09-10ワールドカップ第1戦マンチェスター大会
 
配信日:11月4日
 
 
■10月30日(金) 開催初日 天候:くもり後雨 気温16度 観衆2,500人

 初日の今日は金曜日、しかも開始は正午ということもあって、観客の入りが心配されたがお昼からまずまずの出足。空席もみられたものの、チケットはソールド・アウトということでこの地にトラック・サイクリングが根付いていることがよく分かる。
 
 初日の今日、日本勢のトップをきって出場するのはケイリンの佐藤友和。女子スプリントの予選終了後、1回戦の第1ヒートに登場。ポーランドのトラック・チームGDZのアドリアン・テリンスキ(ポーランド)、ポーランドでの世界選手権のケイリン覇者でチャンピオン・ジャージに身をつつんだドイツ・レヴィー・マキシミリアン、チーム・トーシバを引き継ぐ形で今年から誕生した新たなオーストラリアのトラック・チーム、チーム・ジャイコのジェイソン・ニブレット(オーストラリア)、マレーシアのハフィツ・スフィアン、スペインのトラック・チームNAVのガスコン・ホアン・ペラルタ(スペイン)に日本の佐藤の6名で上位2名に与えられる第2ラウンド進出の権利をかけて争われた。
 佐藤は最内からのスタートとなるが、ややスタートで後手を踏み、後方の5番手から。ニブレット、レヴィー、スフィアン、テリンスキ、佐藤、ペラルタで周回を重ねる。レースを動かしたのは佐藤。ペーサー退避前の残り3周のホーム・ストレッチ付近から動き出し、上昇。ペーサーの退避に合わせて一気に先頭に躍り出る。その後ろにニブレット、レヴィーと続き、残り1周半となるバック・ストレッチ辺りからスフィアンも仕掛け始める。残り1周前となったところで更にペースは上がり、佐藤の後ろからニブレットが発進、佐藤を交わして先頭へ。ここでニブレットの番手に入り有利な展開としたい佐藤だが、やや踏み遅れ、さらに後方のレヴィーに入られた3番手で3コーナー、4コーナー、そしてゴール。残念ながらここでの第2ラウンド進出は決められなかった。

コメント(佐藤):「先行出来たので展開は悪くなかったんですけれど・・・。ドイツの選手(マキシミリアン・レヴィー 世界選優勝者)が強いと聞いていたので、その番手に飛びつきたいと思っていたんですが、スピードを上げられて2人で一気に前に出られたんで、3番手ではちょっと勝負権という意味で厳しかったです。スタートで後手を踏んでしまってそのために苦しくなってしまった部分もあるので、そのあたりを含めてまだまだ課題がたくさんあります。次(敗者復活戦)は1着権利なので先行・まくり、位置取り・展開によって色々考えていきたいです。」
ケイリン出走前の佐藤
ケイリン出走前の佐藤


第1ラウンドに臨む佐藤
第1ラウンドに臨む佐藤


果敢に先行
果敢に先行
           
 
 第2ヒートは早め先行のコフィディスのフランソワ・ペルヴィス(フランス)がバイク・テクノロジーズ・オーストラリアのアジズルハスニ・アワン(マレーシア)の3コーナーのまくりを抑えて押切り。しかし、アワンはスプリンターズ・レーンへの進入で走行を妨害したとして降着となり、3着入線のチェコのデニス・スピカがペルヴィスと共に第2ラウンドへ進出。
 第3ヒートに入って観客の声援が一気に上がる。ここで登場は、故障から復帰したイギリスの英雄、チーム・スカイ+HDのクリス・ホイ(イギリス)。イギリスのニュー・ヒーロー、ジェイソン・ケニーもここで登場ということで、ボルテージは上がる一方。
レースは、残り2周で一気に先頭に躍り出て、自分の形に持ち込んだホイが王者らしく堂々と逃げ切り。ホイの後ろにうまくはまり、最後までその場を守り切った中国のシ・タンが2着。ケニーは勝負どころで立ち遅れ、位置取りを悪くして、まくり届かず3着。
 最終第4ヒートはオーストラリアのシェーン・パーキンスが最終バック・ストレッチで最後の発進、3コーナーではまくりきっての貫禄勝ち。終始番手のオランダのヨンディ・シュミットが2着で2人が第2ヒートへ。勝ち進めなかった全選手がまた4ヒートに分かれ、1着のみ勝ち上りとなる敗者復活戦に挑む。
      
