ワールドカップ第1戦シドニー大会レポート
 
配信日:12月7日
 
 
■11月30日(初日) 天候:晴れ 気温:21度 観客:2000人

 「なんか世界選みたいだね」参加選手数の多さとピットの混雑具合に報道陣も驚きの表情。
 史上最高の参加を記録しながら始まった07-08ワールドカップシリーズ。
 今年からプログラムに変更が加えられ、初日に行われる種目も例年とは異なっている。
 日本の競技皮切りは和田見里美が個人追い抜きに出場。
 練習中に落車して、顔を怪我し、少し落ち込み気味だった和田見だが、自己ベストを更新する3分53秒706。しかし、順位は29位と世界の壁の厚さを実感することとなった。
個人追い抜きの和田見。自己ベスト更新も、世界はまだ遠い
個人追い抜きの和田見。
自己ベスト更新も、世界はまだ遠い





 和田見は今日はそれに加え、スクラッチにも出場。
 スクラッチ予選は中盤から1人逃げ。誰も和田見を追わず、一人で13周を逃げる形となったが、集団はけん制しあって最後までスピードがあがらず、スピードがやっと上がった残り3周では
和田見との間に半周のギャップ。長い単身逃げの疲れがでていたものの猛追をかわし1着で決勝に進出した。
 迎えた決勝では終盤までメキシコのガルシアが予選の和田見と同じような形で1人逃げ。
 残り10周以降動きが出るが、和田見は集団から飛び出すことができず、14位。

和田見のコメント
「とにかくついていくのが精一杯でなんにもできなくて・・・脚は回っているし、調子は悪くないと思うので、このあとも頑張ります」

和田見のスクラッチ
和田見のスクラッチ




 一方、26チームが出走するというこれまでにない多出走のチームスプリント、日本は13組中、9組目の出走となった。
 スタートから各選手千切れることなく、1走北津留翼 2走渡邉一成 3走永井清史のコンビネーションは悪くないように思われた。
 しかしタイムは45.667の11位。
 最も積み上げポイントの欲しかったチームスプリントで、十分なポイントを積むことができなかった。

北津留のコメント
「ラップタイム18.272は一応、自己ベストです。後ろの2人は不満みたいですけど・・・
マニエ監督に言われて自転車のポジションを直前のマレーシアから変えています。
うーん、いろいろ考えすぎて・・・自然にできないですね。前はこんなことなかったんですけどね。次まで時間ないですけど
がんばるしかないですね」
永井のコメント
(北津留選手が「後ろの2人が不満みたい」と言っているが?という問いに答えて)
「はい(北津留選手のスタートが)練習のときより、全然悪かったですね。いつもなら、直線でグーンと伸びるんですけど、
今日はそれがなかった。まぁ、それは別として、中国に負けたのがとにかく悔しいですね。(中国は9位)中国の3走のラップタイムはいくつですか?
(わずかに自分よりよかったことを知り)負けたくなかったですね。やっぱり、スタートは非常に重要ですから、次の北京はもっと頑張って、それから3人とももっとラップを縮めて頑張ります」
渡邉のコメント
「これまで、格下だと思っていたチームに負けちゃってますね。悔しいです。
 自分としてはラップも13.2は出ると思ってます。(実際のタイムは13.38)
 できるはずなのにうまくタイムがでなくって、なんかもどかしいです。
 (マレーシアからの連戦の疲れもあるのでは?と聞くと)それは、はじめから覚悟していたことで、言い訳はできないです。
 どんな条件であっても、速いチームはそれなりのタイムを出してきますから。
 監督とも、ギアの話をしたばかりで、いけるんじゃないかなと手ごたえはあるんですけど・・・」

 チームスプリントの3選手は年末にタスマニアで行われる大会に遠征する予定。少しでもポイントを上乗せするのが目的だ。
 しかし、1位チームTOSHIBAの44.480をはじめとして7位のフランスまでが44秒台と、もう45秒台では上位進出は望めない状況が恒常化している。チームスプリントに関しては、予断を許さない状況が今後も続きそうだ。

出走を待つチームスプリントの3人
出走を待つチームスプリントの3人

 


コンビネーションは悪くないように見えたのだが・・・
コンビネーションは悪くない
ように見えたのだが・・・




 

 男子ポイントレースには、飯島誠が出場。
 11月1日現在で飯島はUCIランキング、世界3位。この勢いを是非維持したいところだ。
 予選では、序盤で前に出てポイントをとるが、その後スペインのリャネラスを含む3人がラップを達成。
 これにより、予選通過ボーダーラインまで順位が下がり、ヒヤリとさせる。しかしラスト2スプリントで飛び出し、ポイントを重ねる。さらにその勢いのままラップまでやってのけ、3位で予選を通過。

 夕方に行われた決勝は序盤からかなり速い展開となった。
実に平均時速51.489kmというハイペースのなか、ファーストスプリントでポイントをとったうちの3人がそのままラップ。飯島は大集団のなか機をうかがっている。
 第5スプリントでするすると前に出た飯島だが、鐘とともに集団から飲み込まれ、ポイントが取れない。
 レース中盤、前に出ては、スプリント周回で集団に食われる状況が続く。
 残り56周、さらにスピードをあげた第1集団に必死に食らいつき、その集団とともに逃げを試みるが大集団がそれを許さない。
 第9スプリント、やっと2着通過で3ポイントをゲット。
 ラスト2周、最後の力を振り絞って前に出るが、やはりゴールスプリントには加わることが出来ず、3ポイントで13位に終わった。


飯島のコメント
「ペースは速かったけど、レースは見えてました。ギアをかけてたので(大きいギアを使ったの意)。
監督には52(フロントギアの歯数)で行けといわれたんですが、53にしました。さっき、“あのペースなら53で行っといてよかったな”と言われました。
何度もしかけにはいったんですが、自分が行ったときに一緒になるメンバーがよすぎて(世界チャンピオン、リャネラスなどとよく同じ集団になった)
・・・メンバーがいいと、みんなほっといてくれないじゃないですか、やばいから追いますよね、それは。
展開によって、どんな強い選手でも、常に勝てるような種目ではないので、いい展開のときにミスしないようにすればいいと思います。
レース中、休めるときにうまく休むことと、行かなきゃ行けないときにドーンと複数回もがけるようになることが大切です。
あと3つあるワールドカップ、それから世界選で順位をあげてオリンピックでメダル!と、いきたいですね」

ポイントレースの飯島。冷静なレース運びだった。
ポイントレースの飯島。
冷静なレース運びだった。

 

 

クールダウンする飯島
クールダウンする飯島




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