10-11ワールド・カップ第4戦マンチェスター大会
 
配信日:11月8日
 
 
■2月19日(土)開催2日目 天候:曇り時々小雨 気温4度


 晴れ間が見えていた昨日とは変わって朝からどんよりと肌寒い中小雨が混じる天気となった2日目だがインドアのヴェロドロームでは不便は感じないがまた同時に外の状況が全く分からないのも事実。いずれにしても天気の様子を吹き飛ばすようなレースが繰り広げられることを願いたい。
 その2日目は男子ケイリンが行なわれる。男子はケイリンには各チーム1人しかエントリー出来ないが、シクロ・チャンネル・トーキョー(CCT)・チームの参加もあることから今回も日本勢は2人のエントリーが可能。前回北京と同様、ナショナル・チームからは渡邉一成、CCTチームからは浅井康太が出場。前回北京での浅井の銅メダル獲得の快挙に続いて、ライダーのレベルが上がるここでも日本勢の良い結果を期待したいところだ。
   
 
 ケイリンには29人がエントリー、今回もまた6ヒート(各ヒート4人または5人)に分かれての各ヒート1着が2回戦へと進む。負けたライダーたちはまた1着勝ち上がりの敗者復活戦へと進む。日本勢で先陣を切るのは第4ヒートに登場する渡邉。スタート順は内からクリストス・ヴォリカキス(ギリシア)、サヴィトスキー(ロシア)、ゲラベルト・セッラ(STR、スペイン)、渡邉、ドーキンス(ニュージーランド)の順。 
スタート後はドーキンス、サヴィトスキー、渡邉、ヴォリカキス、ゲラベルト・セッラの並び。ペーサー退避に合わせてヴォリカキスが上昇、先頭に立つこれを追って渡邉も上がり残り2周で先行態勢へ。渡邉の後位をヴォリカキス、ゲラベルト・セッラで争う形となり競り勝ったヴォリカキスの横に今度はサヴィトスキーが並走。残り1周で渡邉がスパートをかける。渡邉は後続2人をしのいで逃げ切るかと思われたが4番手から上がってきたドーキンスが3者並走となる苦しい外を捲っていき、最後は直線で渡邉を差し切り。渡邉は2着で敗者復活戦回りとなった。
 続いての登場は第5ヒートの浅井。こちらは内からエスターフイゼン(南アフリカ)、ヌグ(マレーシア)、浅井、エンダース(ドイツ)、ペラルタ・ガスコン(スペイン)のスタート順でスタート後はエンダース、浅井、エスターフイゼン、ヌグ、ペラルタ・ガスコンの順で周回を重ねる。途中ペラルタ・ガスコンが競走を止めてしまい、4人での争いに。残り2周となるところで2番手から浅いが主張して前へ。後ろをエンダースとエスターフイゼンが争う。徐々にスピードを上げていった浅井がそのまま先行。後ろはあっさりとエンダースが取る。バック・ストレッチからグンとスピードを上げたエンダースが捲くり切って1着。4番手から動いて大外をついたヌグにも最後は差されて浅井は3着で残念ながらこちらも敗者復活戦へ。他は前受けからあっさり番手を奪って最後に捲くり追い込んだアワン、残り1周となるホーム・ストレッチで4番手から捲くって行き、バック・ストレッチでは先頭に立ったホイ、残り1周半で先頭に立ち、強弱をつけて逃げ切ったボジェ、空いた内にうまく入り込んだクチンスキーが1着で2回戦へ駒を進めた。

コメント(渡邉):「いやあ、やったと思ったんですけどね。後ろで2人がやってたんでそれを押さえて大丈夫かと思ったんですけどね。ドーキンスもやっぱり力はありますね。もうちょっと流してからカマすとか、ドーキンスの後ろが良かったかな、とか・・・でも先行はきつかったですけどまあ、前回北京よりはいい感じでしたし悪くはないんで、次なんとかします。次、浅井と一緒だけはいやだなあ。」
コメント(浅井):「まあいつもどおり先行して、うん、力不足ですね。でもこうやって先行していって、力付けて、慣れていってって感じですね。でもエンダースに上手くやられましたね。後ろ、狙ってたんですかね。ギアもかなりかけてる感じでしたね。次、相手の力が落ちるか分かんないですけど、またしっかり走ります。」
   
