岐阜オールスターでは中部から4人が優出、地元ファンの期待に応えた。3日目シャイニングスター賞は北日本3人、関東4人、南関東と九州が1人ずつのメンバー構成で中部の姿はなかったが、二次予選では6個レースの3個レースで中部勢がワンツーと地元の意地を見せつけている。
高松宮記念杯でデビュー最速GⅠ優勝を達成した深谷知広、続く寛仁親王牌でGI初優勝を達成した浅井康太と、中部から2人のニューヒーローが誕生した効果はやり絶大だ。オールスターに続いて今回も中部地区での開催となれば、地元勢の快進撃がとどまることは決してないだろう。
もちろん中心はGI優勝後も各地で驚異的な強さを見せつけている深谷知広だ。今や競輪界は深谷を中心に動いており、深谷に対する包囲網は厳しさを増すばかりだが、今回も底知れぬパワーで包囲網を突破して中部ワンツーを決めてくるだろう。
地元戦に燃える三重の浅井康太が目指すのは優勝の2文字だけだ。タイトルホルダーの仲間入りを果たして精神的にも余裕が生まれたのか、近況の浅井は自力・自在戦にますます磨きかかってきており、今回はいつも以上に勝てる走りにこだわってくるだろう。
村上義弘はオールスターのドリームレースでは深谷知広相手に突っ張り先行を敢行、結果は8着だったが、村上らしい魅せるレースでファン投票1位の重責を果たした。
残念ながら二次予選で落車して全治6週間の診断を受け、今回は体調面で不安が残るが、誰よりも責任感の強い村上だけに、出場してくる限りはいつも通りの積極的な走りで近畿勢を引っ張っていってくれるだろう。
オールスターでは稲垣裕之が準決勝まで勝ち上がり、藤木裕も期待通りの積極的な走りで好走を見せていたので、エースの村上義弘だけではなく、村上博幸や市田佳寿浩を中心にしっかり結束して、これまでの近畿旋風の流れを止めることなく、ストップ・ザ・中部に名乗りを上げてくるだろう。
今最も勢いのある地区は深谷知広率いる中部ではなく、武田豊樹と平原康多の2大機動力型を擁する関東でもなく、大震災の影響から力強く甦った北日本だろう。
全日本選抜の準決勝3個レースでは佐藤慎太郎、岡部芳幸、伏見俊昭の北日本3人がそれぞれ1着で突破、決勝は山崎芳仁の先行に乗った伏見俊昭が番手捲りを打って優勝、2着も佐藤慎太郎でワンツーを決めている。
続くオールスターの準決勝でも伏見俊昭、佐藤慎太郎、佐藤友和の3人がそれぞれ1着通過で決勝進出を決めており、改めて選手層の厚さを見せつけた。
昨年の共同通信社杯秋本番の決勝では北日本4車が結束、新田祐大の先行を番手捲りした山崎芳仁を直線鋭く追い込んだ伏見俊昭が優勝しており、今年も現在の勢いからいえば北日本の大量優出が望めそうだし、昨年に続いての伏見の連覇の可能性は高い。
九州はS級S班の坂本亮馬と大塚健一郎が近況本調子を欠いていて地区的な強さでは北日本や中部に負けているが、個々にパワーを秘めた選手が揃っており、展開次第では逆転一発が侮れない。
松岡貴久は高松宮記念杯、寛仁親王牌、全日本選抜と3場所連続で落車の不運に泣かされてきたが、オールスターでは二次予選で藤木裕の先行を捲って合志正臣と熊本ワンツーを決めて準決勝に駒を進めている。共同通信社杯春一番でも準決勝で村上義弘の先行を捲って井上昌己とワンツーを決めており、潜在能力はトップクラスの選手たちと比べても決して引けを取らない。今回も得意の自在戦法で勝ち上がっていけばビッグ初優勝が十分に狙えるはずだ。
武田豊樹は今年はまだGⅠでの優勝がなく、オールスターも準決勝で敗れてしまったが、ドリームレースでは深谷知広や村上義弘を相手に捲りを決めて平原康多とワンツーと、引き続き好調をキープしている。共同通信社杯春一番では平原の先行を目標に優勝しており、春、秋の連覇にも期待がかかる。
