
弥彦は直線が長く、追い込み選手が有利だ。従来の開催地の一つであった青森も400バンクの中では直線が長いほうだったが、弥彦は見なし直線が青森よりも4m以上長く、先行選手にとっては苦しいバンクである。そのため、ライン的にはトップレベルの自力型を多数擁する北日本勢が優勢といえるだろう。
特に注目したいのが新田祐大だ。新田は震災後のレースではやや物足りない成績が続いていたが、5月16日に開催された全日本プロ選手権自転車競技大会の1kmタイムトライアルで一昨年、昨年に続いて3連覇を達成、今年も初日の日本競輪選手会理事長杯の出場権を獲得している。今回も長い直線に臆することなく、強靭な地脚を発揮して北日本勢を引っ張っていってくれるだろう。
山崎芳仁も近況はやや低調だが、昨年6月の弥彦記念では7番手からの捲りで上がり10秒6のバンクレコードを叩き出し優勝しており、相性の良いバンクでの復活劇が期待できる。
昨年の大会では新鋭・脇本雄太の先行を目標に番手捲りを打った村上義弘を差し切った市田佳寿浩がGI 初優勝を飾っている。
その後も村上博幸がグランプリを優勝、村上義弘が今年の日本選手権を優勝と近畿勢は安定した強さで輪界をリードし続けている。
4月の共同通信社杯春一番、5月のSSシリーズ風光るでは近畿勢の優出がなかったが、直後の豊橋記念では村上義弘が深谷知広、菅田壱道らのヤングパワーを力でねじ伏せて優勝しており、今回も気迫溢れる走りで近畿勢を盛り上げてくれるだろう。



今大会の主役を務めるのは関東のエースの武田豊樹だ。1月の東王座戦では目標の平原康多が新田祐大と真っ向からもがき合う展開となったが、最終2コーナーから自力に転じての捲りで優勝、4月の共同通信社杯春一番でも先手を取った平原の番手から楽々と抜け出して優勝と存在感を見せつけており、今回も平原との好連係から関東ラインでの上位独占を狙ってくる。
侮れないのがホームバンクでの初のGI 開催に燃える諸橋愛だ。昨年6月の弥彦記念決勝では武田の番手回りという絶好の組み合わせとなり、武田もしっかりと先手を取ってくれたが、山崎芳仁の7番手からの捲りに飲み込まれてしまい悲願の地元記念優勝はならなかった。その雪辱を晴らすためにも、今回は連日の気迫溢れる走りで決勝進出を目指してくるだろう。
北津留翼は全日本プロ選手権自転車競技大会のスプリント決勝で渡邉一成を下して、同種目3連覇を達成、今年も初日は日本競輪選手会理事長杯からのスタートとなる。
北津留とは対照的に、ビッグレースで巧者ぶりを発揮して大活躍なのが松岡貴久だ。| 手島慶介の捲りを差して後閑信一が地元で優勝! |
|---|
|
渡部哲男―合志正臣が前受け、山崎芳仁―佐藤慎太郎―内藤宣彦に岡部芳幸が続き、海老根恵太―手島慶介―後閑信一が後攻めで周回。残り3周になったところで海老根が上昇開始、渡部を抑えて先頭に立つ。赤板から今度は山崎が上昇して海老根を抑えるが、岡部は山崎ラインを追わず、渡部ラインの後ろに付ける。打鐘手前から渡部が仕掛けて主導権を狙いにいくと、山崎が車を外に持ち出して突っ張る構えを見せるが、空いた内を岡部が上昇してきて先頭に立ち、そのまま先行してしまう。岡部の奇襲攻撃に山崎はバックを踏まされて後退、踏み直した渡部が岡部後位に入るが、自力に転じた手島がバック過ぎに岡部を捲り切る。最後の直線に入ると手島と後閑の群馬コンビの一騎打ちとなり、ゴール直前で差し切った後閑が優勝、手島が2着で、3着には佐藤が突っ込んだ。 ![]() 寛仁親王牌の思い出 |
| 直線が長く、追い込み型が断然有利 |
|---|
夏場はバンクが軽くなるので捲りが決まりやすい 弥彦は400バンクの中では一宮、武雄次いで3番目に直線が長く、追い込みが断然有利だ。 遅めの捲り追い込みが有効日本で唯一の村営の公営競技場で、周長は400m、最大カントは32度24分17秒、見なし直線距離は63.1m。四方をうっそうとした森に囲まれていて、3コーナーから風が吹き込んでバック向かい風の日が多いが、3コーナーを過ぎると影響がなくなるので遅めの捲り追い込み有効。最高上がりタイムは昨年6月の記念決勝で山崎芳仁が7番手からの捲り追い込みで叩き出した10秒6。 ![]() 弥彦バンク |