ワールドカップ第4戦北京大会レポート
配信日:1月20日
■1月17日(2日目) 天候 くもり 気温2℃ 観客1100人
2日目の今日はいよいよケイリンに佐藤友和が登場。
明るい性格で、昨日もチームをなごませていた佐藤だが、今日は幾分引き締まった表情。
競走への決意がうかがわれる。
臨んだファーストラウンド、佐藤は第3組、オーストラリアのシェーン・パーキンス、フランスのグレゴリー・ボジェ ポーランドのルカシュ・クウィアコウスキなどつわもの揃いの組だ。
最内枠からのスタートとなった佐藤、号砲後ペーサーの後ろを取りに行くが、ここはボジェの踏み出しに先をこされ、 2番手。その後ろをクウィアコウスキ、パーキンス、オーストリアのクレメンス・セルツァー、カタルーニャチームの イトマー・エステバンで周回する。残り2周半、ペーサーが退避するが、隊列はそのまま。
残り2周のホームに来て、パーキンスが踏み出す。しかし、それを見てボジェもスピードを上げ、ボジェの後ろで、 一時、内に佐藤、外にパーキンスが並走となるが、パーキンスはそこからさらに前に出て残り1周で先頭。
佐藤はそれを追走するボジェの後ろで3番手。残り1周の鐘を聞き、ボジェがパーキンスを交わしにかかる。
4コーナーを回ったところで、佐藤はそのボジェを交わすため外へ。
ゴール直前、すでにパーキンスを交わしているボジェと鋭く追い込んできた佐藤の一騎打ちは佐藤に軍配があがり、 佐藤は国際大会初戦をパーキンス、ボジェを相手に堂々の1着で通過した。
まさにはじめてのレースの発走直前。
しかし、佐藤は冷静だった
ペーサーの後ろをボジェと争う
ファーストラウンド後の佐藤のコメント「いやぁ、意外と大丈夫でしたね。(初戦1着は、なかなか難しいはずだがと聞くと)
最後、ボジェは踏むのをやめてました。横見ながら、“あ、コイツやめたと思いましたもん(笑)。
“パーキンスとボジェから目を離すな”という監督のアドバイスのおかげですね。
(それにしても、パーキンスとボジェのスピードについて行って、まだ差しきる力が残っているのはすごいと思うと言うと)
最近、競輪も早いですからね。山崎(芳仁)さんの捲くりにいつもついていますから。さらにそれを差すように頑張ってますからね。そのおかげかな」
「意外と大丈夫ですね」と笑顔を見せる
幸先のよいスタートを切った佐藤はストレートでセカンドラウンドへ。
ペーサーの後ろから中国のジャン・レイ、オランダ、テアン・ムルダー、パーキンス、ニュージーランドのサイモン・バン・ベルトーベン、 ベラルーシのユリー・カルツェネウスキ、そして佐藤は今度は最後尾から。
メンバーを見ると、パーキンス、ムルダーなどはいるものの3着までが勝ち上がり権利のセカンドラウンドは、
先ほどの競走を見ていると通過できそうという期待が高まる。
残り3周のホーム、最後尾から佐藤が踏み上げていく。それを見てパーキンスは佐藤の後ろへ。
ペーサー退避と同時にパーキンスを連れて一番前に出る。その後ろはジャン、ムルダーと続く。
ホームで今度はバン・ベルトーベンとカルツェネウスキが巻き返してくる。そのバックでその2人が佐藤の前に出て、 さらに佐藤の外にはパーキンス、ジャン、ムルダーと続いており、佐藤はインに閉じ込められた形になってしまった。
残り1周、入る隙間を探す佐藤。しかし、道は開けず、最後尾に後退。
4コーナーを回って、インに入り、少しでもよい着を狙うも、最後尾まで下げさせられた代償は大きく、 5着。やはり、そう簡単には決勝に進出させてはもらえなかった。
セカンドラウンドで、3着までに入れなかった佐藤は7~12位決定戦へ進む。
今度は首尾よくペーサーの後ろを奪取した佐藤。ジャン、スペインのホセ・アントニオ・エスクレド、コフィディスチームの
ミカエル・ブルガン、ドイツのマキシミリアン・レビー、カルツェネウスキの順で回っていく。
ペーサーが退避。その4コーナー過ぎ、ブルガンが発進。
しかし、先頭の佐藤はうまくスピードを上げ、それに合わせる。残り2周のバックでかわってレビーが佐藤に襲いかかる。
ホームの直線で佐藤の前へ。その後ろからはエスクレドも来ていたがスピードの上がっていた佐藤は、レビーの後ろにきれいにはまった。
