ワールドカップ第2戦メルボルン大会レポート
配信日:11月26日
■11月20日(初日) 天候 雨 気温16℃ 観客1800人
寒い。真夏の気候を期待して来ただけに気温16℃は寒々しい。
しかも外は雨が降り続けている。こんななか、全く変わらない環境で競技ができるのだから屋内競技場とはありがたい。
UCIが屋内250mを国際大会のスタンダードとしたのも全くうなずける話だ。
さて、初日の今日は日本チームにとってはチームスプリントとポイントレースがあり、派遣されているすべてのメンバーが出走することとなる。 「この前のマンチェスターとプログラムが違うのでは?」と思われた方は鋭い。 確かにマンチェスター大会ではチームスプリントは最終日だった。
昨シーズンまでは、プログラムは全4戦、すべてUCI規定の同じもので行われていたが、今年より各開催地がプログラムを決められるようになった。 国により人気種目が違うため、ライブ中継などを確保しやすい時間にその国の人気の種目を行うことが出来るなど興行的部分に配慮したものだ。
正午からはじまった予選のセッション。
日本チームはチームスプリントから。 チームTOSHIBAやコフィディスなど有力チームの名前もスタートリストに見えるが、実力的に日本は表彰台射程圏内に思われる。 しかし、新顔をそろえたチームもある以上、油断すると必ず足元をすくわれるのがオリンピック直後の大会だ。
日本チームはウクライナと最終組の出走。第1組で出走したコフィディスが45.603。「おや?このトラックはタイムが出づらかったか?」と思うがよく考えてみると 前マンチェスター大会でも日本はコフィディスよりもよいタイムだった。フランソワ・ペルヴィスはいるものの他の2人はまだ経験が浅い。 さらに第2組で出走のTOSHIBAが44.641を出し、やはり普通のトラックだと思い直す。 しかし、この分なら日本チームが力を出し惜しみしなければ、表彰台は至近距離だ。
ラストの組で出走した日本のタイムは45.258。 走り終わった段階で銀メダル以上が確定。 3人ともマンチェスター大会よりラップタイムを縮め、総タイムでもコンマ2秒早くなった形で、チームスプリントとしては、2006年ワールドカップシドニー大会の銅メダル以来の表彰台。
1-2位決定戦としては2005年シドニー大会での銀メダル獲得以来久しぶりの進出となり、金メダルをかけてチームTOSHIBAと対戦することとなった。
その後の決勝戦は45.479と若干タイムを落としてしまい、地元で勢いに乗るTOSHIBAの44.744の後塵を拝することになったが、それでも、堂々の銀メダルを獲得し、この大会のスタートにはずみをつけた。 さらに前回5位、今回2位とコンスタントな出場も功を奏し、トータルでワールドカップポイントトップとなったことによりワールドカップリーダーとなることがが確定。日本は、チームスプリントとしてははじめてのワールドカップリーダーとなった。
出走を待つ3人。上位に食い込みたい
TOSHIBAに敗れはしたものの
銀メダル獲得
ワールドカップリーダージャージの着心地は格別
久しぶりのメダル。
これで、会場の日本人はみんな元気になった
成田のコメント
「僕は、運がいいですね。獲れるときに来てますから。(『2005シーズンのスプリントに続き、2回目のリーダージャージだが?』と聞くと) はい。でもこれをオリンピック前のシーズンに着れるようにならないといけないですね。頑張ります」
渡邉のコメント
「結果としては素直に喜びたいです。でも、タイム的には手放しで喜べないですね。ファイナルは予選よりタイムを落としましたし。 もっとパワーをつけていかないと。(『それは、回数走りに対する耐久力という意味?』と質問すると)もちろん、それもありますし、総合的な力ですよね。そのために、海外レースに向けてコンスタントな練習ができたらいいなと思います」
新田のコメント
「リーダージャージどころか、ワールドカップではメダルもはじめてなんで、うれしいです。(『2走目でタイムが上がったのは新田選手だけだが?』と聞くと)はい。まぁ、ほんのちょっとだけなんですけど。慣れてくるとよくなるたちなんで。
