全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪
レース展望 全プロ記念競輪とは テレビ放送予定 ファンサービス 優勝者の横顔
全日本プロ選手権自転車競技大会
松山けいりん
入場無料! 見学自由!  / エントリーリスト / 競技説明 / 大会スケジュール /
全プロ記念競輪レース展望
輝くトップスターたちが高速バンクを駆けめぐる
 平成18年度の全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪(以下、全プロ記念競輪)が愛媛県の松山競輪場で開催される。全プロ記念競輪は01年から国際競輪に参加した外国人選手も出場するようになり、外国人選手と日本人が覇を競うワールドグランプリシリーズがメインレースとなっていたが、今年は国際競輪の開催が2カ月遅くなったため日本人選手のみで開催される。

完全復活の吉岡が華麗な走りでファンを魅了する
 全プロ記念競輪は昨年から2日制となり、通常の開催のような決勝戦こそないものの、やはり昨年から競走得点がカウントされるようになったので、選手たちは上位のレースへの勝ち上がりを狙った力走を見せてくれる。
 選考順位上位27名による優秀3個レースでは、1着から3着までの計9人が2日目のスーパープロピストレーサー賞へ勝ち上がれるが、もちろん中心となるのは立川ダービーで涙の完全復活を果たした吉岡稔真だ。逃げ切りの決勝戦や豪快な捲りを決めた準決勝も見事だったが、何よりも素晴らしかったのが4日目GR賞での先行だ。結果は4着だったが、どの若手よりも積極的な走りを見せることによって、シリーズ全体の流れを自分に引き寄せたといってもいい。復活優勝とGPの切符を手に入れたことによる自信と精神的余裕も大きく、今回も積極的な走りでファンを魅了してくれるはずだ。

吉岡稔真
<吉岡稔真 福岡・65期>
 吉岡に負けず劣らずの好走が期待できそうなのが村上義弘だ。近況の成績は決して満足いくものではないが、レース内容は熱い。まるでデビューしたての新人が実戦で脚を作ろうとしているかのように、以前にも増しての徹底先行を貫いており、4月の平塚FIでも格下相手の若手と連日のもがき合いを演じていた。成績だけを見ていると不調のように思えるが、レース内容から判断すれば村上が先行日本一の座に返り咲く日は近いはずで、松山は先手ライン有利な高速バンクだけに村上ラインでの上位独占も十分だ。

村上義弘
<村上義弘 京都・73期>
 村上と対照的なのが伏見俊昭だ。調子はほぼ万全の状態にあるのに、大事なところで仕掛けが中途半端になって敗退するケースが多い。だが、成績からでは本調子ではないように思えるが、展開が向いた時にはさすがの強さを発揮しているし、本大会は展開的にもつれるようなレースは少ないので、伏見も慌てず騒がすの余裕の仕掛けで力強い走りを見せてくれるはずだ。 伏見俊昭
<伏見俊昭 福島・75期>

佐々木則幸が若手を相手に格上の力を見せつける
佐々木則幸
佐々木則幸(高知・79期)
 特選の3個レースでは、1着から5着までがダイナミックステージへ勝ち上がれる。
 見どころはやはり若手先行型の駆けっぷりだろう。東王座戦決勝で北日本ラインを引っ張った渡邉一成、立川ダービーでは予選を2連勝で勝ち勝ち上がった平原康多、昨年の松山記念を優勝している地元の渡部哲男、4月の平塚FIで村上義弘と互角のもがき合いを演じた成田和也など粒が揃っている。
 松山バンクは川沿いに位置しているうえにバック側に建物がないために風の影響を受けやすいという難点はあるが、走りやすくてタイムの出やすい高速バンクなので、積極的な自力型に有利となっている。昨年開催された共同通信社杯競輪でも全47レースのうち逃げ切りが7回、逃げ残りの2着が7回と先行型が健闘している。今回の特選メンバーの中では平原康多と武井大介の2人が一次予選で逃げ切っており、今回も特選メンバーによる逃げ切りが出現する可能性は十分だ。
 格上位では佐々木則幸だ。近況はビッグレースでの活躍は少ないが、記念ではコンスタントに優出しており、伏見俊昭や小嶋敬二や武田豊樹らを切れ味鋭い捲りで一蹴している。今回の特選メンバーが相手なら、多少の展開的な不利があったとしても、最後は力の違いを見せつけくれるはずだ。
 立川ダービーで久しぶりのGI優出を果たした稲村成浩も侮れない存在で、持ち味の自在戦でチャンスを掴んでくるだろう。

脚力互角のメンバー構成で混戦模様は免れない
稲垣裕之
稲垣裕之(京都・86期)
 初日選抜の5個レースでは1着から2着までが2日目のダイナミックステージに勝ち上がり、初日特選から勝ち上がってきた選手たちと対戦することになる。
 選抜メンバーのなかでは稲垣裕之が頭ひとつ抜けた存在だ。立川ダービーは一次予選で敗れてしまったが、2月の一宮FIが逃げ切り優勝、3月の静岡FIが完全優勝と乗れており、ダイナミックステージに勝ち上がったとしても主力に推されることはまずまちがいない。
 稲垣以外ではこれといった抜けた存在は見当たらず、初日選抜は脚力互角の混戦レースが多くなりそうだ。
 先行型で狙って面白そうなのが久冨武だ。久冨自身の近況の成績はあまりよくはないが、立川ダービーでは久冨の先行に乗った井山和裕、室井竜二、友定祐己の3人がそれぞれ1着を取っており、今回も久冨目標の中・四国勢の一発が侮れない。
 自在型では位置取りに強いこだわりを見せている村上博幸や吉永好宏が近況好気合いで、確実に調子は上向いている。立川ダービーで準決勝まで勝ち上がった高谷雅彦も、相変わらず成績の波は大きいが、ツボにはまったときの捲りは破壊力抜群だ。

