武田豊樹は東王座戦を制覇、次場所の久留米記念は逃げ切り優勝と好調を維持している。昨年の高松宮記念杯の決勝で完敗しているだけに、地元・関東のエースとして燃えてくるだろう。
盟友の平原康多が復活してきているのも武田には心強い。07年、08年のスーパープロピストレーサー賞ではともに平原を目標に連覇を達成しており、本大会との相性も良好だ。日本選手権は準決勝で敗れたが、ゴールデンレーサー賞ではやはり平原の先行を目標に、村上義弘を敗って長塚智広とワンツーを決めており、今回も関東ラインの結束力の固さを改めて見せつけてくれるだろう。
村上義弘の魂の走りも健在だ。今年は1月の大宮記念を優勝して幸先のいいスタートを切った村上は、次場所の地元・京都向日町記念では兄弟ワンツーを決めて村上博幸の優勝に貢献。日本選手権でも気力で見事に決勝進出を果たしている。
3月末に開催された日韓対抗戦競輪では、日本選手権直前に落ちていた体重もほぼベストの状態に戻り、連日の力強い走りで完全優勝を達成している。
初日特選3個レースには選考順位が28位から54位の27名が出場するが、初日特選の注目選手は脇本雄太だ。
脇本にとって前橋は一昨年の寛仁親王牌でGI初優出を決めた相性のいいバンクだ。その後は伸び悩んでいた時期もあったが、現在は徹底先行で勝ち星を量産中だ。
今年は3月までに6場所走っているが、日本選手権では500バンクの熊本で逃げ切りの2連勝で勝ち上がって準決勝進出、FIの優勝がすでに3回ある。3月の小田原FIと福井FIではともに逃げ切りの3連勝で完全優勝を達成しており、今回も連日の先行での押し切りが有力だ。
永井清史の先行力も相変わらず強力だ。日本選手権は4走して連絡みなしとやや物足りない成績に終わったが、次場所の玉野記念では準決勝を先行の3着で突破して優出している。
2月の大垣FIの決勝は平原康多、園田匠らとの対決だったが、堂々の逃げ切りで今年初優勝を飾っている。ちなみに、永井のGI初優出も07年の前橋の寛仁親王牌だった。
日本選手権でGI初優出を決めた園田匠が好調だ。準決勝は最終バック9番手の展開から岡田征陽の捲り追い込みを追走して2着で通過、決勝も最終バック9番手の最悪の展開となったが、直線でインコースを鋭く伸びて3着に突っ込み、表彰台に上がった。
3月の名古屋記念の準決勝でも目標の北津留翼との連係が外れる苦しい展開となったが、しぶとい走りで3着に突っ込み優出を果たしている。
初日選抜の5個レースには選考順位55位から99位までの45名が出場する。
北津留翼は日本を代表するスプリンターで、全プロ競技大会のスプリントは目下3連覇中だ。競輪ではその実力がなかなか発揮できずにいたが、近況はレースの組み立てが格段に向上して成績も上昇中だ。今年は1月の松坂FIを優勝すると、次場所の京都向日町記念で決勝進出、日本選手権では準決勝まで勝ち上がっている。
坂本貴史は成績に波があるが、相変わらず積極性は高い。1月のいわき平記念は準決勝で先行して3着に粘って突破して決勝初進出を果たした。2月の四日市FIでも堂々の逃げ切りで今年初優勝、日本選手権では敗者戦ながら先行して2度の連絡みを果たしている。
ホームバンクでの力走が期待できるのが矢口啓一郎だ。昨年の前橋の高松宮記念杯では1勝を挙げており、もちろんバンクとの相性はいい。優勝からはしばらく遠ざかっているが、2月の小田原GIIIでは準決勝を捲りの2着で突破して決勝進出、3月の和歌山FIでは追い込みの2連勝で決勝進出と戦法の幅も広がってきている。
語り継がれる名勝負 スーパープロピストレーサー賞 |
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海老根恵太が4番手捲りで初優勝山崎芳仁-佐藤友和-成田和也-佐藤慎太郎-岡部芳幸、浅井康太-加藤慎平-山口幸二、海老根恵太の並びで周回。青板から浅井が上昇、山崎を抑えて先頭に立つと、海老根が切り替えて4番手に入る。引いた山崎は赤板から巻き返していくが、山崎は出切れず、成田が落車転倒。打鐘過ぎに再び山崎が捲っていくが、加藤の牽制にあって不発。最終バックから海老根が捲り、加藤の牽制を乗り越えて1着でゴール、海老根を追った佐藤友和が2着、山口が3着。 ![]() 昨年のSPR賞。(2)海老根恵太が優勝。 |