10-11ワールド・カップ第4戦マンチェスター大会
配信日:11月8日
■2月20日(日)開催3日目 天候:曇り 気温5度
始まってしまえばあっという間なもので早くも本日が3日目最終日。連日朝から夜11時までの開催で今日の競技開始時間は朝8時15分。なかなかハードなスケジュールである。
最終日の今日は男子チームスプリント、女子ケイリン、男子団体追抜、女子オムニアムに加えてインターナショナル・ケイリン・イベント、JKAケイリンが行なわれる。
まずは男子チームスプリント、こちらもナショナル・チームに加えてシクロ・チャンネル・トーキョー(CCT)・チームでの登録があるため2チーム6名での参加となる。お互いに切磋琢磨することによるタイムの向上、今後の強化、経験を積むチャンスが増えることを考えるとやはりこのトラック・チームの参戦は大きなものがあるといえる。ライダーはナショナル・チームが第1走者に雨谷一樹、第2走者に渡邉一成、第3走者に新田祐大とこの3人の組み合わせは北京に続いて2回目、結果が欲しいところだ。一方のCCTチームは第1走者に成田和也、第2走者に柴崎淳、第3走者に浅井康太といった布陣。CCTチームは21チームがエントリーした中で4組目ホームからのスタートでアメリカ・チームとの対戦、日本チームは最後から2番目の10組目、バックからのスタートでケニー、ホイ、クランプトンの地元イギリス、スカイ・トラック・サイクリング・チームとの対戦となった。まずはアメリカとの対戦のCCTチーム。第1走者の成田は18秒095で入りアメリカに0.25秒遅れる繋いだ柴崎は区間13秒623で0.5秒ほどにアメリカとの差は開き、最後の浅井も13秒936で45秒654という結果で45秒017のアメリカに遅れ7チームが終えたこの時点で2位の成績。とりあえず既に終えたマレーシアのタイムは上回ってきた。8組目にはライバル中国の登場でいつものベスト・メンバー、チェン・チャンソン、チャン・レイ、チャン・ミャオの順で走った結果は44秒763、対戦相手のドイツはエンダース、レヴィ、ニムケと繋いで43秒847のトップ・タイムを叩き出し、中国はこの時点で4位。そして10組目に登場の日本チーム、第1走者の雨谷は17秒967と今シーズンのメルボルンのタイムには及ばないものの18秒を切ってのスタート、一方のスカイはケニーが17秒745で入る。第2走者の渡邉は区間13秒139、ホイは12秒920、最終走者の新田は13秒529で結果、44秒635、アジア大会の44秒633にはわずかに及ばなかったものの、ワールド・カップでは今シーズン最高のタイムを出して中国を上回り、残り2組を残して5位につけることとなった。一方のスカイはクランプトンが13秒384で44秒049、暫定2位につけたが、最終組のボジェ、シロー、ダルメイダのフランスが43秒633のタイムを出し、予選トップ・タイムを出した。結果日本は予選6位でこの種目を終えることとなった。3-4位決定戦はスカイがエリス、ニブレット、サンダーランドのチーム・ジャイコを破り予選の順位どおり3位となり、1-2位決定戦はフランスが予選のタイムを上回る43秒534で、こちらも予選を上回る43秒715を出したドイツを退けて今期ワールド・カップ3連勝となり、ワールド・カップ・リーダーとなった。
コメント(雨谷)
:「17秒967ですか・・・悪くはなくてスタートは決まったんですけどね・・・今回いつもより1枚重いギアにしたんで、それをもうちょっと踏めるようになればまだいけますね。まだまだ物足りないですね。」
コメント(渡邉)
:「13秒139ですか・・・13秒0台が出てるかな、と思ったんですけどね・・・スタートもうちょっと決めて、離れないでいければもう少しいけますよね。」
コメント(新田)
:「もうちょっといかなきゃいけなかったなあ・・・まだまだですね。」
チーム・スプリント CCTチーム
世界選では44秒5を切って欲しい
優勝のフランスの出走前
世界戦も上位は同様か?
