ワールドカップ第4戦 北京大会レポート
 
配信日:1月20日
 
 
■1月16日(初日) 天候 快晴 気温-1℃ 観客900人

 寒さは続いている。しかし、これが冬の北京の平均的気温なのだそうだ。
初日の今日のプログラムは、女子のスプリント予選からスタート。日本チームとしては、成田和也、渡邉一成、新田祐大で挑むチームスプリントが2009年の初走となる。
  チームスプリントに関していうと、今回は希望が大きい。日本チームはメルボルン大会では銀メダル、リーダージャージを獲得した今シーズンベストメンバー。一方、外国勢はミカエル・ブルガン、ケビン・シロー、フランソワ・ペルビスというスターぞろいのコフィディスチームを除いては、オランダはロード転向のためテオ・ボス不在、グレゴリー・ボジェはいるものの残りの2人はまだ経験の浅いフランス、ドイツもベストメンバーではないし、イギリスチームは今回スプリント系ライダーはひとりも出場せずという条件だ。どう見ても日本には追い風。本来の力を発揮し、地元中国やロシアなどに負けなければ、好位、さらに結果によってはリーダージャージ奪回まで視野に入れられる。
   
   
 各国が次々とスタートするが、どのチームも目の覚めるようなタイムが出ない。日本は、これまでの実績も買われ、最終組の発走。相手はドイツ。期待は高まる。しかし、終わってみれば、日本の記録はこのシーズンで最も悪い46″002。見ていた日本人すべてが同時に首を傾げるタイムで8位。09年、日本チームとしての初陣は笑顔で飾ることができなかった。
 もうここからは、たら、ればの話で、しても仕方のないことであるとはわかりつつも、今シーズンここまでの3人のベストラップを合わせると45.289で銅メダルは余裕。シーズンも後半に入り、このメンバーで走ることにも慣れてきたことなどを考えるとまだ上があったと思えてしまう。そうでなくても、8位というのは、何かあったのか?と言いたくなる順位だ。各国がベストメンバーで臨んだ場合でも日本の実力なら8位では、ガッカリなのだから、今回はどうにも納得できない。もちろん、一番ガッカリしたのは当の選手たち。各選手のコメントを以下に。
日本チームスプリント。思わぬ結果になってしまった
日本チームスプリント。
思わぬ結果になってしまった

競走を見て声をかけに来た佐藤に答える成田
競走を見て声をかけに来た
佐藤に答える成田
   
 成田のコメント
「う~ん。スタートを失敗したわけでもないし、練習もやってたんですけどね。(ラップタイム)18″5は自分でもびっくりするぐらい悪いですね。他のチームがあまりタイムが出ていなかったので、行けるかなと思ったら自分も出なかった・・・みたいな。練習した成果がこれってことですかねぇ」と、納得できなそう。
   
 渡邉のコメント
 「全然ダメですね。余裕、まだあったんですけどね。(“成田のタイムが出なかったことが自分の走りに影響した?”との問いに)ちょっとつまっちゃったってのはありますね。車間は普通ならあんなにつめたくないというか、もっとあけたいんですけど。でも、前走者のタイムにかかわらず出す人は出すんで・・・これが、底力のなさというかそういう部分ですね。他のチームのタイムが出てないときこそ、出さないと。今日は落とすべきじゃなかったです。今日出さなくってどうするっていうことですね」
   
 新田のコメント
  「ちょっとつまりすぎちゃいましたね。一成さんがいつもと違ってタレたように感じたんですが(“渡邉もつまったと言っていた”と言うと)あ、やっぱそうだったんですね。一度ちぎれ気味になったんで、つめていこうと思ったら、今度はつまりすぎて内に差しちゃった感じになったんですよね。みんなタイムが出ていないので、メダル行けるかも・・・なんて思っていたんですが・・・」
新田祐大「メダル行けるかなと思ったんですが・・・」
新田祐大
「メダル行けるかなと
思ったんですが・・・」
   
   
 一方、今シーズン日本チームエンデュランス系を1人で背負って立つ盛一大のポイントレース予選。周回数は60。盛は残り34周、飛び出したアイルランドのダウニー・シーンを追って逃げに加わるが、シーンがズルズルと集団に戻り、1人になってしまう。そのまま1人で3周を回り第3スプリントを1位通過。そのままスピードを落として集団に戻るかに思われたが、スペインのカルロス・トレント・タレスが1人で上がってきたのを見て追走。この2人で逃げてラップを達成。結局そのまま予選1位で決勝進出を決め、上々の滑り出し。
  予選後の盛のコメント「知らない選手が結構来てますね。自分より弱い人もいますから、運が悪いと(知らないで実力のない選手と一緒に逃げたりするとの意)ムダ脚つかっちゃいます。スペインのタレスが来たのはラッキーでした。彼はすごく強いんで。決勝も頑張ります」
ポイントレースの盛
ポイントレースの盛
   
 その決勝は120周回。序盤から香港のワン・カン・ポーが集団のスピードがあがらないうちに1人で逃げて早々とラップを達成。第1スプリント直後から集団のペースが上がり、前方はめまぐるしい動きになるも、盛は様子をうかがいながら後方で待機。残り91周で先頭に出てポイントを狙う。ここは2着通過でまず3ポイントゲット。第5スプリントはこれまでもポイントを重ねているイギリスのクリス・ニュートン、カナダのザシャリー・ベルなどが逃げる展開。あとから盛もそれを追い、スプリントに加わるがポイントゲットはならない。その後、そのスプリントを演じた集団が後ろの集団を徐々に離しはじめる。その距離半周。盛はもちろん前を走る集団にいる。残り60周を過ぎたところでその集団のラップが決まる。しかし、盛の順位は変わらず6位。残り38周、ニュートンを含む7人が逃げ集団を形成。しかし、盛のいる第2集団が残り35周で吸収し再びひとつの集団に。残り33周、ニュートン、タレス、ベルなどの有力選手が徐々に前方に集まりはじめる。盛も少しずつ前方へ。残り20周の鐘を聞いて盛は踏んで行き、3着通過で2ポイントを追加。しかし依然として6位は動かず順位を上げるためには「もう一発」が必要となる。残り12周、タレスの後ろにはまって前方をキープ。
後続から捲くられるも4位通過は死守し、1ポイントゲット。これで順位をひとつ上げ5位に浮上。
最終スプリントは、それまでも大量ポイントを重ねていたニュートンがさらにダメ押しの1着通過で5ポイントを加え大量35ポイントで優勝。最終スプリント前まで5位だった盛は同点5位だったロコモーティブチームのスタニスラフ・ボルコフが最終スプリントでポイントをとったため、ひとつ順位を下げ、最終順位は6位となった。
盛が「悪い」というときでも、順位が安定してきているのは頼もしい
盛が「悪い」というときでも、
順位が安定してきているのは頼もしい
   
盛のコメント
「今日は脚が重かった。自分でほとんど動けてないです。ラップが決まった時点で、“あと10周で終わって欲しい”と思いました。最後の方ではタレスをマークしていましたが、しっかり行ってくれて助かりました。あの展開では本当は5ポイントとらなきゃいけないんですけど。まぁ、調子があまりよくないなかでは、順位はそこまで悪くなかったのでよかったです。あと2回もがければメダルも見えてくると思うんですけどね。今日は身体がついて行きませんでした。うまく疲れをとって明日のスクラッチも頑張ろうと思います」
   
   

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