ワールドカップ第5戦コペンハーゲン大会レポート
 
配信日:2月17日
 
 
■2月14日(2日目) 天候 快晴 気温2℃ 観客1600人

 
 まず、うれしいニュースをお伝えしたい。日本トラック競技中長距離種目を目下ひとりで引っ張っている盛一大が、ワールドカップ中長距離種目では日本史上初となる金メダルを獲得した。日本チームとしてワールドカップで金メダルを獲るのは2003年5月、シドニー大会でのチームスプリントで長塚智広、永井清史、伏見俊昭の3選手によるもの以来。個人種目となれば同年3月に矢口啓一郎がシドニー大会のケイリンでとって以来、実に6年ぶりだ。この快挙に本人も「頑張ってきて、やっと結果がでました」とうれしそう。

 レースを振り返ってみよう。予選は、残り10周、昨年世界選手権チャンピオンのベラルーシ、アレクサンドル・リソースキーがアタックし、スペインのウナイ・ズビアウルが反応、逃げがはじまる。残り6周、盛は現ワールドカップリーダーのティム・マーテンスとともにそれを追い、連結。最強メンバーの逃げ集団となりそのまま逃げ切り。3着でゆうゆう予選通過。

 決勝では、60周回中残り49周で3コーナーの山おろしから、盛は一気に前へ出る。前方でかなりスピードの上がった逃げ集団と連結。盛を含む逃げ集団6人にはチームTOSHIBAのレイ・ハワードやポーランドのラファル・ラタジツィックなど有力選手が入っている。
 残り31周、スピードに乗る逃げ集団を、スイスの実力者、フランコ・マルブリが1人で追い上げつながる。その逃げ集団は残り28周付近でラップ。 残り10周を終わって、ラップ組は7人。メダルに届くためには「もう一発」が必要になっている。
 残り5周、盛が動いた。一気にスパートし、持ち前のスピードで後続を引き離していく。そこで、ラップを取り返そうと一人で走っていたドイツのマルセル・バルスと連係し、逃げを続けていく。
 残り2周。メイン集団が怒涛の追い上げ。盛を飲み込もうと襲いかかってくるが、盛がそれまでにかせいだ距離は大きく。最後まで力を尽くした盛の逃げ切りが決まった。

 2位には、スイスのマルブリ、3位はアメリカのダニエル・ホロウェイが入った。 「やっと結果が出て素直にうれしいです。今日は出走メンバーも強い人が多かったので、勝ててよかったです。(飯島)誠さんにいい報告ができます。まだまだこれがゴールではないので、もっと上を目指して頑張ろうと思います。どうもありがとうございました」
スクラッチの盛。攻撃的スタイルで金メダルゲット
スクラッチの盛。
攻撃的スタイルで金メダルゲット

表彰台の真ん中は久しぶりだ
表彰台の真ん中は久しぶりだ

誠さんやりました
誠さんやりました

   
   
 一方、日本短距離のホープ坂本貴史はケイリンに出場。今日のケイリンは、クリス・ホイ、ロス・エドガー、グレゴリー・ボジェ、ケビン・シローなど強豪が多数出場する。そのなかでワールドカップケイリン初出走の坂本がどのような戦いぶりを魅せるのかが楽しみだ。

 ファーストラウンドは7人出走の組だったが、第1周回でペーサーの後ろにつけたロス・エドガーの後ろを取り合って小競り合いを続けたオランダのヨンディ・シュミットとギリシャのクリストス・ボリカキスが不適正行為により、競走除外。5人で再発走となる。再発走は、3番手の位置につけた坂本はエドガーを迎え入れ、4番手。周回はチェコのアダム・プタクニック、フランスのシャリー・コナード、エドガー、坂本、キューバのアレハンドロ・マイナット。
 ペーサーが退避した後、残り2周のホームでエドガーが発進。前に出ようとするエドガーをブロックしようとプタクニックが斜行気味に走行したことで、エドガーと接触し落車。エドガーはそのまま先行体制に入り、それを追走したコナードが2番手。坂本はそのコナードを追走する形で3番手。
 残り1周、エドガーの独走が続くが、バックでコナード、坂本のふたりがエドガーを捕らえようと襲いかかる。最終4コーナーをまわったところで、内からエドガー、コナード、坂本がほぼ横一直線。最終的には、エドガーが力尽き、コナード1着、坂本2着。
 ワールドカップケイリンデビューをストレートでセカンドラウンド進出という好成績で飾った。

