ワールドカップ第3戦ロサンゼルス大会レポート
配信日:1月23日
■1月20日(2日目) 天候 晴 気温19℃ 観客4000人
2日目の今日は午前中に男子スプリント予選200mTTが行われた。 オフィシャルで配られるスタートリストの一番上にはワールドレコードが記載されているが、 それも前回のモスクワ大会でテオ・ボスが出した驚きの記録、9.772に書きかえられている。 今回予選には43人がエントリー。 ここ、ロサンゼルスのバンクは、モスクワのバンクとは違ってそれほどタイムの出るバンクではない。 参考までにモスクワ大会、早い出走順でいきなり好タイムを出して場内を沸かせたジャマイカ、リカルド・リンチのタイムは10″160だった。 今回のタイムは10″423。一概にはいえないが、調子が同じならコンマ3秒ほど、モスクワよりも遅くなると思ってよさそうだ。 今回、多くの外国チームが、新人や本来なら「控え」のような扱いの選手を出走させていることもあって、 前半は11秒台や10″9台が続出。 17番目に出走した成田和也のタイムは10″771。10″6の後半ぐらいは・・・と予想していただけに、 タイムが出た瞬間。頭をうなだれてしまった。よいことではないとわかりながらも、このあとの外国人選手の失敗を祈る気持ちになる。 永井清史は、38番目の出走。タイムは10″682と、こちらはまず安心できるタイムだ。 終わってみれば、永井は14位で予選通過。成田は18位で予選落ちという結果となった。タイムの1位は、先日ケイリンで 目の覚めるような逃げを披露し優勝したクリス・ホイの10″287。
肩を落とす成田に監督のマニエが、しきりに声をかけている。 成田は、予選落ちしたことよりも、「もう今回はスプリントを走れない」ということに対して残念に思っているように見えた。 日本の競輪と世界の自転車競技大会を縫うようにこなす日程のなかで、「来たいときならいつでも来られるものではないのだから、 来たときには経験を積むために一本でも多く走りたい」 そういう気持ちは、大切にしたいが、成田に関して言えば、その気持ちの強さが、オーバーワークにつながり、 本番で本来の力が発揮できなかったのは否めないところだ。成田には今日のことはすべて忘れてゆっくり休み、 明日に備えてもらいたい。
<成田のタイムトライアル>
<悔しさを隠しきれない成田>
<「連続出場で少し疲れたか?」成田に声をかけるマニエ>
一方、決勝に駒を進めた永井の表情は明るく、自分の調子の戻りを実感してきているようだ。 1/8決勝の相手はフランスのグレゴリー・ボジェに決まった。日本人は、よく早い段階でボジェとあたる印象がある。
競走はインスタートから、永井が先行し、遅くも速くもないペースで1周を回る。ボジェは1車身から2車身をあけて追っている。 永井は2周目から緩やかにスピードを上げていくが、ボジェにはまだ本気で追う様子がない。 ボジェが腰を上げて本気で追いはじめたのは2周目の3コーナー。永井は少しずつ上げてきたスピードに乗って、 そのまま逃げ切りを図る。最終周回徐々に差をつめられ、4コーナーをまわったところで、ボジェが永井に並ぶ。 永井も粘るが、勢いはボジェが勝り、微差で勝ちをゆずることとなってしまった。初戦でボジェとあたってしまったの 運が悪いとしかいいようがない。ここで9着以下を争うB戦まわりが決定。 たてつづけに行われるスプリント。つづく1/4決勝Bは、オーストラリアAISチームのシェーン・パーキンスとの対戦。
アウトスタートから、後攻めになるも1周目のバックストレートでは永井が前に出る。 後ろを見ながら、割とはやいペースで周回していく。永井のスピードアップは非常にスムースで、2周目バックでは 3車身の差が開いている。最終ホームでさらに加速する永井。かなりスピードがあがっていることに気がついたパーキンスは 必死に追い上げようとしているが、その差は徐々にしか縮まらない。最終4コーナーの立ち上がりでは、後輪に前輪がかかる ところまで来るが、そこまで。永井は、危なげなく1/2決勝B行きを確保した。 続く1/2決勝B。中国のレイ・ザンとの対戦。永井はまたもインスタートから先行。リズムよいペースで1周、2周と回っていく。 ザンは半車身ほどの短い車間でついてきている。最終周回1コーナーあたりから永井がダッシュ。ザンも必死に追いすがる。 しかし差はまったく縮まらず、そのまま半車身をあけて余裕の勝利。
<永井VSボジェ>
最後の戦いとなる9-10位決定戦。 調子よく連続で勝利したので、もしボジェに勝てていたら・・・などと考えてしまうが、「たら」「れば」の話をしても仕方がない。 1/8決勝で負けたのだから、今もらえる最高位を獲りにいくしかない。これに勝てば9位。負ければ10位。 相手はイギリスのマシュー・クランプトン。ロングスプリントのできるなかなかの強者だ。 インスタートの永井がいつものように先行する。ペースはかなり速め。2周目の4コーナー過ぎからさらにスピードを上げる。 クランプトンもダッシュに入り、1車身あいていた車間が最終周回バックでは半車身、2センターではほぼテール・トウ・ノーズ。最終ストレートでは、 並びかけるほどに追い込まれるが、永井のふんばりもたいしたもの。しっかりと逃げ切り9位。1/8決勝で敗れたものとしては もっとも高いポイントをものにした。
