ワールドカップ第3戦ロサンゼルス大会レポート
 
配信日:1月23日
 
 
1月19日(初日) 天候 快晴 気温22℃ 観客2600人

 
 今日は初日。午前からはじまった予選の部ではケイリンに成田和也が出走。 ケイリンへのエントリーだが、強い選手の顔がチラホラみえるものの、やはり、いつもと比べると少しだけ(あくまで少しだけだが)気持ちが軽い。 成田のレースは、第2ヒート。最内枠のスタートとなった。 号砲とともに最外枠から、勢いよく飛び出したイギリスのクリス・ホイの後ろを確保する。 周回はホイ、成田、ポーランドのルカシュ・クウィアコウスキー、スイスのセドリック・ストローラー、中国のダン・ウーの順。 残り2周半、ペーサーが退避し、先頭のホイがスピードを上げる。成田はそれに遅れることなくしっかりと追走する。 少し間があいて、クウィアコウスキーが追う。残り1周に来てやっとクウィアコウスキーが追いつき、成田に並びかけるが、成田は内をしっかりとキープし、スプリンターレーンを譲らない。
 クリスホイが、かかっているため成田の横から前に出来れなかったクウィアコウスキーはずるずると後退。
かわって最終3コーナーあたりから、その後ろにいたストローラーが成田に追いすがるが、軽く外側に車を振った成田はストローラーに差すチャンスを与えず、ホイに続いて2着。 一発で、2回戦進出を決めた。

 一方、スクラッチ予選に出場するのは西谷。昨年、同じLAで銅メダルを獲得しているだけに期待が高まる。
号砲とともにはじまった30周回7.5kmのレース、西谷は中段からやや前のスタート。
先頭が少しずつ交代しながら、西谷は前方に行ったり、下がったりを繰り返すが、前々の意識があるらしく、 中段より後方に下がることはない。残り19周、ロシアのセルゲイ・コレスニコフの逃げに乗って西谷が前へ。

 その後、すぐにコレスニコフが離脱。西谷は前に残って走っている。しばらくしてそこに2人が合体。
3人の先頭集団を形成するも、すぐにメイン集団に吸収されてしまう。 のこり10周回を迎えるが、集団は縦に伸びたり、ダンゴ状に縮まったりしながらもひとかたまりのままで周回が続く、そこへウクライナのヴォロディミリー・リビンがアタックをかけ、1人が追走。半周の間が出来る。
成田和也
<成田和也>







予選に出走する成田
<予選に出走する成田>



 誰も追わないのを見て、しびれを切らしたように西谷がそれを追う。その西谷を追う選手はおらず、西谷は1人で半周を追いかけるかたちになってしまった。しかし、先頭集団との差はなかなか縮まらない。 ひとりで、風圧と戦い続けた西谷は徐々に失速し、大集団に戻るかたちとなった。
 そこに、ラスト1周回を告げる鐘。西谷はあきらめたようにスピードをゆるめ、最後尾まで下がってゴール。
決勝進出はならなかった。

 ゴール後、しきりに首をかしげながら戻ってきた西谷のコメント
「いやー、展開がつかみきれないですね。難しい。距離が短いんで、ちょっとの間違いが取り返しつかないですよね。
もっと、レースを読んでいかないとダメですね。マニエにも、“もっともっと考えて走れ”と言われました。
でもアタックについていったのに、すぐやめるなんて、あれは考えられないですね。(コレスニコフが残り19周でアタックをかけたが、それを追走した西谷を置き去りにするように逃げから 離脱したことに対するコメント) 最後のアタックは誰かついてきてくれるように、少しゆっくりめに出たつもりだったんですけど・・・
ひとりになっちゃいました。世界のスピードにようやく慣れてきた気がするので、また頑張りたいです」

 その後も、西谷はマニエ監督から「何回もアタックするな。1回のためにためておくんだ。冷静に。気持ちでアタックしちゃいけない」 など、さらなるコメントをもらっていた。