   
 気を取り直しての敗者復活戦。いきなり第1ヒートに浅井が出場。内からエスターフイゼン、ヴィノクロフ(ウクライナ)、タン・キ(中国)で浅井は大外からのスタートとなりスタート後はエスターフイゼン、ヴィノクロフ、浅井、タンの並び。ペーサー退避後、しきりに後ろのタンを気にする浅井、スピードを徐々に上げていったヴィノクロフにやや遅れを取るものの、ホーム・ストレッチで発進したヴィノクロフを追走する。バック・ストレッチでヴィノクロフの外に出すもコーナーで合わされ、やや外に飛ぶような形に。再度立て直して直線で追い込みなんとかヴィノクロフを差し切って1着。2回戦への切符を手に入れた。
 そして最終の第6ヒートに渡邉が登場。こちらは最内からスタートの渡邉にフランチェスコ・チェーチ(イタリア)、スミス(カナダ)、サヴィトスキーの順のスタート大外のサヴィトスキーがやや躊躇しながらもペーサーの後ろに位置し、その後ろに渡邉、チェーチ、スミスでレースが進む。ペーサーの退避後は前のサヴィトスキーとの差をやや空けて、最後方のスミスの出方を窺う渡邉。2コーナーから上がってきたスミスに併せてスピードを上げ、2センターで内からサヴィトスキー、渡邉、スミスの3者並走状態となるが、残り1周となり渡邉が先行。番手スミスとの一騎打ちだが、余裕を持った先行でそのままスミスの追撃を許さず1着でゴール。日本勢2人での2回戦進出を決めた。残りの4ヒートでは後続がけん制する中まんまと逃げ切ったペラルタ・ガスコン(スペイン)、番手に追い上げ直線でなんとか差し切ったニブレット(チーム・ジャイコ、オーストラリア)、直線で微差ながら一気に差し切ったファン・デン・ベルグ(オランダ)、先行してコーナーでも併せて逃げ切ったヌグ(マレーシア)が1着となって2回戦へと進んだ。
コメント(浅井):「ヴィノクロフが出て行ったときに付いていって交わそうとしたら内から振られて、接触しそうでやばい、って思ったんですけど、そこからまた踏みなおして・・・いやあ、最後は根性で踏みました。危なかった・・・振られる前も合わされちゃいましたね。差して2回戦に上がれるのと差せなくて上がれないのじゃ大違いですからね。いやー根性でした。一成さんもいるし二人で上がれるように頑張ります。」
コメント(渡邉):「浅井が先に上がったじゃないですか。何か変なあせりが出ちゃって・・・それだけに良かったです。スタート、あんまり前へは行きたくなかったんで、ロシアの奴が行ってくれて良かったです。意識はしてましたけど、また失格なんて嫌ですからね。(最内スタートの際にペーサーを負う義務を放棄したとしてカリ大会で失格となった。)あとはトラヴィス(スミス)だけ意識して。トラヴィスが来たときはあと1周半でしたからね。自分が行ってもいいし、引いても巻き返せるし、そしたら向こう引いたんで迷わず前へ行きました。出来れば浅井と別のヒートで、それで二人で決勝に上がりたいですね。」
 できれば2人で決勝に上がりたい2回戦、第1ヒートに浅井が登場。スタート位置は内側からエンダース、ファン・デン・ベルグ、浅井、ニブレット、ドーキンス、アワンの順。スタートの号砲後、浅井はペーサーの後ろを取ったエンダースの後ろ2番手でドーキンス、アワン、ファン・デン・ベルグ、ニブレットと続く。ペーサーの退避を前にややエンダースとの車間を空けて浅井は後方を窺うがアワンが動き出し、空けた内からドーキンスも前へ動き出し外からニブレットも上昇、浅井は立ち遅れる形となる。ニブレットがするすると上がる中、ドーキンスが残り2周から叩いて先行。これにニブレットが続く。浅井は最後方でのレースとなり2センターは内から前を追い、最後は外に出し前を追うが時すでに遅し。4着でのゴールとなった。結局は逃げ切ったドーキンスが1着、後位から流れ込んだニブレット、更に後ろにつけたアワンが3着で決勝戦行きを決めた。
      
   
 