   
 その敗者復活戦。またまた第1ヒートで登場の佐藤。相手は第1ラウンドで2着入線も降着となり敗者復活戦まわりのバイク・テクノロジーズ・オーストラリアのアジズルハスニ・アワン(マレーシア)、ギリシャのクリストス・ヴォルカキス、USクレテイユのミカエル・ダルメイダ(フランス)と敗者復活戦のなかではかなり厳しい組み合わせ。
  ここでも最内からのスタートとなった佐藤。号砲とともに飛び出し、ペーサーの後ろをゲット。佐藤、アワン、ヴォルカキス、ダルメイダでの周回となる。ペーサー退避前佐藤から離れ、後方をけん制するアワン。後続がピッチを上げるのに合わせ、ペーサー退避後アワンが佐藤を交わして先頭に躍り出る。後続のスピード・アップにやや立ち遅れた佐藤、内にややつつまれる形になり、4番手へ。残り2を切った1コーナーでダルメイダがアワンを交わして先行、後ろにヴォルカキス、アワンは3番手、佐藤は変わらず4番手。残り一周で一気にペース・アップ。佐藤は4番手からアワンの外を捲ろうとするも、外々を踏むのはきつい。ややスピードに乗りかけるも伸びず、最後は流す形で4着。ダルメイダの先行にのり、ゴール前差したヴォルカキスが1着。残念だが、ここで今回の佐藤のケイリンは終了となった。

敗者復活戦で前につける佐藤
敗者復活戦で前につける佐藤
第2ラウンド 残り1周でこの位置
第2ラウンド 残り1周でこの位置
   
   
 先述の勝ち上りの選手のほか、敗者復活戦で他者の落者にも助けられる形で1着となったGDZのアドリアン・テリンスキ(ポーランド)、前との車間を空け、後続の様子を伺いながら、満を持して最終1コーナーから発進、2コーナーではまくり切りそのまま楽勝したイギリスのジェイソン・ケニー、最終周3コーナーから力強く抜け出したアンドレイ・ヴィノクロフ(ウクライナ)が勝ち上がり行われた第2ラウンド、第1ヒートは現在の世界チャンピオン、レヴィー・マキシミリアンが早め先行で押し切り。そして圧巻は第2ヒート。観客の大歓声を浴びて登場したクリス・ホイ。道中は3番手で周回を重ねたが、再度同乗したジェイソン・ケニーが後方からの早めの先行を仕掛けるなどあり、残り2周で5番手の位置、その後も苦しい位置取りが続き、最終的には3者並走の大外をまくる展開。少し外に張られれば、いや外々をまわされて失速して当然の場面でこれは苦しい、と思うのもなんのその、大外を力強くまくり切り、最後は1車身半の着差。やはり王者はこの人・・・と思わせるのに十分な内容で決勝戦へと駒を進めた。
  その決勝戦。最内からのスタートとなったクリス・ホイが号砲とともにペーサーの後位へ。ややごちゃごちゃっとしたもののその位置を奪取し、周回はクリス・ホイ、ヴォリカキス、レヴィー、ニブレット、オランダのヨンディ・シュミット、イタリアのフランチェスコ・チェーチの並びで重ねられる。ペーサーの退避を狙ってイタリアのチェーチが上昇を試みるもホイも譲らず突っ張る形。結局退避後もホイは先行態勢のまま段々とペース・アップで最終周回へ。隊列はそのまま、残り半周になっても一本棒。終始番手のヴォリカキスが差し切りを狙うもホイが抑え込んで1着。2周半の逃げきりで、第2ラウンドとまた違った強さを見せて、今シーズン一発目のワールド・カップのケイリンを制し、リーダー・ジャージに袖を通すこととなった。2着は差せなかったヴォリカキス、3着にレヴィー、ニブレット、シュミット、チェーチと続いた。
絞ってきたホイが逃げ切って優勝
絞ってきたホイが逃げ切って優勝


逃げて良し、まくって良しで王者の貫録
逃げて良し、まくって良しで王者の貫録


   
   