<永井VSクランプトン。この1勝は大きい>
永井のコメント
「骨折の影響はだいぶなくなってきました。来る前もFIを獲って、いい感じで来ました。でも、まだダッシュとかは鈍いので 今回は自分がスピードをコントロールできるように全部先行策で行こうと、マニエと話してそうなりました。このパターンで たくさん勝てたことはいい練習になりましたね。だいぶ身体で覚えた感じです。ポイントも少しはとれたし、今年は頑張って 世界選に行きたいですね」 (“オリンピックも近づいてきているが?”と聞かれて) 「アテネはギリギリまで行けそうで、行けなかったので、北京には是非出たいですね」 (“また忙しくなりそうだね”と言われて) 「帰ったら中4日で地元のFIです。でも、成田さんなんか、帰った翌日から競輪祭ですからぜいたく言ってられませんよね!(笑)」
<「調子は上向き」と語る永井>
中長距離種目、今日は盛一大がポイントレースに出場した。 予選、スタートから前方、後方と柔軟に位置をとりながらもスプリントに加わらずに過ごした後の第3スプリント、逃げた選手を追って前方へ。 それに他の選手も加わり、5人で逃げ集団を形成したが1人が脱落。4人の逃げ集団はそのまま大集団を引き離し、スプリント周回に入る。 盛は2位で通過し、3ポイントゲット。続く第4スプリント、その4人はさらに集団を離し、ついには大集団をラップ。
この時点で、かなり優位に立った盛はあとのことを考え、もう無理はしない。第6スプリントで再び別の4人の逃げがはじまり、 集団を離していくが、大集団をラップするほどの勢いはない。このとき、すでに盛の頭には決勝があるようで、 その後は力をセーブすることに努めた。3位で予選を通過。4人でラップした時点で大方、決勝進出を決め、効率よく 決勝にすすんだ盛に期待がかかる。
夕方になり、迎えた決勝。 スタートからめまぐるしく先頭が変わる。予選とくらべかなりペースが速くなっている。 第2スプリントでは、先頭集団にくらいついたところで、鐘を聞き、スプリントにも加わるが、ポイントはゲットできず。 第3スプリント、ひとりで逃げた選手をしばらくしてから追う集団に加わり、逃げ選手を吸収。 そこでスプリントとなるが、今回は前方に位置し、3位通過で2ポイントゲット。 第6スプリント、盛が1人でアタックに出る。かなり集団を引き離すが、鐘がなると同時に猛烈に盛のことを追撃しはじめた集団に第4コーナーで飲み込まれ、ポイントをとりそこなってしまう。 しばらくすると集団は徐々に分かれはじめ、第10スプリントでは、盛のいる集団はラップされてしまう。 第11スプリント、盛は最後の力を振り絞って、逃げをうつが集団はしっかりと追走して逃げ集団をつくらせない。 ラストスプリントでは、逃げるスペインのホアン・ラネラスを必死に追い、逃げ集団に加わるが、もういっぱい。 盛は逃げ集団から脱落してしまう。ポイントは一度ゲットしたものの、ラップされたためラップポイントがマイナスされ、ポイント-18で16位という結果に終わった。
<ポイントレース決勝。果敢にアタックに出た盛だったが・・・>
盛のコメント
「いやー速かったです(ペースが)。自分のやり方として逃げを決めて、ポイントをとっていく感じなので、逃がしてくれないと 厳しいですね。一人で行った逃げが捕まったのは、ガクッと来ました。 やろうとしたことが全部ウラ目に出たのは、身体もそうですけど精神的にダメージが大きかったですね。 ラップされた後は、もう圏外だとわかっていたので、練習のつもりで出来ることをやりました。 なんとか、半分(12位)より上に行きたかったですね。でも、また頑張りますんでよろしくお願いします」
この日プログラムのトリを飾ったスプリントの決勝は、ここへ来て全盛期の強さを取り戻した雰囲気のベテラン、イタリアのロベルト・キャッパと日本の永井を1/8決勝で下したフランスのグレゴリー・ボジェの戦い。昨年、世界選でキャッパに敗れ、早い段階で姿を消すことになったボジェ。まさにそのリベンジマッチともいうべき戦いとなった。 1本目は最終周回ボジェが捲ってくるキャッパを相手に内で粘りつづけ、肩と肩がぶつかり合う、日本の競輪ばりの競走でまず1本。 2本目は先行するキャッパに手を焼きながらも、ボジェが最後の直線で意地を見せて差しきり、金メダルをもぎ取った。
<スプリント決勝。ベテランVS若手NO1。見ごたえのある勝負だった。>
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