 一人でもなんとか決勝進出を決めたい渡邉は外から2番目の位置からのスタートで内からクチンスキー、ボジェ、ペラルタ・ガスコン、ホイ、渡邉、ヌグの順。道中の周回はボジェ、クチンスキー、ホイ、ペラルタ・ガスコン、渡邉、ヌグという並びとなった。最初に動き出したのは渡邉。残り2周となるホーム・ストレッチから徐々に上昇してホイに並びかけるも1センターでスピードをやや落とし、外にやや上げたところでホイがスピード・アップ、ここで後手を踏む形となる。ホイはそのまま捲くりの体制となり、突っ張ったボジェを2コーナーでは飲み込む。そのままホイは後続との差を広げ1着でゴール。終始ホイをマークしたペラルタ・ガスコンが流れ込んで2着。ボジェ番手から最終バック・ストレッチで飛び出したクチンスキーが離れて3着。渡邉は遅れを取った場面が響いて最下位でのゴールとなってしまった。
コメント(渡邉):「ちょっと失敗しましたね。ホイの3番手になった時点で番手に飛びついて、という形を取ろうと考えて・・・ちょっとそれに固執しちゃいましたね。ちょっと緩んでおっとっとって思ってるうちにスピードがまた上がってそこで踏み遅れて結局置かれる形になって・・・ちょっと余裕がなかったです。もっと色々視野広く見れるようにならないと駄目ですね。切り替えて次、頑張ります。」
 残念ながら2人ともに決勝進出を逃してしまったが、少しでも上位に入って終えたい7-12位決定戦。内からボジェ、ファン・デン・ベルグ、渡邉、エンダース、ヌグ、浅井の順でのスタートとなり、スタート直後1センターでの落車による再発走後の並びはボジェ、エンダース、ファン・デン・ベルグ、渡邉、ヌグ、浅井となった。最初に動いたのは渡邉でペーサーの退避のタイミングでボジェの後位を狙う動き、しかし後方から上がったファン・デン・ベルグにボジェ後位を奪われて、というところで浅井が最後方から前を狙っていく。残り2周を切ってボジェも先頭を譲らず叩き合う形に。一気にスピードが上がったところで渡邉は立ち遅れて最後方に、浅いがボジェの前に出切れない間にエンダースが残り1周で浅井を交わしてボジェと並走へ。ここでもボジェは譲らず、結局先行し続ける苦しい展開だったが最後まで粘って1着。ボジェの後位を守ったファン・デン・ベルグが2着。渡邉5着、ボジェとの叩き合いの後ずるずると後退してしまった浅井は6着となった。
 
ケイリン 渡邉 世界選では決勝へ
ケイリン 渡邉 世界選では決勝へ
ケイリン 浅井 北京の上の結果が欲しい
ケイリン 浅井 北京の上の結果が欲しい
   
 
 そして迎えた決勝戦、道中はニブレット、ドーキンス、ホイ、ペラルタ・ガスコン、クチンスキー、アワンの順。ペーサーの退避をねらってするすると先頭にクチンスキーが立つが、残り2周を切った1コーナー手前からニブレットが先行、同時に3番手から飛び出したドーキンスが追い上げ、2人が並走状態。5番手のホイは残り1周となるホーム・ストレッチでやっと動き出す。2人並走のまま残り1周を切り、ドーキンスが出ようかというところ、一気に加速したホイが残り半周で捲くり切る。後続はもつれ3者並走の外、ペラルタ・ガスコンが内に切れ込みながらアワンに接触して落車、接触されたアワンも一杯になったドーキンスと接触、落車、落車を避けたニブレットに車輪を払われたクチンスキー、接触によりバランスを崩したドーキンスも落車と4人が落車の事故が起きる中、ホイが地元の大声援の中ガッツ・ポーズでゴール・インし優勝。落車を避けきったニブレットが2着。怪我をしながら落車後再乗してゴールのアワンが3着。4着クチンスキー、5着ドーキンス、ペラルタ・ガスコンはこの事故のきっかけとなる危険走行で降格処分となった。
 
ケイリンに優勝したホイ 決勝も次元が違っていた
ケイリンに優勝したホイ
決勝も次元が違っていた
ケイリン表彰 残念ながら3位アワンの姿はなかった
ケイリン表彰 残念ながら3位
アワンの姿はなかった