 本日2人目の日本人ライダーは、エンデュランス系で1人参加の盛一大で、まずはポイント・レースの予選。20人中12人が決勝へ勝ち上りのこのレースは60周、10周毎、6回のスプリント・ポイントで争われる。
  レースは第1スプリント後に香港のワン・カンポーを含む3選手が逃げを打つ展開。残り41周の時点で3人のラップが決まり、他をリードする。そんな中、盛も第3スプリントを迎えようとする残り32周となる4コーナーから仕掛け、先頭集団の中へ。バック・ストレッチからまくるような形で、第3スプリントを4位で通過。ここで1ポイントをあげる。その後は集団で足を温存。第5スプリントへ向けて再び他の4人のライダーと先行集団を形成し、ここでも4位通過の1ポイント。この5選手の勢いは衰えず、結果残り9周の時点で地元イギリスのクリス・ニュートンらとラップを達成し予選通過を決めた。最終成績は22ポイントの4位で決勝に向けて期待の高まる成績であった。
今年も大仕事をしそうな盛
今年も大仕事をしそうな盛


   
 そして迎えた決勝。決勝は120周、30kmに12のスプリント。レースが動いたのは第1スプリント後。スペインのテルエルが一人で逃げを打つ展開。第2スプリント1位通過で5ポイントを得た後、一人でラップを達成。その後集団は大きく2つに分かれ、その差がだんだんと広がっていく。後方集団にいた盛だったが、前方を追うべくスピードアップし、先頭集団に加わる。前方と後方の差はさらに広がり、結局残り87周の時点で先頭集団にいた13名がラップ。これで盛もポイント的にトップ・グループに入り、上位入賞の可能性を得た。その後は度々、3、4名程度での逃げが打たれたが、どれも決まらずに結局は集団に吸収と大きなポイント変動は起こらない。周回がかさねられ、残るスプリントも2つ。何かを起こしたい盛が残り14周からジャイアント・プロ・サイクリングのチャン・キンワイ(香港)と2人で逃げる。チャンとの争いに競り勝ち第9スプリントで5ポイントを挙げ、順位を6位に上げる。残り5周となり、ホンコン・プロ・サイクリングのクオック・ホーチン(香港)、ワン・カンポー、ワシーリー・キリエンカ(ベラルーシ)の3人が最後の逃げを打つところに盛は死力を振り絞り追走し、集団を形成。クオック、ワンには離されてしまったものの、キリエンカを振り切って2ポイントを積み上げ。最終ポイントを27としたが順位は変わらず6位であった。優勝は前半に積極的にポイントを取り、集団ラップの際にもスプリントでポイントを獲得し、37ポイントを挙げたクリス・ニュートン(イギリス)、2位にクオック、3位にクルーゲ(ドイツ)が入った。

コメント(盛):予選を走って油がさせた感じで、予選よりは状態は良かったですが正直しんどかったです。結果的に後手後手でうまく自分の形に持ち込めず、最後はいちかばちかで行ってみました。世界選手権の出場もこれで大丈夫かな、とは思いますが、まだまだワールド・カップで表彰台を狙ってしっかり走りたいです。次は誠さん(飯島)もいるのでマディソンにも出られると思いますし、僕より走れる人なので心強いです。
   
   
 最後に登場は1kmタイム・トライアルの新田祐大。23人エントリーの中、8組目にフランシスコ・チェッチ(イタリア)とともに出走。最初の1周、250mのタイムは13人が走っている中でのトップ・タイム、最終タイムは1分3秒831、現時点で中国のワン・チョンヤンに次いで2位。最終的には22人中10位の成績であった。結果を見ると最初の250mは18秒630で2位、そこから徐々に順位を下げてしまった形だ。優勝は1分1秒293でドイツのシュテファン・ニムケ、2位がイギリスのデビッド・ダニエルで1秒698、3位が中国のワンで2秒228であった。

 残念な情報は、18連勝でS級に上がった深谷が腰に違和感を感じ、エントリーを取りやめたこと。大きな問題ではなさそうだが、大事を取っての判断となった。明日のスプリントには深谷に代わり、佐藤がエントリーとなった。
アップする新田
アップする新田


次のステップにあがることが出来るか
次のステップにあがることが出来るか




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