今シーズンから出場資格に関して新たなシステムが導入されたワールド・カップも初戦のマンチェスターを終えて第2戦、メキシコのアグアスカリエンテスに場所を移した。ここアグアスカリエンテスは昨年に引き続いての開催。気圧で屋根を膨らませる方式を用いたドーム型のここアグアスカリエンテスの会場、ヴェロドローモ・ビセンテナリオは、アグアスカリエンテスが標高約1,800メートルにあることから、とにかく好時計が出ることで有名。システムの変更もあって、世界選手権の出場資格をここで決めたいチーム、ライダーらが集まり、今回は好メンバーでの戦いとなったことから、世界新記録が飛び出すことも期待される。昨シーズンに3戦での争いと、1戦減ってしまったワールド・カップだったが、今シーズンも同様に3戦での開催。なかなか決まらなかった第3戦も紆余曲折の上、なんとまた今回と同じメキシコのグアダラハラでの開催となった。おそらく来シーズンからはオリンピックに向けての出場枠の争いに関係してくる大会となっていくであろうことから、今後の開催がどのように行われていくのか心配なところである。
クリスマスを迎えようとする アグアスカリエンテス |
会場となる ヴェロドローモ・ビセンテナリオ |
第2戦目の今大会のエントリー数は男子がナショナル・チーム34、トラック・チーム9でライダー数は178、女子はナショナル・チーム27、トラック・チーム5でライダー数は116人、合計で36カ国、11のトラック・チームにライダー数は294人。日本勢は、システムが変わったこともあって前回のマンチェスターと同様のメンバー。次回グアアラハラでの開催も同様のメンバーでの参戦の予定で、同じメンバーによるポイントの積み増しで世界選手権の出場枠獲得を目指す方針のようだ。男子スプリント系は脇本雄太がナショナル・チームで、中川誠一郎、渡邉一成、河端朋之がシクロ・チャンネル・トーキョー(CCT)での出場。女子スプリント系は石井寛子と前田佳代乃、これにエンデュランス系の男子、橋本英也と女子、塚越さくらを加えた8名が今回のメンバー。チーム・スプリントは前回そのままの布陣、第1走者に河端、第2走者に渡邉、第3走者に中川とCCTでの出場。1走河端は、「体調はおかげさまで僕は先にこちらに入って調整してますので悪くないですよ。明日のチーム・スプリントは、後ろのお2方は大丈夫ですが僕だけが問題なんで・・・何とか17秒台を出して少しでも良い成績につなげたいです。昨年はスプリント、9秒台を出したのにギリギリ予選落ちでしたからね。やっぱり予選を通過しないと何も始まらないので、まずはしっかり予選を通過することが目標です。ただタイムが出ますからね、ここは。出したつもりでも周りもすごいので油断できないです。」と、スプリントにも出場。2走渡邉は、「競輪祭からタイトなスケジュールなのは分かっていたことですからね。時間がない中でやれることをやるだけです。なかなかここのところ国内での競輪でも上手く調整できていなくて、全体的に失敗しているところがあるんですが、国内にしても海外にしてもどちらか何か上手いことつかめればな、と思っています。自転車もフレームを自分のものにしたんですけれど、パーツがなかったりで、セッティングもまだまだ全然出せていないんで厳しい部分もありますが頑張りたいと思います。」と、こちらはケイリンにも出場。3走の中川は他にスプリント、1kmタイム・トライアルにも出場する。そしてナショナル・チームでの脇本はケイリンに出場。「正直体調はあんまり良くないんですよね・・・競輪祭明けっていうのもまあ、ありますしね。そういうのも含めてあまり強気なことは言えないんですが、今回はなんとか、この先に向けての何かを見出せればな、と思います。折角ここまで来ているので、何にもなく帰るんでなく、先に繋がる光明というかそういうのを何とか見つけたいと思います。」女子はチームスプリント第1走者に前田でスプリント、ケイリン、500mタイム・トライアルのスプリント系全種目に出場。第2走者の石井は「今年の1月にもここアグアスカリエンテスには来たんですが、すごくタイムが出るんですよね。なので記録を狙っていきたいところなんですが、疲れが取れていないんですよね。チーム・スプリントも日本新を、って言いたいんですけれど私次第じゃないかなと思います。この後は暮れのガールズGPまで競走がないんで、ここで勢いをつけてGPで、となれば良いんですけれどね。そうなるようにここでも頑張りたいと思います。」こちらは他にはスプリントに出場することとなる。エンデュランス系の2人はそれぞれ橋本は初日・2日目、塚越は2日目・3日目に行われるオムニアムに出場する。
隣にはBMXコースが |
会場内部 |
松本監督は今シーズンについて「今年はワールド・カップ、そして世界選手権出場のシステムが変わっちゃったんで、手探りな部分が多いですね。1ヶ月おきに海外の大会に出なければならなかったですからね。代わりに強化の合宿も出来ずに大会出場のみでこのワールド・カップを迎えることになったんで・・・世界選手権もこのワールド・カップの成績で出場権が決まるので、前回・今回・そして次回と同じメンバーでポイントの獲得を目指す形になりますね。正直、特に競輪選手を考えるとシステム的には非常に戦略的に戦いづらいというのが本音ですが、まあ、実際どのような形でシーズンが進んでいくのか、それをみて、またオリンピックの出場枠獲得の方式がどのようになるのかをみながら今後の方策を練り直していきたいと思っています。」と話す。
世界選手権出場枠が安泰といえる状況ではない中、強豪相手ではあるものの、少しでも良い成績でポイントを積み、シーズン集大成となる世界選手権への道をしっかりと掴んでいきたいところである。