ワールドカップ第3戦ロサンゼルス大会レポート
 
配信日:1月23日
 
 
1月18日(開催前日) 天候快晴 気温20℃  

 ワールドカップ第3戦。06-07シーズンもすでに中盤に入った。
前回、モスクワ大会のレポートで、「ロサンゼルス大会は強豪が少ないのでは?」と予想した。
オランダはスプリント系については男子は不参加、フランスは、超一級はグレゴリー・ボジェのみ、 ドイツもステファン・ニムケやマキシミリアン・レビーは不出場と常勝国が品薄ななか、 イギリスチームはジェイミー・スタッフ、クリス・ホイ、マット・クランプトン、そしてトレードチームSISからロス・エドガー、ジェイソン・クアリー、 ジェイソン・ケニーとやはり強い選手が揃った。

  聞けば、イギリスチームは現在世界選、そして早くもその先のオリンピックのためのメンバーを固定するため、 トライアウトの真っ最中とのこと。 チーム内でも熾烈な争いが行われているわけだ。イギリスに関して言うと予想ははずれてしまったと言わなければならない。
言い訳をするわけではないが、考えてみれば、イギリスのメンバー、一人一人を思い浮かべてみると、 前回のモスクワ大会に来なかったメンバーが総とっかえで来たとしても、誰一人としてなめてかかれる選手はいないのだ。
イギリスとは、それだけ選手層の厚い国であるということをあらためて、認識せざるを得ない。
ちなみに今回の参加チーム数は39カ国と14のトレードチームで53チーム、参加選手数は男女あわせて262名。
会場ADTイベントセンター
<会場ADTイベントセンター>
会場内観
<会場内観>



 さて今回、日本チームに関して特別に言及しなくてはならないことがある。
すでにご存知の方も多いと思うが、現役時代4度ケイリンの世界チャンピオンになり、さらには3度の銅メダル。スプリントにおいても銀メダル、銅メダルなど輝かしい国際大会における成績を残したフランス人、フレデリック・マニエ氏が今回から監督として正式にチームの指揮をとる。
  マニエ氏といえば、日本の国際競輪にも5度出場し、2度も総合チャンピオンになっているため、競輪ファンの皆さんにもなじみが深いのではなかろうか。現役時代から親日派であり、引退して指導者となってからはいつか日本の選手を指導したいと望んでいたマニエ氏を迎え、まさにこの大会は新生ジャパンのキックオフとなる大会であるとも言えよう。
 「優秀な選手、必ずしも優秀な指導者にあらず」とよく言うが、彼に関して言えば、前職のWCC(ワールドサイクリングセンター)ヘッドコーチ時代に、現在メダル製造機のようになっている中国のグオ・シャン、キューバのリサンドラ・グエラをはじめとして、多くの新鋭選手を育てた実績がすでにある。


 今回の日本チームだが、スプリント系に成田和也、永井清史、及川裕奨、新田祐大。エンデュランス系には西谷泰治、盛一大を揃えた。
大会前日の今日、日本チームは完全オフ。
そのかわりロサンゼルス入りした土曜日にも練習をし、昨日までの5日間はみっちりと練習している。そのおかげで直前練習最終日の昨日は各選手ともかなり、疲れている様子だった。5日間のハードな練習、そしてそのあとの完全オフは、大会で100%の力を出すためにはじめから、マニエ監督が計画したものであったのかも知れない。
 また、昨日は朝一番の練習。あえて日本チームに与えられた
指定練習の時間を使わず(通常、各チームは日ごとに練習時間を割り振られ、基本的には指定された時間にバンクに来て練習する。 通常4~5カ国以上が同じ時間を指定され、同時に練習を行う)朝一番でフリーの練習時間にバンクにやって来た。
 朝早く、他のチームが到着する前に練習すれば空いているバンクで練習が出来、自由な走行が出来るということらしい。
練習するスプリントチーム
<練習するスプリントチーム>
日本自転車競技、総監督フレデリック・マニエ
<日本自転車競技、総監督フレデリック・マニエ>


 練習をする選手の表情も全選手引き締まって見える。練習を終えた成田に声をかけると、
「ちょっと疲れ気味ですね。“マニエ監督が見てる、見てる”とずっと思っているから力が入っちゃっているのかも知れません」 と苦笑い。
気持ちはわかる。まだ自分が届かないものを何度も手にした人間が、自分に注目し、試している・・・
スポーツ選手は基本的にプライドの塊。そのプライドが、たとえ練習であったとしても、自分自身に最大のパフォーマンスを要求する。
参加した全選手が感じているであろうこの緊張感がよい方向に作用することを期待したい。

 一方、マニエ監督は一刻も早く選手一人一人の特徴やクセ、能力を把握しようと、全選手の走りをくまなく観察し、逐一声をかけている。
日本選手もワールドクラスという高いレベルの選手たちだ。全員が同じメニューをこなすような、マスプロダクションは意味がないと 考え、今後練習もカスタマイズしていくのだろう。


 このような様子を見るにつけ、すぐに結果が出るはずがないことは頭で理解しつつも“マニエ効果”を期待し、明日からの大会が楽しみに なってくる。新しいエッセンスが加わったネオ・ジャパンの走り、とくと拝見しよう。



 
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