残り1周はその隊列のままスピードがマックスに上がった一本棒のような形。4コーナーを回って佐藤がレビーを差そうと
渾身の力をふりしぼるが、わずかに届かず2着で総合順位は8位となった。
「スタートがごちゃつくんで結構怖い
ですね」といいながら、しっかり
ペーサーの後ろ奪取
ケイリン決勝はペーサーの後ろを回り、残り1周半前からスパートしたボジェだったが、絶妙の位置取りセンスで、 最終バックまでに3番手に来ていたBTオーストラリアチーム、(マレーシアの)アジズルハスニ・アワンが最終直線で 鋭く差して優勝。再度ワールドカップリーダーとなった。
戦い終えた佐藤のコメント
「セカンドラウンドは、前に出たあと、中国の選手(ジャンのこと)がくると思ってたんですよね。
そういう選手だと聞いたので。でも、来たのは別の選手で“消していい”と言われていた選手だったんで、 ちょっと迷っちゃいました。3本目(7~12位決定戦のこと)は、さっきと同じ失敗だけはしたくないなと思って、 思い切って行きました。踏んでいたので、ハマるのもスムーズでしたね。ゴール前の直線の伸び方とか、 いろいろわかってきたことがあって楽しいですね。いやー、もっと走りたいなぁ」
積極果敢な走りで、初の国際大会参戦を楽しんだ佐藤。もっと走りたいと言ったのは佐藤だが、もっと見たいと思ったのは我々報道陣。 未知数の伸びしろを持った大物の登場に今後がさらに楽しみになった。
勝っても負けても、とにかく楽しんで
走っていたというのが今回の佐藤の
印象のひとつ
一方、1′03″台を目指して臨んだ坂本貴史の1kmTT。タイムは1′05″184で10位。
「体調の良し悪しが、自分ではあまりわからない」と言っていた坂本。今回は自分では気がつかないところで、あまりよくなかったのだろう。
ピットに戻ってきてからも、座り込んだかたちで、チームスタッフの手当てを受けていた。
少し落ち着いた後のコメントも「すみません。きつかったです」と短め。
なかなか思うように行かないのが、国際大会。これをバネに近いうちに目標の3秒台を達成して欲しい。
コンディションを整えて、さらに上を目指して欲しい
2日目最後の種目となったのは、スクラッチの決勝。
盛一大は、10着まで決勝進出できる予選を9着で辛くも通過している。
序盤、早くも飛び出したホンコンプロサイクリングチームのクォク・ホー・ティンと、100%MEチームのマーク・クリスチャン、 イタリアのエリア・ビビアーニのラップが3周目で決まる。
その後、ポーランドのラファル・ラタジック、カナダのザシャリー・ベルが抜け出して逃げ。
さらにドイツのロジャー・クルーゲが追い3人。
続く第2集団はイギリスのクリス・ニュートン、スペインのカルロス・トレント・タレスだったが、 メイン集団から盛他2選手が抜け出て、第2集団は5人。
そうしている間に残り19周、第1集団がラップを達成。残り16周で盛の集団もラップ。
さらに盛は前に出て誰かを誘う素振りを見せるがこれはうまくいかず、集団に戻る。
この時点でワンラップが合計11人、誰がラップしていて誰がしていないのか、よくわからない中では、 残周回が少なくなるにつれ、少しでも前にいたほうが有利だ。
残り1周から集団のなかで盛もなだれ込むようにゴールするが、着位は8位。
コンディションがあまりよくないなか、まずますの成績となった。
盛のコメント
「今回は、こんなものじゃないでしょうか。決勝は、強い選手が逃げていたので、ここで行っておいた方が 絶対得だと思って行きました。あとは、最後のポジションどりですが、なかなか思うように動けなかったので・・・ 今回はあまり調子がよくなかったですが、次はしっかりとコンディションを作ってくるようにしたいと思います」
行かなくてはならないときを逃さない。
盛のレース嗅覚の感度は着実に 上がっている
ワールドカップデビューは、坂本にとって少ししょっぱかったかもしれない。まだまだこれから!
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