愛知県の豊橋競輪場で5年ぶり3度目のふるさとダービーが開催される。寛仁親王牌で堂々と逃げ切って2個目のタイトルを獲得した小嶋敬二と、同じく連日の力強い走りで優出を果たした金子貴志の2人が先導役を務める地元・中部勢が不動の中心だ。対するは若手機動力型が揃った北日本勢で、中部勢と北日本勢のパワー対決は真夏の暑さを吹き飛ばす白熱したものになるだろう。
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仕上がり万全の金子貴志がホームバンクで必勝を期す |
北日本勢に積極性の高い若手機動力型が揃う |
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寛仁親王牌では打鐘からの突っ張り先行でみごとに押し切ってしまった小嶋敬二、35歳という年齢を考えるとそのパワーは驚異的だ。もちろん今回も74センチの太腿からくりだされる強靭な先行力でシリーズを引っ張っていってくれるだろうし、小嶋が文句なしの優勝候補の筆頭になる。 |
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小嶋敬二(石川) |
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小嶋と同様に寛仁親王牌で好調ぶりを見せつけていたのが金子貴志だ。決勝こそは小嶋との叩き合いを避けようとして仕掛けどころを逸してしまったが、初日特選は海老根恵太の逃げを8番手から捲り切って2着、準決勝は武田豊樹を封じて先行して2着と勝ち上がりは申し分なかった。豊橋は金子のホームバンクなので必勝態勢で臨んでくるはずで、昨年4月の佐世保に続いての2度目のふるさとダービー優勝が期待できる。 |
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金子貴志(愛知) |
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中部の番手を守る山口富生も好調で、寛仁親王牌の準決勝では金子とワンツーを、決勝では小嶋とワンツーを決めており、今回も先行型をしっかりと援護しながら順調に勝ち上がっていくだろう。 |
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山口富生(岐阜) |
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大本線の中部勢に機動力で対抗できるのは北日本勢だ。齋藤登志信、佐々木雄一、山崎芳仁らの好調な機動力型が揃っており、彼らを目標に大将格の岡部芳幸がチャンスをつかんでくるだろう。
とくに近況の活躍ぶりが目覚ましいのが山崎芳仁だ。寛仁親王牌は2か月間の欠場明けだったが、村上義弘や吉岡稔真を相手に逃げ切ってしまった二次予選は圧巻だった。 |
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岡部芳幸(福島) |
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齋藤登志信はしばらく低迷していて、今年前半は後手にまわされて不発に終わるケースが目立っていたが、近況は得意の捲り追い込みに本来のスピードが戻りつつあった。そして寛仁親王牌の準決勝では、絶対に後手にまわされる心配のない先行策に打ってでて逃げ切ってしまった。勝利者インタビューでは、常に先行を辞さない覚悟で仕掛けていけば後手にまわされる心配は少ないという単純な真理に改めて気づいたと答えていたが、ようやく積極性を取り戻した齋藤の完全復活は近いだろう。 |
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齋藤登志信(山形) |
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神山がいつもどおりのレース巧者ぶりを発揮する |
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武田豊樹の登場で勢いを取り戻し、今年前半戦のタイトル戦線をリードし続けてきた関東勢だが、今回は機動力の面でかなり苦しいメンバー構成となってしまった。先行選手と呼べるのは1班では峠祐介しかいない。2班でも大井崇と内田慶の2人だけだ。峠は徹底先行で鳴らしていて、記念などでも先行で連絡みを果たしたりしているが、ビッグレースで勝ち上がるにはまだ力不足だ。今回の関東勢は、他地区への切り込みなどを視野に入れた戦いを連日迫られることになるだろう。 |
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そんな厳しい状況下でも、やはり神山雄一郎の存在は軽視できない。自力勝負で小嶋や金子に対抗するのは苦しいが、いつもどおりのレース巧者ぶりを発揮して勝ち上がりを狙ってくるだろう。優出を果たした寛仁親王牌も決して展開的に恵まれたレースばかりではなかった。2日目ローズカップでは金子-小嶋のラインを武田が叩けなかったが、いったん4番手に入って脚をため、直線では中コースを通って番手捲りを打った小嶋を差し切っている。コース取りのうまさもさることながら、レースの流れに体が自然と反応しているようすで、調子のほうも上々だ。 |
