、モスコー・トラック・チーム(ロシア)に遅れた8位という結果となった。
コメント(雨谷):「いやーとりあえず良かったです、自己ベストなんで。なんとなく出そうな、出せそうな気がしてたんですよ。トラックに馴染むような感じがあったんで・・・そうですか、後ろ千切れちゃってましたか。(オーストラリアのパーキンスよりタイムが良かったことに)え、ほんとですか。そう言われると素直に嬉しいです。でもこれに満足しないで、世界選手権でもっと良いタイムが出せるように、また出来ることを確実に、しっかりとやって伸ばしていきたいです。」
コメント(渡邉):「スタートのホルダーがしっかり持ってくれなくて。グラグラなんですよ。それでスタートがまったく決まらなくて・・・かなりのロスですよね。雨谷が1走で入りを決めてくれて、僕が自分のタイム、コンマ3秒つめてればというところだったんで・・・いやあ、今回の走りに関しては本当に悔しいです。」
夜に入っての決勝戦、各チームとも3選手、予選と同じ順番での走りとなり、予選よりタイムを上げて43秒562のドイツが逆に予選より落としての43秒631だったフランスを破って金メダル。ドイツのチーム、チーム・エアドガス.2012を含めると今期3戦3勝、ドイツ・チームとして2勝目で総合ポイントをトップとしてワールド・カップ・リーダーとして今期のワールド・カップを締めくくった。3-4位決定戦は同様にタイムを上げた地元イギリスが落としたオーストラリアを上回って銅メダル、一矢を報いた。

日本女子チーム・スプリントの前田、石井 |
女子は男子より多い20チームの参加。やはりオリンピック会場での開催とあって参加国が多い。その20チーム中1組目ホーム・ストレッチからの出走となった日本は初戦から4戦同様で第1走者に前田佳代乃、第2走者に石井寛子での出場。常にベストの日本記録更新を目指して走ってもらいたいところだが、相手、台湾には先着したもの
の、記録は35秒840、日本記録の35秒302には及ばなかった。オリンピック本番の会場での戦いに各チーム、どの程度仕上げているのか気になるところ、7組目に登場したメアーズ、マッカロックのオーストラリアがなんと32秒828と2年前にコペンハーゲンの世界選手権で自分たちの出した世界記録32秒923を上回る世界新記録を樹立。夜のセッションで行なわれる決勝戦へ1位通過、32秒966で2位通過となったヴァーニッシュ、ペンドルトンの地元イギリスと対戦し更なる世界新記録、そして金メダルへ挑むこととなった。結局日本はアジア2カ国、香港、台湾に上回ったものの18位で予選を終えることとなった。
その記録更新とこれに地元イギリスがどのように立ち向かうのかが注目された決勝戦、記録を更新したオーストラリアのマッカロックは「自分としては決勝戦のほうがタイムを出せると思う。」とコメントしていたが果たして。第1走者メアーズがまずは予選よりもタイムを落とすものの、ヴァーニッシュに0秒23の差を付けて第2走者へ。マッカロックが予選よりもタイムを落とす中、快走を見せるペンドルトンが前半のタイム差もなんのその、会場の大声援に後押しされ、予選よりタイムを上げて先にゴールへ飛び込んで金メダル。叩き出したタイムが32秒754と昼のセッションで出た記録を早くも更新しての世界新記録。1日のうちに2度の世界新記録、そして地元イギリスの逆転劇で多くの観客で埋まる会場は大きく盛り上がった。3位はフランスを下して今シーズンのワールド・カップ・リーダーをものにした中国。

