2013-14ワールド・カップ第2戦アグアスカリエンテス大会
配信日:12月10日
12月5日(木)開催初日 天候:晴れ
昨年はメキシコのイメージに程遠い寒さに悩まされたここアグアスカリエンテスだが、朝晩には冷え込むものの、日中は雲もほとんどない気持ちの良い青空に強い日差しが照りつけ、冬に突入している日本とは違って夏の雰囲気を感じさせる。特段空調のないヴェロドロームは同様に朝晩はやや寒さを感じるが、日が昇るにつれ気温は上昇。ピーク時は半袖でも暑いという状況となる。
昼のセッションでまずは日本勢初登場となる、男女のチーム・スプリントが行なわれた。男子から始まったチーム・スプリント予選だが男女ともに上位1・2位のチームが夜に行なわれる1-2位決定戦へ、3・4位のチームが3-4位決定戦へと進むこととなる。CCTチームで出場となった男子、布陣は前回マンチェスターと同様で、第1走者には河端朋之、第2走者に渡邉一成、第3走者に中川誠一郎の順。第1走者の河端は17秒754と18秒を切ってきたが、ポーランドには大分遅れを取る。渡邉が差を詰めて渡した中川が良い感じでかかり、ポーランドをここで逆転。ゴールのタイムが43秒092。高地さながらのタイムではあるが、2012年、オーストラリア・メルボルンでの世界選手権で雨谷一樹、そして渡邉、中川で出した43秒896の日本記録を更新する日本新記録となった。しかし日本に次ぐ8組目で登場したイギリスが42秒339と従来の2012年ロンドン・オリンピックで自チームが作った42秒600の世界記録を破る世界新。更に最終組でエンダースが16秒984で入ったドイツがフェルステマン、アイラースとつないでついに41秒台となる41秒871でイギリスを上回る世界新記録を更に樹立。1-2位決定戦はこの2チームでの争いとなったが、予選を上回る世界新は出ず、予選通りドイツが優勝、イギリスが銀メダルとなった。3-4位決定戦はオーストラリアと、予選3位も降格となったフランスに代わり繰り上がったオランダとの対戦となったがこちらも予選通りの順位でオーストラリアが銅メダル獲得となった。
コメント(河端):「とりあえず良かったです。ほっとしました。でも他を見たらびっくりするようなタイムなんで、一見良さそうに見えてもまあ、って感じですよね。でも日本記録に名前が残るのは嬉しいですね。素直に嬉しいです。」
コメント(渡邉):「そうですね。考えていたイメージどおりに走れたかなと思います。タイム的にも想像していたタイムが出たので、良い感じになって次の種目に進みたいですね。」
コメント(中川):「うーん、(日本新は)出ると思わなかったので少しびっくりですね。前が掛かっていたんで、でもそうですね、自分でもそれなりに走れたかな、というのはありますね。でもやっぱり高地はきついですね。なかなか(呼吸が)戻らないです。3日目に1kmにでるんですけど、ちょっと怖いですね。でもまた頑張ります。」
続く女子の予選は14チーム参戦中、こちらもCCTチームで出場し、4組目、バックストレッチからのスタートでスペインとの対戦。第1走者の前田はスペインに大きく遅れ、19秒483で石井へ。石井は更にスペインとの差を広げられてしまい、結局スペインに1秒3離されてゴール。だがタイムは34秒535でここアグアスカリエンテスで1月に前田と加瀬加奈子が作った34秒805を更新。男女ともに日本新記録となった。ここまで世界記録の更新はなかったものの最終組で登場のイギリスとドイツには大きな期待がかかる。イギリスのヴァーニッシュに0秒1の差をつけたドイツ・ヴェルテ、フォーゲルがイギリス・ジェームズは更に引き離したドイツが32秒153と昨年ここアグアスカリエンテスで中国が出した32秒422を上回って世界新記録を打ち立てることとなった。イギリスも従来の記録を上回る32秒400だったがドイツには及ばず、両者で行なわれた1-2位決定戦もともに予選のタイムを上回ることなくドイツが金、イギリスが銀となった。予選3位の中国と4位のロシアとの3-4位決定戦はロシアがひっくり返して銅メダルとなった。
コメント(前田):「前回のマンチェスターが終わった後は、もうここに合わせて調整をして。コンディション的には悪くないなという中で望みました。やっぱりここはタイムが出るので、他のチームのタイムを見てうーんと思わされてしまいました。一応日本記録を更新出来てよかったですけれど、後はこの後の種目でどこまでやれるかですね。ハロンは特に昨年10秒台を出せるかと思ってダメだったので今度こそはと思っています。」
コメント(石井):「体調は6割くらい、といったところなんですよ。走っているときもそんなに良い感じはしてなくて、でも走り終わってタイムをみたら、おおーって。前田さんに上手く引っ張ってもらったということですね。前回他の種目でここでもあまり良くはなかったんですが、ここで出した日本記録を更新出来たので、やっぱりそこは嬉しいです。」
初日、2日目に亘って行なわれるオムニアム男子は昨年、そして前回マンチェスターに続いて参加の橋本英也が出場。少しずつでも世界を相手にステップアップしていきたい。
20人のエントリーで予選はなく、本選からのスタートとなり、1種目はフライング・ラップ。1周250mのフライング・タイム・トライアルは13番目のスタート、13秒277と昨年のここでのタイムより0秒6近く上げてきているものの、トップ・タイムには0秒8以上の遅れ。13位という成績となった。
得意とするゲーム系のポイント・レースが2種目目。120周、30kmのレースでフェンス側からのスタート。第1スプリントが終わった残り108周から橋本は動き、リャン(香港)、スッター(スイス)との逃げ。スプリント前に他の2人に引かされる形になるも1位通過で第2スプリントで5ポイント獲得。その後も3人の逃げは続き残り94周でついにラップに成功し20ポイントをプラス。その後は5人、4人とラップし、橋本は残り53周で自ら集団から出、4人での逃げを形成し、スプリントで1ポイントを獲得するも集団に吸収。残り31周では抜け出たデ・ブイスト(ベルギー)を追いかけてスプリントで2位通過するも橋本は集団に戻される。残り22周ではニールセン(デンマーク)ら3人の逃げを追いかけて4人となり、スプリントで再度3ポイントを取るものの、この逃げも残り16周で吸収されてしまう。結局この逃げが決まれば更に上位へ、というところだったがさすがに最後は疲れたか。だが32ポイントを取った橋本は6位という結果となった。前半から積極的に動いた橋本、好成績ではあったが、まだまだ上を期待したい内容であった。
初日最後の3種目目はエリミネイション。1回目の除外を争うところで他の選手と絡んでふらつき危ないシーンがあるも、何とかしのいで外から1人交わして除外を免れる。その後も内々を進むことが多く、ヒヤッとするシーンもあったが残り8人のところまでクリアする。しかしその後の2センター、他の選手の動きもある中、3、4車並走となり、内のリビン(チェコ)が外へ動くところ接触して落者、大きく転倒してしまう。目の周りに切り傷を負った橋本はレースへ復帰出来ず、ここでレースを終えてこの種目8位となった。その後は会場外の救急車で手当て、縫合等を行なうこととなった。3種目を終えての今日の途中経過は27ポイントで9位だが、明日の参戦が可能かどうか、傷の具合が気になるところである。現在のところは1位が16ポイントでダヴィソン(オーストラリア)、同じく16ポイントでベルギーのデ・ブイストが2位につけて初日を終えることとなった。