第14回寛仁親王牌
レース展望 寛仁親王牌とは テレビ放送予定 優勝者の横顔
ファンサービス 参考データ
 みちのく青森で開催される今大会からタイトル争いは後半戦がスタートする。前半戦は東日本勢がタイトルを独占、ふるさとダービーも東日本勢の優勝が続いており、西日本勢の巻き返しなるかどうかが今大会の最大の見どころになる。
 
みちのくで燃え上がる輪界夏の陣
 青森競輪場での寛仁親王牌開催は4年ぶり2度目になる。出場選手選考規定は五輪や全プロなどの自転車競技での実績を重視した内容になっているので、他のGIよりも若手選手の出場が多いのが特徴だ。寛仁親王牌がGI初出場という選手も多く、若手の登竜門のような大会となっている。短走路の前橋ドームから直線の長い青森競輪場へと舞台を移しても、若手選手の積極的な走りが大会を盛りあげてくれるだろう。
 そんな若手機動力型の充実度という視点から見てみると、今大会も東日本勢がやや有利だ。北日本、関東、南関東に80期代の有望な若手が勢揃いしているからだ。とくに北日本の充実ぶりがすごい。佐々木雄一、山崎芳仁、渡邉一成に今期2班だが全プロのスプリントで稲垣裕之をストレートで下して優勝した成田和也もいる。ふるさとダービー弥彦で準決勝まで勝ち上がった79期の小松剛之も注目選手だ。もちろん彼らがいきなり優勝争いに加わってくることは考えにくいが、彼らが二次予選や準決勝にコマを進めてくれば、伏見俊昭や岡部芳幸らの北日本勢はライン的にかなり有利になるだろう。
 
80期代の若手選手の積極的な走りに注目
 
 関東では武田豊樹はもはや別格の存在だが、矢口啓一郎も近況好調で活躍が期待できる。ふるさとダービー弥彦では勝ち上がりは捲りだったが2連勝で準決勝にコマを進めており、準決勝では結果は9着だったが、2車の短いラインにもかかわらず稲垣裕之や石毛克幸らを相手に積極的に主導権を取りにいっていた。今期2班だが全プロの4km個人追い抜きで優勝した内田慶の走りに注目してみたい。
矢口啓一郎(群馬・86期)
   
 
80期代の攻勢に小嶋が立ち向かう
今回の南関勢は機動力型が揃ってひと味違う
 
 さて、主役クラスの選手の近況を見てみよう。まずは地元・北日本のエースの伏見俊昭から。伏見は松戸ダービーの準優勝のあとはふるさとダービー武雄温泉や記念でも連続して優出を逃して低調だった。しかし、高松宮記念杯ではきっちり優出を果たし、ふるさとダービー弥彦ではまさかの二次予選敗退だったが、残り2走の敗者戦では2勝と復調してきている。今回は北日本地区での開催だけに、松戸ダービーのときのような攻めの走りを取り戻して、必ずや主役の座に返り咲いてくれるだろう。
伏見俊昭(福島・75期)
   
 岡部芳幸も近況は決して万全の状態とはいいがたく、ふるさとダービー弥彦の初日特選では竹内智彦の後ろまわりという疑問符のつく連係もあった。結局は竹内を捨てて捲って2着と岡部らしいスピードを見せつけてくれたが、準決勝では明らかな仕掛け遅れで8着に敗れている。それでも青森は岡部の十八番の捲り追い込みが決まりやすいバンクだし、勝ち上がり段階では北日本の積極的な若手を目標にできる可能性が高いので優出の期待は大きい。
岡部芳幸(福島・66期)
   
 武田豊樹は近況は勝ちにこだわって自在に立ちまわる競走が多かったが、高松宮記念杯決勝ではためらいもなく先行して村本大輔の初タイトルに大きく貢献した。5月の宇都宮記念決勝では稲垣裕之に先手を取られて不発に終わった経緯もあり、稲垣との再対決となったふるさとダービー弥彦決勝では先行型のプライドをかけたもがき合いを演じ、主導権を奪いとっている。結果は6着だったが、直線まで粘り込んでおり、文字どおり明日につながる走りだったといえる。もちろん今回も武田の初タイトル挑戦にファンの注目が集まるだろう。
武田豊樹(茨城・88期)
 
 海老根恵太が5月の別府記念で記念初優勝を完全優勝で飾ってから絶好調を維持している。別府記念の決勝はメンバー的にやや軽かったが、準決勝では伏見俊昭や小嶋敬二を捲りで一蹴して鈴木誠とワンツーを決めているだけに、記念初優勝の価値は大きい。続く福井と千葉のFI戦もあっさりと完全優勝を達成しており、6月の富山記念も決勝3着と健闘している。高松宮記念杯の村本大輔、ふるさとダービー弥彦の石毛克幸と南関東勢の初優出、初優勝が続いているだけに海老根もひょっとするとひょっとするかもしれない。今回の南関東勢は海老根や石毛のほかにも武井大介、吉川誠、萩原孝之と若手自力型が揃っているので、これまでのGI戦とはひと味もふた味も違った活躍がありそうだ。
海老根恵太(千葉・86期)
 