女子ケイリンは37名がエントリー、6ヒート、それぞれ6,7名の1着のみが2回戦へと進み、残りのライダーは敗者復活戦にまわることとなる。日本からは中川諒子、加瀬加奈子の2人が出場。世界トップのレーサー達とのレースで経験を積みたいところ。まずは中川が第3ヒートにペンドルトン(スカイ・トラック・サイクリング、イギリス)、パナリナ(ベラルーシ)といった強豪と対戦。大外スタートで最後方からレースを進める形となった中川はペーサーの退避を狙って上昇、そのまま先行体制に入ったが残り1周前の4コーナーでは捉えられ、最終1コーナーでは交わされて最後方に。レースは強豪ペンドルトンが直線でサリヴァン(カナダ)を猛追するも届かなかったが、サリヴァンが降格となり、このヒートからはペンドルトンが2回戦へとすすむこととなり、中川は6着で敗者復活戦へ。第4ヒートの加瀬はメアーズ(オーストラリア)、ヴァーニッシュ(イギリス)、ゴン・ジンジー(中国)といったところと対戦、うちから2番目からのスタートとなり道中は4番手で周回。こちらもペーサーの退避を狙って動き出すも、ペーサー後位のヴァーニッシュも踏み出して譲らない、外から先行しようとするもヴァーニッシュに結局突っ張られる形。残り1周のホーム・ストレッチから思い切りよく飛び出したゴンが抜けて他を突き放す形となり最終2コーナーでは加瀬は苦しくなるも最後まで踏み続け、あきらめた他のライダーを直線で追抜き、結果は2着。こちらも敗者復活戦へとなった。
その敗者復活戦は加瀬が第4ヒートにパナリナらと対戦。ペーサー後位を取った加瀬は退避後そのまま踏み込み先行態勢。一本棒でレースは進み、加瀬の番手には終始パナリナ。最終2コーナーで満を持して加瀬を交わしていったパナリナは展開にも恵まれて楽に1着でゴール・イン、2回戦へと進むこととなった。加瀬は先行したものの最後は力尽き4着。第6ヒートの中川も注文をつけてペーサーの後位を奪う。ペーサー退避後に中川の後ろのエチェヴァリア(メキシコ)が前に出て、中川は2番手に、残り2周でそのエチェヴァリアがスピードを上げて先行、これを中川も追う。残り1周前のバック・ストレッチでクルペクカイテ(リトアニア)後続も仕掛けてきたところ中川は3コーナーでバランスを崩し外へ膨れる形に。結局は仕掛けたクルペクカイテがそのまま押し切り1着中川は4着で入選したものの、外へ膨れた走行が他のライダーの走行を妨害したとして降格となった。
女子ケイリン スタート後の加瀬
女子ケイリン 周開中の中川
女子ケイリン 2回戦の出走前
女子ケイリン グオが直線追込む
決勝戦は道中ペンドルトン、ゴン、サンチェス(フランス)、グオ・シャン(中国)、メアーズ、マクロック(オーストラリア)の並びで進んでいたところをペーサの退避時に後方からするすると上がったマクロックが先頭に立つ。残り2周となるホーム・ストレッチからメアーズが動き出し、これにサンチェス、グオが続くが1センターで加速したメアーズには離れ気味。マクロックも踏み遅れてメアーズが他を引き離しながら先行、残り1周となる。しかし早め先行が響いたか、メアーズに伸びがない。追ったサンチェスがバック・ストレッチで猛然とスピードを上げて3コーナーでメアーズを交わす。サンチェスが先頭で直線へ向くがその後ろからグオが一気に追い込み、わずかに差して優勝。サンチェスが2着、グオの後ろから追い込んだペンドルトンが3着、以下ゴン、メアーズ、マクロック。残念ながら押し切れなかったサンチェスがワールド・カップ・リーダーとなった。
ウィギンスの出場で話題となっている男子団体追抜はそのイギリス・チームが予選で唯一の3分台、3分57秒471を出して2位のニュージーランドに4秒近い差をつけて後は決勝戦でどれだけのタイムを出すのか、という状況となったが、その決勝戦、対戦相手のニュージーランドに対してどんどんとリードを広げていき、予選より2秒以上タイムを上げて3分55秒438を記録し、4分00秒314のニュージーランドに5秒近い差をつけて優勝、3分53秒314の世界記録のロンドン・オリンピックでの更新を予感させるとともに、次の世界選手権でどれだけのタイムを出すのか楽しみにさせる結果となった。
男子団体追抜 イギリス・チーム
男子団体追抜 世界選ではどんなタイムが?