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神山雄一郎(栃木) |
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絶好調の海老根恵太と丸山啓一が南関ラインを盛りあげる |
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南関東では海老根恵太が好調だ。5月の別府で記念初優勝を完全優勝で飾ってから波に乗っている。5月の福井、6月の千葉、7月の立川のFIもすべて完全優勝と成績欄には1着がずらりと並んでいる。寛仁親王牌では二次予選敗退とさすがにFI戦のときのように簡単には勝てなかったが、3日目特選で1着と調子は引き続きよさそうだ。GIよりも対戦相手がやや軽いふるさとダービーならば初優出が期待できそうだ。
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海老根恵太(千葉) |
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丸山啓一も記念優勝こそないが、7月の川崎FIで今年3度目の優勝と好調だ。本来は捲りを得意としているが調子が上がってくるにつれて先行回数が増えてきて、記念などでも南関東の追い込み勢が展開的に恵まれるケースが多い。ビッグレースではいつも機動力不足に悩まされてきたが、今回はひと味違った南関勢の走りが見られそうで、今年のGI覇者である鈴木誠や村本大輔の活躍が期待できる。 |
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近畿勢は村上義弘の復活待ちか。寛仁親王牌では準決勝まで勝ち上がれた近畿勢は弟の村上博幸だけという寂しい状況だった。内林久徳や前田拓也などの追い込み勢は近況まずまずの成績をあげているが、やはりしっかりした目標がいないとビッグレースを勝ち上がるのはむずかしい。
村上は寛仁親王牌は二次予選で敗れたが、3日目選抜は逃げて2着、4日目優秀は逃げ切りときっちり結果を残しており、復活の日は間近いと見ていいだろう。 |
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村上義弘(京都) |
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好調・佐々木が積極的な仕掛けで四国ワンツーを狙う |
脚力と同様に攻めの姿勢も戻りつつある吉岡稔真 |
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中・四国勢では相変わらず佐々木則幸が好調だ。今年はまだ優勝がなく、記念の決勝では大きな着が多いのがちょっと気になるが、勝ち上がりのレースは力強い。準決勝では積極的な先行策が多く、四国ワンツーもよく決まっている。佐々木の好調さに乗って、小倉竜二や小川圭二らの四国の追い込み勢も近況は好成績をあげている。寛仁親王牌でも佐々木は準決勝で敗れているが、一次予選では小川圭二とワンツーを決めている。今回も相性抜群の小倉竜二と同乗なら佐々木の積極的な仕掛けとワンツーが狙っていける。
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佐々木則幸(高知) |
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友定祐己の捲り一発も魅力的だ。友定は今年前半は低調だったが、6月の高松FIで今年初優勝を決めて調子を取り戻した。寛仁親王牌の一次予選では7番手からの捲りで3着とやや末脚を欠いたが、1着が星島太、2着が西田雅志と四国ラインで上位を独占、二次予選は6着と敗れているが、3日目特選では成田和也-伏見俊昭の強力ラインを捲り切って三宅伸とワンツーを決めている。 |
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吉岡稔真はいまだ完全復活には至らず寛仁親王牌も二次予選で敗れているが、3日目特選では6番手からの捲りで快勝して格上の脚力を見せつけている。記念でも優勝からは遠ざかっているが、近況は1開催につき2勝以上あげることが多く、脚力的にはほぼ戻っている。やはり課題は位置取りだが、近況は思い切って主導権を狙いにいくケースもたびたび見られ、全盛期の頃のような強気な攻めも少しずつ戻ってきており、今回も前へ前へと積極的に攻めていければ、完全復活への確かな足がかりをつかむことができるだろう。 |
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吉岡稔真(福岡) |
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