予選で世界新のメアーズ、マッカロックで 並ぶオーストラリア |

それを決勝で破って新たな世界新、 観客に応えるペンドルトン |

この日始まった男子オムニアムの盛、 調子にのれなかった・・・ |
2日間にまたいで行なわれるオムニアムは今日から男子がスタート。アジア選手権に参加したものの、オムニアムには出場することの無かった盛一大が今期は第1戦アスタナに次いで2回目の出場となる。32人のエントリーがあったため、オムニアムはまずは60周、15kmのポイント・レースでの予選から始まることとなる。盛は2組目に出場。まずは4人に勝っての本選出場を目指さねばならない。
その予選、盛は第1スプリントでの争いには加わらず0ポイントだったが、残り45周で集団が2分されたところ、前の10人の中に入って周回を重ねる。この中で第2スプリント、集団4番手から外を追い上げた盛はヴィヴィアーニ(イタリア)に次いで2番手で飛び込み3ポイントを獲得。その後すぐの残り39周で既に周回遅れとしていた1人のほか、集団から遅れていた4人が更に周回遅れとなってマイナス20ポイント、この時点でほぼ予選通過を決めることとなった。残り38周では落車が発生。盛は前を走行しており巻き込まれずにこの事故を逃れた。4周回ほどしたところでピストルが鳴されニュートラルの状態となって走路の補修が行なわれる珍しい展開。再開後の盛は特段の動きを見せず、結局3ポイント8位で12位以内となる予選通過をクリアした。
40分後に早速始まった1種目目のフライング・ラップ、10番目に登場の盛は13秒608、アスタナでの13秒566には及ばなかったものの12位とまずまずの発進。続くポイント・レース、エリミネイションと得意のゲーム系の競技で好成績をあげて余り得意とはしないタイム・トライアル系のカバーをして少しでも上位を狙いたいところだ。2種目目のポイント・レースは120周の30km、スタート後2度ほど集団の先頭に出た盛は特段の動きを見せず、第2スプリントも7番手通過でノー・ポイント。しかしその後の動きで集団から何人かが抜け出て、盛も上がってこれに加わり8人の集団に。残り95周のところでテルエル・ロヴィラ(スペイン)これを抜け出して逃げるところ、盛がこれに反応して2人での逃げ。第3スプリントを迎えるところで上がってきたリウ・ハオ(マックス・プロ・サイクリング、中国)に交わされてしまい、ここは3番手通過の2ポイント。ここでラタイチェク(ポーランド)、コヴァレフ(ルスヴェロ、ロシア)も逃げに加わり5人での逃げとなる。第4スプリントは残り1周で先頭交替をしてしまうも4番手で1ポイント。残り78周でこの5人はラップ達成で20ポイントを獲得する。しかしラップ直後に逃げ出した2人を追う選手が増えだし、残り72周ではこれが10人での逃げというより集団が2分される形。ラップ直後の盛は前にはいけずこの差が開き、結局残り59周でルージング・ラップ、-20ポイントとされ、ラップで奪ったポイントを失ってしまうことに。その直後の残り56周、テルエル・ロヴィラ、アーヴァイン(アイルランド)、マンシーラ(チリ)、ヴィヴィアーニ(イタリア)の飛び出しに盛も反応し追おうとするが前との差は縮まらず、結局集団へ戻ることに。2人が加わった6人のこの逃げは残り44周で集団をラップ。その後の盛は第10スプリントで5番手から外を回って仕掛けるも、ヴィヴィアーニとの競り合いを差せずに4位通過の1ポイント。クルーゲ(ドイツ)の単独ラップの後の残り8周でベル(カナダ)と仕掛けようとするも不発で最終スプリントも5位入線でポイントなし。結局4ポイントの14位で順位を少し下げることとなった。勝ったのは初めに盛と逃げてラップの後に2回目のラップも成功させたテルエル・ロヴィラだった。
コメント(盛):「きつかったですねー。やっぱりペースが早くて・・・まあ、そういう風になるメンバーが集まっていますからね。でもここは展開に負けたんではなく、力負けなんで良かったです。悔いが・・・という感じではないですから。1回ラップできたのは良かったんですけど、その後結局失っちゃいましたからね。あそこからまた行ければ結果も違ってもうちょっと上がってくるんですけど・・・まあ、仕方ないです。もう1種目、少しでも上を目指して頑張ります。」
今日最後の3種目目はエリミネイション、2周ごとに最下位通過の選手が除外されていく種目だが、色々と問題が多いのが困ったところだ。このエリミネイションで盛、初めから苦しい展開で後方から。24選手での走りの中、大外を踏んでの争い。何とかギリギリ難を逃れて1回目の除外をクリアした盛だったが、外々に膨れてくる選手と外のフェンスとの間に挟まれて行く手をさえぎられ、1コーナー過ぎに外のフェンスの手すりに手をかける形となってフェンスに衝突し、落車してしまう羽目になってしまった。しばらくして立ち上がった盛のジャージは擦り切れて破れ、そこにスタッフが駆け寄り自転車のチェック、処置をし、盛は再乗するもののニュートラルの間での乗車とは認められず、2番目に姿を消すこととなってしまった。いつも後方から最後の直線で差し切る、という戦法を繰り返すコクァール(フランス)とヴィヴィアーニとの最後の一騎打ちはヴィヴィアーニが制してこの種目を勝利した。初日を終えて、競技を中断した選手、失格した選手を除いて4人しか上回ることの出来なかった盛は18位という位置となった。
前日に予選を終えて地元イギリスが2位ながらも決勝戦進出を決めていた女子団体追抜もやはり観客の盛り上がりがすごかった。スタート後1周ごとに大歓声、大声援のここは、予選2位だったイギリスは昨年の世界選手権を制しチャンピオンを示すアルカンシエルを身にまとったフーヴェナゲル、トロットの2人にロウセルを加えた3人で予選を戦ったが、決勝のここはフーヴェナゲルから世界選手権優勝時のもう一人のライダー、キングにメンバーを変更して、予選で後塵を拝したオムニアム世界チャンピオンのウイッテンにカールトン、グレッサーを加えたカナダに挑む。ロウセル、トロット、キングで並んだイギリスは観客の後押しもあって序盤からカナダをリード、会場の世界新記録ペースのアナウンスもあって、会場は一段とヒート・アップ。女子チーム・スプリントでの世界新記録樹立から30分後、今度は女子団体追抜でまたもイギリス・チームが3分18秒148とハマー率いるアメリカ・チームが2010年5月12日にメキシコのアグアスカリエンテスで出した3分19秒569の世界記録を塗りかえる世界新記録を打ち立てた。併せてカリ、ロンドンでの2戦2勝でワールド・カップ・リーダーも手中にした。カナダも世界記録を上回る3分18秒982での好走を見せたが銀メダルに終わった。

これまた世界新のイギリス女子団体追抜 |

世界新で観客に応えるキング、トロット |
この日は男子1kmも行なわれ、24人がエントリーも日本からのエントリーはなし。昨年の世界選手権者で第1人者のニムケ(ドイツ)が出場し、1分1秒211で優勝。チーム・スプリントを終えたばかりで出走となったダルメイダ(フランス)が1分2秒036で2位、一生懸命取り組んできたからスタートでナーバスになりすぎたというヴァン・ヴェルトホーヴェン(ニュージーランド)がスタートを失敗し最初の1周を16位と出遅れるもその後巻き返して1分2秒048で3位となった。今シーズン、カリとここロンドンの2回行なわれた1kmタイム・トライアルのワールド・カップ・リーダーは優勝は無かったものの、カリ2位、ロンドン3位のヴァン・ヴェルトホーヴェンが手中にした。