女子オムニアム
圧倒的な強さを見せたハマー
女子オムニアムは前半を終えて4ポイント、優勝確実な状況となっていたハマー(アウチ・プロ・サイクリング、アメリカ)がこの日も個人追抜、スクラッチで1位、最後の500mTTで3位、4種目で1位となって合計9ポイントで2位に29ポイントもの差を付けて優勝した。2位はヴィルド(オランダ)で38ポイント、3位はヴォイトラ(ポーランド)で42ポイント。
そしてこのワールド・カップ最終日のプログラムに混じって組みこまれて開催されたのがインターナショナル・ケイリン・イベント、通称JKAケイリン。優勝賞金15,000ユーロ(約170万円)をかけて日本人ライダー7名、外国人ライダー14名の合計21名で争われる。残念ながら外国人選手の中でトップで出場選手に選考されたアワン(マレーシア)は昨日の男子ケイリン決勝戦で落車、怪我をしてしまい出場不可能。次に選考順位の高かったブルガン(フランス)はここマンチェスターには来ておらず、ランキングは高かったものの、ギリシャ連盟の不手際で選考選手から漏れていたクリストス・ヴォリカキスがアワンの代わりに出場することとなった。例年と同じく、このJKAケイリンは出走直前に抽選で各ヒートの組み合わせを決定する。直前まで誰と戦うこととなるのか分からない、という特徴がある。
1回戦は各ヒート7名、3ヒートで争われ、上位2着の6名が2回戦へと進み、残りはこちらも上位2名が2回戦進出となる敗者復活戦へとすすむこととなる。1回戦第1ヒートに出の北津留は道中3番手で周回、レースはヴォリカキスが前へ勢い良く飛び出し先行しようとするもペルヴィスが先行、クランプトンが残り1周からと目まぐるしく動き、最後は外々を捲くり追い込んだムルダーが1着、クランプトンの後ろから差したレヴィが2着で2回戦へ。北津留は内で包まれたりで最終バックから外を踏んでいくも4着まで。第2ヒートは成田、新田、柴崎の3選手が出場となったが、残り2周を前に柴崎が先頭に立つもその後ろに入ったケニー(イギリス)が残り1周から発進、その後ろに付いたスピチュカ(チェコ)を引き連れてそのままゴール。エドガー、成田がこれを追ったが届かなかった。離れて柴崎が5着、新田は7着。第3ヒートも日本人選手が3名で渡邉、浅井、雨谷が出場。特に動きがないまま、ペーサー後位で進め、先頭に立っていたクチンスキー(ポーランド)が残り1周半から踏み込んで先行するが2番手にいたヌグがホームからスピードを上げていきバックでは捲くり切る、ヌグの後ろから攻めていた雨谷もこれに続き結局この2人が1、2着。浅井は後方から直線追い込んでくるも4着。渡邉は雨谷の後ろに位置していたが結果は7着、唯一雨谷だけが1回戦で2回戦進出を決め、残りの6選手は敗者復活戦行きとなった。
敗者復活戦は第1ヒートに日本人選手3名、成田、北津留、新田が同乗、ペーサー退避で成田が主導権を奪い、その後ろにファビアン・ヘルナンド(コロンビア)、残り2周となるホームでその後ろの北津留が内から進んで成田の後ろへ、ファビアン・ヘルナンドも譲らず、残り1周というところでそこからファビアン・ヘルナンドがスパート、これに新田が続く。北津留も必死に追うがファビアン・ヘルナンド1着、新田2着で2回戦へ。北津留は僅差の3着も内側を走行したことにより降格され、これにより成田は4着。第2ヒートも日本人ライダーが3名となり、渡邉、浅井、柴崎が出場。ウェブスター(ニュージーランド)が前から行くところを渡邉が仕掛けて残り1周で先頭、先行体制へ。しかし番手に入ったペルヴィスがバックで捲くり切りそのまま1着。後方からペルヴィスを追っていった浅井が2着で2回戦へ。渡邉3着、柴崎は4着。2回戦は日本人ライダーは3人が進むこととなった。第3ヒートは先行するクランプトン、それに付けたエドガーのスカイ、イギリス軍団が1,2着で2回戦に進んだ。