   
 
 昨日の男子に続いて今日行われたのは女子のスプリント。こちらには39人がエントリーして1人が取り消して38名、このうち男子同様16名が本選へと進むこととなる。ここには3日連続でスプリント系全種目に出場する加瀬、中川が出場。予選の200mフライング・タイム・トライアル、加瀬はトップでのスタート、中川は16番目でのスタートとなり、かせは12秒395で29位、中川は12秒555で31位の成績だった。ここにも有力どころの多くが集まり、予選のトップは仕上がっているように感じられるメアーズ(オーストラリア)で11秒001、2位はグオ・シャン(中国)で11秒068、3位にパナリナ(ベラルーシ)で11秒130、地元イギリスのヒロイン、ペンドルトンは11秒143で4位だった。
 この予選上位の4人が順当に1本も落とさずに1/2決勝へ駒を進め、事実上の決勝戦か、というメアーズとペンドルトンの対戦は、1本目、前攻めも外から交わされたが、その後も内で粘り続け、最後は内から差し返して、2本目は後ろからも2週目4コーナーで内を突いて前に出て一気に先行して押し切りと2本ともに取ったメアーズが決勝戦へ。もう一つは1本目先行、2本目は差されたものの4コーナーでパナリナがスプリンター・レーンに入ってきたことにより降格処分を受けたことからこちらも2本連取となったグオが決勝戦へ駒を進めた。決勝戦は後方からの展開を外から並びかけ、2コーナーでは捕らえ切ったメアーズが1本目を先取。続く2本目は最後の1センターで内を突いて後方から前へでて先行したグオが追撃を振り切って並ぶ。決定戦は今度は2周目1センターで後方から内を突いて先行態勢を取って、残り1周でスピード・アップ、直線の追撃を振り切ったこちらはメアーズが先着し、2-1で優勝することとなった。3位決定戦は2本連取でペンドルトンが世界チャンピオンの、地元の意地を見せてワールド・カップ・リーダーをも決めた。
 
スプリント女子 予選の加瀬
スプリント女子 予選の加瀬
スプリント女子 予選、中川
スプリント女子 予選、中川
決勝は辛くもメアーズが制した。
決勝は辛くもメアーズが制した。
見慣れた顔ぶれ、世界選はいかに
見慣れた顔ぶれ、世界選はいかに

        
 
オムニアム男子 チョの活躍は目を見張るものが
オムニアム男子
チョの活躍は目を見張るものが
 昨日が初日、2日目の今日は4kmの個人追抜、15kmのスクラッチ、1kmTTで争われた男子オムニアムは、5種目目、クォック・ホーティン(香港)、チョ・ホソン(韓国)のアジア勢でのワン・ツーとなったスクラッチを終えて、アーチボルド(ニュージーランド)が12ポイントで2位に17ポイント差を付けてほぼ優勝が決まった中最終種目へ。2位争いは5ポイント差の中に3人がおり接戦だったが、この時点で2位だったチョ・ホソンが1分3秒969のタイムで2位となり合計31ポイントで銀メダルを獲得することとなった。3位に36ポイントでヴィヴィアーニ(イタリア)、アーチボルドは最後のTTでも3位と好成績、15ポイントで今シーズン2勝目を飾ったが1ポイント及ばずワールド・カップ・リーダーの座は奪えなかった。
           
   
 
 2日目、最終日で争われる女子オムニアムも今日が初日。予選を通過した24人で争われ、カリ大会にも出場し圧勝したハマーが初日の3種目でフライング・ラップ1位、ポイント・レース2位、エリミネイション1位と早くも圧勝を思わせる成績を上げて初日を終えてトップ。2位に14ポイントでヴィルド(オランダ)、3位に20ポイントでマチャコヴァ(チェコ)と続いている。
       
 
 ここマンチェスターだけで行なわれる女子スクラッチはロシアのチュルコヴァが2位のリード(アウチ・プロ・サイクリング、アメリカ)、3位のジュニア・チャンピオン、キュアー(オーストラリア)を破って優勝、ワールド・カップ・リーダーに輝いた。
スクラッチ女子はここマンチェスターのみ
スクラッチ女子は
ここマンチェスターのみ
        
   
   
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