 武田や海老根らの80期代の大攻勢に負けていられないのが小嶋敬二だ。近況の成績は安定性にやや問題ありで6月の地元・富山記念も準決で敗れているが、初日特選は逃げ切り、2日目優秀は捲りの1着と圧倒的な強さを見せつけており、爆発的なパワーは健在だ。今回も中部王国復活の牽引力として大暴れしてくれるだろう。
小嶋敬二(石川・74期)
 
PAGE TOP
 
小野は輪界を代表するマーク屋に成長した
先行日本一の復活の日は確実に近づいている
 
 西日本勢の巻き返しのカギを握るのは村上義弘だ。近畿では稲垣裕之と高城信雄が好調だし、中部の金子貴志や四国の佐々木則幸も近況は積極的な走りで好成績をあげているが、GI戦で伏見俊昭や武田豊樹と互角に渡り合うにはやはり村上の先行力が必要だ。GI戦で勝ち上がるには単純に脚力の問題だけではなく、ビッグレースで数々の修羅場をくぐりぬけてきた実績も大きく物をいうからだ。
 村上は高松宮記念杯はまさかの一次予選敗退で、次場所の福井記念も準決で敗れているが、福井での4日間主導権を取りきった脚勢はよかった。仕掛けのペースやダッシュのタイミングなどは好調時のものに近づいてきていた。末脚はまだ物足りなかったが、今回までにはGIを先行で勝ち上がれるくらいの粘りがきっと戻ってきているだろう。
 今期2班だが村上博幸の走りにも注目したい。全プロの1kmタイムトライアルではダークホース的な存在だったが、2位の武田豊樹を抑えて初優勝を飾っている。それが大きな自信につながったのか、富山記念の準決勝では大本命の小嶋敬二を不発に終わらせる先行で3着に粘っている。そして近況は自在戦にも色気を見せており、決勝では同期の海老根恵太をマークしていた。

村上義弘(京都・73期)
 
稲垣裕之(京都・86期)
   
 小野俊之がようやく切れ味を取り戻して、輪界を代表するマーク屋としての風格もそなわってきた。ふるさとダービー武雄温泉の決勝は痛恨の1着失格だったが、小野にマークされた自在型の三宅伸が思いきりよく先行したのがいい例で、今後も地区に関係なく小野にマークされたラインが先手を取るケースが増えてきそうだ。ふるさとダービー弥彦では8分の1輪差で優勝に届かなかったが、先手ラインの3番手に切り換えたハンドル捌きは絶妙で、今や小野はラインに関係なく狙っていける選手に成長したといえる。
小野俊之(大分・77期)
PAGE TOP

新潟へ移籍して1年、小橋が寛仁親王牌3Ⅴを達成
寛仁親王牌の思い出
 第10回大会の決勝戦は伏見俊昭、小嶋敬二、太田真一の先行3強の対決が注目を集めたが、最後に勝利を掴んだのは前日の準決勝でただひとり10秒台の上がりタイムを叩き出していた平成の鬼脚・小橋正義だった。
 並びは太田真一-神山雄一郎-小橋正義、伏見俊昭-岡部芳幸-東出剛、小嶋敬二-山田裕仁-酒井耕介の3分戦。赤板ホームから小嶋が上昇、打鐘で一気に発進するが、太田も突っ張る。小嶋と太田のもがき合いは1角まで続くが、山田は小嶋を追わずに神山の後ろに割り込み、2角では太田が小嶋の番手にはまる。7番手になった伏見が2角過ぎから捲っていくと、4番手の山田も仕掛けていく。山田に合わせて神山も捲り、小橋は神山の番手につけ直す。神山が捲り合戦を制して4角を先頭で通過するが、小橋が直線で抜け出し、神山に1車身の差をつけて圧勝した。

昨年の寛仁親王牌ゴール

直線は外寄りが伸びるので捲り追い込みが有効
インが重く競り合いは外が有利
 青森は400走路としては直線が長いほうなので追い込み有利だが、クセのない走りやすいバンクなのでどんな戦法でも力勝負ができる。
 01年に寛仁親王牌が開催されたときの決まり手は次のとおりである。全47レースのうち1着の決まり手は逃げが4回、捲りが12回、差しが31回、2着の決まり手は逃げが5回、捲りが5回、差しが18回、マークが19回で、直線が長いわりには先行がそこそこ粘れているし、捲りもよく決まっている。ただ、3角捲りはカーブで加速がつきにくいので、早めに2角から仕掛けたほうがいい。
 直線では外寄りがよく伸びる。3、4番手の位置なら、インを突いたり中割りにいったりするよりも、捲り追い込みの感じで2センターから外をまわって早めに踏んでいったほうがいい。
 もちろん基本は先手ラインの番手有利だが、01年の開催では4、5番手の選手が外を伸びて2着に突っ込み、番手の選手とのスジ違いの決着というレースが多かった。
 2日目の11Rでは山口富生が8番手から大外強襲で1着に突き抜けているし、12Rでは渡邉晴智が5番手からの追い込みで1着になっている。

 周長は400m、最大カントは32度15分07秒、見なし直線は58.9m。山の中にある競輪場で夏場は風邪の影響はあまりないが、陸奥湾からの風が強い日には捲りは3角までに出切らないと不利になる。インが重いので競り合いは外が有利。とくに風のある日にインで粘ると、先行選手のダッシュにつけきれず、インの選手は置いていかれてしまうことが多い。

PAGE TOP