注目の初日優秀出場選手
佐藤慎太郎
佐藤慎太郎(福島・78期)
 佐藤は直近10場所の成績(3月29日現在)で見ると、勝率12%と勝ち星にこそ恵まれてはいないが、連対率34%、3連対率53%と安定感は相変わらずだ。初日優秀には過去、幾度もワンツーを決め相性抜群の伏見俊昭や弟弟子の山崎芳仁らが名を連ねている。彼らの番手はもはや佐藤の指定席になっており、勝機も一気に高まる。また、昨年10月に当地で開催された共同通信社杯では準優勝とバンクとの相性もよく、優勝候補の筆頭といっても過言ではないだろう。

金子貴志
金子貴志(愛知・75期)
 近況はやや大きい着が目立ち、成績そのものにはムラがある金子ではあるが、2月の西王座戦では決勝に進出するなど、調子的には問題なさそうだ。また、近況は決まり手の80%弱が先行と、積極果敢なレースを運びを見せている中で、西王座戦の決勝では先行日本一・村上義弘と壮絶な叩き合いでファンを魅了するなど、主導権への強いこだわりが感じられる。それだけに、金子はもちろんだが、金子マークを得た選手の動向からも目が離せそうもない。

 オールスタークラスの豪華メンバーが出揃い、優勝戦線は激戦必至だが、ライン的な総合力では関東と北日本が双璧をなしている。関東は先導役が武田豊樹のみでその仕上がり具合が浮沈の鍵を握るものの、その後位は神山雄一郎、手島慶介の自在型に加え、後閑信一、兵藤一也、阿部康雄ら追い込み型と好調選手が揃っている。

武田豊樹
後閑信一
兵藤一也
武田豊樹(茨城・88期)
後閑信一(群馬・65期)
兵藤一也(群馬・82期)

 

有坂直樹
有坂直樹(秋田・64期)
 一方の北日本勢は山崎芳仁、伏見俊昭を筆頭に先述の佐藤、岡部芳幸、有坂直樹、齋藤登志信とどの組み合わせで連係しても上位独占が狙える布陣なだけに、ライン構成には大きな注目が集まりそうだ。
小嶋敬二
小嶋敬二(石川・74期)
 立川ダービーを制し、勢いに乗っている吉岡稔真率いる九州勢も小野俊之、荒井崇博、井上昌己、大塚健一郎とタレント豊富で好勝負が期待出来る。
 小嶋敬二と加藤慎平の中部両者も実績豊富な強力ラインだし、村上義弘、高城信雄に前田拓也、内林久徳がマークする近畿勢や、競輪祭を制し、ダービーでも優出した小倉竜二も侮れない。

オーソドックスな400バンクで追い込みが断然有利
中コースがあけば直線で一気に突き抜けられる
松山バンクの特徴
 市街地の城址公園内にあった旧・松山競輪場は500バンクだったが、昨年2月に郊外のスポーツ公園内に移転して400バンクに生まれ変わった。
 オーソドックスな400バンクで戦法的には有利・不利はないとされているが、川沿いにあるうえにバック側に建物がないので、風の影響をかなり受けやすい。また、フェンスがアクリル板で風が吹き抜けないので、風の強い日はどこも向かい風になって重くなるという。
 昨年3月に開催された記念の決まり手を見てみよう。全44レースのうち1着の決まり手は逃げが4回、捲りが8回、差しが32回、2着の決まり手は逃げが11回、捲りが5回、差しが19回、マーク9回となっている。
 追い込みが断然有利だが、逃げもそこそこ粘り込んでいる。ただ、冬場開催でバンクが重かったせいか、ほかの400バンクと比べると捲りの成功率がやや低めになっている。カントが緩めなので、脚力がしっかりしていないとコーナーで外にふくらみやすいし、スピードにも乗りにくいようだ。むしろ捲りよりも、中団待機でじっくり脚をためて直線に入ってからの一気の追い込みのほうがよく決まっていた。
 直線では中コースがよく伸びるようだ。中コースがうまくあけば、5、6番手からでも直線だけで一気に突き抜けることができる。
 昨年3月の記念では中塚記生が6番手から、長谷俊昭が5番手から中コースを伸びて1着になっていたし、中団以降の選手が2着に突っ込んできて好配当になったレースも多かった 。

 周長は400m、最大カントは34度01分48秒、見なし直線は58.6m。追い込み有利だが、直線は見た目よりも短く感じるので先行もそこそこ戦える。捲りは早めに仕掛けたほうがよく、遅めの仕掛けでは3角に入ってから外にふくらみやすい。カントが緩いので競りはイン有利だが、風の強い日はインの選手が遅れ気味になる。

松山バンク