チームスプリントについては、もう少しつきかた(新田は第3走だったため、1、2走の追走の仕方のこと)がうまくなればもっと行けるような気がするんで、まだ上にいけるように頑張ります」
もう一方の日本選手出場種目ポイントレース。選手の参加が多くなかったこともあって、予選はキャンセルとなり、いきなりファイナルから。
スタートと同時にオーストラリアのキャメロン・メイヤー、デンマーク、ジェスパー・モルコフが飛び出す。 さらにTOSHIBAのグレン・オシェアが前へ出て逃げを見せるが盛はメイン集団で淡々と様子をうかがっている。
残り106周、ファーストスプリントを制したオシェア、韓国のセオ・ジュン・ヨンなどがラップを達成。
一方、盛は依然としてメイン集団キープ。残り90周、盛が動く。前に出てポイントを狙うが、それはゲットできず。 しかし、その勢いでさらに前へに出て逃げ体制。 それをポーランドのラファル・ラタジックが追い、メイヤーもそれに加わる。盛は、彼らと運命共同体となるかに見えたが、徐々に後退。残り81周で再度前へでるもやはりポイントは獲れず。 なかなか思うようにやらせてもらえない。
第5スプリントとなる残り70周をきっかけに先行していた第1集団がラップを達成。 韓国のセオやTOSHIBAのオシェアらは2ラップ目。
残り61周、盛がダッシュ。一気に前に出て1着通過でポイントゲット。その勢いでそのまま前方にいたメイン集団に追いすがりすごいスピードでラップを達成。
ここで一気に順位があがる。
残り60周を過ぎたあたりから全体の動きは一度落ち着き一本棒の展開。
残り46周では、メイヤー、スペインのエロイ・テルエル・ロビーラが逃げ体制。盛はこれを追いかけていい形になるが、残り41周で全体的にスピードが上がり、盛は一度後退。
残り37周、カザフスタンのアレクセイ・リャルコが一人逃げ。
しかしその逃げも長くは続かない。ここで、1人逃げでつかれたリャルコに盛が襲いかかる。一気に抜き去って、1着通過。盛はさらにポイントを重ねた。
残り27周、盛の表情がさすがに苦しそうになってくる。
残25周メイヤーがアタック。しかし、すぐに捕まる。
最終スプリントを残すのみとなった残り7周、盛が最後の力で逃げをうつ。それにロビーラが反応。2人の逃げが残りの周回を耐え忍べるか。
残り1周、後ろの集団のスピードが上がるが、盛との差1/4周。
なんとか逃げ切れそうで、あとはロビーラとの一騎打ち。
一方その後ろの集団では1位を争うオシェアとセオがデッドヒート。 盛は結局、僅差で1着通過を逃したものの、2位通過で3ポイントを追加し、総合33ポイント。 国際大会では2007年のマンチェスター大会以来、久しぶりに出場したポイントレースで5位となった。
優勝はデッドヒートを制したオシェア。
スピードのあるアタックを繰り出す盛。
勢いは健在だ
名前が認知されるに従って、
マークされることも多くなってくる
盛のコメント
(目が合うとすぐに)いやー、全部後手後手に回っちゃいました。(『それでも久しぶりのポイントレースで5位は悪くないのでは?』の問いに)
ええ、トラックはしばらく乗ってなかったので。でも、なんとか行けたんでよかったです。
(『残り80周回あたりでキャメロン・メイヤーについて行こうとしてやめたが、ついていけばさらにいい着がとれたのでは?』と聞くと) あれですねぇ。あれに乗れたら楽にラップできたと思います。・・・ですよねぇ。あの時、一瞬迷っちゃったんですよ。 ハッと気がついたら離れてて・・・ちょっと離れたら、もういっぱいだったので追えませんでした。 でも、メイヤーもなかなか逃がしてもらえてなかったですね。
(『中盤、ポイントゲットからラップのスピードはすごかった』と言うと) あれ、速かったですね。前見たら止まって見えたんで、これは行かなきゃと思って・・・ラッキーでした。 正直、今回はダメかもしれないと思って覚悟してたんですが、そこそこ上の着がとれたんで、これからもっと頑張っていきたいと思います」
初日の日本チームは上々のスタート。明日以降もこの勢いが続くことに期待だ。
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