ワールドカップ第4戦シドニー大会レポート
 
配信日:3月6日
 
 
■3月3日(大会初日)天候晴れ時々曇り 気温24℃ 観客数 2000人

 
 午前のプログラム、ケイリン予選には世界選ケイリン枠確保を目指して渡邉一成が出場。オール6車立て3組中の第1組。スペインのビラヌエバを除けば、表彰台に上ってくるような選手はいない。とはいうものの、ジャマイカのリカルド・リンチ、デンマークのイェセン・キャスパーなど、急速に力をつけてきている若手が多い組といった印象。もちろん、他の国から見れば渡邉もそのひとりということになる。
ケイリン出走に備える渡邉
<ケイリン出走に備える渡邉>



 渡邉は4コーススタートで、号砲とともに前に出る。リンチがペーサーの後ろ、その後ろにビラヌエバと渡邉が並走していたが、ビラヌエバが迎え入れる形で渡邉は2番手、その後ろをビラヌエバ、キャスパー、メキシコのマリオ・コントレラス、香港のウォン・キン・チャンで周回。
「そのまま行け、前を放すなよ!」班目監督の檄が飛ぶ。
残り3周すぎ、ペーサー退避のタイミングを狙ってウォンが前へ出る。それをリンチが追い、渡邉は少し車間が空いて3番手となるが、余裕の表情で後ろを見ながら追走。残り2周からまくってきたビラヌエバとともに前に出て、そのまま2着。国内競輪での調子のよさもあり、自分の脚力に対する自信が垣間見えた競走で同乗した若手の中では頭ひとつ抜けていることを証明した。2回戦進出。

ケイリン予選。「ビラヌエバしか見てませんでした」
<ケイリン予選「ビラヌエバしか見てませんでした」>

 2回戦は第2組。渡邉は第4コーススタートで号砲後、中団をとりに行くが、入れてもらえず最後方へ。周回はポーランドのゼリンスキー、オーストラリアのカーステン、ドイツのファンアイデン、メキシコのコントレラス、マレーシアのヌグ、渡邉の順。残り5周でヌグが前に出ると、ゼリンスキーが迎え入れる。渡邉は最後尾のまま。残り2周半、ペーサー退避に合わせて前をとりに行く、カーステンとヌグが後ろを取り合う形から、カーステンが前へ出て切り込む。それにより渡邉は前を締められて失速し6着。1着はカーステン、2着はヌグ。

 渡邉のコメント
 「逃げようと思ったところで前を締められて・・・もう30m粘れてたら、コーナーに入ってたんで、変わってたと思うんですけど・・・力不足です」

 7-12位決定戦。渡邉は第1コーススタート。号砲後、ペーサーの後ろを取りに行くが、すでにアメリカのベンジャミン・バーチェウスキーにかぶせられており、そのまま後退して最後尾へ。バーチェウスキー、ゼリンスキー、リンチ、コントレラス、スイスのセドリック・ストーラー、渡邉で周回が続く。残り2周半、ペーサーが退避するも、あまりペースは上がらない。残り2周からスパートするゼリンスキーの後ろにつけ、最終周回さらに前を狙うが、リンチに先着され2着。これで、8位入賞が決定。




 渡邉のコメント
 「力不足、練習不足、準備不足、全部不足してますね。さっきの競走に関しては、最初ペーサーの後ろにつけたかったんですけど締められちゃって。誰も入れてくれなかったんで、“しょうがないか”と思ってさがっちゃいました。(“国内競輪から連戦の疲れもあった?”の問いに)そうかも知れないですね。普段は全然問題ないのに、今日は人の後ろにつけててもきつかったです」

 さて、決勝のほうは、ヌグ、ファンアイデン、ビラヌエバ、カーステンなどの有名メンバーが揃ったが、一ヶ月前からシドニーに入り、これに照準を合わせてきたテオ・ボスが残り2周、全力で逃げるカーステンをあっさりとまくり、堂々の一位。神がかり的な走りで、この調子が持続すれば世界選手権でも敵ナシの雰囲気を漂わせた。

クールダウンする渡邉
<クールダウンする渡邉>



 一方、男子スクラッチ決勝には盛一大(もりかずひろ)が出場。午前中、決勝が予定されていたが、エントリーが決勝の規定人数に満たなかったため、いきなり決勝ということになった。スタート後、中段をとるが残り55周、単独で逃げをうつ。追走した選手4人と先頭集団を形成。のち二人が脱落し、また別の3人が加わるも終始盛は先頭集団に。残り35周、先頭集団が大集団に吸収され、盛は大集団に戻る。一方、他の選手が前に出て変わって先頭集団を形成。残り25周、大集団のペースが緩んだところで盛は再び前へ。

盛は果敢にレースを作った
<盛は果敢にレースを作った>



 残り20周、ワールドチャンピオン、デンマークのアレックス・ラスマッセンを含む3人で第1集団をつくり、10周以上逃げ続ける。残り8周、やや苦しそうな表情を見せながらも大集団が追いついたと見るや、前に踏みあげる。しかし、大集団が容赦なく再び盛を吸収。その間に3人が逃げを打つ。ラスト3周、一気にスピードが上がり、盛も必死に踏み上げるがスピードの上がった集団のなかで、一気に前に出るには残された距離が足りず、結果11位。

前へ前への競走で11位
<前へ前への競走で11位>



 盛のコメント
 「トラックでの世界大会は初めてで、世界に圧倒されたって感じです。1ケタには入りたかったんですけど・・・
(“初めてにしてはすごく積極的なレースだったと思うが?”の問いに)ハイ、ここで躊躇しても仕方ないし、だったらレース作ってやれと思って・・・板張りバンクも初めてで、最初ちょっと違和感があったんですが、もう大丈夫です。明日のポイントレースでも、ポイントはとれると思うんで頑張ります」

盛は音楽を聴いて集中
<盛は音楽を聴いて集中>



 初日最後の種目1kmタイムトライアルに稲垣裕之が出場。
練習のときから調子のよさそうだった稲垣だが、7番目の組、ホームからの出走でタイムは1′04″134。
250mのラップは18″992で6位、500mは33″147で6位、750mは48.127で5位に順位を上げ、最終的にも5位。
この入着によってポイントを獲得し、日本の世界選手権出場がほぼ確定的となった。

出走前のいながき
<出走前の稲垣>



 稲垣のコメント
 「自己記録を更新しました。でも、3秒台も行けると思ってたんで・・・(“250mのラップも速かったと思うが?”と聞くと)ハイ、スタンディングスタートが課題だったんで、練習も7~8割はそれやってました。(“世界選も行けそうな雰囲気だが?”)ハイ(班目監督を横目でチラリと見ながら)連れてってもらえると信じてます。今回は少し自信もついたんで次は3秒目指して頑張ります」
1kmの1位は中国のフェン・ヤン。ファーストラップは19″280で9位ながら、周回ごとに順位を上げての1位。このラップを聞いた稲垣は「なんですかこの人?こんなんありですか?信じられへんなぁ」と驚いていた。

稲垣自己新記録樹立
<稲垣自己新記録樹立>



 さて、心配された世界選手権のケイリン種目出場枠だが、渡邉の8位入賞をもってしても、未だ非常に微妙な状況。
最終的には、UCIポイント個人ランキングの発表を待つしかないようだ。
3月中ごろまでには発表されるであろうランキングを祈るような気持ちで待つこととなる。

発走機で精神統一
<発走機で精神統一>



>>back
 
COPYRIGHT(C) JAPAN KEIRIN ASSOCIATION, All Rights Reserved.