長塚智広も好調だ。春一番での準優勝のあとは勢いがやや止まった時期もあったが、サマーナイトフェスティバルでは神山雄一郎の優勝に貢献、オールスターでは決勝進出を果たしており、天性のダッシュ力を活かした捲りのスピードと捌きの上手さは関東ナンバーワンといっても過言ではないだろう。
共同通信社杯はビッグレース初優勝を飾った選手が多い。第18回大会を優勝した兵藤一也。第19回の合志正臣、第20回の村上博幸、第22回の永井清史などがそうである。
今大会は地元・中部勢に北日本勢と関東勢の3勢力の対決が中心となりそうだが、3勢力が真っ向から叩き合えば伏兵陣からのビッグ初優勝も十分に期待できるだろう。
南関東はエースの海老根恵太が低空飛行を続けていてビッグレースでは優勝争いに食い込めないでいるが、松坂洋平や桐山敬太郎らがビッグレースで好走しており、ムード的には決して悪くない。
松坂洋平は日本選手権では2連勝で準決勝まで勝ち上がり、5月に別府と平塚の記念を連覇してブレイク。サマーナイトフェスティバルでは優出はならなかったが、初日予選は村上義弘、佐藤友和らを相手に逃げて2着に粘り込み、オールスターでは二次予選で敗れたが、一次予選はやはり逃げて2着に粘っている。
桐山はビッグヒットはないが、ビッグレースでは格上相手に積極的な仕掛けが目立っており、今回も南関東勢の勝ち上がりに貢献してくれるだろう。今回がビッグ初出場となるが、7月の松戸で記念初優勝を飾った南関東期待の若手、92期の鈴木裕の逃走劇にも注目したい。
中・四国もビッグレースで苦戦が続いているが、大西祐がやはり格上相手に積極的に逃げているし、佐々木則幸に先行・捲りのスビードが徐々に戻ってきている。
小倉竜二は高松宮記念杯で優出、オールスターでは一次予選は大西を目標に、二次予選は佐々木を目標に準決勝まで勝ち上がっている。今回も2人を目標に直線では鋭い差し脚を発揮して勝ち上がっていくだろう。
北日本ラインの援護を受けて伏見俊昭が初優勝 |
---|
武田豊樹―飯嶋則之の茨栃コンビが前受け、川村晃司―小倉竜二の即席ラインが続き、5番手には単騎の園田匠、新田祐大―山崎芳仁―伏見俊昭―斉藤正剛の北日本4車が後攻めとなる。まずは新田が上昇を開始して、誘導員を交わして先頭に立つと、園田が北日本ラインの5番手を取り切り、引いた武田は6番手、川村が8番手となる。新田はそのままペースを上げて、赤板過ぎからは全力でスパートする。一列棒状のままで打鐘を通過すると、山崎は後ろを警戒しながら車間を空けて発進態勢を整え、最終1コーナーから番手捲りを打つ。2コーナーからは武田が渾身の捲りを放つが、斉藤に並びかけたところで一杯となり、不発に終わってしまう。番手絶好の展開となった伏見が直線に入ってから楽々と抜け出して優勝、斉藤が2着に流れ込み、山崎が3着で北日本ラインで上位を独占という結果となった。
共同通信社杯秋本番の思い出 平成22年10月11日決勝 優勝 伏見俊昭 |
カントがきつめで直線の長い高速バンク |
---|
捲りのラインが優勢で先手ラインは厳しい 96年に全面改修された松阪はセンター部路面傾斜が34度25分29秒と、333並みのきついカントを有したバンクとなっている。走路自体はクセがなくて走りやすいと選手からも好評価を得ており、どんな戦法でも存分に力を発揮できる。現在のスビードケイリンに向いた高速バンクとなっている。 松阪バンク 周長は400m、最大カントは34度25分29秒、見なし直線距離は61.5m。夏場は先行向きのバック追い風の日が多いが、冬場はバック向かい風の日が多くなる。直戦は真ん中のコースがよく伸びるので、きついカントを利用しての中割りが決まりやすい。競りはイン有利が基本だが、風の強い日はインが重くなる。 |