2回戦はまず第1ヒートに新田、エドガー、クランプトン、ケニーのスカイ・トラック・サイクリング3名同乗との対決となった。道中はクランプトン、ケニー、エドガーと並ぶ中、新田が飛び出して残り2周から先行。ここでその後ろにケニーが入り、更にクランプトン、エドガーと続く。残り1周となってケニーが飛び出し、そのままクランプトン、エドガーの状態で会場は割れんばかりの大歓声。しかしバック・ストレッチから外々を一気に行ったレヴィが直線で差しきって1着、2着にケニー、3着クランプトン。最後の直線で内を付いたエドガーは降着となり新田はこれで5着となった。第2ヒートは浅井と雨谷、特に動きがない中で残り1周半となるバックでペルヴィスが後方から動き出したのを見て、スピードを上げた先頭にいたヌグが結局残り1周からペルヴィスとの叩き合い。これに勝ったペルヴィスがそのまま1着、番手に付けたムルダーが流れ込んで2着、内で粘ったヌグが3着で決勝戦へ。結局浅井は6着、雨谷は5着と後方で見せ場を作れずに終わってしまった。
7-12位決定戦は浅井が2着で8位、新田5着11位、雨谷は6着で12位という結果。そして迎えた決勝戦。道中はケニー、ヌグ、ペルヴィス、レヴィ、ムルダー、クランプトンの並び。まず動きを見せたのはレヴィだったがそれを見てその前を行くペルヴィスが残り2周というところでスピードを上げて前へ。内でケニーも粘るがペルヴィス、そしてレヴィが外から行って残り1周、レヴィの後ろにムルダーが続きバックから渾身の捲くり、しかしレヴィが押し切って第7回目のインターナショナル・ケイリン・イベントの覇者となった。僅かに届かず2着にムルダー、粘ったペルヴィスが3着、最終的には内で脚を余したケニーが4着、見せ場を作れなかったヌグが5着、最後方から大外を行く形になってしまったクランプトンが6着でレースを終えることとなった。
コメント(レヴィ)
:「ワオ、クレイジーだね。まさかこんな結果がここで出るとは思っていなかったからすごく嬉しいよ。ヨーロッパ選手権で鎖骨とか4箇所骨折してそれから初めてのレース、ワールド・カップだったからね。チーム・スプリントで2位、そしてJKAケイリンで優勝、うん、とてもいい結果だよね。この後は世界選手権、うーんちょっと何に出るかは分からないけどチーム・スプリント、ケイリン、スプリントかな?他にもドイツにはライダーが一杯いるからね。でもやっぱりオリンピックに向けて一番大事なのはチーム・スプリントだからそこにやっぱり力を入れたいよね。その次はケイリンが大事だね。どうもありがとう。ハッピーだよ。」
JKAケイリンの決勝でここマンチェスターでのワールド・カップを締めくくることとなり、いよいよ次はオランダ・アペルドールンでの世界選手権。1ヶ月の間に各選手コンディショニングにかなりの注意を払って、このシーズン最高の舞台に向けて最高の状態に仕上げてくることであろうことからそのパフォーマンス、期待しないわけにはいかない。
ワールド・カップ総合優勝はフランス
ケイリン・イベントの抽選を映し出す
場内の大型モニター
ケイリン・イベント 出走前の場内
ケイリン・イベント 表彰式
怪我から復帰のレヴィが優勝
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