 夕方の部には1kmTTに及川が出場。それまで、1′07″、08″台の平凡なタイムが続いていたが、及川が走って1′04.814というタイムを出し、会場を沸かせる。その後ドイツのカーステン・ベルゲマンとフランスのフランソワ・ぺルビスにぬかれたものの その他には譲ることなく、初陣のマニエ監督にうれしいメダルをプレゼントした。及川は世界大会での1kmTTの表彰台はこれがはじめて。
及川のコメント「アジア大会の反省のもとにファーストラップを全開で行って、残りを維持することを心がけました。アジア大会では
2周目に落ちてしまったので・・・このところ前半にかせぐ走りに変えてきたので、それをもっとうまくできるようにしたいと思います」
(“今シーズン日本チームにはじめてのメダルをもたらしたわけだが?”の問いに) 「いやー、気分がいいって感じではないですね。ラッキーでもらったんで。表彰台で他の人と肩を並べられないですよ」と謙遜しきり。

西谷泰治
<西谷泰治>
マニエからアドバイスを受ける西谷
<マニエからアドバイスを受ける西谷>

1kmTTでの及川
<1kmTTでの及川>



さて、ケイリン2回戦に進んだ成田は、外枠からのスタート。
周回はマレーシアのジョサイア・ヌグ、オーストラリアシェーン・パーキンス、スペインのホセ・アントニオ・エスクレド、ギリシャのパナジオティス・ケログロウ、成田、フランス、グレゴリー・ボジェで落ち着く。
ペーサー退避のタイミングにあわせて、1コーナーあたりから成田が先頭を目指す。ペーサー退避直後のジャストタイミングで
前に出た成田にヌグ、パーキンス、エスクレド、ケログロウ、ボジェと一列で続く。最終1コーナー、エスクレドが外へふくらんだところへすかさずボジェが内側から滑り込む。ヌグを抜きにかかるためパーキンスが外に車を振ったところに車をいれ、成田、ヌグの後ろに内ボジェ、外パーキンスで並走。一方、後方ではケログロウがエスクレドと接触して落車。その後最終コーナー付近、パーキンスとボジェが成田にかぶせ、さらにその外からエスクレドも来て、内側には下がってきたヌグと成田は完全につつまれたかたちになってしまい前にでる余地を与えられないまま5着に沈んだ。1着パーキンス、2着ボジェ。

これで、7-12位決定戦に進むことになった成田。世界選出場のためポイントを稼ぐためには少しでもよい着をとっておきたい。
競走はキャッパ、クウィアコウスキー、ヌグ、アメリカのギデオン・マッシー、ギリシャのパナジオティス・ケログロウ、成田の順で周回。 ペーサー退避のタイミングで先ほどとおなじように前にでる成田。 残り2周のホームでアメリカのギデオン・マッシーが先行する成田の前に出て先頭となる。
 最終ホーム、成田はマッシーをかわしにかかるが、さらにその外をキャッパ、クウィアコウスキー、ヌグから次々と抜かれ、成田は4位。総合順位は10位となった。

成田のコメント
「あぁ~っ!勝ちたいですねぇ。2回戦はボジェが先行してくれたら、ボジェにつけようと思って前に行ったら、
ボジェは来てくれなくて、いたのはヌグだったんで。ヌグに乗るのはナシだな、と思っていたら、ああいう展開になっちゃいました。 7-12位決定戦は、マニエからは“後ろにいろ”と言われたんですが、スタートでクウィアコウスキーの後ろがとれずに並んでみたら、 強い選手はみんな前のほうにいて、僕の前にはアメリカとギリシャでしょう。このまま後ろにいたら後にいるままピラピラするだけで 終わっちゃいそうだったんで、これは、前にいかないとはじまらないゾと思って、やっぱり前にでました。
いやー、でもケイリンはスプリントよりも、僕みたいなのでもチャンスありますよね。もっともっと走って、経験を積み重ねて頑張りたいと 思います」

ケイリン2回戦
<ケイリン2回戦>
及川表彰台
<及川表彰台>

 さて、決勝だが、オーストラリアのスコット・サンダーランド、パーキンス、イギリスのロス・エドガー、ホイ、ボジェ、エスクレドで回ったが残り2周回、ホイが前に出て、そのままスピードに乗る。それをエドガー、パーキンスが追走。ぐんぐんスピードがあがるホイに
他の選手はてのほどこしようがない。そのままの順位でゴールを通過し、イギリス、イギリス、オーストラリアと英連邦の代表国ががLAのケイリンを征服することになった。
ケイリンはすべてユニオンジャックに持っていかれた
<ケイリンはすべてユニオンジャックに持っていかれた>
   



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