 冷静に状況に対処していたように見えたが?「ハイ。そうですね。エドガーマークは監督から言われていました。エドガーの踏み出しが良すぎて、ちょっと離れちゃったんですが、それが結果としては良かったみたいです。フランスの(コナードの)後ろについて、行ってくれるのを待ってました。セカンドラウンドもがんばります」
坂本のケイリン
坂本のケイリン
坂本の世界への挑戦ははじまったばかりだ
坂本の世界への挑戦ははじまったばかりだ

 
 
 セカンドラウンド、坂本はアウトスタートから最後尾につけることになる。ペーサーの後ろは、スタンディングからの踏み出しは天下一品のUSクリテイユチーム、グレゴリー・ボジェ、スペインのホデイ・マスキアラン、ホークサイクリングチームのアダム・デュベンデック、カタルーニャチームのイトマー・エステバン、コフィディスチームのケビン・シロー、坂本の順で周回。どうやら、坂本はシローをうまく使う作戦のようだ。
 ペーサーが退避し残り2周半、ボジェが後ろを見ながらスピードをコントロールしている。残り2周に入る前の4コーナーから、シローがスパート。坂本は、シローの動きに反応し追おうとするが、爆発的な加速を見せるシローにぴったりつけきれない。そうしているうちにシローは全員をあっさりと捲くりきり、残り1周へ。ホームから坂本も再度前に上がろうと、踏むがすでにスピードはトップまで上がっている。5番手から最終直線外のコースをとり、逆転にかけるがそこまで。
 5着となり、残念ながらメダル権利のかかるファイナル進出を逃し、7-12位決定戦に進むこととなった。1着は逃げ残ったシロー、2着はシローの先行をうまく追走したボジェ。

 7-12決定戦、坂本は今度はペーサーの後ろを奪取。フランス、シャリー・コナード、ドイツのレネ・エンデルス、カタルーニャチームのイトマー・エステバン、ポーランドのカミル・クチンスキー、ホークリレーサイクリングチームのアダム・デュベンデックで周回。
 ペーサー退避後、最後尾から上がってきたデュベンデックにうまくつけ、2番手。そこにエンデルスが上がってくる。坂本は外へでようとするが、切られた形で動けない。さらにクチンスキーが上がって来たため閉じ込めらてしまう。残り1周、バックで4番手。残った力で、デュベンデックはかわしたものの、そこまで。

 3着で、最終順位は9位。 「予選などで一緒に走ってみると7-12位決定戦を走っている選手と、ファイナルに乗る選手の実力差がすごく大きいと思えました。セカンドラウンドはシローにつけていったんですけど、ひと踏みの進み方が全然違います。競輪の山崎(芳仁)さんもそうですけど、踏むたびにすごく進むんですよね。つけきれませんでした。最後のレースは、監督から好きなように走っていいといわれていたので、今度は前から行きました。トレードチームの選手(デュベンデック)の後ろに入った時まではよかったんですが、あそこでちょっと待っちゃいましたね。ドイツ(エンデレス)が来て、外に出たいと思ったら、次はポーランド(クチンスキー)で・・・全部出し切れたなら満足ですが、8割ぐらいでまだ力は残っていたので、残念です」

   
   
 ケイリン決勝はハプニングが起こった。メンバーは、クリス・ホイ、ロス・エドガー、グレゴリー・ボジェ、ケビン・シロー、アンドレイ・ビノクロフ、ホデイ・マスキアランという豪華ラインアップ。
 ペーサー退避後、先頭に立ったボジェを交わそうと車を外に持ち出しかけたホイが、後ろから素晴らしいスピードで捲くってきたシローと肘が接触し、落車。それに後ろを走っていたエドガーが突っ込み、さらにビノクロフも落車。3車となったレースは、シロー、マスキアラン、ボジェの順に入着。しかし、前方2選手の間を割ろうとしたボジェが降格をとられ、落車後、再乗し4着で入ったビノクロフが3着となった。クリス・ホイは、骨などには異常がないものの、腰を強打しており、大会を去ることとなってしまった。

 また2年ぶりの出場となった及川裕奨の1kmTTは、
1′06″.265。やはり、ブランクによる感覚の薄れは大きかったようで自己ベストに遠くおよばないタイムで16位となった。
ケイリン表彰台。今、ケイリンでクリス・ホイと真っ向勝負できるのはケビン・シローだけかも知れない
ケイリン表彰台。
今、ケイリンでクリス・ホイと真っ向勝負できるのはケビン・シローだけかも知れない




>>back
 
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.